快速短縮で鹿児島本線も大幅見直しへ JR九州福岡エリアダイヤ改正(2018年3月17日)

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JR九州は12月15日、プレスリリースにて2018年3月17日にダイヤ改正を行うと公表した( 平成30年3月17日にダイヤを見直します )。今回はこのうち、福岡市内を通るJR在来線(鹿児島本線・筑肥線・篠栗線・香椎線など)のデータイムについて見ていく。

12月15日公表!2018年3月17日全国一斉ダイヤ改正まとめについてはこちら!

1. 九州全土で大幅見直し

今回の2018年3月17日JR九州ダイヤ改正では、JR九州管内の広い地域に渡り減便や運行区間短縮を実施する。内訳は九州新幹線6本、在来線特急24本、普通列車(快速含む)が87本の合計117本が減便となり、2016年3月26日のJR北海道ダイヤ改正の79本見直しよりも大規模なものとなっている。

JR九州では1両当たりが20人以下の列車に対し需要実態を事細かに調査したと新聞記事の取材で述べているが、この基準に関しては2016年3月26日ダイヤ改正のJR北海道の気動車79本削減時の1列車当たり20人以下の列車を見直し対象としたのとほぼ同じ基準と言える。ただJR北海道の場合は気動車のみに着目していたため札幌都市圏での減便はごくわずかだったが、JR九州の場合は電車にも着目し、福岡都市圏を含め九州ほぼ全域で新幹線から普通列車まで全てが減便することとなった。

また2016年3月26日JR北海道ダイヤ改正の79本見直しは減便の他に24本の運行区間短縮(中間での分断含む)もあり、実質的には55本の減便であったが、今回の2018年3月17日JR九州ダイヤ改正では117本が純減便であり、減便以外にも特急「ソニック」「にちりん」や福岡都市圏内を中心とした大規模な運行区間短縮が行われている。JR北海道は当時約1,300本の列車から55本の減便であったが、JR九州は約3,100本の列車から117本の減便となっており、ほぼ同じ営業キロ(というよりむしろJR北海道の方が長いのだが)にもかかわらずJR九州の方がJR北海道と比べて2.4倍もの運行本数があり、減便本数は今回2018年3月17日のJR九州ダイヤ改正の方が多いが、減便率で見ると実は2016年3月26日ダイヤ改正のJR北海道の4.2%よりJR九州の3.7%の方が低い。ここまで大掛かりな見直しが行われることは国鉄分割民営化から31年が経とうとしている中でJR発足後初ではないだろうか。




2. 福岡都市圏の鹿児島本線で大幅見直し

今回の2018年3月17日ダイヤ改正ではJR九州が管内ほぼ全域で大幅な減便や運行区間短縮を行っているが、福岡都市圏も例外ではない。今回のダイヤ改正では鹿児島本線にて2004年3月13日ダイヤ改正より設定された準快速が廃止され、より停車駅の多くなった区間快速へと置き換わる。区間快速が快速運転を行うのは福間~博多間または博多~二日市間で、現在の準快速の快速運転区間である福間~久留米間よりも短い。また区間快速が2種類の快速運転パターンがあり、プレスリリースによればさらに複数のパターンがあるようだが、メインは博多で快速運転と各駅停車区間を切り替えるのであろう。ともなればJR北海道の函館本線区間快速いしかりライナーと同様の停車駅パターンとなるのではないだろうか。

ここで、JR九州のプレスリリースの時刻表を見ていくと、快速(準快速・区間快速含む)と普通列車の運行本数は毎時3本ずつの合計毎時6本であることに変わりはない。これは2014年3月15日ダイヤ改正で昼間の普通列車が毎時1本減便されており、福間~二日市間での減便の必要性は薄かったと思われたからではないだろうか。よって福岡都市圏のデータイムの運行形態見直しと書かれているが、鹿児島本線の昼間に限れば福岡市外となる福間以東と二日市以南での見直しということになる。




2.1. 博多より西側では普通列車の補完はあるのか

そこで次に行先まで見ていく。現在は博多駅から東方面は昼間は快速小倉方面門司港行きが毎時2本、準快速小倉行きが毎時1本、普通門司港行きまたは小倉行きが毎時2本、普通福間行きが毎時1本の合計毎時6本となっているが、2018年3月17日ダイヤ改正以降は快速小倉(または門司港)行き毎時1本、区間快速門司港または小倉行き毎時2本、普通福間行き毎時2本、普通海老津行き毎時1本の合計毎時6本となる。博多~福間間では先述の通り昼間の運行本数の削減はないが、この時刻表を鵜呑みにするとこれまで福間~小倉間では昼間合計毎時5本だったものが福間~海老津間で毎時4本、海老津~小倉間では毎時3本となる。博多~海老津までの快速通過駅の昼間の乗車チャンスは変わりはないが、快速列車が毎時2本から1本に半減するため、その分の混雑が普通列車に多少流れることは間違いなさそうだ。

福岡市が150万都市で未だに増加傾向にあるのに対し、北九州市は90万人台で微減傾向であること、福岡都市圏は人口250万にもなるのに北九州都市圏は人口130万人ほどと約半分しかいない。そう考えると北九州市内の鹿児島本線の昼間の本数が福岡市の毎時6本の半分~3分の2程度の毎時3~4本になるのは致し方なさそうだ。とはいえ、この時刻表を鵜呑みにすると海老津~小倉間では快速通過駅では毎時2本しか列車が来ず、しかも20分間隔と40分間隔となり利便性が良くない。小倉~黒崎・折尾間では西鉄バス北九州の勢力が強く、昼間だけで見ても小倉~黒崎間では毎時10本(うち特快毎時3本)、小倉・黒崎~折尾間では毎時2本(うち特快毎時1本)という勢いである。こんな区間で折尾および特快バス対策のみでは太刀打ちできないに決まっている。

となると、実は小倉~海老津間の快速通過駅でも毎時3本の乗車チャンスがあり、快速と合わせて毎時4本運転になるのではないだろうか。なぜそのように考えるというと、現在鹿児島本線では昼間でも快速・普通列車問わず6両~8両で運転されることが多い。朝夕ラッシュ時だけでなく昼間まで6両で運転するならJR東海313系のように6両固定編成を製造しても良いのではないかとも思うのだが、JR九州発足以降製造された普通列車用電車は、最初に登場した811系の4両固定編成であったが、その後登場した813系以降は3両固定編成又は2両固定編成である。ともなれば分割併合をして輸送量を調節できそうだが、全国的な流れで列車の分割・併合はこの20年間で大幅に数を減らしており、JR九州でも3層建て列車の運転を取りやめたほか、京急電鉄や小田急電鉄、京王電鉄でも料金不要列車の増解結を昼間はやめてしまった。それだけ増解結には人員と手間がかかるということなのだろう。ともなれば、普通海老津行きに接続する3両ないし4両の普通列車を別に設定するのではないだろうか。もし海老津~小倉(~門司港)間で普通列車毎時1本の補完が成されればこの区間の快速通過駅でも現状通り毎時3本の乗車チャンスが得られるのではないだろうか。

そのほか、2017年12月31日を以て遊園地スペースワールドが閉園することから、スペースワールド駅は快速通過駅に格下げされることとなった。




2.2. 博多より南側では快速の昼間の大牟田乗り入れ廃止か

さて今度は博多駅より南側の区間となる鹿児島本線二日市・久留米方面について見ていく。こちらも現状は快速久留米・大牟田方面荒尾行きが毎時2本、準快速久留米方面荒木行きが毎時1本、普通久留米行きが毎時1本、普通鳥栖行きが毎時2本の合計毎時6本となっているが、2018年3月17日ダイヤ改正以降は快速久留米方面荒木行き毎時1本、快速久留米行き毎時1本、区間快速羽犬塚行き毎時1本、普通鳥栖行き毎時1本、普通二日市行き毎時2本の合計毎時6本となり、福間・小倉方面と同様博多駅時点では減便は行われないが二日市を過ぎると減便が行われている。二日市~鳥栖間の昼間では現状の合計毎時6本から毎時4本に減る。しかも各駅に停まる列車も毎時3本から毎時2本に減便される。とはいえ、これまで普通列車しか停まってこなかった宅地開発の進むけやき台や弥生が丘に区間快速が停車し博多まで速達性をもった直通列車が終日設定されたとなれば不動産価値が向上する可能性も考えられる。

さらに、鳥栖から南の区間では、昼間は現在は2両編成の熊本方面普通列車が毎時1本運行されているが、この列車の先行きも不透明だ。というのも、今回の2018年3月17日ダイヤ改正以降は区間快速羽犬塚行きが二日市~鳥栖~羽犬塚間で各駅に停まるようになるため、肥前旭や西牟田などの快速通過駅をカバーする分を現状通り確保するには十分なのだ。となると、現在鳥栖発着となっている鹿児島本線熊本方面列車は、区間快速の終着羽犬塚発着に短縮されるのではないだろうか。




さて、鳥栖を出ると久留米にすぐ着くのだが、博多から久留米への先着本数はダイヤ改正前も後も昼間は毎時3本に変わりない。確かに先着列車のうち毎時1本は準快速(博多~久留米間快速と停車駅が同一)から区間快速に格下げされ停車駅が久留米までで5駅増えるわけであるが、所要時間が多少延びるものの運行本数自体が少ないこともあり久留米まで先着であることに変わりはない。西鉄側も特急は西鉄福岡(天神)から先着が毎時4本あれども特急は毎時2本しかなく、残りは特急より停車駅の多い急行であるからこの程度の調整であれば対久留米であれば問題ないように思える。ただ久留米を過ぎるとさらに雲行きが怪しくなる。次の荒木は博多先着列車が毎時3本から毎時2本に削減されるが、まだ想像ができる範囲内ではある。

しかし荒木を過ぎてからの列車ダイヤは羽犬塚発着の区間快速があること以外は不透明だ。ただ少なくとも羽犬塚より先は博多から直通する快速列車が無くなることから、昼間の快速の大牟田乗り入れをやめるのは間違いなさそうだ。羽犬塚の1つ先は筑後船小屋であるが、2011年3月12日ダイヤ改正により九州新幹線が開業し主に「つばめ」が停車することとなっているが、現在筑後船小屋や大牟田まで昼間は博多から毎時2本の快速が運転されているにもかかわらずそれを中止するということは、新幹線誘導を狙っているのではないだろうか。ただ、九州新幹線新大牟田駅は市街地から遠いため利用が伸び悩んでおり、ライバルの西鉄は大牟田まで特急を終日毎時2本出しているにもかかわらず、JR九州は対抗するのをやめたということになるのであろう。




3. 福岡都市圏他の路線でも減便はあるのか

そのほか、JR九州のダイヤ改正プレスリリースには鹿児島本線のデータイムの見直しより下に「始発や最終列車のほか、データイムに運転本数や運転区間、時刻を見直します。」と記載がある。以下、初終電のついては数多の線区でずらずら2~3ページにわたり記載があるが、データイムに関しては一切記載がない。となると、プレスリリースにはない昼間の減便が福岡県内でまだ実施されるのではないだろうか。

まず見るのは福岡市内で2番目に需要の多い筑肥線。筑肥線の非電化区間は2016年度の輸送密度236人/日と非常に低いが、電化区間でも特に地下鉄車両が乗り入れる姪浜~筑前前原間は43,961人/日となっている。一見高そうに見えるが、この輸送密度はJR西日本山陽本線の広島~白市間(43,249人/日)や広島~岩国間(42,707人/日)とほぼ同等である。両線とも平日は3両~5両の普通電車が昼間は毎時4本で運転されているが、筑肥線は筑前前原まで6両編成が毎時4本設定されている。筑肥線は平日夕ラッシュ時も毎時4本の運転であるから昼夕輸送力比は100%。輸送密度的にも昼夕輸送力的にも昼間は空気輸送だ。ともなれば、筑肥線姪浜~筑前前原間の昼間の毎時4本から毎時3本化は起こりそうだ。

また、筑肥線筑前前原~唐津間は輸送密度が5,755人/日しかなく、ほぼ同等の5,745人/日となるJR東日本の東北本線福島~白石間は、4両編成(または2両編成)が毎時1本しか昼間は運行がない。筑前前原~筑前深江間は新駅設置構想もありある程度運行本数が保たれる可能性はあるが、筑前深江~唐津・西唐津間は昼間は103系3両編成毎時1本のみになる可能性もある。




次に篠栗線。近年も人口の伸びが高く成長株であるが、昼間の運転は主に3両編成と2両編成である。ほんの数年前までは専ら2両編成だったのだが、817系3両編成が投入され輸送力増強に一役買っている。最大3両編成で毎時5本というのは地域輸送性に関しては良いが、博多口で毎時5本も必要だろうか。2両~3両を3両~4両に集約し、博多口毎時4本でも利便性を大きく損なうことはないように思われるし、4両編成までならワンマン運転もできる。減便の可能性は否定できない。

最後に香椎線。雁ノ巣~宇美間では昼間も平日夕ラッシュ時も2両編成が毎時3本であり昼夕輸送力比が100%となっている。香椎線に関しては駅集中管理システムが入り、合理化を進めているところであるが、他線との接続が重要視されるため現在の20分間隔を崩すかは微妙なところだ。ただ、輸送密度が香椎~宇美間でも7,697人/日であり、昼間は4両編成毎時1本しかないJR東日本の東金線の8,374人/日よりも少ない。ただ東金線に関しても登下校時間帯(15時以降など)は6両編成での運転となるから、香椎線で減便がなされるとすれば主に香椎・雁ノ巣以北であり、香椎以南ではあまり減便がなされないのではないだろうか。


5. 結び

今回の2018年3月17日JR九州ダイヤ改正では、ローカル線のみならず福岡県内の普通列車(快速含む)で大幅な見直しが行われる模様である。特に鹿児島本線では一部の快速列車の運転区間短縮と快速運転区間縮小が目立つが、その前に減車を考慮しても良かったのではないかとも思う。福岡都市圏でのデータイムの見直しがどこまでなされ、どこまで影響するのか、見守ってゆきたい。

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