JR西日本近畿統括本部は2020年12月18日、プレスリリースにて2021年3月13日にダイヤ改正を行うと公表した( 2021年3月ダイヤ改正について )。今回はこれについて見ていく。
2021年3月13日JR西日本近畿統括本部ダイヤ改正のうち終電繰り上げについてはこちら!
1. 大阪環状線で減便へ
今回の2021年3月13日JR西日本近畿統括本部ダイヤ改正では、終電繰り上げの他にも減便を図る。
今回のダイヤ改正では大阪環状線で昼間に減便を図る。
土休日午前のJRゆめ咲線毎時4本のうち大阪環状線京橋乗り入れの毎時2本を短縮し西九条折返しとなる。
まあUSJの利用が落ち込んでいるので仕方ないのだが、福島や天満、桜ノ宮は快速(大和路快速や関空快速・紀州路快速)が停まることから毎時12本の乗車チャンスがあるが、野田は毎時6本から毎時4本に停車回数が減ってしまうのだ。大和路快速だけでもいいから野田に停めてほしいと思うのは気のせいだろか。
また今回のダイヤ改正ではJRゆめ咲線で平日朝ラッシュ時の2往復を減便している。この列車は前回2020年3月13日JR西日本近畿統括本部ダイヤ改正で増発した列車なのだが、そのために323系を1本多く投入したよね?土休日ならUSJ需要が減ったということで説明がつくけれども、平日朝ラッシュ時の減便は見込みが甘かったと言わざるを得ないだろう。
2. 湖西線で減便へ
今回の2021年3月13日JR西日本近畿統括本部ダイヤ改正では、湖西線で昼間に減便を図ることとなった。
今回のダイヤ改正では湖西線で昼間の普通列車のうち、全日運転の堅田~近江舞子間の毎時1本及び土休日運転の京都~堅田間の毎時1本を減便する。
今回減便するのは下り(近江塩津方面)は大津京、上り(京都方面)は堅田で新快速に抜かれる普通列車なので、京都先着列車の運転間隔はほぼ変わらない。そもそも京都~堅田間の新快速と普通の停車駅の差は唐崎とおごと温泉しかないし、大阪方面と行き来したければ山科で琵琶湖線新快速に乗り換えればいいだけの話なので影響は小さい。
これにより小野や和邇は昼間毎時2本しか電車が停車しなくなる。まあ蓬莱・志賀・比良の3駅は乗車人員1,000人程度しかいないので昼間毎時2本、いや毎時1本でも十分で、昼間に毎時3本も普通を運転していたのは小野や和邇のためなのだが、一応和邇では折返しはできなくはないが強風による運転見合わせ時などの緊急時専用の粗末な渡り線しかなく、貨物列車や特急「サンダーバード」が行き交う中昼間に和邇折返しを設定するのは不可能に近い。
まあ昼間毎時2本だとしても均等30分間隔で運転すればいいのだが、特急「サンダーバード」や貨物列車の兼ね合いで昼間の普通列車はパターンダイヤ時間帯でも42分空いてしまうのである。
もっとも新快速が1986年11月1日ダイヤ改正~1996年3月16日ダイヤ改正まで実施していた小野や和邇への停車を行えば乗車チャンスが減ることもなかったし最大25分間隔で済んだのだろうが、小野はホーム長の関係から8両までしか停車できず終日12両運転を行っている新快速は停車できない。湖西線はホーム長を中途半端にケチった駅がそこそこあることから他駅でうまく設備を使いきれていない。
3. 嵯峨野線で減便へ
今回の2021年3月13日JR西日本近畿統括本部ダイヤ改正では、嵯峨野線で昼間に減便を図ることとなった。
これまで嵯峨野線の昼間は京都発着で快速毎時1本、普通毎時4本の合計毎時5本での運転で普通列車は京都~嵯峨嵐山間で15分間隔で設定していたが、今回のダイヤ改正で昼間普通のうち京都~嵯峨嵐山間運転の毎時1本を削減することとなった。これにより京都~嵯峨嵐山間で昼間の普通は毎時4本から毎時3本に減便し、20分間隔での運転となる。そもそも京都~嵯峨嵐山間は観光客の利用が多かったから、このご時世で大幅に利用が減り減便対象となったのはやむを得ない。
まあ湖西線では昼間の普通列車の運転間隔がバラつき毎時2本でも40分列車が来ないなんてこともあるが、嵯峨野線ではキチンと等間隔に列車を配置することができている。これは嵯峨野線は2017年3月4日ダイヤ改正まで通常ダイヤは昼間の普通が毎時3本だったため直近の実績があったこと、貨物列車の運転がなくJR貨物との調整が要らないこと、特急列車も毎時1本程度の運転のため調整がしやすいのだろう。
このほか奈良線では2020年12月16日に山城多賀~玉水間を複線化したが、今回のダイヤ改正では平日朝ラッシュ時を含め大きな変化はない。平日朝ラッシュ時の抜本的なダイヤ改正は京都~城陽間の完全複線化まで持ち越しとなりそうだ。
4. 播但線で増発へ!
今回の2021年3月13日JR西日本近畿統括本部ダイヤ改正では、播但線で増発を図る。
今回増発するのは姫路~福崎間の3本となっている。これにより播但線姫路~福崎間は普通列車が昼間毎時2本設定することとなった。
ただ播但線の普通電車はJR西日本最古参の103系のままである。105系4ドア車は227系により置き換わったが、今のところ播但線や加古川線、和田岬線の103系の置き換えについて何も情報がない。そう考えると、2023年までに大和路線の201系を221系に置き換えた際に余剰となった製造後40年経つ201系を播但線や加古川線、和田岬線に転属させるのではないだろうか。
なお今回のダイヤ改正では今回のご時世より前から空いてきていた平日朝ラッシュ時の減便は行わなかった。JR京都線・JR神戸線の平日朝ラッシュ時は新快速毎時7本、快速毎時7本、普通毎時14本の運転があるが、一度2013年3月16日ダイヤ改正で普通と快速1本ずつを減便している。正直8分30秒サイクルから10分サイクルに減便しても待ち時間に大差はないので減便しても良かったのではないかとは思うが。
このほかJR西日本では旅客の大幅減により2020年度は大幅な赤字を見込んでいるほか、2021年度以降も黒字化は厳しい。それもありJR西日本ではICカードICOCA利用可能駅相互間の普通回数券を全面廃止することとした。
これに合わせICOCAポイント付与率を10%から15%に上げるとしているのだが、そもそもICOCAポイントは同一運賃区間の同一月内11回目以降からじゃないと付かないので基本的に割引率9.1%の普通回数券に劣ってしまうのである。しかもJR西日本では大阪~京都・三ノ宮間などで11枚つづりの回数券を9枚分のねだんで発売しており、割引率が18.2%となっていることを考えると確実に損である。もっとも9枚分の運賃で11枚つづりの回数券を買える区間は元昼間特割きっぷ(6枚つづり)設定区間のため平日昼間や土休日終日に4階以上利用すると30~50%のICOCAポイントがもらえるのだが、だったら今回の普通回数券廃止に伴うポイント付与も回数券の枚数の過半数を超える6回目の利用から割引を付ければよかったではないか。
まあポイント付与率が上がるからいいじゃないかという人もいるだろうが、ポイントなんていざという時になくせるものなので、結果割引サービスの廃止が目に見えている(実際にこのご時世により2021年に西日本鉄道nimocaポイントや東京都市圏の大手バス会社の多くでPASMOのバス特を廃止している)。
もっともJR四国やJR北海道への補助向けの青春18きっぷを2倍程度に値上げしJR西日本の取り分も設定すれば多少緩和する可能性もあるが、お遊び向けの青春18きっぷの価格を据え置くことで日常使うことも多い回数券が廃止し実質値上げするとなるとたまったものではない。普通回数券を廃止するより前に安すぎる青春18きっぷやジャパンレールパスを値上げしてお遊びの人たちから高値でとる方が先決のはずだと思うが。
5. 結び
今回の2021年3月13日JR西日本近畿統括本部ダイヤ改正ダイヤ改正では、大阪都市圏での大規模な終電繰り上げの他、大阪環状線や嵯峨野線、湖西線で昼間の減便を図ることとなった。
今後JR西日本近畿統括本部でどのようなダイヤ改正を実施するのか、見守ってゆきたい。
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