近畿日本鉄道は1月18日、プレスリリースにて2018年3月17日にダイヤ変更を行うと公表した( 2018年のダイヤ変更について )。今回はこのうち、近鉄名古屋線系統及び名張以東の近鉄大阪線について見ていく。
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1. 名古屋線の急行停車駅追加で普通列車短縮
2016年3月19日ダイヤ変更以来約2年ぶりとなる今回の2018年3月17日近畿日本鉄道ダイヤ変更では、名古屋線で急行停車駅が増加する。
新規停車となるのは南が丘と桃園で、津~伊勢中川間で急行が各駅に停車することとなった。2012年3月20日ダイヤ変更で大阪線・奈良線に区間準急が設定されてから減便色が濃いが、名古屋線ではJR東海関西線の快速「みえ」や快速電車対策の昼間の近鉄名古屋~近鉄四日市間運転の急行が準急に格下げされた程度で、大木根減便は成されてこなかった。それが今回の急行停車駅増加で津新町~伊勢中川間は普通列車が昼間は全滅し、ラッシュ時も大減便されることとなる。
まずは昼間。普通列車は近鉄名古屋~伊勢中川間通し列車が毎時1本、白塚~津新町~伊勢中川~賢島間が毎時1本、近鉄四日市~津新町間(但し近鉄名古屋~近鉄四日市間準急)が毎時1本、近鉄四日市~白塚間(但し近鉄名古屋~近鉄四日市間準急)が毎時1本運転されている。これが今回津~伊勢中川間で急行が各駅に停まるようになることから、津新町を跨ぐ名古屋線普通列車が全て津新町発着となり、白塚発着の普通列車も津新町以北と伊勢中川以南で系統分割されることとなった。
これにより、昼間は10時台~13時台の南が丘・桃園に停車する列車が毎時2本から毎時3本に増加し、名古屋線全駅で昼間毎時3本が確保されることとなった。ただ、久居は料金不要列車の停車が昼間毎時5本から毎時3本へ削減され、代替として料金の必要な特急が増停車することとなった。
また平日朝ラッシュ時は津新町~伊勢中川間で名古屋線上り(近鉄名古屋方面)普通列車が南が丘基準で6時台が4本あったものが全滅している一方、7時台は4本とも生存している。急行の運転本数に変わりないことから純増便ということになる。
一方、平日夕ラッシュ時は津新町~伊勢中川間で普通列車が毎時4本から毎時1本にまで削減されている。しかも南が丘基準で急行が毎時4本となる19時台と20時台は普通列車の運転がない。どうやら急行と普通列車合わせて毎時4本の利用チャンスということのようだ。これらの減便により、1運用浮くのは間違いない。
また、伊勢中川23時45分発最終白塚行きが5分繰り下がり、23時50分発となっている。
なお、近鉄名古屋~津新町間では1分程度時刻の繰り上げがある列車もあるが、運行本数に変更はなく、大きなダイヤ変更は行われないようだ。
2. 名古屋線も初終電延長で利便性向上へ
また今回の2018年3月17日近畿日本鉄道ダイヤ変更では、名古屋線で初終電の改善が行われる。
初電では、伊勢中川5時26分近鉄四日市行きが5時11分発に11分繰り上げられる。また白子5時45分発急行近鉄名古屋行きを津新町始発に延長することとなった。これにより津や津新町から近鉄名古屋への初電が15分繰り下がり(近鉄名古屋着時刻は同じ)、伊勢中川~南が丘の各駅からも初電が11分早くなったほか、近鉄名古屋到着も19分早くなることとなった。
次に終電について。津23時52分発最終普通伊勢中川行きが24時04分発に12分繰り下がることとなる。この普通列車は近鉄名古屋始発なので津で長時間停車することとなるが、これにより近鉄名古屋23時10分発の特急津行きから接続できるようになる。これまで特急津行きが終点津で接続するのは近鉄名古屋23時04分発の急行津新町行きであったが、今回津基準でこの急行津新町行きの4分前を走ることとなる普通伊勢中川行きに接続するようになることで津新町へも前の急行より速く到達することができ、なおかつ伊勢中川まで連絡することとなる。どうやらこの普通列車の繰り下げは特急誘導が盛り込まれているようだ。
3. 大阪線は伊勢中川口で増発
また2018年3月17日近畿日本鉄道ダイヤ変更では、伊勢中川口の大阪線が微増している。
まずは快速急行・急行から。五位堂5時42分発急行伊勢中川行きが新設され、代替として高安5時13分発初電普通名張行きが普通大和朝倉行きに短縮されている。また名張6時41分発急行近鉄名古屋行きが名張6時43分発急行伊勢中川行きに短縮されることとなった。なおこの急行は伊勢中川7時23分発急行近鉄名古屋行きに1分接続で乗り換えることができる。
なお、松阪5時41分、五十鈴川5時42分発、及び松阪6時49分発の快速急行大阪上本町行きは名張で系統分割され、ともに急行名張行きと名張始発快速急行大阪上本町行き(松阪6時49分発のみ青山町始発大阪上本町行き)となった。これにより青山町での快速急行の増結作業が減り、平日は鳥羽5時38分発の快速急行大阪上本町行きのみが山田線及び伊勢中川からの唯一の快速急行となるほか、土休日は山田線及び伊勢中川からの大阪線快速急行は全廃されることとなった。
また東青山~伊勢中川間では増発が成され、伊勢中川行きは朝7、18、20、22時台に普通が1本ずつ増発している。また6、7、17、21時台に普通東青山方面も毎時1本ずつ増発され、合計4往復8本が増発されることになる。これは先述の快速急行の急行格下げにより榊原温泉口→青山町間が各駅に停車することとなったため、青山町発着の2両編成普通列車を東青山発着に短縮できるようになり、運用が余ったため増発にこぎつけられたものと思われる。
4. 山田線で急行の延長へ
また今回の2018年3月17日近畿日本鉄道ダイヤ変更では、山田線でもダイヤ変更が行われる。
先述した名古屋線津~伊勢中川間の急行の各駅停車化により山田線普通列車が原則伊勢中川発着となるが、それ以外にも5時台~6時台にかけて伊勢中川始発近鉄名古屋行き急行2本が松阪始発に延長される。JR東海の快速みえの初列車が松阪7時29分発で名古屋8時50分着であることからもはやライバルにもならないが、近鉄大阪線の五位堂強化もさることながら今回のダイヤ変更では競合区間とはいえ明らかに近鉄が優位に立っているエリアでも利便性の向上が図られている。但し平日朝ラッシュ時には宇治山田6時31分発伊勢中川7時12分着普通列車が減便され、また伊勢中川20時59分発普通五十鈴川行きも削減されている。山田線でも1運用浮くことになりそうだ。
さらに志摩線に移ると、平日のみ鳥羽5時39分発快速急行大阪上本町行きが設定される。この快速急行は五十鈴川始発から延長されたものであるが、鳥羽~伊勢市間では各駅に停まることから普通列車から置き換わったらしい。その代わり鳥羽8時台発の急行(大阪上本町行きと近鉄名古屋行き各1本ずつ)が全滅し、普通列車に置き換わっている。おそらく減車が絡んでいるのであろう。引き続き初電について見ていくと、明星5時06分発普通賢島行き初電が鳥羽行きに短縮され、志摩線の初電は鳥羽5時35分発から5時53分発に18分繰り下がる。また志摩線逆方向の賢島発伊勢中川行き初電は5時15分発から5時09分発に繰り上がる。これは宇治山田始発急行近鉄名古屋行きが6時16分発から6時08分発に8分繰り上がるため、それに合わせたものであると考えられる。なおこの急行近鉄名古屋行きは近鉄名古屋到着時刻は変わらないため、2駅しか停車駅が増えないにもかかわらず8分所要時間が延びていることになる。
終電について見ていくと、伊勢中川23時49分発最終明星行きが1分繰り下がり、23時50分発となっている。また伊勢中川22時57分発鳥羽線内で最終列車となる普通鳥羽行きが2分繰り下がり22時59分発となるほか、鳥羽線に入る伊勢市、宇治山田、五十鈴川などの各駅からの最終は4分繰り下がることとなった。ただし、伊勢中川22時15分発志摩線内で最終列車となる普通賢島行きが7分繰り上がり、22時08分発となる。鳥羽線内・志摩線内でも賢島行き終電が2分繰り上がることとなる。また鳥羽発賢島行き最終が23時22分発から23時20分発に2分繰り上がっているが、五十鈴川から先は現在と時刻が変わらず運転される。志摩線の賢島発鳥羽方面の22時台普通列車が1本減っていることから、志摩線では1往復削減されたようだ。このように山田線・鳥羽線・志摩線でも初終電の変更があったにも関わらずプレスリリースに記載されていないのは、接続列車が不変かつ志摩線においては運行本数の微減が含まれているからではないだろうか。
5. 結び
今回の2018年3月17日近畿日本鉄道ダイヤ変更では、名古屋線の急行停車駅が増加することに伴い普通列車が津新町以北と伊勢中川以北でほぼ分断されることとなった。また名古屋線や山田線では一部で初終電の改善が行われたものの、志摩線では初終電付近で大きく見直しがされているところもある。
今後近畿日本鉄道が愛知県・三重県内でどのようなダイヤ改正を行うのか、見守ってゆきたい。
コメント
・津駅24時04分発の普通伊勢中川行き
この列車の津駅到着時刻は24時03分なので、津駅での長時間停車は行っていません。
近鉄の津駅ホームは1面2線構造で待避線がないため、同方向2列車の同時入線は不可能ですし、いくら終電時間帯でも1列車の長時間停車は出来ません。
実際の運用は津駅で後続の特急津行きを待つのではなく、普通伊勢中川行きが待避線のある江戸橋駅で特急津行きの通過待ちを行います。
特急津行きが乗客を降ろして回送として発車後、普通伊勢中川行きが入線することで接続が出来るのです。