JR東海は毎年3月にダイヤ改正を実施している。今回はこれから2022年3月JR東海ダイヤ改正について予測していく。
1. 赤字で在来線の減便か?
今回の2022年3月以降実施予定のJR東海ダイヤ改正では、在来線で減便を図る可能性がある。
もっともこのご時世で2020年から利用客が減り、特に長距離移動客が大幅に減ったのは言うまでもない。ただその中でもJR東海は2020年第3四半期単独ではかろうじて黒字を保つなど、かなりの努力を行っている。
また今後も先行き不透明のため新幹線回数券のうち普通車指定席用は2022年3月までに全廃するなど増収策を図っている。
ただJR東海は2021年度も2年連続赤字を見込むなど、先行きはあまりよろしくはない。もっともJR東海は例年在来線のダイヤ改正には消極的ではあるが、収益改善のために今回の2022年3月ダイヤ改正で在来線の減便を図るのではないだろうか?
もし減便を図るとするなれば、このご時世で利用が減った列車よりも、2019年以前から利用が少なかったけれどもこれまでは東海道新幹線の莫大な利益を内部補助することによって運転できていた列車を削減する可能性が高い。特にそもそも運転本数の多い区間(昼間は毎時3本以上)の区間での減便を行うと、利便性の低下が少ない減便ができるため、積極的に行うのではないだろうか。
それではJR東海で2022年3月に東海道新幹線以外の路線でどのようなダイヤ改正を実施するのか、予測していこう。
2. 飯田線豊橋~豊川間で減便か
今回の2022年3月以降実施予定のJR東海ダイヤ改正では、飯田線で減便を図る可能性が高い。
そもそも飯田線豊橋~豊川間はほぼ終日に渡り毎時4本の列車を運転している。このうち毎時2本は船町と下地を通過としているが、これは名鉄豊川線がほぼ終日毎時4本の運転があったため、名古屋方面との競合のためだけに設定したためと言われている。つまり飯田線の毎時4本運転自体がかなりのやせ我慢なのだ。
そんな中名古屋鉄道では2021年10月30日名古屋鉄道ダイヤ改正で豊川線を昼間に限り毎時4本から毎時2本に削減するとした。競合相手の名鉄が減便するのであればJR東海もやせ我慢して昼間毎時4本の運転を行う必要はない。つまり飯田線豊橋~豊川間は今回のダイヤ改正で減便し、昼間毎時2本程度の運転になる可能性が高そうだ。
3. 中央線でも削減か
今回の2022年3月以降実施予定のJR東海ダイヤ改正では、中央線でも削減する可能性がある。
そもそもJR東海の中央線は名古屋~中津川間ではほぼ競合がなく、かつては着席保証列車「セントラルライナー」を運転していたほどだ。しかしこのご時世で利用が減っているほか、お隣の名鉄瀬戸線は2021年5月22日名古屋鉄道ダイヤ改正で昼間の急行毎時2本を減便し廃止、2021年10月30日名古屋鉄道ダイヤ改正で準急を普通に格下げする程だ。
そんななかほぼ競合路線のないJR中央線が昼間に毎時8本を運転し続ける意味は薄い。そう考えると平日夕ラッシュ時は毎時9本の運転であること、地域輸送性を考えても昼間毎時6本にまで減便する可能性は十分考えられる。
このほか多治見~瑞浪間は昼間毎時3本から毎時2本に減便する可能性は少なからずあるが、瑞浪~中津川間は昼間毎時2本からの削減は難しいのではないだろうか。これは今のことろ2027年に開業するとしているリニア中央新幹線が美乃坂本に隣接して駅を設置予定であり、中央線沿線からの東京への新たなアクセスルートとして機能することから多治見~美乃坂本間で利用の増加が見込めるためである。このことから瑞浪始発終着列車の減便はあり得るが、今後利用が伸びる見込みがある中津川始発終着列車の減便は考えにくそうだ。
4. 静岡県内でも減便か
今回の2022年3月以降実施予定のJR東海ダイヤ改正では、静岡県内で減便を図る可能性がある。
もっとも静岡市周辺では昼間毎時6本のほぼ均等かつ高頻度運転を行っており、三島~島田間、興津~浜松間の2系統に分かれている。これをそれおれ分けるとなるとかなり大掛かりなダイヤ開始が必要となることから、新型車両315系4両固定編成が運転開始するまで大きな変化はなさそうだ。
ただ昼間に均等な運転間隔になっていない区間では減便を図る可能性はある。
ますは三島~沼津間。前後の区間では昼間毎時3本運転であるが、三島~沼津間は昼間も平日夕ラッシュ時と同等の毎時5本を運転している。もっとも沼津から三島連絡老化移動新幹線利用を想定しているものと思われるが、そのために三島~沼津間の1駅運転列車を設定するのは費用が掛かる。このため今回のダイヤ改正で三島~沼津間は周辺区間と同じ昼間毎時3本にまでは削減しないにしても、昼間毎時5本から昼間毎時4本程度にまで削減する可能性はあるのではないだろうか?
次に掛川~浜松間。こちらも平日夕ラッシュ時は毎時5本の運転があるが、昼間は静岡・興津方面へ直通する3両編成ほぼ20分間隔の毎時3本の他に、毎時1本の4両編成を運転している。この毎時1本の4両編成の存在が均等な運転間隔を乱していることから、利用もあまりない。このためこの掛川~浜松間運転の4両編成毎時1本を10時~15時ごろの5往復ないし6往復を削減する可能性は高そうだ。
このほか身延線富士~西富士宮間は、10時台~12時台は普通列車は毎時2本の運転だが13時以降は平日夕ラッシュ時を含め毎時3本の運転となっている。ただ高校生の下校時間帯でもない13時台・14時台は利用が少ないはずなので、毎時3本から10~12時台並みの毎時2本に削減し2往復削減する可能性はありそうだ。
また静岡県内では深夜時間帯の列車削減の可能性もある。東海道線では金曜・土曜に限り三島23時47分発快速静岡行き最終列車を運転している。この列車は東海道新幹線東京22時48分発「こだま815号」三島行き最終から連絡している列車であり、金曜・土曜は静岡への最終連絡列車となっている。この列車は深夜に発着していることからいつ廃止になってもおかしくはなさそうだ。
5. 愛知県内東海道線は安泰か
今回の2022年3月以降実施予定のJR東海ダイヤ改正では、愛知県内の東海道線ではあまり減便は行わないのではないだろうか。
これは名古屋都市圏でのJR東海の稼ぎ頭の1つかつ名鉄名古屋本線と競合しているためで、昼間は減車はあり得るかもしれないが減便してしまうと大きく名鉄に旅客を奪われかねないためである。
また平日夕ラッシュ時の西行き(豊橋方面)は特別快速と新快速を運転し、武豊線方面は区間快速を運転することで乗客を分離するようにしている。もし特別快速を快速に格下げして大府に停車するようになり武豊線方面は乗り換え必須としてしまうと、名鉄河和線との競合も怪しくなる。そう考えると平日夕ラッシュ時の減便も考えにくそうだ。
また大垣~米原間は朝夕は名古屋方面と直通し8両編成を毎時2本、昼間は大垣~米原間の運転を4両編成毎時2本で行っているが、JR西日本琵琶湖線の米原~長浜間の昼間の毎時2本から毎時1本への減便は可能性はゼロではないが低いのではないだろうか。そう考えると、朝夕の大垣での系統分割による大垣~米原間の減車はあり得るかもしれないが、昼間を毎時1本に減らすなどの大きな減便は考えにくそうだ。
このほか関西線も空席が目立っているのだが、2009年3月14日JR東海ダイヤ改正より設定している快速電車毎時1本を普通に格下げしてしまうと近鉄名古屋線急行との競合に大きく劣勢となりかねない。そう考えると関西線の昼間の快速電車の減便はありえなくはないが、可能性は飯田線や中央線の減便と比べると低いのではないだろうか。
また名鉄各務原線が多くの区間で昼間毎時4本運転を維持することから、競合する高山本線は岐阜~美濃太田間は昼間毎時2本からの減便はなさそうだ。ただし太多線は減便の可能性は少なからずあるが、毎時2本からの減便は利便性を大きく損なうこととJR東海自体周辺他社と比べて比較的余裕があることを考えると減便は行っても小規模にはなりそうだ。
6. 結び
今回の2022年3月以降実施予定のJR東海ダイヤ改正では、収支改善を図るために在来線の削減を図る可能性がありそうだ。
今後JR東海でどのようなダイヤ改正を実施するのか、見守ってゆきたい。
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