西武鉄道は1月25日、プレスリリースにて3月10日にダイヤ改正を行うと公表した( 2018 年3月10日(土)ダイヤ改正を実施します )。今回はこのうち、新設される「拝島ライナー」及び西武新宿線系統の路線について見ていく。
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1. 新規設定「拝島ライナー」、拝島線内各駅に停車
今回の2018年3月10日西武鉄道ダイヤ改正では、新宿線と拝島線に新しい座席指定制列車「拝島ライナー」が設定される。車両は西武池袋線「S-TRAIN」と同様40000系10両編成を用いる。この「拝島ライナー」運転開始に伴い、40000系2編成が増備されている。
「拝島ライナー」の運転は平日夕ラッシュ時の西武新宿発拝島行き下り列車のみとなり、平日・土休日問わず西武新宿18時~22時台の毎時15分発となっている。所要時間は西武新宿から拝島まで平日は47分(最終のみ46分)、土休日は43~44分となっている。運行時間帯としては申し分ないところだが、この西武新宿毎時15分発というのはJR東日本の中央快速線ホームライナーである「青梅ライナー」の新宿発時刻とほぼ同一であり(新宿18時15分発、20時15分発、21時45分発)、「青梅ライナー」が平日のみ運転とはいえもろに被せている。しかもJR東日本「青梅ライナー」は新宿から立川まで38~43分と平日の西武鉄道「拝島ライナー」よりも速い。かつての拝島快速のように4年という短期間で姿を消すのではないかと思うと、心配だ。
「拝島ライナー」の停車駅は新宿線内は西武新宿と高田馬場に停まった後、拝島線と分岐する小平までノンストップで運転し、小平から先は拝島線内を各駅に停車する。料金300円が必要なのは西武新宿と高田馬場から乗車した場合のみで小平以西の拝島線内のみの利用は運賃のみで利用できる。西武新宿線の駅の中でも需要の大きい田無を通過とするのは10両分座席が埋まるか不安になるところではあるが、2018年2月22日のダイヤ改正より運転を開始した京王電鉄の「京王ライナー」の全便調布通過のように、萩山まで通過とするほどの需要が西武拝島線にはないことから、小平に停まっただけでも所沢方面へ連絡できるという恩恵を受けることができ、「拝島ライナー」は平日は全て小平で各駅停車新所沢行きに、土休日は小平で18時台と19時台は急行本川越行き、20時台以降は各駅停車本川越行きに接続する。ただ平日に関しては接続しても新所沢までしか行けないことから、狭山市や本川越へは特急レッドアロー「小江戸」を使ってほしいということなのだろう。なお小平は西武新宿から22.7km、高田馬場から20.7kmであり、京王電鉄「京王ライナー」同様20kmを超える最初の急行停車駅から停車することにしたのかもしれない。
しかし小平までノンストップにしたにも関わらず、なぜこれまで運転されてきた臨時の特急レッドアローではなく「S-TRAIN」のような座席指定制列車としての設定になったのだろうか。1つは拝島線への需要だけでは満たせず、新宿線特急レッドアロー「小江戸」のように東村山までノンストップとなっているにもかかわらず途中の小平に停車させなくてはならないこと、今回設定された「拝島ライナー」のように拝島線内料金不要で各駅に停車させることができなくなること、101系などの普通車用の老朽化した列車を玉突きで置き換えられること、西武鉄道では2019年3月を目途に新型特急レッドアローを導入する見込みであることから2018年内の特急車両導入は避けたいという思惑があるのではないだろうか。
2. 平日夕ラッシュ時は大幅見直し
また今回の2018年3月10日西武鉄道ダイヤ改正では、平日夕ラッシュ時に見直しが行われる。
現在は西武新宿17時30分~19時30分発は急行毎時8本、準急毎時2本、各駅停車毎時10本で運転されているが、ダイヤ改正後は急行毎時6本、準急毎時4本、各駅停車毎時8本に変更される。ただし急行毎時2本が準急に格下げされ、西武新宿発着の各駅停車が減便されるものの、上石神井~田無間の急行通過駅では2017年現在とほぼ同等の平日夕ラッシュ時毎時9~10本が確保される。小田急電鉄やJR西日本の阪和線・大和路線などで近年導入された平日夕ラッシュ時にパターンダイヤであるが、今回の2017年3月10日西武鉄道ダイヤ改正では西武新宿線にて平日夕ラッシュ時のパターンダイヤが崩れたようだ。
またこれまで西武新宿19時30分~23時30分発までは準急の設定がなかったが、今回のダイヤ改正より特急レッドアロー「小江戸」と新設された「拝島ライナー」の直前を走る列車は急行から準急に格下げされることとなった。総じて、西武新宿18時台~22時台発の急行と準急の和は42本のまま変わらないが、急行11本が準急に格下げされ急行28本、準急14本となった。また各駅停車は4本減の39本となっており、「拝島ライナー」の運用増加分を各駅停車の減便で調整しようとしているのだろう。
昼間は急行毎時6本と各駅停車毎時6本で変わりないことから昼夕輸送力比を計算すると、60%から62.7%となるが、多少改善されたとはいえ依然昼間が混雑していることに変わりはない。ただ各駅停車のみで見ると昼夕輸送力比は60%から75%に改善していることから、各駅停車に関しては平日夕ラッシュ時の混雑度を調整できたように思う。
なお、平日朝下り(本川越方面)は準急田無行き1本が準急新所沢行きに延長した一方で、各駅停車1本が田無行きから上石神井行きに短縮された。
3. 土休日夕ラッシュ時も見直しへ
また今回の2018年3月10日西武鉄道ダイヤ改正では、平日のみならず土休日にも「拝島ライナー」が設定されることから、土休日の夕ラッシュ時にも見直しが成される。2017年現在は急行毎時8本と各駅停車毎時8本で運転されているが、今回のダイヤ改正で急行のうち毎時2本が準急に格下げされる。土休日夕ラッシュ時ダイヤはかつて昼間に減便された路線で見られ、土休日夕ラッシュ時には本数を据え置くことで設定されることが多いが、その土休日夕ラッシュ時にも急行の格下げと各駅停車の短縮(田無行き→上石神井行き)による運用減を行っている。
特に拝島線直通列車では、土休日夕ラッシュ時の西武新宿18時台及び19時台発は拝島行きが急行毎時2本から急行毎時1本と準急毎時2本となっている。対してJR東日本の中央線および青梅線の青梅特快の土休日の最終が新宿17時24分発で、その後の直通は快速となり、速く拝島に向かうには中央特快で立川乗り換えとなることから(しかも別ホーム乗り換えとなることが多い)、土休日の18時台以降では準急に格下げしても需要は取れると思われたのであろう。逆に所要時間は多少かかっても西武新宿からの直通列車を料金不要列車も増やすことによって需要を取り込もうとしているのであろう。
なお、平日・土休日朝ラッシュ時上り(西武新宿方面)や日中には時刻変更は行われないこととなった。
4. 枝線では直通縮小
また今回の2018年3月10日西武鉄道ダイヤ改正では、西武新宿線系統の枝線でもダイヤ改正が行われる。
まずは拝島線。平日夕ラッシュ時に「拝島ライナー」が設定されることに伴い拝島線毎時6本のうち毎時1本を代替する。また西武新宿線内での各駅停車の減便によりこれまで平日夕ラッシュ時は全便西武新宿始発であった拝島線の列車が、今回のダイヤ改正でそのうち18時台と19時台の2本が小平始発各駅停車拝島行きとして設定されることとなった。また土休日夕ラッシュ時に関しても「拝島ライナー」の設定と西武新宿発の各駅停車の短縮により、毎時1本の各駅停車が小平始発列車として設定されることとなった。
また西武園線は、土休日の競輪開催日に実施している西武園発国分寺行き国分寺線直通列車を東村山で系統分割し、平日や土休日非競輪開催日同様となることとなった。東村山駅付近では連続立体交差化事業が行われており、その進捗に応じたものとなっているのであろう。
5. 結び
今回の2018年3月10日西武鉄道ダイヤ改正では、新宿線と拝島線に座席指定制列車「拝島ライナー」の設定に伴い、平日及び土休日の夕ラッシュ時に大きくダイヤ改正を行うこととなった。今後平日や土休日の朝にも設定されるのか、見守ってゆきたい。
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