JR西日本中国統括本部は2022年12月16日、プレスリリースにて2023年3月18日にダイヤ改正を行うと公表した( 2023年春のダイヤ改正について )。今回はこのうち広島支社管内の広島県内、山口県内について見ていく。
2023年5月JR西日本広島支社山陽本線臨時列車運転はこちら!
1. 芸備線快速みよしライナー増加へ!
今回の2023年3月18日JR西日本広島支社ダイヤ改正では、芸備線で大幅なダイヤ改正を実施する。
今回のダイヤ改正では昼間の芸備線普通2往復を快速みよしライナーに格上げする。これにより速達化する。
そもそも快速みよしライナーは2007年7月1日JR西日本広島支社ダイヤ改正で急行「みよし」が廃止することによる代替として設定を開始した。その後芸備線の利用促進のため沿線自治体でアンケートを取ったところ、快速を各駅停車して乗車チャンスを増やしてほしいという意見が集まったため昼間の快速みよしライナーを普通に格下げし昼間の普通列車を毎時1本運転とした経緯がある。
ただその後芸備線利用者は増えることなく、横ばいすることもなく、順調に減り続けている。無料で配ったアンケートに回答しても乗ってくれやしないのだ。
このため今回のダイヤ改正で備北交通や広電バスの高速バスとの競合も視野に昼間の快速みよしライナーを復活させることとしたのである。
この昼間の芸備線普通の快速みよしライナーへの格上げにより、広島~三次間の所要時間が20~30分程度短縮し、1時間22分運転となる。
このほか芸備線では三次18時33分発普通広島行きを増発する一方、三次21時48分発普通広島行き終列車を下深川始発に短縮する。救済として三次20時42分発普通広島行きを三次21時07分発に25分繰り下げるが、これにより三次から広島への終列車は三次21時48分発から21時07分発に41分繰り上がる。
2. 各線で少しずつ減便とワンマン運転拡大へ
また今回の2023年3月18日JR西日本広島支社ダイヤ改正では、各線で減便を図る。
福塩線では福山~府中間の電化区間で昼間に1往復減便する。これにより1日28.5往復から27.5往復に減便する。
また呉線では広11時20分発三原行きを廃止するほか、夕方に安浦~三原間で1往復を減便し夕方も昼間同様毎時1本運転とする。
このほか2023年4月1日より山陽本線の全駅でICカードICOCAが利用できるようになるのに合わせ山陽本線岩国~下関間は115系4両編成での運転が多い中今回のダイヤ改正よりほとんどの列車でワンマン運転を開始する。
また宇部線新山口~宇部間および山陰本線小串~下関間ではすでに一部でワンマン運転を実施しているが、全列車がワンマン運転となる。
ただ広島県内での公共交通機関の減便は鉄道だけではない。路線バスでも実施している。
2019年から2020年にかけ廿日市市内で広電バスの路線が次々と廿日市市コミュニティバスさくらバスに移管した。これにより吉和から一般路線バスがなくなり、各路線とも50人乗り程度の中型バスから29人乗りの日野ポンチョに転換している。
また広島市域でも路線バスの見直しを行っている。広電バス今吉田線は広島駅や広島バスセンターと安佐北区の小河内と各地を結んでいたが、その小河内は小学校が廃校になるほど過疎が進んでいた。そこで広島市中心部~安佐北区の可部間の運転本数適正化と広島市が拠出するバス路線維持補助金削減を目的に2022年10月1日に可部駅前で系統分割、可部駅前~飯室~小河内~今吉田間を広島交通に移管し12人乗りワンボックスカーに転換した。
また中国JRバスも広島市内に路線バスを持っているが、毎時1本あった芸備線上深川駅至近の研創前発着便は2015年には昼間毎時1本あったのに2020年には平日は1日3往復、土休日は1日2往復まで減便し、高揚車庫発着に短縮してしまった。
さらに中国JRバスでは広島~可部~千代田~大朝間で一般路線バス広浜線を運行しているが、この路線も2023年3月31日をもって可部駅前で系統分割、広島~可部間は既存の広島交通などの各系統で代替、千代田~大朝間は並走する大朝交通便を増発することで対処(この大朝交通便も元中国JRバス広浜線の千代田~大朝間のシャトル便だった)、代替交通機関のない鈴張~千代田間を含む可部~千代田間は今吉田線同様広島交通に移管する。おそらくこちらも12人乗りワンボックスカーによる運行となるのだろう。なお鈴張~千代田間は1日5往復から4往復に減便する見込みだ。
そう考えると広島県内では鉄道のみならずバスも存続がかかるほどの窮地と言わざるを得ないだろう。
3. 結び
今回の2023年3月18日JR西日本広島支社ダイヤ改正では、芸備線で大規模なダイヤ改正を図り快速みよしライナーを増発することとなった。
輸送密度2,000人/日・往復未満の昼間にバス毎時1台で輸送できてしまう程度の需要しかない路線を多く持つJR西日本広島支社で今後どのようなダイヤ改正を行うのか、見守ってゆきたい。
コメント