JR東日本は2020年3月3日、プレスリリースにて2024年3月より山形新幹線「つばさ」にて新型車両E8系の運転を開始すると公表した( 山形新幹線をより便利に快適にします )。今回はこれから2024年3月実施予定の東北新幹線ダイヤ改正について予測していく。
スーパーつばさ設定へ!2024年3月山形新幹線ダイヤ改正予測はこちら!
1. 東北新幹線にE5系追加投入へ!
JR東日本では今回の2024年3月東北新幹線ダイヤ改正までに320km/h対応のE5系をさらに投入し人事E2系を置き換える。
東北新幹線では当初2016年までにすべての10両編成をE5系に統一する構想があったが諸般の事情により遅れ、2019年からは北陸新幹線用・上越新幹線用E7系を急ピッチで投入せざるを得なくなったためにE5系の投入がこの5年間ほどほとんど行われてこなかった。が、山形新幹線「つばさ」に(おそらく新幹線特急料金値上げによる増収目的で)最高速度を275km/hから300km/hに引き上げた新型車両E8系を投入するのに伴い、山形新幹線「つばさ」と併結するE2系も320km/h運転ができるE5系に置き換えるために新車としてE5系を増備することとなった。
E2系は12本(2023年6月時点で15本の配置はあるがうち3本は転属廃車過程中の予備車のため置き換え対象は12本の見込み)、E3系は15本あるが、2023年度に投入する新幹線車両は東北新幹線用E5系が5本、山形新幹線用新型車両E8系が3本となっている。320km/h対応のため製造費用も高いE5系の方が多いではないか。
もっとも2023年度内に置き換え対象となっている山形新幹線用E3系は2008年~2009年製造で減価償却期間の13年を終えたばかりの車両たちだが、東北新幹線用E2系は2003年~2005年に投入した車両たちでより老朽化している。置き換える順番としては順当なのだろうが果たして目的はそれだけなのだろうか。
2. E5系追加投入で「やまびこ」新幹線特急料金値上げを画策か!
ではE5系を追加投入することで車両置き換えのほかにどのようなメリットがあるのだろうか。
そもそも東北新幹線のE2系運用は2019年3月16日東北新幹線ダイヤ改正にて仙台以北の定期運用が消滅しており、2019年以降主に山形新幹線「つばさ」併結用となっている。
もっとも275km/hまでしか出せない「やまびこ」も依然残ったが2020年11月1日の運用変更でE3系6両編成(初代「こまち」型車両)の併結運転がなくなりE5系10両に現車したため定期列車は仙台以北はすべて320km/h対応のE5系またはE6系での運転となっている。が臨時列車を含めるとそうとも言えず、2020年12月には上野9時18分発「はやて375号」新青森行きを、2023年5月5日には盛岡15時28分発「やまびこ168号」東京行きを、2023年5月7日には東京16時56分発「やまびこ413号」盛岡行きをそれぞれ275km/hまでしか出せないE2系で運転している。
このため臨時列車を含めると2023年5月時点でもE5系で仙台以北に行くすべての列車E5系のみではまかないきれていない。このため最高速度275km/hまでしか出せないE2系が少しでも混ざりうる盛岡発着「やまびこ」で300km/h以上の運転対応列車に適応する割高な「はやぶさ」新幹線特急料金を徴収することはできないし、新幹線特急料金都合で最高速度を引き上げて所要時間を短縮することもできない。ただ今回の2024年3月ダイヤ改正までに盛岡発着の臨時「やまびこ」もすべてE5系で運用できるようになれば全列車がE8系性能の300km/h対応となるので「はやぶさ」と同等の新幹線特急料金を徴収することができるようになり、所要時間短縮も図れそうだ。
もし盛岡発着の「やまびこ」で加算料金を取ろうとする場合、宇都宮~盛岡間で520円も特急料金を追加徴収できることとなる。E8系「つばさ」で加算料金を取ったって宇都宮~福島間分の210円しか加算料金を追加徴収できないのだから、当然より多くとれる盛岡発着「やまびこ」を先に300km/h対応にしたいはずだ。
しかも東北新幹線・山形新幹線を運営しているJR東日本は2020年からの大幅な旅客減で収入が大きく減り、事実上無利子社債を金融機関に買わせて回っている。財務状況は良いとは言えないし社債は返済しなければならない。
すぐに増収を図りたいならE8系を投入するより、E5系を追加投入して盛岡発着「やまびこ」を臨時列車含め全列車300km/h対応化、「はやぶさ」と同等の特急料金にするのが手っ取り早い。しかも2011年3月5日の新幹線「はやぶさ」運転開始時に300km/h以上の運転を行う列車として割高な特急料金認可を行っているので(むしろ2011年は半年ほど300km/hが出せなくなったので本復旧するまで一時的に「はやぶさ」でも「はやて」「やまびこ」と同じ特急料金としていたほど)、おそらく届出だけで「やまびこ」特急料金の値上げができる。このためまずE5系を多く投入してとっとと増収を図るのではないだろうか。
つまりJR東日本的には山形新幹線用新型車両E8系の営業運転開始よりも、盛岡発着「やまびこ」のE5系完全統一による特急料金値上げの方が大きな目玉となっているのだろう。
おいおいそれでは「はやぶさ」と「やまびこ」の料金が一緒になってしまうと思った方もいるだろう。確かに一時的になる可能性はあるのだが、ALFA-Xの成果により営業運転を開始するEX系(仮称)が360km/h運転を開始すれば、空気抵抗が小さくなり騒音抑制効果があることから大宮~宇都宮間でも275km/hから300km/hに引き上げられる可能性が高く、加算料金徴収区間を宇都宮~盛岡間から大宮~盛岡間に拡大する可能性が高い。そうなるとEX系による最速達種別と「やまびこ」の間には東京や大宮発着の場合100円程度の料金差を発生させることができる。ましてや360km/h用の高速加算料金表を新たに用意すればさらに「やまびこ」との料金差を開けることができる。つまり長期的に見れば東北新幹線の最速達種別と「やまびこ」に料金差があることには変わりないだろう。
3. 仙台発着E2系存続のため「スーパーやまびこ」設定か?
一方、山形新幹線と併結を行う東北新幹線の列車はどうなるのだろうか。
今回の2024年3月山形新幹線ダイヤ改正より300km/h対応の新型車両E8系を「つばさ」で運用を開始する見込みだ。ただ、すべての車両を今回のダイヤ改正で置き換えるわけではないため、山鹿方新幹線と併結する東北新幹線列車はE5系になったとしても従来のE3系と連結してしまうと東京~福島間は最高265km/hまでしか出せず「はやぶさ」と同等の新幹線特急料金を徴収することはできない。
秋田新幹線「こまち」をE3系からE6系に車両更新する際には、東北新幹線でもE2系「はやて」からE5系「はやぶさ」に置き換えて続々置き換えた。この際に東北新幹線では秋田新幹線「スーパーこまち」のようなスーパーと名乗る列車ではなく別列車愛称として置き換えたのである。というのも、「はやて」は275km/hしか出さないものの全車指定席と大宮~仙台間ノンストップという点で「やまびこ」との差別化を図っていたこと、当初は仙台~盛岡間を各駅に停車する「はやて」のすべてを置き換えるまでE5系を投入しなかったためである。これもあり先述したように東京~盛岡間では臨時列車を含めると2020年まで「はやて」の設定があった。
ただ、今回の場合はどうか。山形新幹線用新型車両E8系使用かつ東北新幹線内宇都宮~福島間で300km/h運転を行う列車には「スーパーつばさ」と付す見込みだが、この際に「つばさ」と併結する「やまびこ」に対して何か愛称を分けなくてはならない。ただわざわざ別の列車名称をおいても2026年にはすべての東北新幹線の10両編成がE5系に統一見込みなので「はやて」のような停車駅は同一だが最高速度の低い列車種別を長年にわたり残しておく必要がない。そう考えるとかつての秋田新幹線「スーパーこまち」のように「やまびこ」も300km/h対応列車は「スーパーやまびこ」にしてもおかしくはない。
ただ、200系新幹線をご存じの方なら違和感を感じたと思うが、「スーパーやまびこ」と言えば1990年頃に運転した大宮~仙台間および仙台~盛岡間ノンストップの列車の通称ことで、停車駅は今でいう「はやぶさ」に相当する列車なのである。もっと言うと13両固定編成や16両固定編成で2階建て車両付きで運転すべき列車である。運転速度が引き上がり300km/hになったとしても宇都宮・郡山・福島にほとんどが停車し盛岡発着に至っては仙台~盛岡間各駅停車の10両編成の列車に「スーパーやまびこ」と付していいものか。もはや「スーパーやまびこ」の方が「はやぶさ」より早い列車に見えてしまって混乱をきたしかねないのではないか。
だが、山形新幹線や秋田新幹線と違い東北新幹線には「やまびこ」より下に下位種別の「なすの」がすでにある。これを用いると「なすの」を追加料金を徴収しない列車と定義しなおせば、E3系「つばさ」と併結する東北新幹線列車を「なすの」とすれば解決する。2026年3月の山形新幹線用新型車両E8系投入完了に伴い主要駅に地下停車しない仙台発着「やまびこ」がすべて「はやぶさ」と同等の新幹線特急料金になる際に、朝夕に毎時1本、昼間は2時間に1本運転している東京~福島間各駅停車の「やまびこ」を「なすの」として扱うことで停車駅の差で料金を差別化できるし各駅停車ユーザーには料金の値上げをせずに済ませることができる。そうなると仙台発着「なすの」の設定は将来を見据えても有用にすることができる。
つまり、E8系「スーパーつばさ」と併結するE5系列車は「やまびこ」として「スーパーつばさ」と「やまびこ」は宇都宮~福島・仙台・盛岡間で300km/h以上対応の割増特急料金適用、そのほか275km/hまでしか出せない車両を組み込む場合は「つばさ」と「なすの」として従来通りの新幹線特急料金を適用とするのではないか。
もっとも2027年3月の福島駅アプローチ線複線化に伴いE8系がすべて出そろうことから、その際には秋田新幹線「こまち」の時と同様、山形新幹線は「つばさ」を「スーパーつばさ」料金に値上げし全列車「つばさ」に再統合、「つばさ」と「やまびこ」の併結に戻せばいい。
「なすの」の列車名由来は栃木県だが、郡山発着でも運転していることから栃木県を通ってさえすれば問題はない。むしろ福島県を通らない常磐線特急「ときわ」があるくらいだ、それに比べたら「なすの」の仙台乗り入れはマシだろう。
このあたりのことは例年傾向であれば11月ごろにJR東日本から何らかの公表がありそうだ。実際にどのような運行形態になるのかはその時にはわかるだろう。
4. 「やまびこ」の全車指定席化はあるのか
では今回の2024年3月東北新幹線ダイヤ改正で「やまびこ」の全車指定席化はあるのだろうか。
もし上述したように今回のダイヤ改正で「やまびこ」が300km/h運転対応時刻となり特急料金が「はやぶさ」と同等になるのであれば、通常期でも自由席と指定席に1,050円、最繁忙期であれば1,450円の差額が生まれてしまうことからも、「はやぶさ」同様全車指定席化するのはほぼ間違いない。
そうなった場合はFREXなど新幹線定期券利用や自由席特急券利用で「やまびこ」全区間で普通車指定席の空席を使えるようになるだろう。もっともこの場合仙台~盛岡間は全列車が悲痛者全車指定席となるので自由席特急券ではなく特定特急券の発券になるだろうが。
合わせて指定席満席時には530円引きの立席特急券を発売するのも「はやぶさ」「こまち」と同様に行うだろう。
ただこの場合新幹線特急料金を従来通り据え置く「なすの」は普通車自由席を残す可能性が高いので(特に朝の東京行き)、仙台発着の「やまびこ」のうち自由席車両の多い朝夕の列車を「なすの」に格下げする場合もありそうだ。
5. 盛岡発着「やまびこ」300km/h対応で所要時間はどのように短縮するのか
では盛岡発着「やまびこ」がすべてE5系運転となったら、どのように所要時間を短縮するのか。
もっともE5系の最高速度は320km/hで、大宮~盛岡間で停車駅の少ない「はやぶさ」「こまち」では実際に320km/h運転を行っている。が、320km/h運転では空気ばね式車体傾斜装置を作動させる必要があるが原則R4000カーブからゆるい曲線しかない東北新幹線では300km/hまでであれば車体傾斜装置を作動させなくてよいので車体傾斜装置を停止することで動力費を削減できるほか、「やまびこ」は大宮~仙台間ですら途中宇都宮・郡山・福島と停車するため停車駅が多く高速運転時間が少ないほか、E5系「やまびこ」と併結する山形新幹線新型車両E8系「つばさ」は300km/h対応であることから、おそらく「やまびこ」に対しても300km/h運転までしか想定していないのだろう。
とはいえ最高速度300km/h対応でも十分な所要時間短縮効果がある。この高速化により宇都宮~福島間で約3分、福島~仙台間で約2分の短縮のほか、各駅に停車する仙台~盛岡間でも2分の所要時間短縮効果がある。また東京駅発着時刻を変えることなく所要時間を短縮するため昼間は宇都宮や福島で行っている臨時「はやぶさ」の通過待ちも宇都宮と仙台に変更してもおかしくない。
これにより大宮~仙台間の所要時間が10分程度短縮し昼間の、盛岡発着「やまびこ」が定期「はやぶさ」の通過待ちをを行う駅が一ノ関から北上に変更する。これにより「やまびこ」の東京~盛岡間の所要時間が10分短縮し3時間18分運転から3時間08分運転となる見込みだ。
もっとも東京~盛岡間の利用であれば2時間12分で到達する「はやぶさ」「こまち」を利用する人が多いだろう。ただ、この「やまびこ」最高速度引き上げと所要時間短縮により昼間に「はやぶさ」が通過する仙台~盛岡間の各駅からの利便性が向上する。
このため東京~一ノ関間は昼間2時間34分から2時間25分に9分短縮する見込みだし、東京~北上間に関しては一ノ関での「はやぶさ」通過待ちがなくなるので2時間55分から2時間43分に12分も短縮する見込みだ。
東北新幹線では2010年12月1日の新青森延伸時に東京~仙台間の混雑分散目的と岩手県内各駅からの速達性確保の目的で朝夕の「やまびこ」6往復を仙台~盛岡間各駅停車の「はやて」に格上げしていたが、その後E5系投入に伴い順次「はやぶさ」へ格上げののち2022年3月12日東北新幹線ダイヤ改正で6往復中2往復が「やまびこ」に逆戻りしてしまった。が、今回の2024年3月東北新幹線ダイヤ改正で盛岡発着「やまびこ」が300km/h対応となり所要時間を短縮すれば、従来の「はやぶさ」ほどではないにしても速くなるし、昼間の全便で適用になればさらに高い効果が期待できるだろう。
6. 初列車繰り下げ・終列車繰り上げで営業時間短縮へ
また今回の2024年3月東北新幹線では、初列車・終列車を大幅に見直す可能性がある。
ことJR東日本では2000年頃から新幹線の営業時間をとにかく短縮したいという傾向が強く、新幹線は一応6時00分~24時00分まで運転できるところ朝は6時10分(東京周辺では6時30分)から、夜は23時30分ごろまでの運転としたいようだ。もっとも2000年~2020年ごろは路線延伸などで新たに設定する列車(「はやて」「はやぶさ」「かがやき」など)を中心に運転時間帯を狭くしてきたが(でなければ「はやぶさ」の最終が東京23時04分着なんてことはなかろう)、2020年以降は2021年3月13日ダイヤ改正の上野~大宮間の最高速度130km/hへの引き上げ、2023年3月18日の北陸新幹線直通列車含む上越新幹線最高速度275km/hへの引き上げなど最高速度引き上げに伴う所要時間短縮に合わせて行うことが多く、終列車が繰り上がっても利用客の利便性は上げつつも運転時間帯縮小により各駅の営業時間を短縮し経営を合理化できる。まさに一石二鳥政策なのだ。
このため今回の「やまびこ」運転速度引き上げに伴う所要時間短縮で初列車・終列車に影響を及ぼす可能性もある。
今回の2024年3月ダイヤ改正でE5系「やまびこ」が300km/h運転ダイヤになった場合、先述したように盛岡発着「やまびこ」は全便所要時間を短縮するだろうし仙台発着「やまびこ」も「つばさ」を併結しない宇都宮・郡山・福島と主要駅停車便については所要時間を短縮するだろう。このため盛岡発着「やまびこ」のみならず朝夕の仙台発着「やまびこ」での所要時間短縮を図る可能性がある。
まずは最終列車。下り列車では東京20時20分発「やまびこ73号」盛岡行きを東京20時28分発「なすの271号」那須塩原行き走順を交換することで盛岡行き最終を8分繰り下げる可能性がある。もともとこの列車の4分前に東京20時16分発「はやぶさ45号」新青森行きを運転しているため東京・上野・大宮から盛岡へ向かう人は基本的に最終列車の4分前の「はやぶさ」に乗ってしまう。逆を言えば盛岡のみならず岩手県内各所への最終が早いのでやや繰り下げてもおかしくはない。なお最終列車の利便性の観点から仙台→北上間では大きく運転時刻を変更せず、盛岡到着も23時31分着から23時30分着に1分繰り上げるので精一杯だろう。
このほか東京21時44分発「やまびこ223号」仙台行き最終も所要時間を4分~5分程度短縮し仙台23時41分着にする可能性がある。もしそうなれば仙台から出発するJR各線の終電を5分~10分程度繰り上げることができるほか、仙台市地下鉄でも仙台発の最終を地下鉄南北線・東西線ともに23時59分発としているところ23時55分発に4分程度繰り上げてもおかしくない。
また上り列車では最終列車の繰り上げを行う可能性がある。
今回それで影響しうるのが、盛岡20時29分発「やまびこ74号」最終東京行きである。途中一ノ関で「はやぶさ48号」東京行きに抜かれるため盛岡から東京への最終列車ではないが、仙台から宇都宮・東京への最終列車となっているほか仙台より北から福島・郡山・宇都宮への最終列車も担っている。
この盛岡20時29分発「やまびこ74号」最終東京行きは東京駅23時44分着とJR東日本の新幹線で最後に到着する列車となっていることから、時刻を繰り上げることで各駅営業時間を短縮することが可能だ。
繰り上げるとしたら空いている東京23時36分着への8分繰り上げになる。のだが、この盛岡20時29分発「やまびこ74号」最終東京行きは一ノ関→東京間で1本も抜かれないためすでに停車時間が短く設定しており、仙台→東京間で5分程度しか所要時間短縮ができない。ただ前後列車との運転間隔から盛岡→仙台間で時刻繰り上げは考えにくい。そうなると東京着時刻を東京23時40分着の上越新幹線最終「とき350号」東京行きとともに4分ずつ繰り上げる可能性はあるが、仙台からの最終を3分繰り上げてまで盛岡20時29分発「やまびこ74号」最終東京行きだけ8分繰り上げるのはほぼ不可能だろう。
つぎに初列車。下り列車は東京6時04分発「やまびこ51号」盛岡行きがあるが、これを7両運転の東京6時12分発「つばさ121号」新庄行きをE8系運転300km/h対応とし福島まで併結してしまえば、東京発時刻を8分繰り下げ駅営業時間を4分繰り下げることは可能と言われれば可能である。この際、「やまびこ51号」盛岡行きが後続の「はやぶさ1号」に抜かれるのが古川から仙台に変更せざるを得なくなるため早朝の東京から古川~新花巻間の各駅への一番列車の東京発車時刻を6時04分発から6時32分発に28分繰り下げることができるため利便性が大きく向上する。また山形新幹線と併結する「やまびこ」は仙台行きという原則からして「やまびこ51号」が仙台で系統分割してもおかしくない。
また上り列車では仙台6時07分発「やまびこ202号」東京行きおよび仙台6時25分発「やまびこ204号」東京行きを考える必要があるが、「やまびこ202号」は新白河以外全駅停車、「やまびこ204号」は白石蔵王以外全駅停車とほとんど各駅に停車する。このため300km/h対応にしても3分程度しか所要時間短縮が期待できない。
しかも「やまびこ」は2023年時点では多くが10両中自由席は5両なところ、「やまびこ202号」は10両中6両、「やまびこ204号」は17両中12両も自由席があるのである。しかも両列車とも宇都宮から先全駅停車であることを考えても、朝の通勤新幹線を仙台始発に伸ばしたようなものと言ってもいいだろう。このため先述した「やまびこ」新幹線特急料金を「はやぶさ」と同等に値上げする場合、「なすの」に格下げして料金を据え置き自由席設定を残す可能性が高い。
ただ、この「やまびこ202号」と「やまびこ204号」を自由席存続のために「なすの」に格下げしたとして、運転速度を引き上げて仙台発時刻を繰り下げることは駅営業時間短縮としては有用である。このため一部の「なすの」でもしれっと300km/h運転を行って初列車の繰り下げを行うのではないだろうか。
もし「やまびこ202号」と「やまびこ204号」をE5系専用300km/h対応時刻で運転するとなった場合、所要時間を3分程度短縮できる見込みなので仙台6時07分発と6時25分発から6時10分発と6時28分発に繰り下がってもおかしくない。これによりこれらの列車に接続するJR各列車や仙台市地下鉄で初電の繰り下げを3分~10分程度行うことができる。
また「なすの」もしれっと300km/h運転による所要時間短縮ができるというのであれば、郡山6時13分発「なすの258号」東京行き初列車も郡山6時14分発に繰り下げてもおかしくはないだろう。
今回の2024年3月ダイヤ改正は山形新幹線用新型車両E8系が運転を開始し北陸新幹線が敦賀まで延伸するダイヤ改正である。が、東北新幹線「やまびこ」でもかなり大掛かりなダイヤ改正となる見込みだ。
7. 結び
今回の2024年3月東北新幹線ダイヤ改正では、E5系の追加投入により盛岡発着の「やまびこ」が臨時列車を含めすべてE5系での運転となる見込みのほか、新型車両E8系の運転開始により従来の「やまびこ」の半数程度で300km/h運転を開始し特急料金を値上げする見込みだ。
今後E5系・E8系の投入で2027年までに全列車が300km/h以上対応となる見込みの東北新幹線で今後どのようなダイヤ改正を実施していくのか、見守ってゆきたい。
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