新線開業も計画変更で混雑緩和ならず 香港港鉄MTR屯馬線延伸に伴うダイヤ改正(2020年2月14日)

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港鉄MTRは2020年1月17日、プレスリリースにて2月14日に馬鞍山線を延伸し屯馬線に改称すると公表した( 屯馬綫一期於2020年2月14日正式通車 )。今回はこれについて見ていく。

1. 路線延伸も部分開業で効果は限定的へ

今回の2020年2月14日港鉄MTRダイヤ改正では、馬鞍山線を延伸し屯馬線に改称したことに伴いダイヤ改正を行った。

今回開業したのは啓徳~大囲間の3駅間、5.5kmとなっている。これにより九龍エリアから香港特別行政区で人口が最大の沙田区へのアクセスが東鉄線のみから屯馬線と合わせた2本体制に増えることとなった。

東鉄線から大囲で乗り換えて鑽石山に行くのなら分かるのだが、コマーシャルのようにそこからさらに観塘線に乗り換えるなんて、乗り換え回数が1回増えるしその分待ち時間も増えるのでわざわざすると思えない。今回の屯馬線開業により東鉄線が多少空くようになるはずではあるが、対象は馬鞍山線沿線から九龍半島東側のみの利用であるため効果は限定的だろう。

また顕徑は東鉄線のすぐ横につくられたが、ホームがあるのは馬鞍山線のみで東鉄線は引き続き通過である。東鉄線の方が遥かに運転本数が多いので需要の少ない顕徑に停める必要はないと判断されたようだ。

そもそも本来であれば2019年末に馬鞍山線を紅磡まで延伸し西鉄線と直通して屯馬線として一体運営を行う予定であったが、12月までの開業期限から1か月半も遅れた上に啓徳までしか開業せず、西鉄線と直通運転を行えない状態となってしまった。

なぜ部分先行開業を行ったかと言うと、何文田と紅磡の整備が大幅に遅れてしまったが少しでも東鉄線の混雑分散を図り現在のイギリス製や川崎重工製の12両編成から現代ロテム製9両編成に置き換えたかったために鑽石山での接続だけでも早く図りたかったのだろう(案の定空気輸送ではあるが)。ちなみに出来上がっている2駅先の土瓜湾まで列車を運行しようとすると10分間隔でしか運転できなくなるということだ。需要見込めないんだし大囲折返しと合わせれば旧馬鞍山線区間の輸送量は保てるので十分だと思うのだが。

なお、大囲以南では顕徑発着の運賃は大囲発着の運賃と原則同額となっている。唯一の例外が顕徑から隣駅の鑽石山までの運賃は9.5香港ドルの特定運賃を敷いている。海を渡るわけでもないのに隣駅が10香港ドルになるのは抵抗があったようだ。

そして香港鉄路の複雑怪奇な運賃制度により、今回の開業で東鉄線及び屯馬線大囲以北の各駅及び観塘線鑽石山以東の各駅では最短経路が短くなるのだが、既設駅間の運賃は0.1香港ドルたりとも変わらない。

なお屯馬線の全線開業による西鉄線との一体運行化は2021年9月までに2年程度繰り下がった。東鉄線の金鐘乗り入れ(香港島上陸)が2021年末までに行われる予定であったが、屯馬線の工事が余りに送れているたため2022年度目標に繰り下がることとなった。




使用車両は既存の4両編成及び今回の延伸に向けて増備した8両編成を用いる。運転間隔は平日朝ラッシュ時は全線約3分30秒間隔、平日夕ラッシュ時は全線約4分間隔、平日・土休日昼間は約6分30秒~8分間隔での運転となっている。

なお初電は北行き(啓徳発烏渓沙行き)が啓徳6時12分発、南行き(烏渓沙発啓徳行き)は烏渓沙5時38分発となっている。南行きの初電は大囲行き初電をそのまま延長したものだが、北行き初電はこれまでの初電を延ばしたものではなく、大囲から先は30分ほど早い初電がある。この初電は東鉄線の初電から乗り継ぐことができてしまう。

また終電は北行き(啓徳発烏渓沙行き)が啓徳24時44分発、南行き(烏渓沙発啓徳行き)は烏渓沙24時19分発となっている。24時台の始発の終電設定と考えると遅くまで設定しているような印象を受けるが、この全区間運転の終電の後大囲25時05分発烏渓沙行きの終電を設定しており、東鉄線羅湖・上水からの最終列車と接続を引き続き図っている。


2. 結び

今回の2020年2月14日港鉄MTRダイヤ改正では、屯馬線部分開業を行った。

ただ本来の計画より遅れていることもあり、当初の計画であった東鉄線の混雑緩和及び減車を行えていない。

今後港鉄MTRでどのようなダイヤ改正を実施するのか、見守ってゆきたい。

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