KORAILは2019年12月26日、プレスリリースにて12月30日にダイヤ改正を行うと公表した。今回はこれについて見ていく。
1. 夜行急行1往復削減へ
今回の2019年12月30日KORAILダイヤ改正では、京釜線ソウル~釜山間で運転している夜行ムグンファ号を廃止した。
そもそも韓国は国土が狭い(というか本来の半分しかないと言った方が妥当か)かつ陸路で行ける国が事実上ないため、長距離列車を運転しようにも日本の寝台特急のような1,000km超えの列車を設定することができず、せいぜいソウル~釜山間の440kmが関の山である。これは日本では東海道本線東京~米原間や上越線・北陸本線などの東京~金沢間とほぼ同じ距離で、快速ムーンライトながらや急行「能登」レベルの距離しか稼げない。
よって韓国の夜行列車は1泊列車と言ってもかなり早朝に到着列車するほか一時期は寝台車がついていたものの21世紀に入って全廃、全て座席車での運転となっている。まあ座席は青函急行「はまなす」のドリームカー並みに快適なのではあるが。
廃止したのはソウル21時50分発ムグンファ1225号釜山行き(釜山3時08分着)と釜山21時45分発ムングファ1226号ソウル行き(ソウル3時14分着)の1往復となっている。一部区間のみの存続など救済措置はない。
もっとも京釜線は京釜高速線と並走しており高速線では高速列車KTXの運行があるが、韓国の場合日本と違い24時を過ぎても列車の営業ができるため平気で在来線夜行列車より遅いソウル22時30分発のKTX釜山行きを設定する始末である(金土日曜はソウル22時50分発も運転)。
東海道本線寝台急行銀河の場合東京22時00分発大阪行きで設定していたが、バカみたいに高い寝台料金をとっても列車として成り立っていたのは、東海道新幹線の最終(銀河営業末期は東京21時20分発の「のぞみ」が新大阪行き最終だった)より東京出発時刻が遅かったためである。もっともブルートレイン車両の老朽化と夜行高速バスの台頭により2008年3月15日ダイヤ改正で消滅してしましまったが、もし夜行列車より遅くに出発する夜行列車の終点まで行く高速列車があったらもの好きじゃなければ高速列車に乗るだろう。
またソウル~釜山を結ぶ夜行列車と言う点では中央線経由の1往復が残るのだが、大阪~博多間を結ぶ夜行列車のうち山陽本線経由は廃止したけど新幹線の通っていない福知山線・山陰本線経由は残したようなものである。いやいや岡山や広島、京釜線でいえば大田や大邱から利用できなくなるのだが。
しかも韓国では近年在来線でも主要幹線を中心に線形改良して高速化を図ろうとしており(と言う名の実際は日本統治時代につくった構造物を壊して韓国国産鉄道にしたいという思惑もあるようなのだが。ちなみに同様のことを中国ではロシアや日本が鉄道設備を主に作った東北部で行っている)、2020年度内(一応2020年12月に切り替え予定だが、数カ月遅れは韓国ではよくあることなので、2021年2月~3月に遅延してもおかしくない)に中央線西原州~堤川間で線路付け替えを行い複線化と高速化を行おうとしている。
昼行列車の所要時間短縮を図るのは一向にかまわないが、夜行列車となるとかえって存続が仇となってしまう。しかも今後中央線も江陵線乗り入れKTXの他に高速列車を運転し京釜高速線の新慶州に接続して高速列車KTXをほぼ全線で運転させる計画があるようだ。まだ着工はしていないのだが、そうなったら韓国国内の夜行列車の全廃も秒読みじゃないか。
もっとも、韓国KORAILは韓国国鉄を民営化した企業体ではあるが、度々ストライキが出るほど労組との関係が悪いし採算も悪い。運転費用の掛かり保線の支障をきたす夜行列車が減便するのは致し方ないと言えば致し方ないのだろう。
2. 結び
今回の2019年12月30日KORAILダイヤ改正では、京釜線で夜行列車の減便が図られた。
今後新線開業が続く中、KORAILでどのようなダイヤ改正を実施するのか、見守ってゆきたい。
コメント