近畿日本鉄道は2022年2月24日、プレスリリースにて4月23日にダイヤ変更を行うと公表した( 2022年4月23日(土)ダイヤ変更について )。今回はこれについて見ていく。
1. 南大阪線で昼間の準急を系統分割へ
今回の2022年4月23日近畿日本鉄道ダイヤ変更では、2021年7月3日近畿日本鉄道ダイヤ変更以来約9か月半ぶりに南大阪線系統でダイヤ変更を実施する。
そもそも近鉄では京都市交通局烏丸線との兼ね合いで2022年は9月にダイヤ変更を実施する予定があったことから、4月に狭軌の南大阪線系統だけで単独でダイヤ変更を行うのは唐突と言わざるを得ない。
今回のダイヤ変更では昼間の南大阪線準急を古市で系統分割し、古市~橿原神宮前間で2両編成普通列車を運転、そのうちのほとんどでワンマン運転を実施する。
そもそも南大阪線では前回の2021年7月3日近畿日本鉄道ダイヤ変更で昼間の古市~橿原神宮前間の普通毎時2本(古市で河内長野始発の準急へ連絡)を廃止し、急行毎時2本を区間急行に格下げし準急毎時2本を維持した。そこから準急を古市止めに短縮し古市~橿原神宮前間の普通毎時2本を復活させたということは、この1年で正味減ったのは古市~橿原神宮前間の普通毎時2本ではなく準急毎時2本ということになる。
これにより区間急行通過駅から昼間に大阪阿部野橋へ直通する列車がなくなるわけだが、せめて救済として乗降客の多い上ノ太子に区間急行を停車させて大阪阿部野橋への直通列車を確保しようと思わないのだろうか。
このほか南大阪線では昼間の藤井寺~古市間の普通のうち2往復を減便する。
2. 吉野線でワンマン化へ
今回の2022年4月23日近畿日本鉄道ダイヤ変更では、吉野線でワンマン運転を復活する。
そもそも吉野線では1996年10月4日ダイヤ変更より橿原神宮前~吉野口間を運転する区間運転列車をワンマン化したが、2010年3月19日ダイヤ変更で車掌乗務のツーマン運転に変更している。
これはそもそも吉野口発着の2両編成が間合い運用に近かったこと、また吉野発着列車はほとんどが南大阪線大阪阿部野橋発着の急行として4両編成で運転していることから、ワンマン化してこなかった。これは前回の2021年7月3日近畿日本鉄道ダイヤ変更で昼間の急行を区間急行に格下げし橿原神宮前行きに変更した後でさえも車両は吉野まで直通して運転していた。
しかし今回のダイヤ改正では昼間の南大阪線急行及び区間急行を橿原神宮前で系統分割し、橿原神宮前~吉野間は昼間は2両編成のワンマン運転を行うこととなったのだ。
今回のダイヤ変更では平日は急行と区間急行合わせ12往復を、土休日は10往復を橿原神宮前で系統分割し、大阪阿部野橋~橿原神宮前間は主に4両、橿原神宮前~吉野間は2両編成の普通列車をワンマン列車として運転する。
これにより6400系列では2両編成のワンマン対応車両を拡大するが、この改修作業がJR西日本のダイヤ改正日である3月12日までには間に合わないためダイヤ変更日を4月23日にしたのだろう。
なおこれで昼間に大阪阿部野橋と吉野を直通する料金不要列車がなくなるわけだが、引き続き直通運行をする特急列車は概ね2時間間隔のまま変わりない。2022年3月12日小田急電鉄ダイヤ改正で土休日昼間の快速急行の片瀬江ノ島乗り入れ廃止に伴う特急ロマンスカー「えのしま」の増発のように吉野線特急も多少増発しても良かったとは思うのだが。
ただ、南大阪線系統ではもう20年も新車を投入していない。最たる理由は主力の6400系列が1986年~1993年に投入した車両のためそこまで老朽化していないというのが一番だが、6020系と6200系は車齢50年以上の車両も出始めていることを考えるともうそろそろ新車を投入すべきではないかとは思うが。
また、近鉄ではワンマン運転は急行運転線区では2両でしかやらないようだが、東武鉄道では2006年3月18日ダイヤ改正より3両や4両ワンマン運転を行っているほか、JR西日本では2018年3月17日ダイヤ改正より阪和線羽衣支線に限り4両ワンマン運転を開始している。また2020年3月14日ダイヤ改正からJR東日本でも5両編成のワンマン運転を開始していることを考えると、近鉄ももうそろそろ4両や5両でのワンマン運転を開始することを検討すべきなのではないだろうか。
もし4両や5両でワンマン運転ができるようになれば、南大阪線系統では昼間のほぼ全列車でワンマン運転が可能となり人件費をそれだけ削減することができるのではないだろうか。
3. ダイヤ変更に合わせ駅掲出時刻表をリニューアルへ
今回の2022年4月23日近畿日本鉄道ダイヤ変更に合わせ、南大阪線系統では駅掲出時刻表をリニューアルする。
そもそも近鉄の駅掲出時刻表は他社と異なり、行先・種別ごとに分けて記載している。もっともワンマン運転を行うような線区では他社の駅掲出時刻表とあまり変わりないと言われればそれまでだが、準急や急行を運転する線区では行先別に整理することで目的駅に到達する列車を素早く調べることができる( 近鉄公式の駅掲出時刻表はこちら )。
ただ、今回のダイヤ変更では南大阪線系統で駅掲出時刻表をリニューアルし、他社同様1つの表に複数の種別や行先をまとめて掲載するようになる。
もっともこの新駅掲出時刻表のメリットは列車のやって来る順番が分かることにあるため、需要が緩急分離していても準急や普通が同じホームから出発する河内松原や藤井寺ではメリットある。
ただ、種別ごとに乗り場を変えていて準急と普通の需要がほぼすみ分けられている大阪阿部野橋では新駅掲出時刻表はただ見にくいだけである。せめて大阪阿部野橋だけでも旧来の駅掲出時刻表を維持すべきだと思うが。
京都市交通局によれば2022年9月に烏丸線と直通する近鉄線でダイヤ変更を行うとしている。そう考えると今後ダイヤ変更に合わせ近鉄標準軌各線でも駅掲出時刻表をリニューアルする可能性が高い。大阪難波・大坂上本町・京都・近鉄名古屋などのターミナル駅ではただ見にくくなるだけなのでやめてほしいと思うところではあるが。
4. 結び
今回の2022年4月23日近畿日本鉄道ダイヤ変更では、南大阪線や吉野線で系統分割とワンマン化の拡大を図った。
ただ9月に大規模なダイヤ変更を控えているはずにも関わらず2両ワンマン化改修工事の完了からほどなくしてダイヤ変更を行うことを考えると余裕がないと言わざるを得ない。
今後近鉄南大阪線系統でどのようなダイヤ改正を実施するのか、見守ってゆきたい。
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