JR東日本は2020年11月9日、社長会見にて管内で減便・減車を行うと公表した。今回はこれから2022年3月実施予定のJR東日本東京近郊各線のダイヤ改正を予測していく。
JR東日本東京近郊各線の平日朝の2022年3月ダイヤ改正予測はこちら!
E131系投入に伴う相模線・日光線・宇都宮線宇都宮~黒磯間の2022年3月ダイヤ改正予測はこちら!
1. 東京都市圏で昼間の減便実施へ
今回の2022年3月JR東日本ダイヤ改正では、管内の広い範囲で減車・減便を行う見込みだ。
減車は205系からE131系への置き換えにより宇都宮線宇都宮~黒磯間や日光線の4両から3両への減車がメインであり、それ以外は地方鉄道でわずかに行うほかはないのではないだろうか。そう考えると東京都市圏では減車より減便の方が多そうだ。
また平日朝ラッシュ時は減便で車両運用を削減できる反面、最も混雑している時間帯のため減便が難しい。しかし昼間であればそもそも座席が埋まる程度しか乗客が乗っていなかったところに利用者が30%程度減ったことから、30%の乗客減少分をそのまま減便できるのである。また昼間の減便では車両運用数には変わりはないものの、乗務員行路の削減により運行費削減を狙いに行くのではないだろうか。
そうなると今回の2022年3月実施予定のJR東日本ダイヤ改正では昼間に大幅な減便を行う可能性が高い。では各線でどのようなダイヤ改正を行うのか予測していこう。
2. 京浜東北線で快速廃止か
まずは京浜東北線。2015年3月14日ダイヤ改正で快速停車駅を増やしたものの、快速運転は継続している。
ただ今回のダイヤ改正で山手線が平日昼間に京浜東北線と同じ5分間隔で合わせに行った場合、保守点検などで一部の日に田端~田町間でどちらか片方のみの線路で運転させる可能性がある。そうなった際には時刻修正を行わない方が楽であることから、快速通過駅への減便救済も込めて所要時間の変わる京浜東北線快速を廃止し、全列車各駅停車で運転する可能性がある。
つまり京浜東北線の快速運転を今回のダイヤ改正で廃止する可能性が十分考えられる。
3. 京葉線で大幅な減便か
次に京葉線。もっとも新浦安や検見川浜、稲毛海岸など住宅地地が広がっている地域もあるが、昼の輸送の大半は夢の国や幕張メッセなどの娯楽施設への輸送が中心となっている。
これらの大規模な娯楽施設は入場人数に新たな上限を定めていることから、京葉線の利用者数減少は著しい。
もっともこれまでことあるごとに増発してきた京葉線だが、今回のダイヤ改正で大きく減便し、必要な際には臨時列車を改めて設定する可能性がある。しかも京葉線では土休日深夜に夢の国から帰るための臨時列車を設定していたことから、臨時列車の設定自体は容易なはずだ。
そうなると一番考えれるのが京葉快速の減便、ひいては昼間の全廃止である。現状平日昼間は快速含め毎時10本、土休日昼間は快速含め毎時11本の運転があるが、夢の国輸送が伸び悩んでいる現状では昼間は京葉線各駅停車毎時4本と武蔵野線各駅停車毎時3本で運べてしまうのである。もっとも需要の見込まれる時期に東京~西船橋・海浜幕張間で臨時列車を運転すれば問題ない。
強いて言えば武蔵野線が昼間20分サイクル運転のため、京葉線も昼間20分サイクル運転に合わせ快速毎時3本、各駅停車毎時3本に減便する可能性はある。もっとも二俣新町のような利用の少ない駅はまだ良いのだが、海浜幕張~蘇我間で利便性の低下が見込まれそうだ
とはいえ海浜幕張~蘇我間では昼間毎時3本以上の運転は確保するだろうし、武蔵野線の減便は京葉線直通区間も含め考えにくそうだ。
4. 南武線で昼間は減便も快速は存続へ
次に南武線。2021年時点では平日昼間は毎時8本(うち快速毎時2本)、土休日昼間は毎時9本(うち快速毎時3本)を運転している。
そもそも南武線の快速は利用が多い武蔵小杉~武蔵溝ノ口間でいかに効率よく増発するかを検討するうちに他の区間で通過運転を行い武蔵小杉~武蔵溝ノ口間で各駅に停車することで各駅停車のみの増発より効率を良くしたという経緯がある。
このため全体の利用が減少している以上武蔵小杉~武蔵溝ノ口間でも減少していることから、快速の減便は免れないだろう。利用が30%減っているのであれば、土休日昼間は快速を毎時3本から毎時1本に削減し合計毎時9本から毎時7本に、平日昼間は合計毎時8本から合計毎時6本に削減し平日昼間の快速毎時2本を全廃止してもおかしくない。
ただ南武線快速の全面廃止はあり得ない。というのは2019年3月16日ダイヤ改正より乗務員行路削減目的で平日夕ラッシュ時の各駅停車毎時2本を快速に格上げしたためである。このことから今回のダイヤ改正で乗務員行路削減を引き続き行うために平日夕ラッシュ時の各駅停車を快速に格上げするのではないだろうか。
5. 横浜線の減便で快速廃止か
次に横浜線。昼間は平日・土休日ともに快速毎時3本と各駅停車毎時6本の合計毎時9本を運転しているが、このご時世で昼間を中心に空席が目立っており減便もやぶさかではない。
そもそも2015年の大都市交通センサスによれば、横浜線の隣駅間で一番輸送密度が高いのは菊名~新横浜間で155,615人/日・往復となっている。これは2位の町田~古淵間の143,988人/日・往復と比べて8.0%多い。
が、新横浜から菊名に向かう利用者はほとんどが東急東横線乗り換えである。現時点では新横浜から菊名まで1駅乗ってくれるが、2023年に東急新横浜線や相鉄新横浜線が開業すれば東横線乗り換え客は東急新横浜線利用に流れるだろうし、横浜乗り換え相鉄利用はほぼ確実に相鉄新横浜線利用に移ってしまう。
また横浜アリーナでのイベント時に最寄り駅の新横浜駅から横浜線へ利用する旅客が多いが、2023年までに東急新横浜線や相鉄新横浜線が開業してしまえば東京方面への旅客はまず東急新横浜線に乗るようになるので、横浜線の利用者が大幅に減るのである。まあ2022年3月ダイヤ改正で減便したらその分輸送力が減るわけだが、1年限定でイベント時に臨時列車を運転すれば済む話なので、定期列車の減便は2022年3月ダイヤ改正で行っても問題はない。
つまり2023年の東急新横浜線開業を見越せば、横浜線の最大輸送密度区間は菊名~新横浜間ではなく町田~古淵間に異動する可能性が高く、最大隣駅間輸送密度も7%~8%程度減少が見込まれる。この減少を見込めばもし他線区では利用客が2019年水準にまで戻ったとしても横浜線では7%の減便、つまり昼間毎時9本から毎時8本に減便しても何ら問題なくない。つまり横浜線では数年以内に昼間の減便を行うのはほぼ確実なのだ。
ただ昼間の利用も30%減ったままの状況が続くと考えるのであれば、もはや昼間を毎時9本から毎時6本に減便してもおかしくはない。横浜線では快速を毎時3本を設定していることから、昼間の快速を全廃して減便を図る可能性は十分考えられそうだ。
また各駅停車は基本的に昼間毎時6本は残るが、橋本~八王子間の各駅間の隣駅間輸送密度は町田~古淵間の半分にも満たないことを考えると、昼間毎時6本から毎時4本ないし毎時3本に減便してもおかしくなさそうだ。
なお相模線は2022年3月ダイヤ改正までに全列車を新型車両E131系に置き換えるが、既存の205系と比べ1本少ないこと、予備車が確保できなくなること、ホームドア設置の観点でも横浜線の8両のみに統一した方が設置しやすいこと横浜線八王子乗り入れを廃止する可能性が高い。
5.1. 横浜線の減便で根岸線も減便か
ただ横浜線で昼間を毎時6本に減便しても、その毎時6本すべてが横浜・桜木町に乗り入れるとは限らない。
2021年現在、横浜線は昼間は毎時9本(うち快速毎時3本)の運転があり、うち快速全てと各駅停車半分の毎時6本が根岸線横浜方面桜木町まで乗り入れている。もっとも桜木町は横浜市の中心にあるので直通して1本で行ければ利便性は高いし、横浜市営地下鉄ブルーラインとも競合になる。
ただ横浜線の根岸線乗り入れは昼間こそ毎時6本行っているものの、平日朝夕は毎時2本程度しか行っておらずほとんどが横浜の1つ手前の東神奈川折返しとなっている。また昼間は京浜東北線は蒲田~横浜~磯子間は20分サイクルの毎時9本運転を行っているが、主に川崎や鶴見の利用者が多いため横浜線列車乗り入れ区間である東神奈川~桜木町間は空いているのだ。
そう考えると京浜東北線の空席を埋めるために、横浜線の昼間の列車を減便するにあたり桜木町乗り入れ列車を削減するのではないだろうか。そうなると横浜線の桜木町乗り入れが昼間毎時6本から毎時3本に減少してもおかしくはない。
これにより昼間の桜木町駅2番線・3番線での折返しが毎時6本中毎時3本分枠が余るわけだが、その余った枠を10両編成の根岸線磯子始発終着列車の桜木町折返しへの短縮に利用すれば、根岸線でも桜木町~磯子間の昼間毎時3本の減便ができる。つまり横浜線の桜木町発着列車の削減で根岸線でも一部区間の減便を行うことができ、一石二鳥になるのだ。
そう考えると2020年度に年間4,000億円もの赤字を計上し2021年度も1,500億円もの年間赤字を計上する見込みのJR東日本からすればこんな都合のいい経費節減策はない。そう考えると横浜線の昼間の減便と桜木町発着の削減は十分可能性が高いのではないだろうか。
6. 埼京線の快速も削減か
次に埼京線。2019年11月30日の相鉄JR直通線開業に伴うダイヤ改正にて快速を武蔵浦和~大宮間各駅に停車させることにより、快速の混雑緩和と武蔵浦和~大宮間での昼間の運転本数を毎時9本から毎時6本に削減した。
が、このご時世で利用客が減っていることを考えると、赤羽~武蔵浦和間でも減便してもおかしくない。もっともそうなれば赤羽~大宮間は昼間各駅停車のみの毎時6本にして快速を廃止することになるだろう。そうなると渋谷・新宿・池袋から大宮に向かう先着列車が昼間毎時4本しかなくなるのだが、このご時世で終日混雑していた湘南新宿ラインでさえ空き始めているし、早く行きたいなら赤羽で高崎線や宇都宮線に乗り換えればよいので問題はないだろう。
ただ新宿~赤羽間やりんかい線直通列車の削減は考えにくそうだ(りんかい線内での減便はあるかもしれないが)。
また前回2021年3月13日ダイヤ改正で昼間に減便した高崎線や宇都宮線は昼間の減便は考えにくいだろうし、湘南新宿ラインも減便しないだろう。
7. 常磐線は特別快速廃止と昼間に土浦で系統分割か
次に常磐線。昼間は特別快速毎時1本と快速毎時6本を運転しているが、快速が約10分間隔で均等に運転しているのに対し特別快速がその間に不均等に毎時1本設定しているのである。
もっとも常磐線特別快速は2005年7月9日ダイヤ改正で設定したものであるが、つくばエクスプレスとの競合の側面もある反面、昼間に快速が20分サイクル化するに当たり取手~土浦間で毎時4本を維持するために設定した列車である。逆を言えば平日夕ラッシュ時も毎時4本しか運転のない取手~土浦間は昼間は毎時3本もあれば十分で、お情けのために特別快速として毎時1本増発しているだkなのである。
このご時世で利用者が減っていることを考えると、常磐線特別快速毎時1本がすべて廃止になり、取手~土浦間が昼間毎時4本から毎時3本に減便してもおかしくなかろう。ただ救済として品川乗り入れ毎時2本は維持するものと思われる。
また今回のダイヤ改正で常磐線では昼間に限り土浦で系統分割する可能性がある。これは土浦以北であれば昼間に限り5両編成毎時2本で十分運びきれてしまうこと、使用するE531系5両編成は一部編成がワンマン運転に対応しており、実際に水戸線や東北本線黒磯~新白河間でワンマン運転を行っていることから、ワンマン化により人件費削減を狙えるためである。また昼間に常磐線で東京都区内から水戸への直通列車が無くなれば、特急「ひたち」「ときわ」誘導になるのでJR東日本としても増収が狙える。
そう考えると今回のダイヤ改正で常磐線を土浦で系統分割し、昼間は土浦以北はグリーン車のない5両編成のみの運転になる可能性が考えられそうだ。
ただ常磐線土浦駅で折り返すには2番線と3番線を使わざるを得ない。特急列車が30分間隔で2番線を通過することを考えると難しい可能性はありそうだ。
8. 結び
今回の2022年3月JR東日本ダイヤ改正では、東京都市圏の各線で昼間を中心に減便を図り、快速を中心に削減を図りそうだ。
今後JR東日本でどのようなダイヤ改正を実施するのか、見守ってゆきたい。
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