国土交通省は2024年8月7日、プレスリリースにて北陸新幹線新大阪駅延伸に関してルート案を公表した。今回はこれから京都市内新駅とそれに接続する各線のダイヤ改正について予測していく。
1. 北陸新幹線新大阪延伸は2050年以降へ!
今回の2050年ごろ北陸新幹線新大阪延伸では、小浜京都ルートで建設を行い京都市内に駅を設置する。
敦賀を出ると小浜市内(JR小浜線東小浜駅付近)、京都市内、京田辺市内(JR学研都市線松井山手駅付近)、新大阪駅に駅を設置する。山岳や大都市を通ることからほとんどがトンネルとなっている。このうち京都市内と新大阪駅は全列車停車が見込まれる。設計最高速度は260km/hで、営業運転も260km/hで行うだろう。
北陸新幹線が新大阪まで延伸すれば新大阪~金沢間を約1時間20分、新大阪~富山間を約1時間40分で結ぶほか、新大阪~長野間も約2時間30分で結ぶようになる見込みだ。
国土交通省の公表したルート図概要は以下の通り。
工事認可は2026年を見込んでおり、そこから建設に25年はかかることを踏まえると、北陸新幹線の新大阪延伸は2050年以降となる見込みだ。おそい。遅すぎる。
2. 北陸新幹線新大阪延伸で京都市内に駅設置へ!
今回の2050年ごろ北陸新幹線新大阪延伸では、京都市内に駅を設置する。
ただ京都市内では駅設置に関し、京都駅東西案、京都駅南北案、桂川駅案の3案が出てきている。このうち京都駅案は東海道新幹線やJR西日本各線、地下鉄烏丸線や近鉄京都線の乗り入れる京都駅に乗り入れるが、桂川駅案はそこからJR京都線で2駅大阪寄りの地点に駅を設置するものである。この中で一番有最後に出てきたのは桂川案である。
詳細は以下の通り。
そもそも京都市内3案を提示しているのに新大阪駅の完成工期25年を入れる必要はあるのか?3案を比較したいだけであれば新大阪駅の工期完了なんて書く必要がないのだ。にもかかわらず書いているということは、京都駅南北案の工期20年のメリットをかき消してほかの案でも構わないということを明示したいにほかならない。
また京都駅への接続時間も数分程度しか変わらないことから桂川駅案を暗に推しているのがわかる。というかむしろ桂川駅案にするために京都駅2案を書いてみて比較してデメリットがあまり目立たないように見せている(後述するように桂川駅案はいいことばかりなのでデメリットがそもそもほとんどない)。
京都市としても桂川駅案にすれば北陸新幹線京都新駅周辺を新市街地として再開発することができるほか、市中心部への移動に当たって赤字の市営地下鉄のインフラ増強をする必要がないのでその分の開発費を新駅周辺の開発費に充てることができる。もちろんその分京都市は固定資産税の増収を図ることまでできる。京都市としては桂川駅に北陸新幹線新駅を設置することにメリットしかない。
しかも3案の中で一番事業費が安くつため国や京都府の建設費負担が小さくなるほか、一番新大阪と福井・金沢・富山を最短経路で結ぶことになるから、新大阪駅利用者にとっても所要時間が一番少なくて済むというメリットまである。
そうなると北陸新幹線京都市内新駅は桂川駅案で内定していると言っても過言ではないだろう。
なお桂川駅は北陸新幹線が乗り入れた暁には新京都駅に改称するだろう。
3. 北陸新幹線京都新駅への接続交通はどうなるのか?
今回の2050年ごろ北陸新幹線新大阪延伸では京都新駅をJR京都線桂川駅至近に設置することがほぼ内定しているが、接続交通はどうなっているのだろうか。
そもそも北陸新幹線京都新駅になるであろう桂川駅にはJR京都線が乗り入れているし、400mほど西側に阪急京都線洛西口駅もある。既存路線だけで2路線利用可能な好立地だ。
北陸新幹線に使われているW7系新幹線の定員は924人であるから、満席乗車でその3割が京都で降りると仮定しても1列車あたり最大277人しか降りない。まあ2050年以降の開業なので新型車両に置き換わっている可能性は高いが、最高275km/h対応の同性能の車両の可能性が濃厚のため座席数も大して変わらないだろう。
しかも新幹線からそれぞれの目的地へ向かうには電車だけでなくバスやタクシー、親族の迎えを含む自家用車や会社の迎えの社用車も含むから、このうち3割以上は新幹線を降りた後そこらへんの電車に乗り換えない。もし下車客の7割が乗り換えるとしても北陸新幹線1列車あたり194人程度しか乗り換えない。
さらに先述したように北陸新幹線京都新駅に接続するのはJR京都線桂川駅のほか、阪急京都線洛西口駅もある。乗り換える電車は1つではないので分散するし、両線とも大阪方面と京都方面に分散するので194人すべてが同じ列車に乗るはずがない。偏りがあるとしてもそれぞれの方面に20人~134人程度しかならない。
そもそも電車は1両につき約50席を用意しているため1列車あたり3両分空いていれば問題なく座れるが、JR京都線は桂川に停車する普通電車は昼間6両編成以上で空いているし、阪急京都線も洛西口に停車する普通電車は7両編成以上でガラガラである。驚くほどに席が空いているのである。
北陸新幹線もたかだか毎時3本しか運転しないので北陸新幹線2本分からJR京都線や阪急京都線に接続する心配もない。そうなるとJR京都線桂川駅や阪急京都線洛西口駅に必要な輸送力はすでにあるし、これ以上列車を増停車する必要は1ミリもない。
またそもそも京都駅周辺は新市街であって、そもそも京都市の中心地は四条烏丸や四条河原町である。
京都駅から四条烏丸に向かうには京都市地下鉄烏丸線に乗って四条駅下車、2駅4分220円かかる。
一方洛西口駅からなら阪急京都線に乗って烏丸駅下車、5駅10分200円で着いてしまう。
しかも京都市地下鉄烏丸線は混んでいるが、阪急京都線普通電車はガラガラである、昼間は京都市地下鉄烏丸線が8分~9分間隔なのに対し阪急京都線普通は10分間隔なのでさほど変わりはない。
そうなると北陸新幹線京都新駅を桂川駅周辺に設置した場合、ガラガラの普通電車で安く京都市中心部の四条烏丸・四条河原町に行くことができるのだ!
しかも京都市としても北陸新幹線京都新駅周辺を再開発することができるほか、市中心部への移動に当たって赤字の市営地下鉄のインフラ増強をする必要がないのでその分の開発費を新駅周辺の開発費に充てることができる。一方で阪急電車の乗客が増えるので民業を栄えることができる。北陸新幹線京都新駅を京都駅周辺ではなく桂川駅周辺に設置することはメリットが大きいのだ。
またもし万が一京都新駅~新大阪間の開業が遅れて京都新駅暫定開業となった場合でもJR京都線大阪~京都新駅間に683系新幹線リレー号を運転すれば大阪方面への輸送も解決できるので問題はない。
桂川駅案にはメリットが多いことから北陸新幹線京都新駅はJR京都線桂川駅至近の場所となるだろう。
4. 北陸新幹線京都新駅のデメリットはあるのか?
では今回の北陸新幹線京都新駅が桂川駅至近に設置するとして、デメリットはあるのだろうか。
先述した通り京都駅と比べて乗り入れる路線が少なくはなる。ただし京都市中心地へのアクセスは保っているどころか一部で向上しているため京都市民からしたらそこまで問題ではない。
また京都駅を始発とする近鉄京都線やJR奈良線奈良方面へは京都新駅ではなく松井山手乗換JR学研都市線利用になるのではないか。そもそも北陸から奈良に行く利用者数は1日何人いるのかということを考えれば松井山手乗換で既存の電車に乗せても十分乗せ切れるので何ら問題はない。
そうなると桂川駅案の唯一のデメリットは、北陸と名古屋方面への乗り継ぎに京都駅を利用しにくくなること。2024年時点で北陸から名古屋方面へは敦賀乗り換え特急「しらさぎ」利用となっている。が、そもそも特急「しらさぎ」の運転区間の大半は東海道新幹線と被っているしもし北陸新幹線が京都駅に乗り入れるようであれば京都駅で東海道新幹線に乗り換えて名古屋へ行くことができる。しかも京都~名古屋間は約35分しかかからないし東海道新幹線「のぞみ」はもはや285km/hで走る通勤電車であることからおおむね10分待てば次の「のぞみ」が来るので利便性が高すぎるのである。
北陸新幹線延伸に伴い金沢~京都間は1時間39分から55分程度にまで短縮することから、金沢~名古屋間は京都乗換で乗り継ぎ時間15分を考慮しても1時間45分で到達できる。現状金沢~名古屋間が2時間09分(米原~名古屋間東海道新幹線利用)かかっていることを踏まえると25分程度の所要時間短縮になるのだ。
ただもし北陸新幹線京都新駅を桂川駅に設定すると京都府内で東海道新幹線に直接乗り換えできなくなる。もっとも新大阪で乗り換えられるが、京都~新大阪間は15分かかるし往復30分かかるため金沢~名古屋間の所要時間は2時間15分程度と現状とあまり変わらない。また桂川~京都間JR京都線連絡の場合もやはり北陸新幹線を降りてから東海道新幹線に乗るまでに30分~40分程度かかることから2時間15分程度かかる。
とはいえあくまで北陸新幹線敦賀乗り換え特急「しらさぎ」で名古屋まで乗車すると金沢~名古屋間は2時間32分かかるため、特急「しらさぎ」は完全廃止しそうではあるが。
6. 結び
今回の2050年北陸新幹線新大阪延伸による京都新駅桂川駅至近地への設置によるJR京都線・阪急京都線ダイヤ改正では、北陸新幹線新駅設置をしたところで従来の普通電車で十分運びきれれるため従来通りの運転本数での対応となるだろう。
今後JR西日本や阪急電車でどのようなダイヤ改正を実施するのか、見守ってゆきたい。
関連情報:北陸新幹線(敦賀・新大阪間)詳細駅位置・ルート図(案)ご説明資料 – 国土交通省
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