北陸新幹線福井敦賀延伸で観光客増加もサンダーバード・しらさぎ大幅利用減で新快速・高速バスに移動へ! 北陸新幹線・JR西日本北陸特急臨時列車運転(2024年4月~5月ゴールデンウィーク期間)

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北陸新幹線福井敦賀延伸で観光客増加もサンダーバード・しらさぎ大幅利用減へ! 北陸新幹線・JR西日本北陸特急臨時列車運転(2024年4月~5月ゴールデンウィーク期間)

JR西日本は2024年5月7日、プレスリリースにて2024年4月26日から5月6日のゴールデンウィーク期間にかけての利用状況を公表した。今回はこれについて見ていく。

1. 北陸新幹線福井・敦賀延伸で「かがやき」利用者大幅増加へ!

今回の2024年4月26日~5月6日北陸新幹線臨時列車運転では、臨時列車を多数設定し旅客を増やした。

上越妙高~糸魚川間の北陸新幹線の断面輸送人員は2024年4月26日から5月6日の11日間で最速達「かがやき」が22.3万人、北陸3県各駅停車の「はくたか」が13.3万人の合計35.6万人、前年比14%増となっている

もっとも2022年は2018年までの例年と比べて5%程度利用者数が少なかったが、それでも14%も増えたということは2018年以前と比べ得ても明らかに増えている。これは2024年3月16日の北陸新幹線福井・敦賀延伸で東京~福井間の移動が東海道新幹線米原乗り継ぎ特急しらさぎ利用から北陸新幹線直通利用に移ったことによる。




また多客期は最速達の「かがやき」を中心に臨時列車を運転するため、「かがやき」20往復、「はくたか」14往復の合計34往復が東京~富山・金沢間を結び、「かがやき」毎時1本~毎時2本、「はくたか」毎時1本で運びきる。

このため多客期には「かがやき」の利用者が増える傾向にあり、最速達の「かがやき」が停車駅の多い「はくたか」の約1.66倍、東京から北陸に北陸新幹線で向かう人の約62.5%が最速達の「かがやき」を利用していることが分かった。

金沢開業時は多客期で最速達の「かがやき」が停車駅の多い「はくたか」の約1.52倍、東京から北陸に北陸新幹線で向かう人の約60.3%が最速達の「かがやき」を利用していたが、全車指定席の「かがやき」の利用比率が高まったのは福井・敦賀方面まで直通運行する列車は主に「かがやき」のため「かがやき」に集中したためだろう。

なおNHK調べでは福井駅の人出は前年比23.2%増となっている。もっとも北陸本線特急「サンダーバード」や「しらさぎ」から北陸新幹線に転換したことで福井駅がハブ化し乗り継ぎ客が増えたこともあるが、周辺の観光施設の込み具合を見るにほぼ間違いなく福井県への観光客が増えたと言えるだろう。




2. 大阪方面特急「サンダーバード」、前年比10%利用減へ

また今回の2024年4月26日~5月6日JR西日本臨時列車運転では、特急「サンダーバード」臨時列車を設定し終日毎時2本、最大毎時3本の最長12両編成(定期9両)で組んだ。

なんと大阪方面特急「サンダーバード」の利用者数が10%も減少したのだ。

おいおい、所要時間が短縮したら鉄道利用が増えるのではなかったのか。九州新幹線新八代~鹿児島中央間部分開業た西九州新幹線部分開業で在来線特急と乗継させた際には乗り換えが発生したのに利用客が増えたほどだったというのに北陸では通じなかったということなのだろうか。

いや、そうとも限らない。特急「サンダーバード」は北陸新幹線連絡特急として大阪・京都~敦賀間を運転している全車指定席特急だが、同区間には全車自由席で特急料金のいらない安く利用できる新快速もおおむね1時間に1本運行している。

特急「サンダーバード」と北陸新幹線を乗り継いだ場合、大阪~福井間を最速1時間44分、京都~福井間を最速1時間14分、京都~金沢間を最速1時間39分で結ぶ。一方で新快速と北陸新幹線を乗り継いだ場合、大阪~福井間を2時間47分、京都~福井間を約2時間17分、京都~金沢間を約2時間54分で結び、いずれも3時間以内に収まる。拠点駅間3時間以内の「3時間の壁」は旅行において疲れにくいため、少々時間がかかっても安い交通手段に流れる人が3時間超と比べて増えることから安きに流れる指標となっている。つまり大阪~福井、京都~福井・金沢の旅行客は特急「サンダーバード」から新快速に容易に流れるということになる

もっとも新快速利用の場合特急「サンダーバード利用」と比べて1時間程度長くなるし、その原因の1つが敦賀での乗り換え時間が約20分あることなのだが、敦賀始発金沢・富山行き北陸新幹線「つるぎ」は特急「サンダーバード」からの乗り換え客完了をもって発車するため、旅客の多い多客期は遅れやすい。もし北陸新幹線「つるぎ」の出発が5分遅れれば新快速の到着後7分後に北陸新幹線が出発することになるので何とか乗り換えられなくはない。1本前の北陸新幹線に乗ってしまえば所要時間が30分程度縮むためさらに快適に旅行できることを考えると特急「サンダーバード」を利用する価値がさらに低くなる。北陸新幹線発車遅れによる接続成功は一種のギャンブル要素もあり、その成功体験も味わえることを考えると幸福度が高くなりやすい。限界旅行オタクは間違いなく新快速を選ぶだろう。




さらに多客期では特急「サンダーバード」は指定席が完売、普通車全車指定席であることから満席時に立席特急券を発売するも満席のため着席することは当然できない。一方新快速であれば予約をしなくても敦賀始発時点で着席できることが多く、もし敦賀で着席できなくても40分後に到着する近江今津で8両増結し12両編成となるためほぼ確実に着席できるのである。しかも新快速は京都・大阪・神戸の鉄道では絶大な知名度を誇っており、いつも乗っている列車という安心感まである。満席で着席不可能が確定した特急列車と多少時間はかかるがいつも乗っている新快速で着席可能性があるのであれば、当然新快速を選ぶだろう

しかも新快速は特急料金がかからないし、北陸新幹線「つるぎ」「はくたか」の自由席と合わせて安くで移動できる。北陸新幹線敦賀延伸で大阪~金沢間を特急「サンダーバード」と北陸新幹線を乗り継いだ場合、新幹線区間拡大により特急料金を2,000円程度値上げしている。一方大阪~敦賀間で新快速に乗ってしまえば北陸新幹線「つるぎ」「はくたか」には指定席より最繁忙期で930円も安い自由席の設定があることもあり、新快速と北陸新幹線を乗り継ぐと北陸新幹線敦賀延伸前の大阪~金沢間の特急「サンダーバード」とほぼ同額で移動できてしまうのだ

このため北陸新幹線福井・敦賀延伸により少しでも安く大阪・京都から福井・金沢へ向かいたい人が特急「サンダーバード」から新快速に流れたのだ

なお北陸新幹線の北陸区間も特急「サンダーバード」も新快速もすべてJR西日本が運営しているため他社への旅客流出はあまりないほか、北陸新幹線延伸による特急料金値上げで大阪・京都~北陸方面の旅客で大きく増収に成功し、特急「サンダーバード」から新快速に流れても北陸新幹線延伸前の特急「サンダーバード」の特急料金とほぼ同額なので減収していない。JR西日本としては大阪・京都から北陸へは特急「サンダーバード」と北陸新幹線の利用を勧めるが、多客時にやむなく特急「サンダーバード」が満席になる際には新快速の利用も問題ないという判断なのだろう。




3. 名古屋方面特急「しらさぎ」、前年比半減へ!

また今回の2024年4月26日~5月6日JR西日本臨時列車運転では、特急「しらさぎ」で増結を図り定期の6両から最長9両編成で運転した。前年2023年までは定期列車16往復に加え臨時列車2往復を増発していたが、本年2024年より定期列車15往復に3往復削減している。

というのも、特急「しらさぎ」は東京~福井間を東海道新幹線「ひかり」米原乗継利用特急「しらさぎ」利用が主流だったが、2024年3月16日の北陸新幹線福井・敦賀延伸で東京~福井まで直通勝最速で北陸新幹線が直通するようになったため特急「しらさぎ」の利用客が大幅に減ることが予見できたためである。

実際にゴールデンウィークの利用状況を見ると、特急「しらさぎ」米原~敦賀間は前年比49%減となっており、2018年比と比べると50%減ともはや特急「しらさぎ」利用者が半減している。はっきり言って定期列車の毎時1本6両編成でも十分運びきれるし、定期列車を半減して2時間に1本程度に減便してもおかしくないレベルだ。




一方、特急「しらさぎ」には東海道新幹線連絡で東京~福井間を結ぶ需要のほかに名古屋~福井・金沢間を結ぶ需要もあった。こちらはJR東海のゴールデンウィークの利用状況を確認すると名古屋~大垣間の特急「しらさぎ」の利用者数は前年比37%減、2018年比で45%減と大きく減少したのだ

これは2,000円程度値上げしたにもかかわらず乗り換えが増え所要時間が大して変わっていないためで、名古屋~福井間では所要時間2時間45分で結ぶ高速バスに流れてしまっていることにある。拠点駅間3時間以内の「3時間の壁」は旅行において疲れにくいため、ここでも高速バス転移が起きているようだ。


5. 結び

今回の2024年4月26日~5月6日北陸新幹線・JR西日本北陸特急臨時列車運転では、北陸新幹線福井・敦賀延伸により東京~福井間の移動ルートが東海道新幹線経由から北陸新幹線直通利用に移ったほか、北陸新幹線連絡特急となった特急「サンダーバード」では満席になった日があり安くて極力着席したい人が新快速利用に流れ、特急「しらさぎ」は東海道新幹線からの乗り継ぎ以外にも名古屋発着利用が大幅に減ることとなった。

今後2025年3月にダイヤ改正を控える中、北陸新幹線や北陸特急「サンダーバード」や「しらさぎ」でどのようなダイヤ改正を行うのか、見守ってゆきたい。

2024年3月鉄道ダイヤ改正まとめはこちら!

関連情報:ゴールデンウィーク期間のご利用状況について – JR西日本

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