神戸市交通局は2022年5月10日、プレスリリースにて6月10日にダイヤ改正を行うと公表した( 神戸市営地下鉄 西神・山手線、北神線ダイヤ改正 )。今回はこれについて見ていく。
1. 運用数据え置きも平日朝ラッシュ時に減便へ
今回の2022年6月10日神戸市交通局ダイヤ改正では、2006年12月1日神戸市交通局ダイヤ改正以来約15年7か月ぶりに地下鉄西神・山手線および北神線でダイヤ改正を行う。
地下鉄西神・山手線および北神線では2019年より新型車両6000形を続々投入しており、既に2000形と3000形を置き換えたほか一番古い1000形も順次置き換えている。近い将来地下鉄西神・山手線および北神線を運転する車両は6000形に統一する見込みだ。
今回のダイヤ改正ではホームドア設置に伴い駅停車時間が延長する。これにより新神戸~西神中央間の所要時間が1分15秒延びる。
これにより運用数の増加できない平日朝ラッシュ時は3分間隔から3分30秒間隔に延長し、輸送力を14.3%減少する。これで平日朝に2往復減便を図る。
なお平日・土休日昼間は7分30秒間隔(毎時8本)、平日夕ラッシュ時は5分30秒間隔の昼夕輸送力比73.3%のまま変わりない。
ただこのご時世で利用客が減っているはずの深夜時間帯の運転本数は据え置くこととなった。もっとも阪急電鉄や阪神電鉄では終電繰り上げを除く22時台・23時台の減便は行っていないので、他社と合わせる形で減便しなかったものと考えられる。
(2023.6.28 追記)なお今回のダイヤ改正で神戸市交通局西神山手北神線や24運用から23運用に1運用削減する見込みだ。
神戸市交通局では神戸市交通局西神山手北神線の老朽化した車両置き換え目的で新型車両6000系を投入し、2019年2月16日より運用を開始している。この置き換え対象は北神線を含む西神山手線全列車で、1000系・2000系・3000系・北神急行7000系となっている。
北神線は2020年5月31日まで神戸市交通局とは別の北神急行が運営していたため北神急行独自に予備車を保有していたほか、相互直通運転による車両走行距離調整もあったことから7000系を6両編成5本投入した。が、北神線が西神山手線を運営する神戸市交通局に統合したため相互直通運転による走行距離調整が必要なくなってしまった。
このため今回の1運用削減と合わせて車両新造数を削減することに成功、北神急行7000系5本を新型車両6000系たった1本で置き換えることとなった。
これに合わせ神戸市交通局では西神山手北神線の車庫を再編、名谷車両基地・西神車庫・北神急行谷上車庫の3拠点から西神車庫を廃止し、名谷車両基地と谷上車庫の2拠点とする。これにより運賃の値上げなく合理化を図る見込みのようだ。
2. 阪急神戸線との直通計画、事実上廃止か
神戸市営地下鉄西神・山手線はそもそも将来阪急神戸線と直通できるように車両及び設備を設計しているが、2022年時点でも直通運転を行っていない。
もっとも1977年の神戸市営地下鉄部分開業時点では阪急神戸線はおもに6両編成での運転だったため、神戸市営地下鉄も6両まで入線できるように設計していた。が、1997年の阪急神戸線の山陽電鉄乗り入れ中止により阪急神戸線の車両は8両固定化してしまった。これにより神戸市営地下鉄が阪急神戸線と直通するにはホームを8両に延ばさなくてはなってしまった。
またホームドアを整備するとなると停車位置が決まってしまいホーム延伸を図りにくいほか、車両側にもホームドア設置に合わせた設備を入れなくてはならない。
神戸市交通局では今回のダイヤ改正を行う原因となったホームドア整備と新型車両6000形への統一によりワンマン化を図ることができ、車掌の人件費を削減することができる。
もっとも神戸市交通局内だけで完結すればその対応車両数も少なくて済むが、阪急神戸線と直通するとこのホームドア対応およびワンマン化対策費用がさらに莫大になることが分かったことから、2020年に阪急神戸線との直通運転の事実上中止を判断せざるを得なくなったのだろう。
つまり地下鉄西神・山手線および北神線の6000形への統一とホームドア設置は阪急神戸線との直通運転を行わないことを明示しているようなものと言えるだろう。
そもそもダイヤ面を見ても神戸市交通局は昼間7分30秒間隔、平日夕ラッシュ時5分30秒間隔と阪急神戸線のともに10分サイクルダイヤと合わないので大きく調整が必要だ。
また神戸市営地下鉄沿線から大阪に行くには阪急に乗り換えるよりJR神戸線新快速に乗り換えた方が速いし通勤定期代も安いわけで、会社から最安経路でしか定期券代を支給されないところが多いとなると神戸市営地下鉄と阪急神戸線が直通したところで三宮でJR神戸線に乗り換えるのがオチである。直通運転しても千葉急行電鉄(現在の京成千原線)の二の舞になってしまった可能性を考えると、直通運転をあきらめ経費節減に至った点はこのご時世を踏まえても合理的な判断と言えるのではないだろうか。
3. 結び
今回の2022年6月10日神戸市交通局ダイヤ改正では、西神・山手線で約15年ぶりにダイヤ改正を行うこととなった。
ただ今回のダイヤ改正は阪急神戸線との直通運転が事実上不可能になるものであり、今後も谷上~西神中央間をひたすら往復することを決意したようにも感じる。
今後神戸市交通局でどのようなダイヤ改正を行うのか、見守ってゆきたい。
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