流鉄は2023年4月25日、プレスリリースにて7月1日にダイヤ改正を行うと公表した( 2023年7月1日 ダイヤ改正の実施について )。今回はこれについて見ていく。
1. 折り返し時間確保のために平日朝に減便へ
今回の2023年7月1日流鉄流山線ダイヤ改正では、2014年3月15日流鉄ダイヤ改正以来約9年3か月ぶりにダイヤ改正を行う。
今回のダイヤ改正では朝夕を中心に減便を図る。
流鉄流山線は流山市中心部とJR東日本常磐線馬橋駅を結ぶ5駅間、5.7kmの路線である。当初は常磐線に乗り換えて東京方面へ向かう旅客に使われていたが、2005年8月24日のつくばエクスプレス開業により南流山駅から直接東京都区内に迎えるようになり流鉄の利用者が大きく減少、3両から2両に減車した上でワンマン運転を開始することで経営合理化を図ることとした。
これまで流鉄では馬橋と流山の折り返し時間を平日朝は1分で設定していた。これにより13分間隔運転を実施していたが、ひとたび遅延しようものなら遅れが回復できなかった。
このため今回のダイヤ改正では折り返し時間を2分に拡大、朝湯は最短15分間隔(毎時4本)での運行に広げて減便する。これにより平日朝は輸送力が13.3%減少する。
まあ、流鉄流山線の混雑率は2019年度でも65%しかなく、今回減便しても混雑率は75%にまでしか上がらない。
また現状では終着駅1分折り返しを実現するために乗務員は終着駅で入れ替えるため、朝に折り返しのたびに13分の待機時間が生じている。もし今回のダイヤ改正で終着駅で乗務員交代をせずに折り返すようになれば、乗務員行路が2削減する。
このほか高校生下校時間帯であろう平日15時台~17時台は15分間隔(毎時4本)から20分間隔(毎時3本)に減便する一方、平日18時台~21時台は15分間隔(毎時4本)のまま維持する。
2. 全線所要時間拡大へ
今回の2023年7月1日流鉄流山線ダイヤ改正では、全線所要時間を11分から12分に伸ばす。
これにより各駅の停車時間が伸びるほか、遅延による回復運転を行う可能性が下がるため線路保守の手間を減らす狙いがあるようだ。
これにより平日は72往復から64往復に8往復減便することとなったほか、土休日は64往復から59往復に5往復減便することとなった。
3. 終電繰り上げで運転時間縮小へ
今回の2023年7月1日流鉄流山線ダイヤ改正では、終電繰り上げにより運転時間を縮小する。
まず平日は流山23時55分発馬橋行きが最終だが、これを土休日同様流山23時50分発に5分繰り上げる。
また馬橋から流山の最終は平日・土休日ともに馬橋24時17分発流山行きとなっているが、これを10分繰り上げ馬橋24時07分発流山行きとする。
これにより常磐線各駅停車からの流鉄流山線最終連絡列車は、北千住23時55分発から23時42分発に13分繰り上がることとなった。ただ馬橋での乗り換え時間が3分から6分に拡大することから乗り継ぎによる遅れは防止できそうだ。なお、武蔵野線新松戸・幸谷乗り換えからの最終連絡に変わりはない。
なお先述したように全線所要時間が伸びたことから、初電は繰り上げを行う。流山4時55分発馬橋行き初電は流山4時53分発に、馬橋5時15分発流山行き初電は馬橋5時13分発にそれぞれ繰り上がることとなった。
4. そもそも流鉄流山線は今後も必要なんだろうか
ではそもそもなぜ今回の減便に至ったのか。そもそも流鉄流山線の利用者が減少しているからである。
流鉄はICカードPASMOを導入しないほど財政的余裕がないほか、流山線で2024年4月1日に10円~20円の値上げを図るとしている。それほど火の車となっている流鉄流山線はそもそも必要な路線なのだろうか。
そもそも流鉄流山線は馬橋と流山を結ぶ5駅間、5.7kmの短い路線で、当初は上野に向かう国鉄常磐線と流山市街地を結ぶ路線として開業した。が、1973年4月1日の国鉄武蔵野線開業により常磐線との交点に新松戸駅を設置したことで、流鉄幸谷駅から馬橋乗り換え常磐線利用がすべて新松戸駅から常磐線直通利用に移ったほか、2005年8月24日のつくばエクスプレス開業に伴いJR東日本武蔵野線南流山駅から東京都区内への所要時間が大幅に短縮したほか、流山セントラルパーク駅設置により流鉄流山線の流山市内の鰭ケ崎、平和台、流山の3駅がつくばエクスプレスの駅勢圏となり旅客が半減した。
しかも2005年8月24日のつくばエクスプレス開業に合わせ東武バスセントラルでは南流02系統を新設、南流山駅~平和台駅~流山市役所入口~流山おおたかの森間で終日約20分間隔(平日朝は8~12分間隔)運行している。もっとも流鉄流山線の流山市内3駅はそもそもつくばエクスプレスの駅勢圏であるが、さらに流鉄流山線西側からの需要も奪おうとしているようだ。
では流鉄流山線はどれくらい利用されているのか見ていくと、流鉄流山線全線の平均輸送密度は2015年~2018年は約4,800人/日・往復程度となっている。が、馬橋より幸谷の方が利用者が多いこともあり区間によって輸送密度にばらつきがあり、各駅乗車人員から算出するとおそらく幸谷~小金城趾間では輸送密度8,000人/日・往復程度と見込まれる。
電車なら昼間毎時1両で輸送密度4,000人/日・往復、バス昼間毎時1本で輸送密度2,000人/日・往復で運べるとすると、流鉄流山線は昼間は毎時2両、バス転換しても毎時4台つまり15分間隔もあれば十分運びきれてしまう。
しかも馬橋より幸谷の方が利用者数が多いし、馬橋で折り返られるJR常磐線各駅停車は幸谷でも乗り換えられるので馬橋~幸谷間は廃止になっても問題ない。
そう考えると、そもそも流鉄流山線は幸谷~流山間の4.0kmに短縮したっていいし、なんならバス代替しても昼間毎時4本、平日夕方毎時6本、平日朝毎時8本もあれば十分運びきれてしまうし、そもそもバス転換したら昼間は空いている南流山駅行き東武バスセントラル南流02系統に流れるのでもっと必要台数を減らせる。しかもその全便が新松戸駅~流山市役所間で運行する必要はなく、朝夕の一部は鰭ケ崎折り返しまたは鰭ケ崎経由南流山駅折り返しでも問題ない。
そう考えると流鉄流山線は必要な路線なのだろうか。もう役目を終えていると言ってもよいのではないだろうか。今後流鉄流山線の存廃問題は注目すべきだろう。
5. 結び
今回の2023年7月1日流鉄流山線ダイヤ改正では、折り返し時間確保のために減便を図ることとなった。
今後流鉄流山線でどのようなダイヤ改正を行うのか、見守ってゆきたい。
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