2024年8月8日の日向灘地震とそれに関して南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)を発報しており、一部の鉄道会社で減速運転や列車の運休を行っている。今回はこれについて見ていく。
1. そもそも南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)とは
今回の南海トラフ地震臨時情報とは、気象庁の基準を見るに南海トラフ海域でマグニチュード7以上の地震が発生した際に機械的に行っているだけのものである。その中でも巨大地震警戒と巨大地震注意の2つに分けており、巨大地震注意は地震リスクの低いグループである(というかマグニチュード8未満の場合地震可能性の高い巨大地震警戒にならない)。
このため今後の余震については他地域で起きた地震による余震可能性とほとんど変わらない。
よってテレビなど各種報道機関では平常通りの生活を行うよう報じている。
もっとも地震対策のため減速運転を行うのはわかるが、鉄道会社の反応を見るにお盆のこの時期にして過剰な列車運休を行っている。そんな過剰に市民生活を脅かす列車運休について今回は見ていこう。
2. 2024年8月8日以降の運休列車一覧
2024年8月8日以降1週間程度に南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)を理由に運休する列車は以下の通り。
- 身延線特急「ふじかわ」(甲府～静岡間)全列車 ※普通列車は通常運行
- 飯田線特急「伊那路」(豊橋～飯田間)全列車 ※普通列車は通常運行
- 紀勢本線特急「南紀」(名古屋～紀伊勝浦間)全列車 ※普通列車は一部減速運行
- 近鉄特急(五十鈴川～賢島間)運転区間短縮 ※普通列車は通常運行
- 紀勢本線特急「くろしお」(和歌山～新宮間)全列車 ※普通列車は御坊～新宮間一部減速運行
- 土佐くろしお鉄道ごめん・なはり線(安芸～奈半利間)全列車 普通列車も運転見合わせ
- 日豊本線特急「にちりん」(佐伯～宮崎空港間)全列車 普通列車も運転見合わせ
- 日豊本線特急「ひゅうが」(延岡～宮崎空港間)全列車 普通列車も運転見合わせ
- 日豊本線特急「きりしま」(宮崎～鹿児島中央間)全列車 普通列車も運転見合わせ
- 寝台特急「サンライズ瀬戸」「サンライズ出雲」(東京～高松・出雲市間)全列車 ※普通列車は一部減速運行
このほか近畿日本鉄道では近鉄名古屋～大阪難波間運転の名阪甲特急を停車駅を増やすことで表定速度を落とす。
3. 2024年8月8日以降減速運転を行う区間一覧
2024年8月8日以降1週間程度に南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)を理由に減速運転を行う区間は以下の通り。
- 東海道新幹線三島～三河安城間(220km/h程度で運転し20分～30分程度遅延)
- 東海道線大磯～熱海間
- 伊東線熱海～伊東間
- 伊豆急行線伊東～伊豆急下田間
- 中央本線大月～茅野間
- 紀勢本線御坊～新宮間
- 牟岐線由岐～阿波海南間
- 土讃線吾桑～土佐久礼間
- ごめん・なはり線御免～安芸間
またこれらの区間と直通する列車も遅れる見込みだ。
4. なぜ特急列車の運転見合わせを行うのか
今回の南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)では運転区間見合わせエリアよりも広い範囲で特急列車を中心に運休している。
そもそも東海・東南海・南海トラフ地震臨時情報では、一番レベルの高い巨大地震警戒では各種運転見合わせを行う区間を事前に決めている。ただ、ほかの地震と余震可能性が同程度レベルの巨大地震注意では減速運転を行うとし、列車の運休に触れられてはいない。
このため減速運転は今回の南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)におけるマニュアル通りの正しい対策なのだが、列車運休はマニュアルにない対応となる。
もっともそもそも線路設備もやられて普通列車も運転できないのであれば運転見合わせにせざるを得ないし(今回の場合宮崎県内)、東海道新幹線のように高速で走るから運休にしたいのならわかるが、今回の運休列車は在来線特急列車ばかりでそのほとんどが運転速度100km/hに満たないのである。しかもその多くが近年減便・減車を図っている特急列車であり、不採算の列車ばかりだったりする。普通列車が通常運転している区間であればなおさらだ。
というかもし運転見合わせが最大の対策なら、一番危ない東海道新幹線が動いているのはおかしくないか？新幹線は1列車あたりの運べる人数が多く、黒字になりやすいし実際東海道新幹線はJR東海の収入源の9割を締めている。そう考えるとカネになる列車とカネにならない列車を選別し、カネになる列車は運転、特急列車のうちカネにならない列車を運休している節が見えるのである。
つまり地震を口実に走らせるだけ赤字を増やすだけの列車を積極的に運休したいのではないか。
(2024.8.14追加)なお列車減速区間であっても8月9日時点と8月11日時点で運転速度が上がっており、遅延が少なくなってきている。
そう考えると鉄道各社も減速運転についてはもうあまり必要ないと思っているのだろう。
ただそれでも在来線特急列車を運休するということは、やはりカネにならない列車の運休を目論んでいると言わざるを得ないだろう。
6. 結び
今回の南海トラフ地震臨時情報では、鉄道各社で減速運転を行うほか、鉄道会社の経営的判断で特急列車の運休を図ることとした。
今後どのように列車を運転していくのか注視していきたい。
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