JR東日本は2024年5月7日、プレスリリースにて2024年4月26日から5月6日のゴールデンウィーク期間にかけての利用状況を公表した。またJR東日本は2024年8月19日、プレスリリースにて2024年8月9日から8月18日のお盆期間にかけての利用状況を公表した。今回はこれらから2025年3月信越本線特急「しらゆき」ダイヤ改正について予測していく。
1. 北陸新幹線敦賀延伸1年後にダイヤ改正実施へ!
今回の2025年3月JR東日本ダイヤ改正では、北陸新幹線連絡特急である信越本線特急「しらゆき」でもダイヤ改正を行う可能性がある。
もっとも新幹線延伸開業時に需要予測を立ててダイヤを組むのだが、実際に開業してみると予測流動と実流動が異なることがあるため、その流動を約半年かけて調査し1年後のダイヤ改正に反映させるのである。
北陸新幹線では2015年3月14日の長野~金沢間開業から1年後、2016年3月26日ダイヤ改正にて特急「しなの」が北陸新幹線延伸により大阪~長野間の直通利用が減ったとして大阪~名古屋間で1往復減便している。
その北陸新幹線は2024年3月16日に金沢~敦賀間で延伸これに合わせ新潟~富山・金沢間を信越本線特急「しらゆき」上越妙高乗換北陸新幹線「はくたか」利用で適用していた乗継割引を廃止、同経路で使用できたしらゆき・北陸往復きっぷおよび新潟往復きっぷも廃止し片道1,070円~4,780円値上げしている。
救済措置としてJR東日本では2024年3月16日より前日まで発売のネット予約限定のえきねっと特急トクだ値1を信越本線特急「しらゆき」に設定、乗車券と特急券をセットで30%引きとすることで新潟~金沢間で北陸新幹線と乗り継ぎ北陸新幹線のチケットを別途用意することで新潟~金沢間を1,180円引きの片道9,140円と乗継割引廃止前とほぼ同じ価格で行けるようにはしている。
一方で新潟交通を中心に新潟~富山・金沢間で高速バスを2往復ずつ運行しており、新潟~富山間は3時間46分5,500円~6,300円、新潟~金沢間は4時間47分で5,600円~6,400円と安く直通で行くことができる。しかも新潟市街地の万代シテイに乗り入れているので利便性も高い。
おかげさまで信越本線特急「しらゆき」の利用は下がっており、2019年夏と比べて2024年夏のお盆の利用者数は約20%減って約9千人しか利用がなかった。これは1日3往復しか運転のない奥羽本線特急「つがる」の約7千人や多客期増発で1日3往復をやっと運転する羽越本線特急「いなほ」のうち酒田~秋田間の約6千人と差が変わらなくなってきているし、なんなら1日3往復しかない常磐線特急「ひたち」いわき~原ノ町間の約1万2千人に届いていない。
そう考えると信越本線特急「しらゆき」が減便してもおかしくないだろう。
2. 北陸新幹線延伸から続く減便
そもそも北陸新幹線に関連した信越本線列車の減便は今回に限ったことではなく、1997年10月1日の北陸新幹線長野開業時から始まっている。
そもそも信越本線長野~直江津間は在来線特急「白山」「あさま」などが運転していたが、長野新幹線開業により長野で系統分割、長野~直江津間は快速信越リレー妙高として1日8往復設定したが、ほぼ同時期の1997年3月22日に開業した北越急行ほくほく線越語湯沢乗換上越新幹線利用の方が早く東京に到達できたため全然乗ってくれず2000年12月2日に3往復だけに減便、2002年12月1日ダイヤ改正で1本を除き各駅停車化している。
また1997年10月1日に急行「赤倉」を格上げし特急「みのり」として長野~新潟間に1日2往復、高田~新潟間に1日1往復設定するも、特急料金が別途かかるため乗ってくれず2000年12月2日ダイヤ改正で長野発着の1往復廃止、2001年12月1日ダイヤ改正で長野乗り入れを廃止し2往復とも高田発着に短縮、2002年12月1日ダイヤ改正で485系特急型車両のまま快速「くびき野」に格下げし新井~新潟間で3往復の運転とした。
その後2015年3月14日の北陸新幹線金沢延伸では、新潟~金沢間の特急「北越」5往復を上越妙高で系統分割し北陸新幹線「はくたか」と接続するようにした。これに合わせ連絡特急を新井・上越妙高~新潟間の特急「しらゆき」に名称変更し上越新幹線長岡乗換北陸方面連絡の役割がなくなることから6両から4両に減車、糸魚川への救済措置として快速「くびき野」3往復のうち1往復を糸魚川発着に変更、列車愛称の使用を取りやめている。
がここから減便劇が始まる。2017年3月4日JR東日本ダイヤ改正で新潟~糸魚川間の快速列車1往復を長岡~直江津間の快速に短縮し減車、2018年3月17日JR東日本ダイヤ改正で新潟~新井間の快速列車1往復を長岡~直江津間の快速に短縮、2022年3月12日JR東日本ダイヤ改正で新潟~新井間の快速を直江津で系統分割し新潟~直江津間の運転に短縮したほか、特急「しらゆき」を5往復から4往復に短縮している。また夜行急行「きたぐに」の廃止代替として設定していた新潟~直江津間の「おはよう信越」「らくらくトレイン信越」も2022年3月12日JR東日本ダイヤ改正で廃止している。
かくして2017年まで新潟~直江津間を結ぶ列車は特急5往復、ホームライナー1往復と快速3往復の合計9往復あったにもかかわらず、2023年には特急4往復と快速1往復の合計5往復にまで減っているのである。
また新潟~柏崎間は越後交通の高速バスが1日3往復、新潟~高田~直江津間は1日10往復の高速バスを運行しており、新潟市街地中心部の新潟市役所や古町、万代シテイに乗り入れている。新潟県内輸送を考えても高速バスにかなっていないし、高速バスですら1日10往復で済む区間で大量輸送を特長とする鉄道で戦っても赤字になるだけでコスパが悪い。
高速バスとの競合は快速でやっと運賃面でかなうのに特急料金の必要な信越本線特急「しらゆき」に乗ってくれるはずがないのである。このため信越本線特急「しらゆき」は減便してもおかしくないだろう。
3. 特急「しらゆき」3往復に減便の救済はどうなるのか
では2025年3月以降のJR東日本ダイヤ改正で信越本線特急「しらゆき」が4往復から3往復に減便するとして、救済はどのように行うのだろうか。
新潟~新井・糸魚川間快速を長岡~直江津間の快速に短縮したあたり、高速バスではまかなえない柏崎や直江津から長岡への旅客需要には応えているようだし、新潟へ早く行きたければ上越新幹線「とき」に乗り換えればよいと思っているのだろう。
そうなると特急「しらゆき」の減便代替は長岡~直江津間の快速列車となりそうだ。
なお昼間の減便の場合E653系4両編成は特急「しらさぎ」全運用を1運用でまかなえる可能性があるため、運用置き換えで羽越本線特急「いなほ」の7両運転列車6往復中1往復を4両に減車することが可能になる。また快速に置き換えると普通列車用E129系を使用するが、車両運用数は朝夕の車両運用で決まるので昼間に1往復増発しようが車両運用数に変わりはない。
そうなると特急「いなほ」の7両から4両への減車拡大も兼ねて特急「しらゆき」をさらに1往復減便、1日3往復の運転としてもおかしくないだろう。
4. 将来は特急「しらゆき」全廃止も視野か
また将来的に信越本線特急「しらゆき」の全廃止さえありうる。
そもそも新潟県では上越新幹線と北陸新幹線を何らかの形で結び、新潟~金沢・敦賀間の直通列車を運転しようと構想している。この連絡列車ができれば北陸新幹線の新潟連絡の役割を持つ特急「しらゆき」が不要になるので発展解消という形で廃止になる。
一方新潟から富山・金沢へは信越本線特急「しらゆき」上越妙高乗換北陸新幹線利用よりも、上越新幹線高崎乗換北陸新幹線利用の方が1時間に1本確保しているし新潟~金沢間の所要時間も3時間~3時間20分程度と早いのだ。もっとも片道18,280円もかかるので特急「しらゆき」経由と比べて7,660円も高いが(なお新潟~福井の場合600kmを越えるので往復割引が効く)、利便性は高いし十分代替になる。
そうなると特急「しらゆき」をわざわざ残しておく理由もないのだ。
特急「しらゆき」は近い将来全廃止、長岡~直江津間の快速に格下げしてもおかしくはないのではないだろうか。
5. 結び
今回の2025年3月信越本線特急「しらゆき」ダイヤ改正予測では、さらなる減便を図り3往復となる可能性も高いほか、今後廃止となる可能性もある。
今後2025年3月にダイヤ改正を控える中、北陸新幹線や信越本線特急「しらゆき」でどのようなダイヤ改正を行うのか、見守ってゆきたい。
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