JR東日本は2020年9月3日、プレスリリースにて2021年3月のダイヤ改正で終電繰り上げを行うと公表した( ダイヤ改正における終電時刻の繰り上げなどについて )。今回はこれから2021年3月実施予定のJR東日本ダイヤ改正について見ていく。
1. 東京都市圏で終電の繰り上げ実施へ
今回の2021年3月JR東日本ダイヤ改正では、東京都市圏で最大30分程度の終電の繰り上げを行う。これにより終電は概ね24時50分~1時ごろまでの運転とする見込みだ。
そもそも東京都市圏では働き方改革により21時以降の利用がここ10年で減っていたところに新型コロナウイルス感染拡大防止のためのテレワーク推奨により通勤利用客の絶対数が減ってしまった。2重に利用客が減った結果2020年に入り深夜急行バスを含め深夜バスが相次いで縮小・廃止しており、割増運賃を取っていない鉄道の終電繰り上げもある程度は致し方ないだろう。
ただ終電繰り上げを行わなくてはならない事情はある程度分かったとしても、このプレスリリースが突っ込みどころ満載なのである。
- ホームドアを設置する時間がないって言ってるけど、2001年に新大久保で発生した人身事故が大々的に報じられたにもかかわらず10年以上ホームドア設置をしなかったのはJR東日本の怠慢ほかならないから、自業自得だよね?
- エレベーターの設置工事とか言ってるけど、ホームドアと合わせて設置したら多少のメンテナンスをしなくてはならないだろうけど保守時間は現在ほどは要らなくなるよね?
- 大型機械導入で実作業時間が減少したとしているけど、作業時間が減っても効率的に行えるから高い費用をかけてでも大型機械を買ったんだよね?効率的になったんだから保守時間を延ばす理由にはならないよね?
JR東日本にはいつも言えることなのだが、何もかもが行き当たりばったりで知性を感じられない。2019年から終電繰り上げを計画しているJR西日本や計算づくで車両形状の適正解を求めるJR東海とは大違いである。はっきり言ってSuica以来の目立った発明がないJR東日本は東京都市圏という世界最大の都市圏輸送とSuica決済手数料にあぐらをかいて怠けているのではないだろうか。
またJR東日本では今回のダイヤ改正で終電の繰り上げを行うとしているが、早朝下りや深夜上りのかつ他の列車とも接続ができないような短距離列車なんて回送にしてしまえばいい。そんな列車廃止したって20分後待てばいいだけなのだから。
そう考えると、終電繰り上げより下り初電繰り下げの方がリスクが低く率先してやるべきではないだろうか。
さらに今回のJR東日本終電繰り上げで怖いのは、大手私鉄も追従して一斉に終電繰り上げを行う可能性があることである。
大阪都市圏の場合関西私鉄の終電は概ね大阪のターミナル駅を24時25分に出発する普通列車で、たいてい近くの車庫のある駅止まりとなっており、24時15分を超えて運転している大手私鉄の速達列車はせいぜい京阪の深夜急行くらいしかない。このためそもそも下車可能駅が少ないので影響が小さいし、繰り上げても10分程度になる見込みだ。
しかし東京都市圏の場合平日は24時30分を過ぎても山手線と接続する駅を速達列車が運転するのはザラである。そうなるとJR東日本が終電を繰り上げるのと同時に関東大手私鉄でも速達列車を中心に終電を大幅に繰り上げる可能性がある。
このため今回のダイヤ改正予測では大手私鉄より終電が早くなることもしばしばあるが、その競合相手である大手私鉄各線も終電が繰り上がる可能性がある以上、JR東日本の終電繰り上げ対象から外すことは行わない。
1.1. 東京近郊各線で終日に渡り減便実施へ
また今回の2021年3月JR東日本ダイヤ改正では、東京近郊各線で「朝の通勤時間帯を含め、このほかの時間帯についてもご利用状況を踏まえダイヤの見直しを実施します」としている。つまり平日朝ラッシュ時も含め終日に渡り減便を行う可能性が高い。
なぜ通勤時間帯の減便も視野に入れているのかというと、JR東日本では2021年より横須賀線・総武快速線用にE235系を順次投入する予定のほか、2024年頃より京浜東北線・横浜線でワンマン運転対応の新型車両を投入するとしている。横須賀線・総武快速線用E235系については一度投入本数まで出しているが、このご時世で投入本数を減らすと言っても株主は納得するし、現に東北新幹線E5系は2020年現在でも当初2016年までに投入しようとしていた本数に達していない。むしろ2020年の業績予想および配当予想に関するお知らせでは車両更新周期の見直しにも言及しており、ワンマン化などの合理化を狙えない横須賀線・総武快速線用にE235系のE217系置き換え計画が一部にとどまる可能性すら出てきた。もし通勤時間帯に列車を減らせれば運用数の削減につながり、新車投入を削減することができることから車両製作費削減につながる。
JR東日本のプレスリリースによれば山手線上野→御徒町間ではピーク時の利用が42%落ち込んでいるとしている。もし横須賀線でも同様に利用が減っているとすれば、武蔵小杉→西大井間の混雑率は2018年度は197%から2020年には122%にまで低下していることになる。もし10%輸送力を減らしたら混雑率136%、20%輸送力を減らしたら混雑率は153%にまで上がる。大阪都市圏での2018年度の混雑率が概ね130%程度であることを考えると、10%程度の減便があってもおかしくはない。
またこの数値はあくまでJR東日本で最大の混雑率を誇っている横須賀線のものであって、他の線区はこれよりかは混雑率が低い。もし2018年度に混雑率160%の路線であれば2020年は109%にまで下がっており、輸送力を10%減らしても混雑率121%、輸送力を20%減らすと136%となり、輸送力を20%減らしても2018年度の大阪都市圏並みの混雑率で運べるのだ。
もっとも多少回復する可能性はあるのでそのまま減らしていいかと言われるとそうとは言い切れないが、今回の2021年3月ダイヤ改正でJR東日本の東京近郊各線で平日朝ラッシュ時に10%~20%程度運転本数を減らす可能性はあり得る話ではありそうだ。
また平日朝ラッシュ時ですら10%の減便が許容されるとなると、平日夕ラッシュ時や昼間は10~30%の減便があってもおかしくはない。まあ昼間も2019年までは訪日観光客でにぎわって混雑していたので、乗客がみんな座れるレベルを目指すとなると20%の減便が妥当というところなのだろう。
ではここから各線別にどのように終電繰り上げや運転本数の調整を行うのか、予測していく。
2. 山手線は32年前の運転水準に逆戻りか
まずは山手線。
平日朝ラッシュ時は外回り(2018年度混雑率151%)は毎時21本、内回り(2018年度混雑率158%)は毎時22本を運転しているが、これを10~20%程度削減するとすると外回り毎時18~19本、内回り毎時19~20本での運転に減便しそうだ。
これにより運転間隔は外回りで約2分55秒間隔から約3分20秒間隔に開くのだが、25秒しか伸びないと思えば体感的に伸びたと思う人は少ないだろうし(特に京浜東北線並走区間)、そもそも山手線の発車案内は2019年より発車時刻表記ではなく何分後発車表記に変わってしまっている。おそらく減便してもあまり気付かないのではないだろうか。この減便により山手線では4~6運用削減できる見込みだ。
ただ、2020年6月1日より埼京線・湘南新宿ライン渋谷駅ホームが移設し使いやすくなったことを考えると、渋谷~新宿・池袋間で一部の山手線利用が移った可能性がある。そう考えるとさらに減便をしてもおかしくはなさそうだ。
また昼間は1988年3月13日ダイヤ改正で昼間5分間隔から4分間隔に短縮して以来32年ぶりに5分間隔に戻す可能性がある。
終電は外回りは大崎24時12分発品川行きと大崎24時42分発池袋行きとしており、ともに終点到着は24時50分を超える。池袋行き終電は1本前の大崎24時24分発に18分繰り上げることで池袋24時50分着に繰り上げることが可能だし、品川行き終電は大崎23時45分発に33分繰り上げれば品川24時50分着にまで繰り上げることができる。この影響で大崎24時05分発品川行きは廃止、大崎24時12分発品川行きは池袋行きに短縮するのだろう。
内回りの終電は大崎24時09分発大崎行き、大崎24時23分発池袋行き、大崎24時49分発品川行きとなっているが、3本とも終点到着時刻が24時50分を超す。ただし大崎24時49分発品川行きは1駅のみの運転だし
大崎行き終電は27分繰り上げ2本前の大崎23時42分発を最終とすれば大崎1時03分着で組めるし、池袋行き終電も14分繰り上げ1本前の大崎24時09分発終電大崎行きを短縮すれば池袋24時51分着で組むことができそうだ。
3. 京浜東北線では昼間は6分間隔にまで減便か
次に京浜東北線。
平日朝ラッシュ時は北行き(大宮方面・混雑率185%)は毎時25本、南行き(大船方面・混雑率171%)は毎時23本の運転があるが、ここから5%~10%減便できるとすると北行きは毎時23本、南行きは毎時21本の運転にまで縮小することができる。これにより京浜東北線では4運用を削減できる見通しだ。
また昼間5分間隔(毎時12本)が6分間隔(毎時10本)に減便するくらいは覚悟しておいた方がいいだろう。
終電はそれぞれ20~30分ずつ繰り上がる見込みなのだろう。
4. 中央総武線各駅停車では初電も削減で0番台運用消滅か
次に中央総武線各駅停車。
運転区間は三鷹~千葉間であるが中野と津田沼に車庫があるため早朝に中野発三鷹行きや津田沼発千葉行きなどの下り列車を運転している。このうち中野4時25分発三鷹行き初電と津田沼4時30分発千葉行きはともに終点到着が4時50分よりも前であり、利用が多いとは言えない。この2本は廃止する可能性が高そうだ。
次に平日朝ラッシュ時。西行き(三鷹方面・混雑率196%)は毎時25本の運転があるが、これから5~10%減便できるとすると毎時23本程度の運転となりそうだ。逆方向は混雑率92%しかないので総武線各駅停車のみを基準に考えると、オフピーク前後1時間ずつもそれぞれ毎時1本の削減が可能であることから、合わせて4運用削減できる見通しだ。これにより場合によってはE231系のうち元から中央総武線各駅停車用として投入した0番台の運用がなくなる可能性がある。
また平日昼間は5分30秒間隔(毎時11本)、土休日昼間は5分間隔(毎時12本)で運転しているが、ともに6分間隔(毎時10本)に減便するくらいは覚悟しておいた方がいいだろう。
終電も原則30分程度の繰り上げとなるだろう。このうち千葉からの終電は房総各線は24時09分までには全て出発するのに、総武線各駅停車の津田沼行きだけ24時59分発まであるのが遅すぎるのである。
ただあまり繰り上げすぎると総武線成田空港23時45分発最終快速千葉行きから連絡できなくなる。そう考えると千葉24時34分発くらいで最終の各駅停車津田沼行きを設定し、津田沼に24時50分着で到着させるのではないだろうか。
また東海道新幹線最終「のぞみ64号」東京行きから東京24時00分発総武線快速千葉行きからの連絡の兼ね合いで、津田沼~千葉間の快速通過駅救済のために三鷹23時21分発各駅停車千葉行きは残りそうだ(千葉24時54分着)。
5. 常磐線各駅停車は北千住始発削減か
次に常磐線各駅停車。
まず初電で需要がなさそうなのは、松戸4時27分発各駅停車我孫子行き。20分待てば次の我孫子行きは来るので削減しても影響は小さいだろう。
平日朝ラッシュ時は毎時23本の運転があるが(混雑率152%)、10~20%削減可能であると考えると毎時19~20本程度の運転となりそうだ。オフピークにも毎時2本の減便が可能であることを考えると、4運用は削減が可能そうだ。なお地下鉄千代田線内はJR常磐線快速や東武線からの乗り換えが多く混んでいることから、運転本数の削減はせず、常磐線各駅停車減便分は綾瀬始発として短縮するのだろう。
なお昼間は2013年3月15日ダイヤ改正で地下鉄千代田線が6分間隔から5分間隔に短縮したことから常磐線各駅停車も12分間隔から10分間隔に短縮した経緯がある。このことを踏まえると、東京メトロが減便しなければ常磐線各駅停車の昼間の減便は考えにくいだろう。
終電は地下鉄千代田線の終電である代々木上原24時00分発最終我孫子行きが松戸行きまたは綾瀬行きに短縮する可能性が高いほか、北千住1時04分発最終松戸行きは廃止だろう。このほかに上り終電の我孫子24時56分発松戸行きも廃止になる見込みだ。
6. 東海道線では大船始発復活か
ではここから中距離電車も見ていこう。まずは東海道線。
初電から見てみると、品川4時35分発普通熱海行きと品川5時10分発普通小田原行きは1980年10月1日ダイヤ改正で品鶴線が開業し横須賀線が川崎経由から新川崎経由に変わるまで大船始発で運転しており、横須賀線品川4時30分発久里浜行き初電から連絡していた。別に40年前に戻してしまって川崎からは横浜まで京浜東北線に乗ってもらえばいいじゃない。同様に熱海22時35分発普通品川行きや小田原23時10分発普通品川行きも大船止まりに短縮して横須賀線に乗り換えてもらえばいいのである。
平日朝ラッシュ時は毎時15本の運転があるが(混雑率191%)、ここから5%~10%削減できるとすると毎時14本に削減可能となり、オフピークも合わせて毎時1本程度減便できるとすると2運用削減することができる。
このほか終電について見ていくと、東海道新幹線最終「のぞみ64号」から新横浜連絡で東海道線の最終を合わせる場合、横浜を24時00分に出発する列車であれば接続はできる。東京23時54分発最終普通小田原行きは東京23時33分発に21分繰り上げても新幹線接続はうまくできそうだ。
ただ東北新幹線最終「やまびこ70号」の東京23時44分着や上越新幹線最終「Maxとき350号」の東京23時40分着からは連絡できなくなる見込みだ。
7. 横須賀線では逗子以南を切り捨てか
次に横須賀線。久里浜を4時31分に出発する列車に逗子までに誰が乗るというのだろう、逗子始発に短縮しても大きな問題はないし、沿線住民御用達の京浜急行の電車の初列車が4時50分以降なので久里浜4時47分発成田空港行きを久里浜→逗子間の初列車に繰り下げても新横浜6時00分発東海道新幹線「ひかり533号」広島行きや東京6時32分発「はやぶさ・こまち1号」新函館北斗・秋田行きに連絡できるので、新幹線接続も含めて大きな支障は出ない。
ただ横須賀線で終電繰り上げを行うと新幹線接続がままならなくなる可能性が高い。現在千葉22時43分発久里浜行き終電は東海道新幹線「のぞみ64号」最終東京行きから新横浜・横浜連絡で利用できるが、これが逗子行きに短縮してしまうと東逗子~久里浜間の各駅へは利用できなくなってしまう。
なお平日朝ラッシュ時は毎時10本の運転があるが、湘南新宿ラインと線路を共有している関係でそもそも運転本数が少ないのと武蔵小杉周辺の人口は増えているので、減便は考えにくそうだ。
8. 総武線快速ではラッシュ時減便実施か
ただ横須賀線と直通運転を行う総武線快速は通勤時間帯の減便があり得る。
総武線快速では平日朝ラッシュ時に毎時18本の運転をしているが(混雑率181%)、ここから5~10%の減便が可能であると考えると毎時17本に削減する可能性がる。オフピーク時間帯の減便もできると考えると、2~3運用削減することができそうだ。これによりE235系の投入本数を抑えることができる(そもそも先述したように車両更新周期の見直しを行うので、E235系による置き換えが後回しになりあと10~20年E217系を使い続けそうな気はするが)。
ただ総武線快速の場合最終が東京24時01分発、千葉24時43分着となっており今回のダイヤ改正での終電繰り上げ基準である24時50分までにすべての終電が終わっている。また東海道新幹線最終「のぞみ64号」の東京23時45分着からの連絡を考えると、終電の繰り上げは難しく、せいぜい行っても快速津田沼行きへの短縮程度で救済として終点津田沼で各駅停車千葉行きに連絡させることくらいだろう。
9. 中央線では終電に中央特快を利用か
次に中央線快速。
平日朝ラッシュ時は毎時28本の運転があるが(混雑率182%)、5%~10%の減便が可能であると考えると毎時26本に減便する可能性がある。このほかオフピークも毎時1本ずつ削減できることを考えると3~4運用の削減が可能そうだ。なお中央線快速では2023年より実施予定のグリーン車自由席2両の増結により列車間隔を保つためにこの程度の減便はあらかじめするものだったと考えられる。
このほか初電では武蔵小金井4時30分発高尾行きが廃止対象となり得る。
また終電は中央特快を用いることで繰り上げを最小限にすることができる。現在高尾への終電は東京24時15分発快速高尾行きで高尾到着1時22分だが、2本前の東京24時00分発中央特快高尾行きを最終としてしまえば高尾に24時58分に到着することができ、到着時刻は24分繰り上がるも東京・新宿発は15分繰り上げで済む。
また特快通過駅への救済として救済として国分寺で快速立川行きないし豊田行きと接続させる。現状では快速青梅行きに連絡しているが、青梅線内も30分繰り上がる可能性が高いため、行先変更は必須だろう。
車庫の兼ね合いで快速武蔵小金井行きはその後も運転するだろう。2020年現在は東京24時35分発を最終としているが、これを東京24時15分発ないし24時10分発に繰り上げる可能性は十分にあるだろう。
10. 高崎線・宇都宮線では新幹線接続解除か
次に高崎線・宇都宮線。
平日朝ラッシュ時は高崎線・宇都宮線ともに毎時13本の運転となっており、5~10%削減できるとするとそれぞれ毎時12本運転にできそうだ。これにより2運用削減できる。
また昼間はそれぞれ東海道線からの直通毎時3本と上野発着毎時1本、湘南新宿ライン毎時2本の合計毎時6本を運転しているが、このうち上野発着の毎時1本が減便する可能性がある。
このほか終電は高崎線が上野23時46分発最終高崎行き、宇都宮線が上野23時38分発普通宇都宮行きとしているが、終点到着は高崎1時37分発、宇都宮1時25分着とかなり遅い。
高崎線の場合は最終高崎行きを最終籠原行きに短縮する可能性があるが、宇都宮線の場合は11分前に小金井行きを運転しているためそのまま宇都宮行き最終を廃止にする可能性が高そうだ。まあこの宇都宮線の余った枠を使って高崎線の最終も10分繰り上げる可能性はありそうだが。
ただここで問題になるのは、新幹線との接続である。現在高崎線や宇都宮線への終電は博多18時18分発「のぞみ60号」東京行きからの連絡が最終であるが、高崎線や宇都宮線の終電繰り上げにより利用する新幹線も繰り上がる可能性が高そうだ。
11. 湘南新宿ラインや埼京線はほぼ据え置きか
では湘南新宿ラインや埼京線はどうなるのだろうか。
平日朝ラッシュ時は埼京線で減便する可能性は考えられはするが、赤羽→池袋間で湘南新宿ラインと分け合っていることを考えると1運用削るのがせいぜいだろう。
ただ平日朝ラッシュ時には埼京線と同一のE233系7000番台を使用する相鉄JR直通線では削減する可能性はある。そもそも当初の半分程度しか利用がないし、そのうえこのご時世で利用客が40%も減ってしまったんだ、平日朝ラッシュ時が毎時4本から毎時3本、いや毎時2本に減便してもおかしくない。また平日夕ラッシュ時も毎時3本から毎時2本に削減してもおかしくはない。
また昼間の埼京線はそもそも京浜東北線上野以北より利用が多いのに京浜東北線の毎時12本より少ない毎時9本しか運転していなかったことから、今回の利用減で通常時の他線の昼間並みに空くこととなった。また湘南新宿ラインも混雑が増していたことから、埼京線と湘南新宿ラインは昼間の減便は考えにくい。
ただ初電繰り下げや終電繰り上げの影響は受けそうだ。まず湘南新宿ラインでは国府津22時15分発快速高崎行き終電を籠原行きに短縮する可能性がある。
また埼京線では池袋4時30分発赤羽行き初電と赤羽1時02分発池袋行き終電を廃止する可能性がある。いや、もしかするとその折返し運用となる赤羽4時48分発池袋行き初電と池袋24時41分発赤羽行き終電も廃止になる可能性がある。
12. 常磐線快速も終電繰り上げへ
次に常磐線快速。
平日朝ラッシュ時は毎時18本の運転があるが(混雑率154%)、10~20%削減できるとなると毎時16本にまで削減することが可能になる。品川乗り入れも毎時9本から毎時8本に削減するのだろう。これによりE531系1運用とE231系1運用が削減する見込みだ。ただこの場合上野東京ラインの運転枠が余るため、特急「ときわ」の東京・品川乗り入れが拡大する可能性がある。
昼間は快速毎時6本と特快毎時1本の運転であるが、2015年3月14日ダイヤ改正の上野東京ライン開業前から変わっていない。そう考えると特快毎時1本を削減する可能性も捨てきれないが、利用増加分がそのままなくなったという意味では据え置く可能性がある。
このほか品川22時55分発快速勝田行き最終は品川品川22時34分発に繰り上がり、特急「ときわ91号」勝田行き利用の方が遅くまで東京にいられる可能性がある。また上野24時23分発快速取手行終電と上野24時34分発快速我孫子行きは運転区間の短縮、上野24時51分発快速松戸行きは廃止が考えられる。これらの取手までの新幹線連絡は上野24時12分発快速取手行きを使えばカバーできるので、終電繰り上げの対象となりそうだ。
13. 京葉線は京葉快速を中心に大幅減便か
次に京葉線。
平日朝ラッシュ時は毎時23本の運転があるが(混雑率166%)、10~20%の減便が可能であると考えると毎時20本にまで削減することができる。またオフピークも削減可能であることを考えると4運用削減することができる。1本しか残っていない209系は運用を取りやめるのだろう。
また京葉線は東京ディズニーリゾートや幕張メッセなど娯楽施設や催事場などを多く通ってることから、昼間の利用減少が激しい。平日昼間は毎時3本、土休日昼間は毎時4本運転している京葉快速を毎時2本程度に減らす可能性は十分に考えられる。その減便分海浜幕張~蘇我間では各駅停車を延長するのだろう。
さらに終電について見ていくと、現状では東京24時35分発各駅停車蘇我行きが最終となっているが、東京行きの初電が新習志野始発なのに、東京発の最終が終点蘇我まで行く方がおかしいのである。
東京24時35分発最終各駅停車蘇我行きを廃止、その1本前の東京24時22分発各駅停車蘇我行きを海浜幕張行きに縮めて京葉車両センター入庫にしても良いのではないだろうか。
このほか南武線・横浜線でも昼間の快速を減便する可能性が高い。南武線では土休日昼間の快速を毎時3本から毎時2本への減便は十分考えられるほか、横浜線も昼間の快速を毎時3本から毎時2本に減便する可能性は十分考えられる。また平日朝ラッシュ時を中心に減便することで両線とも2~4運用削減することが可能そうだ。特に横浜線は2024年以降にワンマン運転可能な新型車両に順次置き換える見込みであるから、減便が経費節減に直結しそうだ。
14. 結び
今回の2021年3月JR東日本ダイヤ改正では、東京近郊各線で終電を概ね30分程度繰り上げる方針だ。
また2020年の利用客の大幅な落ち込みもあり、平日朝夕ラッシュ時を含め終日の減便を図る可能性が高い。
今後JR東日本でどのようなダイヤ改正を実施するのか、見守ってゆきたい。
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