JR東日本は2022年8月12日、プレスリリースにて8月12日以降の奥羽本線の運行状況について公表した( JR秋田支社管内における列車運行計画について )。今回はこれについて見ていく。
1. 部分復旧に伴い孤立ながらも運転再開へ!
今回の2022年8月JR東日本奥羽本線臨時ダイヤ運転では、断続的な大雨により不通区間がたびたび発生している奥羽本線で一部区間で運転再開を行うにあたり、臨時ダイヤを組むこととなった。
8月12日の時点で青森県内の奥羽本線で運転再開をしているのは弘前〜浪岡間と新青森〜青森間である。逆を言えば大館〜弘前間や浪岡〜津軽新城間は運転再開の目処が立っていない。また奥羽本線には新青森アクセス目的の津軽新城〜青森間運転の普通電車を多数設定しているが、津軽新城にすら乗り入れていないことを考えると津軽新城〜新青森間も運転ができない状況なのだろう。
このため奥羽本線特急「つがる」は運転を見合わせている。
それでは各区間でどのような臨時ダイヤで運転しているのか、見ていこう。
2. 孤立ながらも電車運転再開へ!
今回の2022年8月JR東日本奥羽本線臨時ダイヤ運転では、弘前~浪岡間の孤立区間で運転を再開する。
そとそも大館〜弘前間や浪岡〜新青森間で不通な中、弘前〜浪岡間だけ運転再開を行った。
1日10往復の運転で、朝夕は1時間間隔、昼間は2時間間隔での運転となっている。通常ダイヤでは朝夕は概ね毎時2本、昼間は毎時1本の1日22往復の運転があるが、不通により弘前から青森まで向かえないため利用が限られるのは間違いなく、10往復の運転で足りてしまうしそれしか運転しないのは致し方ないだろう。
なお浪岡発着の10往復は全て701系電車による運転となる。つまり、孤立区間の復旧のためだけに電化設備を稼働させるのである。
なお五能線でも8月13日より五所川原〜川部〜弘前間で運転を再開したため、GV-E400形気動車の運用を奥羽本線向けには使えなかったらしい。
3. 新青森アクセスのために臨時ダイヤで運転再開へ!!
今回の2022年8月JR東日本奥羽本線臨時ダイヤ運転では、新青森〜青森間でも運転を再開した。
今回の臨時ダイヤでは新青森〜青森間は1日11往復の普通列車を運転する。もっともこの1駅間だけ復旧したのは東北新幹線や北海道新幹線への連絡のためである。が、新青森から先は不通のため利用が減るのは間違いなく、本来1日32往復あるところから減便するのは致し方ない。
ただ、今回の臨時ダイヤでは奥羽本線新青森〜青森間では1日11往復しか運転がないのに対し、北海道新幹線は1日13往復、東北新幹線のうち東京発着の定期列車は1日16往復ある。つまり、新幹線に接続できるだけの運転本数を設定できていないのだ。
しかも新青森〜青森間のシャトル列車は今回の臨時ダイヤで7時24分〜19時56分までしか運転しない。このことから、東北新幹線や北海道新幹線の初列車や終列車に接続する奥羽本線の列車がないのである。まあ、青森市民が新青森駅まで向かう主な利用手段は自家用車なので地元の人にとっては影響は小さいのかもしれないが。
また新青森~青森間では従来の電車ではなく気動車で運転することから、GV-E400形気動車を使用するようだ。このことから電化設備は使わないつもりらしい。
青森県内では2021年3月13日JR東日本ダイヤ改正までにキハ40系列の普通列車を全てをGV-E400形気動車に置き換えたが、あくまでこれは主に非電化区間用で、電化済みの奥羽本線では依然701系電車を広く使っている。そんな中気動車を使うことになったということは、不通となっている津軽線蟹田~三厩間用の車両を使用するのだろう。
ただ、普段電車を多く使用する奥羽本線で気動車のみで臨時ダイヤを設定するとなると、今後最低2両編成からの701系の置き換えの一部をGV-E400形で行ってもおかしくはないのではないだろうか。
もっとも、単線ながらも貨物列車の往来の多い日本海縦貫線を形成している奥羽本線秋田〜青森間が廃線になることはないだろう。ただ、国土交通省でローカル線の区間単位で地元合意の上で届出のみで運賃を改定し値上げできるようになれば、奥羽本線も値上げを図る可能性はありそうだ。
4. 結び
今回の2022年8月JR東日本奥羽本線臨時ダイヤ運転では、奥羽本線の部分的な運転再開に伴い普通列車を臨時ダイヤで運転再開することとなった。
ただ、JR東日本では普通列車用キハ40系列を全て置き換えたとは言え、気動車線区の廃止により線路保守費用のみならず今後の車両投入費用を抑えることができる。
今後JR東日本でどのような列車を運転していくのか、見守っていきたい。
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