西武鉄道は2024年5月9日、プレスリリースにて2024年設備投資計画を公表した。今回はこれから新宿線特急「小江戸」および着席保障列車「拝島ライナー」の今後について予測していく。
2029年以降の西武新宿線への小田急1000形・2000形投入はこちら!
1. 西武新宿線特急「小江戸」廃止か!
今回の2024年西武鉄道設備投資計画では、新宿線特急の見直しを公表している。プレスリリースによれば、
現在、新宿線で運行している10000系車両(ニューレッドアロー)について、今後新たな車両へ置き換えるとともに、有料着席サービスの刷新を検討しています。柔軟な運行形態やお客さまの着席機会の拡充など、サービス向上を図ります。2026年度中の運行開始を予定しており、詳細は決まり次第お知らせします。
としている。
ただ、西武新宿線特急「小江戸」や着席保障列車「拝島ライナー」を見る限り、平日朝夕はおおむね満席となっている。このため特急「小江戸」や「拝島ライナー」がのような着席保障列車が廃止になるとは思えないし、1列車全車指定席制も変わらないだろう。というか東武東上線着席保障列車「TJライナー」運行開始後も満席多発の特急「小江戸」ってすごくないか。
とはいえ車両の老朽化はつきもの。特急「小江戸」用10000系NRAは1993年より製造した車両で、かれこれ30年も運用している。実際同車両形式を用いた池袋線特急「ちちぶ」「むさし」は2019年より001系Laviewに置き換えているので、特急「小江戸」も車両更新して何らおかしくないだろう。
特急「小江戸」用10000系NRAは406席、「拝島ライナー」用40000系クロスシート車は440席であることを考えると、座席数に大差ない。一方で10000系NRAは7両編成なのに対し40000系は10両編成であることを考えると、特急7両編成で置き換えるより40000系10両編成で置き換える方が高くつく。もっとも10000系NRAは7両編成にトイレが2か所しかないし、バリアフリー非対応トイレであることを踏まえると同じ7両編成で置き換える際には客室空間が減り座席数が減るし、実際10000系NRAから車両更新した001系Laviewでは8両編成に増車することでほぼ同じ座席定員422人を確保している。
かといって特急「小江戸」は平日朝は20分間隔、平日夜間は30分間隔になるにもかかわらずおおむね満席になるほどの人気列車で、平日朝は車両を一番使う時間帯なので急行列車と互換性のある車両にしても平日朝に急行運用に就けないので車両運用の削減にはならないのである。つまり特急「小江戸」を特急型車両で更新しても運用数は変わらないのである。
このため新宿線特急「小江戸」の車両置き換えにはLaview001系のような特急8両編成で置き換える案とクロスシート40000系10両編成で置き換えてライナー化する案と2つが最後まで残っていたはずだ。ただ、利用が少ない平日や土休日昼間に着席保障車両を設定する場合、特急型車両では現状のように毎時1本を運転しなければならず運転士と車掌が必要なところ、もし40000系10両編成のうち1両ないし2両のみをクロスシート車、9両ないし8両をロングシートで運転することができれば急行10両編成のうち一部を着席保障車両とすることで毎時1本を削減することができる。
それを踏まえて、あえて編成単価の高い40000系10両編成の方が平日昼間や土休日昼間の着席保証料金を効率よく取れると判断、新宿線特急「小江戸」の車両置き換えは40000系によるクロスシート車によるライナーとすることにしたのだろう。
現在西武鉄道には特急「小江戸」用10000系NRAが7両編成5本あるが、これを40000系10両編成5本で置き換える見込みとなりそうだ。「拝島ライナー」用にすでに40000系2本があるが、地下鉄有楽町線直通「S-TRAIN」向けの3運用と合わせて5運用であること、現在6本しかなく共通予備車が1本しかないことから、共通予備車を2本に増やして対応する気はするが、最近どこの鉄道会社も車両予備車の削減に積極的なので40000系4本しか投入せずに予備車は共通の1本のみにしなくもなさそうではあるが。
なお朝の特急・ライナーを含めた最大運用数は変わらないので、今回の特急型車両の置き換えは着席保障車両のない一般型車両の置き換えには影響しない。よって2029年以降に予定している西武新宿線への小田急1000形や2000形の投入と今回の車両投入は矛盾しない。
2. 平日朝夕は西武新宿線特急「小江戸」を「小江戸ライナー」で置き換えへ!
今回の2024年西武鉄道設備投資計画では、今後新たな車両へ置き換えるとともに、有料着席サービスの刷新を検討している。
ただ平日朝夕の特急「小江戸」は満席が出るほどの人気なので全車指定席の着席保障列車のまま変えることはないだろう。よって10000系NRA7両編成から40000系10両編成に車種変更
、列車名も特急「小江戸」から「小江戸ライナー」ないし「川越ライナー」に名称変更する。それ以外の運用は変えないだろう。
3. 昼間は西武新宿線特急「小江戸」を急行「川越シート」で置き換えへ!
今回の2024年西武鉄道設備投資計画では、有料着席サービスの刷新を検討しているとしている。
一方利用者数が少ない昼間。先述したように40000系10両編成を昼間急行に運用し1両ないし2両を着席保障車両とするのだろう。
そうなったときに京急快特ウィングシートのように編成中に着席保障車両を組み込むことになるが、京急ウィングシートが40分間隔から1時間隔に設定本数を減らしたこと、特急「小江戸」が昼間1時間間隔であることを踏まえると、着席保障車両「川越シート」の連結する急行も毎時3本すべてではなく毎時1本だけで十分だろう。
4. 西武拝島線も昼間に着席保障車両導入でJR中央線グリーン車と競合へ!
今回の2024年西武鉄道設備投資計画では、特急型車両10000系NRAの車両置き換えにより柔軟な運行形態やお客さまの着席機会の拡充など、サービス向上を図るとしている。これは何を意味するのだろうか。
西武拝島線と競合するJR中央線・青梅線の青梅特快及び快速では2024年以降2階建てグリーン車の営業を開始する。これと競合する列車を西武鉄道で設定しようとしている可能性も高い。
先述したように昼間に新宿線急行のうち毎時1本に「川越シート」を設定したが、同様に拝島線急行昼間毎時1本にも着席保障車両「拝島シート」を設定すれば乗ってくれるのではないだろうか。
そもそも2018年3月10日西武鉄道ダイヤ改正で西武新宿~拝島間運転の着席保障列車「拝島ライナー」設定の契機はJR東日本「おうめライナー」の特急「おうめ」への格上げにより値上げとなることから、料金差で対抗できるようにするためである。JR東日本では2024年3月16日にホリデー料金を廃止し、東京~拝島間のグリーン料金はSuica利用で全日750円となる。
もし「拝島シート」を「拝島ライナー」同様料金400円で利用できるのであれば、JR中央線・青梅線グリーン車よりも安く利用することができる。そう考えると昼間の新宿線・拝島線急行の「拝島シート」導入はかなり現実味がありそうだ。
このようにして西武新宿始発では昼間は本川越行き毎時1本と拝島行き毎時1本の合計毎時2本の一部着席保証車両の急行を設定、田無・小平まで毎時2本の着席保障車両利用チャンスを設けることになりそうだ。
5. 結び
今回の2024年西武鉄道設備投資計画では、特急「小江戸」を平日朝夕を中心に40000系による座席指定制列車に置き換えるほか、昼間は10両急行の一部を座席指定制車両とすることで特急「小江戸」の代替を図りつつ、拝島方面へも設定することでJR中央線・青梅線の2階建てグリーン車と競合するようだ。
今後西武新宿線・拝島線でどのようなダイヤ改正を実施するのか、楽しみにしたい。
2029年以降の西武新宿線への小田急1000形・2000形投入はこちら!
関連情報:2024年度 鉄道事業設備投資計画 – 西武鉄道
コメント
これは本川越駅の特急用ホームが7連までしか対応できないと言うのが大きな理由なんでしょうね。
せめて1両分延長して8両に、可能ならば3両分延長して一般列車用と同じ10連対応にすべきでしょうが…。