JR北海道は2024年5月7日、特急「すずらん」の運転見直しを検討していると公表した。今回はこれから2025年3月JR北海道室蘭本線特急「すずらん」ダイヤ改正について予測していく。
2025年3月新千歳空港発着特急列車設定に伴うダイヤ改正予測はこちら!
1. 室蘭本線特急「すずらん」減便と気動車化か!
今回の2025年3月JR北海道ダイヤ改正では、室蘭本線特急「すずらん」が減便し気動車化する可能性がある。
2018年と比べ8月のお盆の利用者数は、札幌~旭川間は11万2000人から8万6400人に22.8%減、札幌~帯広間は4万1100人から3万2800人に20.2%減、札幌~東室蘭間は8万0500人から7万4300人に7.7%減少している。
一番減少が少ないのは札幌~東室蘭間なのだが、札幌~旭川間では特急「カムイ」「ライラック」が30分~1時間間隔でやってくるほど運転本数が多いため減便や臨時化を図っているほか、気動車は減車しやすいため気動車運転する室蘭本線特急「北斗」では所定7両から5両に、石勝線特急「おおぞら」「とかち」では所定6両から4両に減車することで輸送力調整を行ってきた。が、特急「すずらん」は785系電車による運転で電車の減車は図りにくいことと1日6往復しかないため減車減便ができていなかった。
ただJR北海道が2024年5月の会見で特急「すずらん」の見直しを行うと言及していることを踏まえると、減便を図ってもおかしくはない。
室蘭本線特急「すずらん」では前回2024年3月16日ダイヤ改正で全車指定席化し、自由席を廃止したため実質値上げしている。
さらに千歳線では昼間に白紙ダイヤ改正を行い札幌~苫小牧間の普通電車を千歳で系統分割したが、これまで北広島で快速エアポートに抜かれていたところ千歳で快速エアポートに接続するようになったためかえって所要時間が短縮、札幌~苫小牧間で特急「すずらん」を利用する人が大きく減ったのだ。
奇しくも室蘭本線特急「すずらん」とほとんどの区間で運転区間が重複する室蘭本線特急「北斗」は年々停車駅が増えており、特急「すずらん」との停車駅差は減ってきている。特急「すずらん」の特急「北斗」への吸収で特急が利用できなくなる人たちが減っているのだ。
また特急「北斗」の多客期増結が最大10両から8両に減車していることを考えると、特急「すずらん」を減便して特急「北斗」の多客時10両運転を行うことで昼間の特急「すずらん」3往復の減便が可能ではないか。
2. 室蘭本線特急「すずらん」はどのように減便するのか
では2025年3月JR北海道ダイヤ改正で室蘭本線特急「すずらん」を減便する場合、どのように減便するだろうか。
先述したように室蘭本線特急「すずらん」の減便は、室蘭本線特急「北斗」への列車統合が基本となる。このため室蘭本線特急「北斗」を運転していない早朝深夜時間帯は特急「すずらん」はそのまま存続するだろう。室蘭5時25分発特急「すずらん1号」札幌行き、室蘭6時54分発特急「すずらん3号」札幌行き、札幌19時14分発特急「すずらん10号」室蘭行き、札幌22時00分発特急「すずらん12号」室蘭行き最終の2往復4本は存続するだろう。
また運転間隔と運用繰りの都合で札幌7時30分発「すずらん2号」東室蘭行きと東室蘭9時32分発「すずらん5号」札幌行きは残る可能性が高い。
残りの昼間3往復の特急「すずらん」は廃止してもおかしくはない。
ただ室蘭本線特急「すずらん」が特急「北斗」の運転しない早朝深夜の運転となると、特急「北斗」用キハ261系特急型気動車の運用が余っている。特急「すずらん」が電車特急からキハ261系気動車特急に変化してもおかしくないだろう。
3. 室蘭本線特急「すずらん」減便の真の目的は、新千歳空港~旭川間直通特急列車用の運用確保か!
ただ先述したように、札幌からの特急利用客数で一番減少が抑えられているのが室蘭本線特急「北斗」「すずらん」だったりする。わざわざ列車を減便する必要まではないのではないかとも思うだろう。
ただそれでも特急「すずらん」を減便するとしたら利用減少を口実とした運用変更だろう。
特急「すずらん」は主に5両編成の785系特急型車両を使用し、時折代走で特急「カムイ」用5両編成789系特急型電車を使用する。この札幌~旭川間を結ぶ特急「カムイ」「ライラック」は札幌発着から新千歳空港発着に延長し、2034年以降に最高速度を170km/hに引き上げる構想がある。前回2024年3月16日JR北海道千歳線ダイヤ改正で昼間に設定した快速エアポートとたいして時間の変わらない特別快速エアポートを毎時1本設定したのは近い将来の特急格上げに伴う旭川直通化への布石ともとれる。
ただ、札幌~旭川間の特急列車を新千歳空港始発終着に延長すると、昼間1運用増やす必要がある。どの列車も3日~10日ごとに車両の保守点検が必要なことを踏まえると予備車確保の点でどこかから1運用を持ってこないといけない。
特急「カムイ」「ライラック」のような電車特急で運転しているJR北海道の特急列車は室蘭本線特急「すずらん」しかない。
その特急「すずらん」を昼間廃止してしまえば1運用浮かせて新千歳空港~旭川間特急列車の増運用用に充てることができる。そのために特急「すずらん」昼間3往復減便を図るのではないだろうか。
もし室蘭本線特急「すずらん」が廃止になっても新千歳空港発着の特急列車が南千歳で苫小牧・室蘭方面737系2両編成普通電車と接続するようにすれば特急料金の取りこぼしは最小限で済むし、もっとも直通列車で行きたければ特急「北斗」に乗ってくれる。減収は軽微だろう。
4. 結び
今回の2025年3月JR北海道ダイヤ改正では、室蘭本線特急「すずらん」の減便や気動車化を図る可能性がある。
今後JR北海道でどのようなダイヤ改正を実施していくのか、見守ってゆきたい。
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