JR東日本盛岡支社は2022年5月20日、プレスリリースにて2022年7月~9月に運転する夏の臨時列車を公表した( 夏の臨時列車のお知らせ )。今回はこのうち大湊線の臨時列車について見ていく。
1. 大湊線にキハE130系臨時快速設定へ!
今回の2022年8月JR東日本盛岡支社臨時列車運転では、大湊線で臨時快速列車を運転する。
大湊線では通常キハ100系の2両編成または1両単独で運転しているが、今回は定期運用では大湊線で使用しないキハ130系500番台を使用することとなった。
キハ130系500番台2018年3月17日JR東日本ダイヤ改正にて八戸線用に投入した車両であるが、ときおり代走で大湊線に入線していた。もっとも先述したように大湊線では主にキハ100系を使用しているが、車両数が少なくキハ130系投入以前からキハ40系列での代走もときおりあった。このキハ40系列は主に八戸線用車両であったことを考えると、ただ大湊線代走用の八戸線用車両が車両置き換えによってキハ40系列からキハ130系に変わっただけである。
キハ130系500番台は八戸線にて全列車2両で運転し朝は7運用あるが、夕方は4運用しかないため3運用6両は朝だけ動いたらあとは車庫で寝ているだけである。今回の大湊線臨時快速列車は八戸線用キハE130系を使用するが、12時以降に出発するため昼寝している3運用のうち1つを使えば済んでしまう。このため大湊線の代走運用に使いやすいのだ。
その後2021年12月29日・12月30日・2022年1月2日にキハE130系2両編成による快速ふるさと大湊を八戸~大湊間で運転した。時刻は八戸13時25分発大湊行きと大湊15時59分発八戸行きの1往復となっている。東京10時20分発「はやぶさ17号」新青森行きから連絡できることから、東京・仙台から下北半島への連絡に重宝する列車となっている。
今回運転するのは2022年8月11日~8月14日に運転する快速おおみなとで、使用車両は以前と同じキハ130系を使用する。運転時刻は2021年12月~2022年1月の際と比べて八戸13時34分発大湊行きに繰り下げて運行する。なお上りは大湊15時59分発八戸行きのまま変わりない。
もっとも大湊線には青い森鉄道線八戸~大湊間を結ぶ快速しもきたを1日3往復運転しているため、毎日東北新幹線と乗り換え1回で連絡することは可能だ。ただしうまく東京からの行楽・帰省利用などでうまく利用できる時間の列車がない。もっとも大湊線からは野辺地で青い森鉄道に乗り継げば八戸に行けるが、多客期は青い森鉄道線内でさばききれない。
このため今回のような臨時快速おおみなとを設定することとなった。が、8月11日~8月14日の4日間だけでは多客期利用にしか向かないし、帰省目的の人なら調べ上げてこの列車を使えるだろうが行楽目的の人はまず使いにくいだろう。
このほか大湊線では7月2日・7月3日・7月23日・7月24日・9月10日・9月11日にHB-E300系による全車指定席快速リゾートあすなろ下北を運転する。が、全車指定席であることを考えると列車に乗ること自体が観光と化しているようだ。
せめて今回の快速おおみなとのような列車を毎土休日に運転できれば下北半島の観光利用にも使ってもらいやすくなるのだと思うが、そもそも大湊線沿線は人口が10万人もいないし2019年度の輸送密度も533人/日・往復しかいない。
もっとも廃止優先可能性が一番高い500人/日・往復は辛うじて上回ってはいるので廃止ではなく只見線会津川口~只見間のような設備を県が保有する上下分離を行う可能性は十分ありそうだ。
また、万が一廃止になっても下北交通がかつて運行していた東北新幹線七戸十和田駅~むつターミナル間の特急バスを運行再開すれば下北半島と東北新幹線を結ぶ交通機関は確保できるので、大湊線の存続は必要不可欠とは言えないのではないだろうか。
2. 結び
今回の2022年8月JR東日本盛岡支社臨時列車運転では、大湊線にキハE130系使用の臨時快速おおみなとを設定し、帰省の利便性を図ることとなった。
ただ、大湊線自体が存続の危機に立っており、今後の下北半島の公共交通の大幅な再編も必要となりかねない。
今後大湊線でどのような臨時列車を設定するのか、見守ってゆきたい。
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