JR西日本近畿統括本部は2018年12月14日、プレスリリースにて2019年3月16日にダイヤ改正を行うと公表した( 2019年3月16日にダイヤ改正を実施します )。今回はこのうち、おおさか東線直通快速について見ていく。
2019年3月16日全国一斉ダイヤ改正まとめについてはこちら!
同日実施のJR西日本近畿統括本部ダイヤ改正のうち、おおさか東線普通列車についてはこちら!
1. おおさか東線延伸へ
今回の2019年3月16日JR西日本近畿統括本部ダイヤ改正では、おおさか東線新大阪~放出間が開業する。
大阪市内の新規設置となるJR淡路、城北公園通、JR野江の各駅や吹田市内ながらも両側が大阪市内の駅に囲まれている南吹田のみならず、既存開業区間である高井田中央~新加美間も大阪市内の駅として扱うことになる。
新線が開業し利便性が向上するわけだから、その設備投資として運賃が値上がりするのは問題ない。加美駅周辺住民が新大阪に出るには、JR線を使う場合には大和路線で天王寺に出たあと大阪環状線に乗り換え、大阪でJR京都線に乗り換える必要があり、新大阪に到着するまでに2回の乗り換えが必要である。それ150m歩いた新加美から新大阪まで乗り換えなしで行けるようになったら、移動に係る時間も減るわけだからその対価として運賃が値上げして問題はあるのだろうか?
むしろ直通快速の高井田中央・JR河内永和停車といい大阪市内指定と言い、東大阪市をちょっとひいきしすぎてないか?確かに政令指定都市の川崎市の中心駅である川崎は南武線矢向が横浜市内に位置していることから横浜市内として扱っているが、それ以外は市内の飛び地駅は原則特定都区市内から外す。東大阪市が大阪市と合併するならわかるが、ちょっとやりすぎではないだろうか。
2. 直通快速のダイヤはどうなる
では直通快速の新しいダイヤはどうなるのだろうか。
所要時間について見ていくと、直通快速は新大阪~久宝寺間最速24分で、普通電車の34分より10分速い。また新大阪~奈良間は52~60分となっている。土休日の奈良線みやこ路快速が京都~奈良間49分であることを考えると、奈良から東海道新幹線を利用するには京都接続(近鉄奈良線急行の方が速いが)の方が速いし、奈良から山陽新幹線方面を利用するにも直通快速の時間が合えばおおさか東線経由でもいいかもしれないが、直通快速の運転がない昼間の利用ではおおさか東線経由では久宝寺乗り換えが必須になることから、「のぞみ」料金が110円上がっても京都連絡の方がよさそうだ。
ともなると、おおさか東線直通快速のメインターゲットは山陽新幹線からの奈良市利用というのはちょっと考えにくい。新大阪周辺から学研都市線や八尾方面への利用促進ということになるのではないだろうか。
以前のプレスリリース公表時の記事では、1日4往復の運転わ変わらないものの、土休日は朝の大阪市内方面4本と夕方の奈良方面4本から朝夕2往復ずつに変更されることとなったが、これ以外にも変更がある。
平日朝ラッシュ時は運転時間帯が奈良6時44分発~7時39分発から6時12分発~7時35分発に拡大したものの、運転本数は4本のまま変わらないため約20分間隔から約30分間隔に広がる。
平日夕ラッシュ時は運転時間帯が奈良19時03分~20時35分着から18時35分~21時35分着に拡大するものの、4本の運転は維持されることから毎時2本から毎時1本に削減されることとなった。これにより昼夕輸送力比は63.1%から77.4%に変更することとなった。
では直通快速の接続について見ていこう。ただし東海道新幹線「のぞみ」については全ての臨時列車が運転されなくても20分待てば乗れること、臨時列車が多く設定されており多くの日・時間帯で10分程度で次の「のぞみ」が来ることから、いつでも乗れるということで割愛させていただく。
平日の新大阪行き直通快速のうち、朝の2本は山陽新幹線「さくら」「みずほ」と連絡している。また2本目を除く3本が東海道新幹線「ひかり」と連絡している。
平日の奈良行き直通快速は、4本とも岐阜羽島・米原停車の東海道新幹線「ひかり」から連絡している。また最初2本は広島始発の山陽新幹線「のぞみ」から、3本目は山陽新幹線「さくら」から接続を受けている。
土休日朝の新大阪行き直通快速は、ともに山陽新幹線「さくら」と連絡している。また2本目は米原・岐阜羽島・豊橋停車の東海道新幹線「ひかり」に連絡している。
土休日夕方の新大阪行き直通快速は、ともに山陽新幹線「こだま」「のぞみ」と連絡している。
土休日朝の奈良行き直通快速は、静岡停車の東海道新幹線「ひかり」と山陽新幹線「のぞみ」から接続を受ける。
土休日夕方の奈良行き直通快速は、山陽新幹線「のぞみ」から接続を受ける。2本目は8分乗り換えであれば山陽新幹線「さくら」からも接続できそうだが、乗り換え時間的に厳しそうだ。
このように見ていくと、2016年3月26日ダイヤ改正で設定された広島支社の山陽線快速シティライナーよりはるかに接続が良いが、土休日は山陽新幹線との接続を図っているのに対し、平日は米原・岐阜羽島停車の「ひかり」と接続が良好となっている。東海道新幹線から奈良に行くには京都でJR奈良線みやこ路快速か近鉄京都線急行に乗り換えるのが一番早いが、それでもおおさか東線直通快速と東海道新幹線「ひかり」の接続を良くしているのは、放出乗り換えでの学研都市線方面からの需要取り込みがあるのではないだろうか。
3 . 大和路線快速減便か
今回の2019年3月16日JR西日本近畿統括本部ダイヤ改正では、おおさか東線新大阪開延伸に伴い、大和路線で平日朝ラッシュ時を中心に減便を実施する可能性がある。
2008年3月15日のおおさか東線放出~久宝寺間開業に伴うダイヤ改正より直通快速が設定されることで、大和路線久宝寺~天王寺間での快速減便分の代替として設定された大和路線柏原始発の快速JR難波行きも、久宝寺で直通快速から接続できるような時刻で設定されているが、柏原始発の大和路線快速も30分間隔に広がる可能性が高い。また、柏原始発の大和路線快速JR難波行きは、朝ピーク時の3本しか設定されていない。ともなると、ピーク時間帯は1時間しかないことから、柏原始発の大和路線快速は3本から2本に減便される可能性がある。
また、直通快速が削減すれば、大和路線天王寺〜久宝寺間の快速運転本数が変わらないのであれば、王寺から天王寺へ直通する快速が増えるはずだ。しかし、その増発がプレスリリースにないということは、増発するどころか減便する可能性がある。
大阪環状線に直通する区間快速は減便しないと思われるが、奈良方面からのJR難波行き快速は削減されてもおかしくない。奈良→王寺では平日朝ラッシュ時の快速が毎時10本(うち毎時3本おおさか東線直通)から毎時8本(うち毎時2本おおさか東線直通)に削減されてもおかしくない。
またこれに合わせ、久宝寺→天王寺でも平日朝ラッシュ時の毎時12本から毎時10本に削減される可能性は大いにあるものと思われる。2017年度の大和路線(関西本線)の混雑率は快速列車が久宝寺→天王寺で95%しかないこと、このうち一部(予測では8.5%程度)がおおさか東線新大阪開業によりおおさか東線に流れることから、減便しても混雑率は105%程度と同区間の大和路線各駅停車と同水準になる。ともなると、今回のおおさか東線新大阪延伸に合わせ、大和路線の快速を減便しても影響は少なく、可能性としてはあるだろう。
4. 結び
今回の2019年3月16日JR西日本近畿統括本部ダイヤ改正では、おおさか東線新大阪~放出間が開業することにより直通快速がJR東西線尼崎発着から新大阪発着に変更され、東海道・山陽新幹線との接続が改善されることとなった。
一方で、朝夕しか運転されないため奈良方面と山陽新幹線のアクセス向上は限定的で、多くの時間帯で従来通り京都連絡の方が利便性が高そうなのは変わりなさそうだ。
今後おおさか東線でどのようなダイヤ改正を実施するのか、見守ってゆきたい。
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