京浜急行電鉄では毎年10月~12月ごろにダイヤ改正を実施している。今回はこれから2024年実施の京急電鉄ダイヤ改正について予測していく。
1. 乗務員不足のはずの京浜急行バスで増発へ!
2023年以降、2024年からのバストラック乗務員の労働環境改善という名の労働時間短縮により全国的にバスが減便している。
京浜急行電鉄沿線で展開している京浜急行バスも例外ではなく、順次減便しているほか井30系統大井町駅~お台場循環のように2024年2月29日に廃止になった路線もある。
ただそんな中で増便しているバス路線があるのである。1つは金沢八景駅~関東学院循環。平日は昼間毎時3本の20分間隔だったところ、毎時5本の12分間隔に増発している。関東大学金沢八景キャンパスなんて金沢八景駅から徒歩15分で着くんだから大学生なんだから歩けよと思うし、そんなに利用者がいるなら京急本線金沢八景~追浜間に新駅を設置しろと思うが(なんなら金沢八景~追浜間の京急本線横は京急関連企業の社有地が多いので駅設置はそこまで難しくなかったりする)。ただ休日毎時2本30分間隔運転から終日全便運休にしたあたり、休日の運休による乗務員行路削減分を平日に移したようだ。乗務員としても休日に休みを取りやすくなっているので改善と言えるだろう。
そしてもう1つ増便しているのが追浜駅~たかとり団地循環である。このバスは西武不動産が追浜駅西側に開発した湘南鷹取へのバスで、2024年9月1日ダイヤ改正で全日ほぼ終日毎時3本20分間隔から毎時4本15分間隔に増発しているのである。そもそも湘南鷹取は追浜駅から徒歩約20分で到達できるので自転車で来駅する人も多く朝夕に通勤通学目的であまりバスを使ってもらえないことからほぼ終日同じ本数での運行となっており、減便したって歩いたり自転車で行けばいいだけのバスなのだが、そんなバスが増発しているのである。さらに先述の関東学院循環のような休日運休による乗務員行路調整もない。
しかも追浜駅は特急停車駅で、昼間は20分に1本の特急の停車がある。バスが20分間隔であるなら特急と運転間隔が合うので使いやすいが、15分間隔となると特急と合わずに追浜駅での待ち時間が増えるだけである。30分間隔への減便であれば乗務員不足による減便だとわかるが、特に混んでもいないのに列車接続が悪くなる15分間隔への増発をわざわざする必要はないだろう。
そう考えると追浜駅~たかとり団地循環線の毎時3本から毎時4本への増発は、かなり近い時期に特急が毎時3本から毎時4本に増発するための布石としてあらかじめ増発したのではないだろうか?
また京急バスでは昼間毎時2本の30分間隔運行路線についてはこれ以上の減便を減速していない(減便したのはのちに廃止となったお台場循環くらい)。神奈中バスが30分間隔から40分間隔や45分間隔にどんどん減便しているよりかは良心的で、毎時3本から毎時2本に減便した路線もあることから昼間30分間隔の路線が増えている。しかも1つの駅から20分間隔の系統1系統ということはまれで、2系統出ている場合一部重複区間で約15分間隔で運行している。このため15分間隔で快特や特急、急行を運転してくれると30分間隔のバスからの乗り継ぎに便利になるのである。
そこで今回は2024年11月ごろに実施する京急電鉄ダイヤ改正で20分サイクルダイヤから15分サイクルダイヤに変更した際にどのようなダイヤ改正となるのか、組み立てていこう。
2. 京急普通車は毎時4本に減便か!
まずは地域輸送を担う普通車。
普通車は品川~浦賀間で昼間毎時6本の運転があるが、11時~15時は正直毎時4本の15分間隔でも座れるほどに空いている。
もっとも昼間の特急の運転がなかった2010年~2022年は特急停車駅の青物横丁や平和島、追浜で昼間は普通車毎時6本しか列車が来なかったこともあり、普通車は席が埋まる程度の乗車があったが、2022年11月26日京急電鉄ダイヤ改正で快特のうち毎時3本を特急に格下げた結果、青物横丁や平和島、追浜や汐入の停車本数が増加、普通車が空くようになっている。
また京急蒲田~金沢八景間は急行が普通車の補完をしていることを踏まえると、正直各駅に停車する普通は毎時4本あれば十分運びきれてしまうのである。
なお普通車は2022年11月26日ダイヤ改正で待ち合わせ回数が増加したことにより駅停車時間が大きく増えており平和島では10分停車を行うほどであるが、15分間隔として快特や特急を平均7分30秒ごとに待避するようにすれば駅停車時間を減らすことができ利便性が向上する。輸送力は毎時6本から毎時4本へ33.3%の削減となるが、普通車の運行行路は昼間は半分で済むようになるため50.0%も削減できる。減便以上に乗務員行路を削減することができ他列車の増発に充てることができるのだ。
また逗子線も昼間毎時6本も必要なく、4両編成毎時4本で十分運びきれる。このため減便しても問題はない。
一方大師線は隣駅間輸送密度から算出したところ昼間は4両編成毎時5本が必要ですので毎時4本では運びきれないので減便はしないだろう。
3. 快特特急合わせて昼間毎時8本に増発か!
次に快特・特急。
他方昼間の快特・特急が合わせて8両編成毎時6本しかなく、平日は品川~京急蒲田間と横浜~上大岡間で、土休日は品川~横須賀中央間で座りきれず輸送力が足りていない。
そこで20分サイクルから15分サイクルへの変更に合わせ快特毎時3本と特急毎時3本を快特毎時4本と特急毎時4本に増発することで輸送力増強を図るのではないだろうか。
ただし平日昼間11時~15時ごろは金沢八景~横須賀中央間は8両編成なら毎時6本、6両編成でも毎時8本で運びきれてしまうため、現状の毎時12本運転のは供給過剰となっている。金沢文庫以南の快特・特急も空いているので快特を京急久里浜発着から金沢文庫発着に短縮し減便する可能性は高そうだ。ただ金沢文庫で浦賀発着の普通と接続することで横須賀中央先着毎時8本に利便性を高められることを踏まえるとそこまで利便性が下がることはないだろう。
また京急電鉄では久里浜線京急久里浜~三崎口間の系統分割と減車を図ることで目視によるワンマン運転を行う可能性もある。これも踏まえると平日昼間は特急毎時4本の運転として京急久里浜で系統分割、普通毎時4本ワンマン運転とする可能性はある。一方土休日は快特と特急が毎時8本で京急久里浜まで延伸することから、ここから系統分割するとなると土休日昼間に京急久里浜で毎時12本の折り返しが発生してしまう。とてもじゃないが2面3線で品川方面は中線でしか折り返せない京急久里浜では不可能だし、土休日の系統分割は三崎市から反感を買う恐れが高い。そう考えると久里浜線京急久里浜~三崎口間の系統分割をするとしたら平日昼間に限るだろう。
また土休日昼間の久里浜線京急久里浜~三崎口間は三崎市からの要望で毎時6本のところ、15分サイクルダイヤとなれば毎時4本に減るわけだが、単線区間もあり列車交換の都合上毎時8本運転できないため毎時4本に削減するとなれば減便しやすいだろう。
またこれに合わせ横浜方面急行も昼間毎時3本から毎時4本に増発するだろう。土休日夕方の羽田空港始発横浜方面急行がかなり混み合っていることを踏まえれば、土休日夕方も含めて増発してほしいところだ。ただ、8両運用の快特特急が増えるため土休日を中心におおむね8両で運転している急行は6両への減車が必須となる。増発しても急行の輸送力増加は難しそうだ。
4. 羽田空港方面も増発可能に!
また15分サイクルとすれば羽田空港方面への増発も可能となる。
羽田空港発着は2022年11月26日京急電鉄ダイヤ改正で昼間毎時3本減便したが、羽田空港利用者が増えているため空港線内各駅停車の特急・急行を中心に混雑するようになっている。
羽田空港方面へは横浜・川崎からは先着直通列車が昼間毎時3本から毎時4本に増発可能なほか、品川都心方面も昼間毎時6本(エアポート快特毎時1.5本、快特毎時1.5本、特急毎時3本)から毎時8本(エアポート快特毎時2本、快特毎時2本、特急毎時4本)に増発可能になります。国内旅行客増加のほか羽田空港発着国際線も増やして混雑していますから、増発して利便性を上げることで東京モノレールとの競合力を上げることも可能となる。
もっとも空港線内各駅は毎時6本で構わないのであれば品川方面特急毎時4本中毎時2本を急行に格下げして特急は京急蒲田~羽田空港間ノンストップ運転でもいいだろうが、麹屋と大鳥居の乗降客数が多いこと、天空橋最寄りの羽田イノベーションシティ開業により催事時によく混むことから毎時8本の各駅停車があってもいいのではないだろうか。
5. 都営浅草線直通の配分に変更ありか
ここまで京急線内はおおむね20分サイクルから15分サイクルに変更しても問題はない、いやむしろ様々なところで接続改善を図ることができるので利便性が上がることが分かった。ただ、京急だけでは完結できない問題点がある。それが都営浅草線への直通だ。
2024年現在現状京急から都営浅草線直通は昼間毎時9本(このほか泉岳寺始発終着毎時3本)のところ、昼間毎時8本または毎時10本(このほか泉岳寺発着は毎時4本)に変更する可能性がある。泉岳寺発着は都営浅草線と対面乗り換えできるが、泉岳寺駅引き込み線が今のことろ1線しかないためこれ以上の泉岳寺発着列車の増発ができないためである。
ただ快特・特急・羽田空港発着列車が昼間毎時12本から毎時16本になるとすると毎時4本品川発着の折り返し列車が用意しなくてはならない。おそらく歴史的経緯も踏まえると快特毎時4本が品川折り返しに短縮するのではないだろうか。
ただ本線快特毎時4本すべてが昼間も品川発着となると利便性が低下する。もし羽田空港発着品川方面列車をエアポート快特毎時2本と特急毎時4本とすれば現状と同じ毎時6本で済むので、本線快特の品川折り返しを増発分の毎時2本のみにすることができるほか、エアポート快特の続行とすることで品川での乗り換え時間も短くすることができる。毎時6本は泉岳寺乗り入れを維持するのであれば上大岡・金沢文庫からの泉岳寺直通列車は毎時6本のまま変わらないので利便性が下がることはなさそうだ。
もっとも泉岳寺駅は駅改良工事中で、2029年までにホーム拡張に合わせ引き上げ線が1線から2線に拡張し折り返ししやすくなる。そうなれば本線快特が泉岳寺発着に戻る可能性が高いだろう。
また羽田空港発着列車も2027年以降の羽田空港駅引き上げ線増設で増発が可能となる。そうなれば泉岳寺~羽田空港間での増発が可能になるだろう。
なお都営浅草線では泉岳寺~西馬込間が昼間毎時6本しか運転しなくなっているが、15分サイクルダイヤになれば毎時8本への増発の可能性もある。かつて昼間毎時9本運転でしたから少し戻ったと言っていいだろう。
6. 京急15分サイクルダイヤは結局どうなるのか
では京急電鉄が昼間20分サイクルダイヤから15分サイクルダイヤに変更する場合、各種別や運行系統ごとの運転本数はどのようになるのか。
- 快特泉岳寺~金沢文庫(土休日は京急久里浜まで延長):毎時2本
- 快特品川~金沢文庫(土休日は京急久里浜まで延長):毎時2本
- 特急高砂~京急久里浜(土休日は三崎口まで延長):毎時4本
- エアポート快特成田空港~羽田空港:毎時2本
- 急行北総線~羽田空港:毎時4本
- 急行羽田空港~逗子葉山:毎時4本
- 普通品川~浦賀:毎時4本
- 普通京急久里浜~三崎口:平日のみ毎時4本、4両編成ワンマン運転実施
- 普通京急川崎~小島新田:毎時6本
このように組むことができるだろう。
7. 総理大臣を複数輩出する京急沿線で衆議院議員選挙期間中にこんな大規模なダイヤ改正の告知をするのか
京急の15分サイクル化により北総・京成まで白紙ダイヤ改正級の大大規模ダイヤ改正になると見込まれる中、こんな大規模なダイヤ改正を衆議院選挙期間中に公表するだろうか。
そもそも京急沿線は横須賀市・三浦市を選挙区とする衆議院選挙区神奈川11区から小泉純一郎、横浜市南区・港南区(井土ヶ谷や上大岡)を選挙区とする衆議院選挙区神奈川2区から菅義偉を輩出するなど歴代内閣総理大臣を複数輩出する私鉄戦線である。
歴代内閣総理大臣輩出数は群馬県や山口県が多いとしているが、群馬や山口は世襲系凡人総理が多いのに対し京急沿線は変人奇人奇才系内閣総理大臣が多いのが特徴である。
そんな中京急沿線は私鉄沿線にもかかわらず過去30年以内に2人の内閣総理大臣を輩出しており、私鉄沿線としては最多である。そして小泉は未だに強い。
そんな中東京に50分で行ける地方都市の小泉帝国・横須賀が不便になりうる京急のダイヤ改正の公表を衆議院選挙期間中にできるか、いやきびしくないか。そんな水を差すことはできなくないか。
そう考えるとここまで大きなダイヤ改正を実施する場合、公表は衆議院選挙の終わる2024年10月28日以降、ダイヤ改正実施は2024年11月下旬から12月の実施になるのではないだろうか。
8. 結び
今回の2024年11月京急電鉄ダイヤ改正では、20分サイクルダイヤから15分サイクルダイヤへの変更に伴い大規模なダイヤ改正が予測される。
ただ衆議院選挙とのからみで公表が2024年10月28日以降になる可能性が高いほか、ダイヤ改正実施が12月ごろになる可能性がある。
今後京急電鉄でどのようなダイヤ改正を実施するのか、見守ってゆきたい。
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