JRグループでは毎年12月第3金曜日に翌年3月ダイヤ改正についてプレスリリースを公表している。今回は2019年3月の東北・上越・北陸新幹線ダイヤ改正予測について見ていく。
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1. E5系増備で盛岡発着やまびこ」のE5系統一化はあるのか
今回の2019年3月東北新幹線ダイヤ改正では、1年前の2018年3月17日ダイヤ改正と比べE5系がさらに増備される。
前回の2018年3月17日ダイヤ改正までの1年間にE5系が5編成投入されたが、今回の2019年3月ダイヤ改正までにE5系が4編成増備されることとなっている。
現在仙台以北のE2系定期運用は、下り(盛岡方面)は「はやて」1本と「やまびこ」3本、上り(東京方面)は「やまびこ」4本のみとなっており、それ以外の定期列車は全てE5系による運転となっている。この運用はE2系2運用のみで賄われており、前回のダイヤ改正の定期「はやて」の「はやぶさ」化も2運用で行われたことから、今回のダイヤ改正で仙台以北の定期列車を全てE5系に統一することは可能だ。
しかし仙台以北の定期「やまびこ」を全てE5系にすると、今度は定期「やまびこ」の全てで仙台以北320km/h運転ができるようになる。具体的には下り(盛岡方面)はパターンダイヤ時間帯の場合、一ノ関での「はやぶさ」待避から北上での「はやぶさ」待避になり所要時間が短縮されるのだが、せいぜい6分程度となりそうだ。そこで「やまびこ」にも仙台以北で加算料金を取ることにすると、JR東日本の増収が見込まれる。
ただ、仙台以北には臨時「はやて」や臨時「やまびこ」も走っているわけで、まだまだE2系での運用が残る。臨時「はやて」のE2系運用は2運用で、しかもこれらの列車は昼間は東京駅で定期「なすの」や仙台発着白石蔵王しか通過しない「やまびこ」などの運用からの折返し列車となっている。ともなると、仙台以北の東北新幹線完全E5系化は2019年3月ダイヤ改正時点では運用数が揃わず、2020年以降になりそうだ。
また、定期「やまびこ」1運用と臨時「はやて」1運用にE5系+E3系6両編成による16両編成運転があり、320km/h運転ができない。現在E5系とE3系を連結している盛岡発着「やまびこ」は、東京9時40分発定期「やまびこ45号」盛岡行きと盛岡14時07分発定期「やまびこ50号」東京行きの1往復で、そのほかに仙台発着定期「やまびこ」1往復、郡山発着定期「なすの」1往復、那須塩原発着定期「なすの」1往復にて運用されている。これをE5系10両による運転にすると、輸送力が減ってしまう。
このうち「なすの」については運転時間帯からしても減車可能と思われるが、仙台6時08分発「やまびこ201号」東京行き初列車と盛岡発着「やまびこ」については安直に減車できない。改善策としては、前後の臨時「はやぶさ」を東京〜仙台・盛岡間で定期化する、臨時「はやぶさ」を増発することなどが挙げられる。ただ盛岡14時07分発「やまびこ50号」はすでに盛岡→仙台間では前回2018年3月17日ダイヤ改正で増発された「はやぶさ22号」に、仙台→大宮間では「はやぶさ24号」に抜かれるため、混雑緩和はなされているようだ。
逆に東京9時40分発「やまびこ45号」の直前に東京9時36分発「はやぶさ11号」新函館北斗行き最速達列車が運転されているものの、この「やまびこ45号」は仙台まで抜かれないことから「はやぶさ」に乗れなかった乗客が流れ込みやすい。後続の「はやぶさ」となる東京10時04分発「はやぶさ13号」は2017年3月4日ダイヤ改正より仙台まで定期列車として運転され、新青森まで週1回程度延長運転している。ともなると、この間に「やまびこ45号」を仙台までに抜かす「はやぶさ」を設定するか、「やまびこ」を仙台行きに短縮させ仙台以北で各駅に停車する定期「はやぶさ」を増発するか「はやぶさ13号」の時刻を移さない限り、「やまびこ45号」のE3系6両編成の併結は解消されないだろう。
2. E5系増備で「はやぶさ」増発はあるのか
また、2018年3月17日ダイヤ改正で「はやぶさ」の増発が実施され、東京~仙台間では1往復が増発されたが、2019年3月ダイヤ改正でも実施されそうだ。
直近の臨時列車運転となる2018年冬の臨時列車運転では東京12時44分発「はやぶさ55号」、東京11時44分着「はやぶさ46号」、東京18時32分着「はやぶさ60号」の3本は、臨時列車でありながら東京~仙台間をほぼ毎日運転していることから、定期化されてもおかしくない。
これらのうち唯一の下り列車となる東京12時44分発「はやぶさ55号」の東京~仙台間は定期化がほぼ確定的と言えそうだ。また上り列車も東京11時44分着「はやぶさ46号」は平均週3日以上で新青森8時20分始発で運転されており、非常に運転頻度が高い。前回の2018年3月17日ダイヤ改正では、週に1回程度新青森発着として運転され東京~仙台間でほぼ毎日運転されていた「はやぶさ22号」が新青森→東京間で定期化されたことを考えると、それより多い頻度で運転されている「はやぶさ46号」が新青森→東京間で定期化される可能性は高い。これに伴い、新青森行き「はやぶさ」が増えるのか、気になるところだ。
そのほかにも、東北新幹線E5系統一後に「こまち」「つばさ」含め全列車全車指定席になる可能性はあるが、少なくとも2019年3月ダイヤ改正ではないだろう。
3. 上越新幹線E7系導入へ
次に2019年3月上越新幹線ダイヤ改正予測では、12両編成のE7系が導入される。
上越新幹線新潟駅11番線ホーム在来線平面乗り換え側が12両にしか対応していないのが、確信犯としか思えない。ともなると、12両編成のE7系が増備されれば、新潟駅で対面乗り換えできる上越新幹線「とき」と羽越本線特急「いなほ」の組み合わせが増えることになりそうだ。
上越新幹線越後湯沢以北で16両編成が入るようになったのは2012年3月17日ダイヤ改正からで、1982年11月15日の開業から30年余り経ってから実現したが、E4系が廃止される2021年3月ダイヤ改正までの約9年でピリオドを打つ予定だ。
なお、2018年11月にも上越新幹線でE2系を用いた速度向上試験を大宮~新潟間で行っているが、おそらく最高速度275km/hへの引き上げはE4系が全廃する2021年3月ダイヤ改正時になるものと思われる。そのため今回の上越新幹線ダイヤ改正はあくまで運用変更が中心で、時刻変更は白新線・羽越本線で実施される可能性が高い。
むしろ上越新幹線ではE2系10両編成と比べE7系12両編成のほうが輸送力が大きいため、2019年春以降の臨時列車運転で臨時列車が削減される可能性がある。
なお、2018年3月17日ダイヤ改正では北陸新幹線「あさま」が1往復増発されたが、次回2019年3月ダイヤ改正での増発はあまり考えられなさそうだ。
4. 結び
今回の2019年3月東北・上越・北陸新幹線ダイヤ改正予測では、東北新幹線のE5系増備と上越新幹線E7系導入に伴い、種別の格上げや臨時列車の増発などが見込まれそうだ。
2019年3月ダイヤ改正では北海道新幹線が青函トンネル内で最高速度を引き上げることに伴い所要時間短縮が見込まれるが、その影響が東北新幹線にどのような影響を与えるのか、見守ってゆきたい。
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