南海電鉄は2022年5月30日、プレスリリースにて6月1日より臨時ダイヤで運転を行うと公表した( 特急こうや・りんかんの運休と両数変更について(6/1 から当面の間) )。今回はこれについて見ていく。
1. 脱線の影響で代車用意へ
今回の2022年5月27日以降実施の南海電鉄臨時ダイヤ運転では、高野線特急「こうや」「りんかん」を全車自由席特急で運転する。
全車自由席特急というと名鉄のような響きはするが、今回の設定する南海電鉄の全車自由席特急はシャレになっていない。車庫内で操作不備により脱線した、いやむしろ脱線させたという方が自然というくらいの事象で。同情の余地がない。
高野線特急は30000系と310000系合わせて4両編成3本の配置があるが、毎日3運用を使ってしまうため予備車がない。
しかも車庫内脱線当初は脱線編成1本でもう1本の特急用30000系の進路をふさいでしまい、特急用車両が2本も使用できなくなってしまった。これではもはや高野線特急が運転できない。
そこで脱線の起きた5月27日より5月30日までの間は全ての高野線特急「こうや」「りんかん」を一般型車両2000系で運転し、全車自由席特急として代走することとなった。
南海電鉄の自己責任で引き起こした脱線による運休によることから、17m車しか運用できない「こうや」から20m車の代走も可能な「りんかん」への短縮ではなく、所定の列車を別車両で代走させることとしたのである。
そこで使用することとなったのが、2ドアの17m級車両の2000系や2300系である。
もっとも南海2000系は2ドア4両編成のため特急代走には向いているが、定期列車としての運転は高野線橋本~極楽橋間の閑散区間や南海線普通などに限られてる。急行には閑散時間帯にしか運用できない車両を平日朝夕ラッシュ時間帯にも走る特急代走に用いらなければならないほど列車本数の維持に努めざるを得ないのだろう。
しかも今回の特急代走、2300系2両編成を2本つなげた4両編成で運転する列車の方が多いのだ。おいおい、2300系なんてローカル普通列車用のワンマン列車じゃないか、ワンマン運転楊車両を特急代走に使用するのはさすがにいかがなものかとは思うが。
2. 脱線車両撤去で特急一部運転開始へ
とはいえ特急用車両が全く使えないようでは特急料金収入が減ってしまう。
そこで今回の2022年6月1日以降実施の南海電鉄臨時ダイヤ運転では、脱線車両の撤去により高野線特急用車両3本中2本が使用できるようになったことから、多くの高野線特急列車を運転再開することとなったのである。
6月1日以降も引き続き全列車自由席特急として運転するのは、平日は夜間の特急「りんかん」2往復のみとなっている。
もっとも平日朝の特急「りんかん」の8両から4両への減車を行っているが、このご時世で利用者が減ったため影響は小さいだろう。
次に土休日。今回の臨時ダイヤ運転では、極楽橋発着の特急「こうや」2往復と特急「りんかん」3往復を2000系による全車自由席特急で代走する。
ただ特急「泉北ライナー」の代走運転のように12000系(南海線特急「サザン」用車両)による特急「りんかん」を代走を行っても良かったとは思うし、もしこの代走を行えば少なくとも平日は全ての高野線特急で特急型車両での運転ができるはずなのだが。
もっとも乗務員習熟訓練の観点では現在は特急「泉北ライナー」用の南海11000系を高野線特急代走に使用し南海側では泉北高速鉄道12000系と共通設計で代走経験のある南海12000系を「泉北ライナー」に一時的に就かせることでも高野線特急3運用は確保できたはずだが。
もうこの際難波~橋本間は南海線特急「サザン」のように指定席4両と自由席4両の計8両で運転するのもアリだとは思うが、今後のダイヤ変更に期待したい。
3. 結び
今回の2022年6月1日以降実施の南海高野線臨時ダイヤ運転では、脱線により車両復旧ができないことから、特急「こうや」「りんかん」の一部を南海2000系で代走することとし、全車自由席で運転することとなった。
今後南海高野線でどのような臨時ダイヤを組むのか、見守ってゆきたい。
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