JR西日本は2023年7月21日、プレスリリースにて2023年10月~11月に敦賀~城崎温泉間で臨時列車を運転すると公表した( 敦賀~城崎温泉を横断!~キハ 189 系団体臨時列車の設定について~ )。今回はこれについて見ていく。
1. 敦賀発着の北近畿直通列車運転へ!
今回の2023年10月~11月JR西日本臨時列車運転では、敦賀~城崎温泉間で団体臨時列車を運転する。
この団体臨時列車は敦賀~東舞鶴間はJR西日本小浜線、東舞鶴~西舞鶴間はJR西日本舞鶴線、西舞鶴~宮津間は京都丹後鉄道宮舞線、宮津~豊岡間は京都丹後鉄道宮豊線、豊岡~城崎温泉間はJR西日本山陰本線を走行する。よって敦賀~城崎温泉間の総移動距離は184.4kmとなる。京都丹後鉄道は通過連絡運輸となる見込みだ。
使用車両はキハ189系気動車3両編成(「はまかぜ」型車両)となっている。播但線特急「はまかぜ」と重複する区間は山陰本線豊岡~城崎温泉間とごくわずかしかないが、キハ189系気動車を使用する理由は京都丹後鉄道区間がほとんど非電化区間で電車での乗り入れができないためである。福知山経由であれば287系などの電車特急でも運用できただろうが。
このためJR西日本では気動車特急型車両であるキハ189系の運用を浮かせるために2023年3月18日JR西日本福知山支社ダイヤ改正で播但線特急「はまかぜ」の運転時刻を大きく変更し、鳥取での夜間滞泊をとりやめ1運用削減することとした。
運転日は敦賀発城崎温泉行きが2023年10月7日、21日、11月4日、18日のいずれも土曜日、城崎温泉発敦賀行きが翌日の日曜日となっている。
運転時刻は土曜日が敦賀10時40分発、城崎温泉16時59分着の6時間19分運転、日曜日が城崎温泉10時46分発敦賀16時10分着の5時間24分運転となっている。おいおい、営業キロ184.4kmで5時間~6時間かかるって遅すぎやしないか?途中乗り換え待ち時間1時間45分待ちを含む同経路の普通列車の乗り継ぎでも6時間46分で済むというのに、直通して所要時間が普通列車と大差ないとはいかがなものか。
ためしに表定速度を計算してみると、土曜日は29.2km/h、日曜日は34.1km/hとなっている。そこらへんの普通列車と比べても遅めだし、大阪都市圏の通勤電車には到底かなっていない。超鈍足列車と言えそうだ。
2. なぜ敦賀発着の北近畿方面列車を運転することとしたのか
ではなぜ今回の2023年10月~11月JR西日本臨時列車運転で北近畿方面列車をわざわざ運転時間が5時間~6時間程度かかる敦賀発着にして気動車であるキハ189系を用意してまで運転することとしたのか。
そもそも東京から福知山・豊岡など北近畿方面へは東海道新幹線利用京都乗り換え山陰本線特急列車「きのさき」「はしだて」などの利用が主で、京都での乗り継ぎを考慮しても東京~福知山間は約3時間50分、東京~城崎温泉間は約5時間で到達する。が、東海道新幹線はJR東海、在来線特急はJR西日本運営のためJR西日本には在来線特急分しか収入が入らないほか、新幹線と在来線特急の乗継割引の関係で収入がさらに減ってしまう。
しかも東京~福知山間が京都経由で601.0kmとギリギリ600kmを超える関係で往復割引1割引が適用、運賃収入も減ってしまう。
一方北陸新幹線利用敦賀経由の場合、JR西日本区間は在来線特急区間のみならず北陸新幹線上越妙高~敦賀間も管内となるため新幹線特急料金を徴収することができる。しかもツアー列車となれば乗継割引を考慮する必要がないのでより増収につなげることができる。
つまり今回の敦賀~城崎温泉間の臨時特急列車はJR西日本の増収策といえるだろう。
なお2024年には今回の団体臨時列車とほぼ同一の経路で「キハ189系観光列車」を運転開始するとしている。今回の団体臨時列車運転はその布石と言えるだろう。
3. 結び
今回の2023年10月~11月JR西日本臨時列車運転では、敦賀~城崎温泉間で団体臨時特急列車を運転し、2024年以降に運転開始するキハ189系による観光列車の布石となった。
今後北陸新幹線敦賀延伸により北近畿アクセス手法を変えるJR西日本で今後どのような展開を行っていくのか、見守ってゆきたい。
2024年3月実施予定の北陸新幹線福井・敦賀延伸に伴うダイヤ改正のうち東京発着列車はこちら!
北陸新幹線敦賀延伸に伴う在来線特急サンダーバード再編についてはこちら!
681系から車種変更必至!2024年3月実施予定の北陸本線特急「しらさぎ」ダイヤ改正予測はこちら!
コメント