南海電鉄は2022年9月30日、プレスリリースにて11月1日より泉北高速線特急「泉北ライナー」の運用車両を変更すると公表した( 一部泉北ライナーの両数変更について )。また南海電鉄は2022年9月30日、プレスリリースにて11月3日より高野線特急「こうや」「りんかん」の運休を縮小すると公表した( 特急こうやの一部運休と運転区間の変更について )。今回はこれらについて見ていく。
1. 泉北ライナーにラピート投入へ!
今回の2022年11月1日南海電鉄・泉北高速鉄道運用変更では、泉北高速線特急「泉北ライナー」の使用車両を変更する。
従来特急「泉北ライナー」には南海11000系4両編成(旧「りんかん」型車両)および泉北高速12000系4両編成で運転しているが、車両検査などの際には代走として南海12000系(「サザン」プレミアム型車両)を投入することもある。
が、今回の運用変更で南海は11000系の代わりに50000系6両編成(「ラピート」型車両)で特急「泉北ライナー」を代走することとしたのである。
なお50000系5号車・6号車はスーパーシートとなっており、南海線特急「ラピート」として運転する場合はレギュラーシート520円よりも割高な730円を徴収する。が、今回の泉北高速線特急「泉北ライナー」ではスーパーシートも通常特急料金と同額の520円で利用できる。
2. 車両運用のめどが立ち特急「りんかん」全便運転再開へ!
ではなぜ泉北高速線特急「泉北ライナー」に50000系(「ラピート」型車両)を運用するのだろうか。
そもそも泉北高速線特急「泉北ライナー」用車両のうち、泉北高速12000系は特急「泉北ライナー」運転開始後に導入したが、南海11000系は元高野線特急「りんかん」として運用していた車両である。高野線特急「こうや」「りんかん」は2015年12月以降高野山乗り入れが可能な17m級の30000系・31000系のみで運用しているが、それ以前は難波~橋本間運転の特急「りんかん」には21m級の11000系も使用していた。
2015年12月以降高野線特急は30000系3本を3運用でフル回転することにより回していたが、2022年5月27日の小山田車庫内脱線の影響により30000系1本が未だに使用不能の状態となっている。
このためこの4か月以上もの間30000系と31000系の合わせて2本のみで特急「こうや」「りんかん」の運転を極力まかない、不足分は2000系・2300系の全車自由席特急で代替していた。
が、もうかれこれ4か月も代走状態ではもはや全車自由席特急が定着してしまっており、このご時世で利用者数が減っている中特急料金を徴収できるようにしたいのは山々である。
そこで今回の運用変更では、高野線特急として運転したことのある南海11000系を特急「泉北ライナー」から特急「りんかん」に戻すこととした。「泉北ライナー」に50000系を持ちだしたのは11000系転用により空いてしまった運用をうめるために運用の余っていた南海本線特急「ラピート」用50000系を持ちだしたに過ぎない。
これにより今回の2022年11月3日南海電鉄運用変更では、高野線特急「りんかん」の運転を全便で再開し、高野線特急の運休を極力抑えられるようになる。
3. 特急「こうや」「りんかん」復便でで全車自由席特急消滅か!
今回の2022年11月3日南海高野線運用変更では、特急「りんかん」の全便運転再開のほか、極楽橋発着の特急「こうや」の運休列車も変更する。
平日は特急「こうや」は4往復とも基本的に運転し、車両点検の際に2000系や2300系などの全車自由席特急で代走しているが、今回の運用変更以降は毎週水曜・木曜は特急「こうや」のうち2往復を運休とする。
また土休日は特急「こうや」の2往復運休を引き続き行うほか(ただし運休対象列車は1時間後ろ倒し)、特急「こうや」のうち1往復を難波~橋本間のみの運転とする。
これは、従来から特急「こうや」で運転している30000系・31000系は17m車のため極楽橋まで乗り入れることができるのに対し、「泉北ライナー」から戻した11000系は21m車のため橋本までしか乗り入れられず、特急「りんかん」の運用は全て代替できても特急「こうや」の運用までは車両寸法上まかないきれないためである。
このため特急「こうや」を11000系で運用する場合は橋本で折り返さざるを得ず、橋本~極楽橋間の運転ができない。このため特急「こうや」を橋本~極楽橋間で部分運休せざるを得なくなってている。が、今回運転を短縮する特急「こうや」は通年11月~2月に特急「りんかん」として短縮運転を行っている列車であることから、あくまで通年の措置と言えるだろう。
この特急「りんかん」全便運転再開と特急「こうや」の運休列車変更に伴い、代替として運転していた2000系・2300系で運転している全車自由席特急の運転をすべて取りやめる見込みだ。
また、30000系は1984年に製造しもう運転開始から38年になる脱線した30000系1本が4か月以上運用離脱していることを考えるともはや元通り戻して運用させる気はないのかもしれない。そうなると南海11000系の特急「りんかん」復帰や南海50000系の「泉北ライナー」進出は、もう脱線した30000系を復帰する気はないことの象徴なのかもしれない。
このことから、次回の南海高野線ダイヤ改正で特急「こうや」の運休分を減便する可能性も十分あるだろう。
4. 結び
今回の2022年11月1日南海電鉄・泉北高速鉄道運用変更では、泉北高速線特急「泉北ライナー」に50000系(「ラピート」型車両)を運用するようになるほか、高野線特急「りんかん」を全便で運転再開する。
今後南海電鉄でどのようなダイヤ改正を行うのか、見守ってゆきたい。
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