JR東日本は2022年8月19日、プレスリリースにて2022年10月~11月に運転する秋の臨時列車を公表した( 秋の臨時列車のお知らせ )。今回はこれについて見ていく。
1. 臨時快速を順次特急格上げへ
今回の2022年JR東日本秋の臨時列車運転では、臨時快速の特急格上げを行う。
これまでJR東日本では185系からE257系への置き換えによりホリデー快速あたみや足利大藤まつりなどの臨時快速列車を順次特急列車に格上げしてきた。
この種別格上げにより、乗車時は運賃のほか530円で済むところ、割高な特急料金を徴収できるようになる。これにもり増収を図りたいようだ。
それでは今回の2022年JR東日本秋の臨時列車運転でどのような臨時快速列車が特急に格上げするのか見ていこう。
2. 谷川岳列車が特急に格上げへ
まずは谷川岳もぐら・谷川岳ループ。485系6両編成やまどり編成からE257系5両編成に置き換わるのに伴い、快速から特急に格上げする。なお全車指定席なのは変わりはない。
こちら特急格上げに伴い、大宮〜土合間は運賃のほかに通常期530円の座席指定料金で利用できたが、今回の特急格上げに伴い指定席特急料金最大1,890円(B特急料金101〜150キロ相当)が必要となり、1,360円も値上げする。
これは2022年7月2日の運転より185系6両編成からE257系5両編成に置き換えた際に快速から特急に格上げした「谷川岳山開き」に次ぐものである。
大宮〜土合間でも144.0kmとなりB特急料金の特急列車ならまあ走ってもおかしくはないし、上野〜長野原草津口間を走る特急「草津」や上野〜水上間の臨時特急「水上」と運転区間や距離が近いことを考えると、特急として運転することにはそこまで違和感はない。むしろこれまで快速として座席指定券530円のみで乗車できた方が乗り得だったのだろう。
3. ホリデー快速鎌倉も特急に格上げへ
また今回の臨時ダイヤ運転では、ほぼ毎土日休日運転しているホリデー快速鎌倉を特急「鎌倉」に格上げする。
ホリデー快速鎌倉は使用車両をE257系5両編成から運転時刻も変えないまま快速から特急に格上げすることとなった。
そもそもホリデー快速鎌倉は2018年10月に185系6両編成からE25系5両編成に置き換わった際に6両中2両あった自由席の設定を取りやめ5両の普通車全てを指定席とし全車指定席快速となっていた。が、今回の2022年JR東日本秋の臨時列車運転より特急「鎌倉」に格上げしたことでさらなる増収を図る見込みだ。
この種別格上げで、通常期は運賃に530円足せば利用できたところ、指定席特急料金最大1,890円(B特急料金101〜150キロ相当)が必要となり、1,360円も値上げする。しかも快速列車は指定席でも通常期と200円引の閑散期しかないが、特急は200円増しの繁忙期もあるし、場合によっては400円増しの最繁忙期にも運転するかもしれない。そう考えると、最大1,760円の値上げを図ることとなる。
この緩和措置として、えきねっとでは特急「鎌倉」の特急券のみを35%割引として1,220円で発券できるようになるため、通常期であれば差額は690円で済みそうだ(なおこの緩和措置は特急「谷川もぐら」「谷川ループ」にはない)。
ただ、そもそもホリデー快速鎌倉改め特急「鎌倉」は、埼玉県と神奈川県の鎌倉を結んでいる。が、湘南新宿ラインは毎時2本が鎌倉に向かうし直通でなくても戸塚で対面乗り換えすれば良い。そうなると、よほど直通でないといけない需要は小さなお子さんを連れた親子連れがほとんどとなってしまうし、実態としてそうなりつつある。そう考えると、そもそもホリデー快速鎌倉の利用者は一般的な属性とは比率が大きく異なっており、特急「鎌倉」への格上げも限定的と言えるだろう。
これによりホリデー快速鎌倉や谷川岳もぐら・谷川岳ループを快速から特急に格上げすることとなった。
4. ひたちなか海浜公園向け臨時列車を特急で運転へ
また今回の2022年JR東日本秋の臨時列車運転では、ひたちなか海浜公園のコキア開花に合わせ、八王子、大宮、大船、蘇我から海浜公園コキア号を運転する。
これまでJR東日本では春のネモフィラの開花に合わせひたちなか海浜公園向け臨時列車を多数運転してきたが、コキア向け臨時列車を特急「ときわ」の増発のみならず4方面にまで増発するのは史上最大規模である。
このうち大宮発着列車は、2019年10月12日・10月13日に運転した快速花咲くひたち海浜公園号の特急格上げである。こちらもE653系から車両を変えていないことから、車種変更のない特急格上げとなる。
5. 結び
今回の2022年11月JR東日本臨時列車運転では、臨時快速列車を特急に格上げすることにより収益強化を図ろうとしている。
今後様々な運賃・料金政策を変えていくJR東日本でどのような臨時列車を設定するのか、見守ってゆきたい。
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