JR東日本長野支社は2022年12月16日、プレスリリースにて2023年3月18日にダイヤ改正を行うと公表した( 2023年3月ダイヤ改正について )。またしなの鉄道は2022年12月16日、プレスリリースにて2023年3月18日にダイヤ改正を行うと公表した( 2023年3月のダイヤ改正 )。さらにJR東日本長野支社は2023年1月20日、プレスリリースにて2023年3月18日以降の臨時特急信州の運転日を公表した( 通勤・通学に便利な臨時特急列車を運転します! )。今回はこれらについて見ていく。
1. E353系臨時特急設定へ!
今回の2023年3月18日JR東日本長野支社ダイヤ改正では、篠ノ井線で臨時特急列車の運転を開始する。
篠ノ井線では毎時1本の特急「しなの」の運転があるが、他社であるJR東海383系による運転となっている。他社特急となっていることからJR東海中央西線不通時には特急「しなの」が全区間で運休となってしまい、JR東日本管内で運転ができる場合には211系による料金不要の臨時快速として運転してきた。
今回設定するのは塩尻7時37分発臨時特急長野行きおよび長野20時47分発臨時特急松本行きとなっている。途中停車駅は松本、明科、篠ノ井となっている。使用車両はJR東日本E353系3両編成で、自社車両となっている。
JR東日本長野支社では2021年4月~6月にE353系特急「信州」を茅野~長野間で運転したことがあったが、松本~長野間でE353系が走るのはこれ以来となりそうだ。
なお今回のE353系3両編成による臨時特急は、2019年3月16日ダイヤ改正で189系「おはようライナー」の代替として設定した平日運転の塩尻発長野行き快速列車より40分程度設定時刻が遅くなっている。
(2023.1.20 追記)結局今回の臨時特急も特急「信州」として運転することなった。号数は臨時列車ながらも1号と2号となっている。2023年3月20日~6月末日までの全ての平日で運転することから定期列車と同じ付番方式としたのだろう。
3両中1号車と3号車が自由席、2号車が自由席となる。塩尻・松本~長野間の自由席特急料金は特急「しなの」と同額の1,200円となる。が、「おはようライナー」の320円と比べて明らかに高いため、救済の4枚つづりの回数券を発売している。
が、4枚つづりの回数券は信州しなの料金回数券から篠ノ井線特急料金回数券に名を変え、1組あたりの値段も2,080円から2,880円に値上げ、1枚あたりも520円から720円に値上げすることとなった。
2. 長野~篠ノ井間でパターンダイヤ化へ!
今回の2023年3月18日JR東日本長野支社・しなの鉄道ダイヤ改正では、両社の車両が乗り入れる長野~篠ノ井間でパターンダイヤ化を図る。
これまで特急「しなの」は毎時1本運転で概ねパターンダイヤだったものの、篠ノ井線普通列車は概ね1時間間隔とはいえ多少ずれていたし、しなの鉄道に至ってはだいたい毎時2本で運転間隔が一定ではなかった。
今回のダイヤ改正では篠ノ井線にパターダイヤを導入し、特急「しなの」のみならず篠ノ井線普通も60分間隔とするほか、しなの鉄道も40分間隔とする。
これに合わせて長野12時10分発普通篠ノ井行きを増発する。
このほか篠ノ井線では松本11時17分発普通塩尻行きと塩尻11時43分発普通松本行きの1往復を増発する。
3. しなの鉄道全線で営業速度引き下げと減便へ
今回の2023年3月18日しなの鉄道ダイヤ改正では、全線で減便を図る。
今回のダイヤ改正で昼以降に減便を図る。しなの鉄道線長野~戸倉間で4往復減便し1日38往復に、戸倉~上田間で4往復減便し1日35.5往復に、上田~小諸間で6往復減便し1日27.5往復に、小諸~軽井沢間で3往復減便し1日25往復にそれぞれ減便する。もっとも昼間は毎時2本から毎時1.5本に減便するが、半減の毎時1本よりかは運転本数が保たれる。
また北しなの線では長野~豊野間で2.5往復削減し飯山線直通と合わせ1日36往復に、豊野~妙高高原間は5往復削減し1日16往復の運転となる。これにより妙高高原発着は終日に渡り概ね毎時1本の運転となる。
このほか朝の着席保証列車「しなのサンライズ」は小諸7時15分発長野行きから小諸7時07分発に8分繰り上げ、小諸→上田間で全駅停車に変更する。これにより平日朝の小諸→上田間の普通が1本減便となる。
また今回のダイヤ改正ではしなの鉄道の営業運転速度をしなの鉄道線の最高100km/h、北しなの線の最高95km/hから85km/hに引き下げる。しなの鉄道線は元信越本線でかつては上野と長野方面を結ぶ特急「あさま」などが運転していたことから軽井沢~篠ノ井~長野間に至っては全線複線で120km/h対応となっていたが、重厚な設備が日頃の保守には負担になっていたようだ。
しかも全線複線のしなの鉄道線はほとんど貨物列車の運転がないため、自社の普通列車の運転が主である。今回のダイヤ改正で終日に渡る減便を行ったということは、今後しなの鉄道線上田~軽井沢間で順次単線化を図ってもおかしくはないのではないだろうか。
なおしなの鉄道ではえちぜん鉄道のように主要駅で乗車券をクレジットカードで購入できるようにする。
4. 長野県内の広い範囲で終列車繰り上げへ
今回の2023年3月18日JR東日本長野支社・しなの鉄道ダイヤ改正では、広い範囲で終列車を繰り上げる。
まずはしなの鉄道線。長野23時35分発上田行き最終を長野23時20分発に15分繰り上げる。この終電はJR東日本信越本線の最終も兼ねているため、しなの鉄道の運用の都合でJR東日本管内でも終電を繰り上げる。ただ、長野都市圏と同等の50万人規模の都市圏で比べると近年終電を23時20分〜30分発程度に繰り上げていることが多いことを考えると今回の長野23時20分発を終電とするのは妥当だろう。
また小諸行き最終を長野23時01分発から22時39分発に22分繰り上げるほか、軽井沢行き最終を長野21時36分発から21時22分発に14分繰り上げる。
次に逆方向では、軽井沢23時27分発小諸行き最終を軽井沢23時05分発に22分繰り上げる。が、そもそも人口の少ない軽井沢町からの最終列車なので23時ごろに終電を迎えるのは影響は小さいだろう。
また小諸22時48分発長野行き最終を、最高速度引き下げに伴い長野着時刻を同一にして所要時間を延ばすため小諸22時45分発に3分繰り上げる。ただ同時に軽井沢始発に延長するため、軽井沢から上田・長野方面への最終列車が軽井沢21時57分発から22時16分発に19分繰り下がることとなった。なおこの長野行き最終は上田で東京21時28分発北陸新幹線「あさま631号」長野行きから8分乗り換えで連絡できるが、今回のダイヤ改正で大宮~高崎間の最高速度引き上げに伴い1分程度到着が繰り上がることから、7分乗り換えで引き続き連絡できる見込みだ。
ただ、これまで軽井沢→小諸間および上田→小諸間はそれぞれ軽井沢または上田連絡で東京22時08分発北陸新幹線「あさま633号」長野行き最終から連絡できたが、今回のしなの鉄道の終電繰り上げにより東京21時28分発「あさま631号」長野行きからの連絡となり、40分繰り上がる。
次に北しなの線。妙高高原行き最終は長野22時24分発からから22時03分発に、豊野行き最終は23時40分発から23時19分発に21分繰り上げる。北陸新幹線からの接続は豊野行きは東京21時28分発「あさま631号」長野行きのまま変わりないが、妙高高原行きは東京20時36分発「あさま629号」長野行きから東京20時12分発「はくたか577号」金沢行きに24分繰り上がる。
また妙高高原22時46分発長野行き最終を廃止し、妙高高原21時51分発長野行きを妙高高原22時06分発に繰り下げ新たな終電とする。これにより妙高高原から長野への最終が40分繰り上がる。ただ従来の終電は主な需要と逆方向でえちごトキめき鉄道妙高はねうまラインからの接続もないため致し方ないだろう。
このほかJR東日本飯山線でも終列車を繰り上げる。飯山22時36分発長野行き最終を飯山22時26分発長野行きに10分繰り上げる。この最終列車は豊野から長野までの北しなの線内でも新たな最終列車となるため、豊野→長野間の終列車は21分の繰り上げに収める。
この終電繰り上げにより保守時間の拡大を図るようだ。
5. 結び
今回の2023年3月18日JR東日本長野支社およびしなの鉄道ダイヤ改正では、篠ノ井線でE353系による臨時特急を設定することとなった一方で、しなの鉄道全区間で減便を図ることとなった。
今後JR東日本長野支社やしなの鉄道でどのようなダイヤ改正を行うのか、見守ってゆきたい。
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