韓国鉄道KORAILは2020年12月28日、プレスリリースにて2021年1月5日に中央線西原州~鳳陽間で新線を付け替えるのに合わせダイヤ改正を行うと公表した。またSRは2020年12月29日、プレスリリースにて2021年1月5日に高速列車SRTでダイヤ改正を行うと公表した( SRT列車運行の調整通知 )。今回はこれについて見ていく。
1. 中央線新線付け替えで高速列車運転開始へ!
今回の2021年1月5日韓国鉄道KORAILダイヤ改正では、2020年12月17日韓国鉄道KORAILダイヤ改正以来約2週間ぶりにダイヤ改正を行った。
今回のダイヤ改正では中央線の新線付け替えをさらに行い、複線化と最高速度の250km/hへの引き上げを図った。
今回新線付け替えを行ったのは西原州~堤川間で、原州が南側に約2km移設することとなったほか、西原州が信号場から駅に格上げした。これにより中央線とKTX江陵線の分岐駅は万鐘から西原州に切り替わることとなった。この新線付け替えにより西原州~堤川間で58.2kmから45.7kmに12.5km短縮したほか、桐華・盤岩・神林の3駅は廃止することとなった。
今回の新線付け替えで中央線にもKTXを運転するようになった。今回KTX中央線で運転するのは新型車両KTX-イウムで、6両編成での運転となる。特室の代わりに優等室を1両連結しており、加算料金は特室の半額となっていることから比較的リーズナブルに利用できる。
KTX中央線は全列車清凉里~安東間の運転となっており、ソウル駅・龍山への乗り入れは行わない。定期列車が1日7往復、土日運転の臨時列車が1往復となっている。2時間に1本のみの運転であることからも韓国の高速列車としては極めて運転本数が少ないが、未だにKTX中央線は部分開業であり沿線に大田や大邱のような大都市がない(原州は30万都市だがKTX江陵線でも行けるし、堤川・栄州・安東はそれぞれ10~20万人程度しかいない)ことを考えると致し方ないのだろう。
このKTX中央線の運転開始により清凉里~栄州間で2019年時点で特急格電車ITX-セマウルで2時間40分かかっていたものが2021年開業のKTX中央線では1時間40分で到達できるようになり1時間程度短縮することとなった。
ただ新駅にして新たなるKTX江陵線との分岐駅に停車するKTX中央線はたった2往復しかないほか、KTX江陵線も定期列車は1日3往復、臨時列車を含めても1日5往復しか停車がなく、もはや使い物にならない。
また中央線原州の駅移転に伴い原州市街地から中央線原州とKTX江陵線万鐘の距離がほぼ同じになってしまった。またKTXの停車本数が万鐘の方が多いこと、KTX江陵線はソウル駅にも乗り入れることからから、結果的に原州よりも万鐘の方がソウル~原州市間の移動に便利になってしまっているのだ。おいおいKTX中央線があまり使い物にならないではないか。
このほかKTX京釜線やKTX湖南線、及び水西発着のSRTなどでも時刻修正を行った。
2. 在来線でも高速化実施も減便へ
今回の2021年1月5日韓国鉄道KORAILダイヤ改正では、中央線在来線列車でもダイヤ改正を行う。
中央線では清凉里~栄州間運転のITX-セマウル全2往復を廃止したほか、清凉里~安東間運転のムグンファ号5往復をヌリロ2往復に置き換え減便した。安東発着の急行格列車をヌリロに置き換えたのは移転した安東には転車台がなく機関車けん引のムグンファ号では折返しができないことから容易に折返しのできるヌリロ電車への置き換えとなったのだろう。なおヌリロ電車は運用数が限られていることから、太白線全6往復中5往復あったヌリロ電車運用がムグンファ号に戻ることとなった。
ただ特急格電車ITX-セマウルは廃止になったが、新線付け替えによる直線化と高速化により急行格客車ムグンファ号でも清凉里~栄州間を最速2時間09分で結べるようになってしまったのである。そりゃあかつての特急格電車より30分も早く急行格客車が到達できるようになるのであれば特急格列車なんて必要なくなってしまうわけで、むしろ高速列車KTXとムグンファ号が30分程度しか所要時間が変わらないのが心配だ。
またこれまで龍門は一部のムグンファ号やヌリロが通過していたが、今回のダイヤ改正より全てのムグンファ号やヌリロが停車するようになった。
さらに清凉里~安東間運転のヌリロ全2往復は龍門~安東間は旅客営業を行っている全駅に停車することとなった。
なお砥平に停車する中距離列車の本数は変わらないのだが、砥平発着の首都圏電鉄が全日4往復から平日は6往復、土休日は5往復に増発している。また日新、梅谷の2駅は停車本数が変わっていないほか、石仏、三山に至ってはムグンファ号の停車本数が増えている。
また鳳陽の旅客営業を再開し、中央線ムグンファ号及びヌリロ合わせて3往復及び忠北線ムグンファ号2往復が停車することとなった。
このように在来線列車がひしめき合っていることから、KTX中央線の準高速線料金徴収区間は西原州~鳳陽間のみである。
もっとも今回のダイヤ改正では首都圏電鉄区間の延長はなかったが、2022年の中央線安東~慶州(現在の新慶州)間新線付け替えの際には清凉里~西原州間も準高速線料金に値上げし最高速度も200km/hから250km/hに引き上げ所要時間も短縮する見込みだ。そうなればムグンファ号もヌリロも乗り入れている場合ではなくなり、首都圏電鉄区間が当初の計画通り西原州まで伸びる可能性がありそうだ。
3. 太白線で中央線乗り入れ列車縮小へ
今回の2021年1月5日韓国鉄道KORAILダイヤ改正では、中央線と直通する太白線でもダイヤ改正を行った。
これまで太白線では全定期列車6往復(ヌリロ電車5往復とムグンファ号客車1往復)が中央線清凉里に乗り入れていたが、今回のダイヤ改正で全てムグンファ号客車による運転となったほか、6往復中1往復が堤川~東海間の運転に短縮し中央線清凉里乗り入れを取りやめることとなった。ただし5運用のまま変えていない。どうせ減便するなら運用数削減も狙ってほしいとは思うが。
ただ今回の新線付け替えにより概ね30分程度所要時間を短縮しているためそこそこの高速化を図ることとなり、清凉里~東海間を太白線廻りで最速4時間21分で結ぶこととなった。ただ清凉里~東海間はKTX江陵線では最速2時間04分で結んでいるのでどちらかと言えば東海への所要時間短縮というより太白線沿線に向かう際に少し所要時間が短くなったくらいだろうし、東海への利用はKTX江陵線に取られているので減便も致し方ないと言えばそれまでだが。
また太白線経由で旌善線アウラジまで乗り入れる旌善アリラン列車(A-train)もKTX中央線設定以降運転の設定がない。もっともこのご時世で韓国鉄道KORAILが観光列車をほとんどの期間で全面運休にしているのもあるのだが、2021年7月19日より運転再開のはずだった観光列車時刻表からる旌善アリラン列車(A-train)がなくなっていたのである。つまり今回の中央線新線付け替えに伴うダイヤ改正で旌善アリラン列車(A-train)を廃止した可能性が極めて高い。
4. 高速化で夜行列車廃止へ
今回の2021年1月5日韓国鉄道KORAILダイヤ改正では、ムグンファ号でも高速化を行う。
前回の2020年12月17日韓国鉄道KORAILダイヤ改正で堤川~義城間が新線に付け変わった際には中央線全線運転のムグンファ号は全線所要時間の短縮はなく各駅間で所要時間の調整を行っていたが、今回のダイヤ変更ではムグンファ号の所要時間を堤川~義城間でも短縮することとなった。これにより清凉里~釜田間ではムグンファ号で約7時間30分かかっていたところ6時間20分で結ぶようになり、1時間以上も所要時間を短縮することとなった。
ただ高速化し運用の都合がついたため夜行列車を昼行列車に移動する形で廃止してしまったのだ。
救済としてソウル側では清凉里21時25分発ムグンファ号1621列車堤川行きを運転することで短距離ながらも救済を図ることとなったのだが、月曜~金曜のみ運転でど土日は運休することとなった。また堤川5時25分発ムグンファ号1626列車清凉里行きがこの夜行列車救済列車の折返し列車となったことにより土日運休に変更することとなった。
このほか中央線夜行列車が釜山側で終列車としても機能していたことから救済が行われている。釜田21時03分発ムグンファ号1796列車東大邱行きを釜田21時34分発に31分繰り下げることとなったが、それでも最終列車を1時間11分繰り上げることとなった。せめて釜山広域電鉄東海線の太和江延伸まで待ってもらえれば釜田→太和江間は夜行ムグンファ号と同程度の終電を確保できたと思うのだが。
ただ今回のダイヤ改正ではさらに夜行列車を削減する。清凉里23時20分発ヌリロ電車1641列車太白線経由東海行き夜行列車も廃止したほか、始発駅金曜・土曜運転の釜山23時00分発東大邱・慶北線経由東海行きも廃止となった。これにより今回の中央線新線付け替えにより夜行列車が4本も廃止することとなった。
5. 結び
今回の2021年1月5日韓国鉄道KORAILダイヤ改正では、中央線の新線付け替えによりKTX中央線を乗り入れることとなったほか、在来線列車も新線に付け変わったことにより所要時間を短縮した。
2022年までにほぼ全線にわたり新線付け替えを行う中央線で今後どのように高速列車を運転するのか、またどのように在来線列車を設定するのか、楽しみにしたい。
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