弘南鉄道は2019年9月2日、プレスリリースにて10月1日に弘南線と大鰐線でダイヤ改正を行うと公表した( 弘南鉄道弘南線・大鰐線 ダイヤ改正について 2019/10/1~ )。今回はこれについて見ていく。
1. 4両運転廃止で全列車2両運転へ
今回の2019年10年1日弘南鉄道ダイヤ改正では、2013年7月27日ダイヤ改正以来約6年2か月ぶりに弘南線でダイヤ改正を実施する。
まずは所要時間について。今回のダイヤ改正より所要時間が延び、弘前~黒石間で29分だったものが弘前→黒石間で36分、黒石→弘前間で34分と大幅に伸びている。
今回のダイヤ改正では弘南線では朝の減便はなく30分間隔での運転が維持されるものの、朝の1往復に限り運転していた2両編成を2本つなげた4両での運転が今回のダイヤ改正より全列車2両での運転となり、4両での運転が消滅することとなった。
なお運用繰りの関係で、弘前6時00分発黒石行き初電は弘前6時08分発に8分繰り下がることとなった。
また昼間は1時間間隔での運転に変わりないものの、1時間間隔で運転する時間帯が前に2時間、後ろに2時間拡大し、黒石発8時台~15時台、弘前発9時台~16時台は1時間に1本のみの運転となった。
また夕ラッシュ時は所要時間が延びたためか、30分間隔から35分間隔に延長することとなった。これにより輸送力が14.3%減少することとなり、昼夕輸送力比も50.0%から58.3%に変更することとなった。
これに伴い終電も繰り下がり、弘前発黒石行きは弘前21時30分発から21時40分発に、黒石発弘前行きは黒石21時20分発から21時30分発に、ぞれぞれ10分繰り下げられた。
これにより弘南線では今回のダイヤ改正で29往復から23往復に削減することとなった。
2. 初電繰り下げとラッシュ時の減便へ
また今回の2019年10年1日弘南鉄道ダイヤ改正では、2009年11月9日ダイヤ改正以来約9年10か月半ぶりに大鰐線でダイヤ改正を実施する。
まずは所要時間から。今回のダイヤ改正では先述した弘南線同様大鰐線でも所要時間が延び、中央弘前→大鰐間は28分から34分に、大鰐→中央弘前間は28分から35分にそれぞれ伸びることとなった。
ではダイヤはどのように変化したのだろうか。まずは初電から。今回のダイヤ改正では初電が大幅に繰り下げられ、大鰐6時20分発中央弘前行き初電は大鰐6時50分発に30分繰り下がり、中央弘前6時10分発大鰐行き初電は中央弘前6時50分発に40分繰り下がることとなった。これにより初電の1往復がほぼそのまま廃止されることとなる。
また朝は大鰐8時50分発中央弘前行き及び中央弘前9時00分発大鰐行きが廃止となった。
その後昼間は1時間間隔のまま変わりないが、平日夕ラッシュ時も40分間隔から昼間同様60分間隔に延長し、中央弘前発及び大鰐18時台発の1往復が減便することとなった。これにより夕ラッシュ時に輸送力が33.3%減少することとなり、昼夕輸送力比も66.7%から100.0%に変更することとなった。
これにより今回のダイヤ改正で大鰐線では20往復から17往復に減便することとなった。
なおこれまで列車番号は初電から終電まで公差2の等差数列になるよう付番されていたが、今回のダイヤ改正より朝の1往復のみ70番台を名乗ることとなった。今のところ土休日運休になっている様子はないのだが、早々に廃止に追い込みたい1往復なのかもしれない。
今回の弘南鉄道ダイヤ改正を見る限り、弘南線・大鰐線ともに所要時間の延長や運転時間の大幅な短縮、運用本数の削減など、大幅な運営合理化を図っている。運用本数の削減は地方鉄道の縮小ダイヤ改正でよくあることだし、運転時間の短縮もままあることなのだが、所要時間の延長はなかなか少ない。
1分~2分程度の延長なら余裕時分をとったのだろうと分かるのだが、30分足らずの所要時間に対し5分以上伸ばすのは余裕時分の確保だけでは説明がつかない。また同じく青森県内を走る津軽鉄道は夏ダイヤと冬ダイヤを設定しているが、弘南鉄道のダイヤ改正が少なくとも6年以上実施していないとすると、冬の積雪に伴う減速運転を反映しているとも言えない。
このことから、今回の所要時間延長はおそらく、JR西日本が地方線区で保守点検を減らすために実施しているカーブでの減速運転を含んでいるのではないだろうか。カーブを高速で通過する列車を減らすことにより保守点検にかける時間と費用を減らし、経営を合理化しようとしているのではないだろうか。
3. 結び
今回の2019年10年1日弘南鉄道ダイヤ改正では、弘南線と大鰐線の両線で同時にダイヤ改正を実施した。
ただ、所要時間の延長や運転時間の大幅な短縮、運用本数の削減など、運営合理化を図っている節が見て取れる。
今後弘南鉄道でどのようなダイヤ改正を実施するのか、見守ってゆきたい。
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