仙台市地下鉄は2023年5月29日、プレスリリースにて7月1日に地下鉄南北線・地下鉄東西線でダイヤ改正を行うと公表した( 7月1日から地下鉄南北線・東西線のダイヤが変わります )。今回はこれについて見ていく。
1. 地下鉄南北線で昼間10分間隔に減便へ
今回の2023年7月1日仙台市交通局ダイヤ改正では、2017年12月3日仙台市地下鉄南北線ダイヤ改正以来約5年8か月ぶりに地下鉄南北線でダイヤ改正を行う。
今回のダイヤ改正では、地下鉄南北線で全日昼間を7分30秒間隔(毎時8本)から10分間隔(毎時6本)に減便する。これにより輸送力を25.0%減少する見込みだ。
このほか平日朝夕のオフピークは7分30秒間隔(毎時8本)から8分間隔(毎時7.5本)に減便するほか、土休日朝も7分30秒間隔(毎時8本)から8分間隔(毎時7.5本)に減便する。これにより輸送力を6.2%減少する。
いやいや、地下鉄南北線は4両編成10分間隔ではさすがに足りないだろう。せめて減便しても昼間8分間隔(毎時7.5本)だろう。そもそも7分30秒間隔から8分間隔への延長なら待ち時間が30秒しか伸びないので体感あまり変わりないが、10分間隔となると待ち時間も長く感じやすい。平日夕方が5分30秒間隔であることから昼夕輸送力比を見ても、73.3%から55.0%に大幅に減少しており、昼間に車両が足りていない。もっとも昼間8分間隔であれば68.75%なので推奨値内だし京都市営地下鉄烏丸線のような8分35秒間隔(毎時7本)運転であれば64.1%なので何とか座れるくらいだが。
まあ長町で連絡するJR東北本線は昼間10分間隔だしや仙台で連絡するJR仙石線は昼間約20分間隔なのでそれと間隔が合うと言われればそれまでだが、それ以上に泉中央などの泉区からの利用が多い。
ただ、平日朝の運転本数は変わっていないため、乗務員行路の削減はあるが車両運用の減少はない。仙台市地下鉄では南北線向けに新型車両3000系を2024年度予知投入しようとしているが投入本数に変更はない。
まあ地下鉄南北線勾当台公園駅や広瀬通駅など仙台官公庁街の人たちおよびその周辺住民にとってはバスを使えば120円で仙台駅に行けるので(とはいえ2018年10月1日に100円から値上げしているが)、地下鉄ではなくバスに乗ってほしいということなのだろう。
これにより今回のダイヤ改正で地下鉄南北線は平日167往復から157往復に、土休日は135往復から113往復にそれぞれ減便することとなった。
2. 地下鉄東西線で昼間10分間隔に減便へ
今回の2023年7月1日仙台市交通局ダイヤ改正では、2015年12月6日仙台市地下鉄東西線開業以来約7年8か月ぶりに地下鉄東西線でダイヤ改正を行う。
今回のダイヤ改正では、地下鉄東西線で全日昼間を7分30秒間隔(毎時8本)から10分間隔(毎時6本)に減便する。これにより輸送力を25.0%減少する見込みだ。
このほか平日朝夕のオフピークは7分30秒間隔(毎時8本)から8分間隔(毎時7.5本)に減便するほか、土休日朝も7分30秒間隔(毎時8本)から8分間隔(毎時7.5本)に減便する。これにより輸送力を6.2%減少する。
空席が目立つ地下鉄東西線は昼間に10分間隔に減便するのは何ら問題がない。むしろ昼間はこれでも空席がでるだろうし、土休日朝も8分間隔どころか10分間隔に減便しても運びきれる。地下鉄南北線と地下鉄東西線はともに4両編成だが中菱輸送システムリニア地下鉄を採用している地下鉄東西線は小型なものの、そもそも輸送量が南北線の4割しかいないため理論上地下鉄南北線の6割の程度の運転本数があれば運べてしまう。
なんなら平日夕方も6分間隔(毎時10本)から7分30秒間隔(毎時8本)に減便しても運べるし、なんなら平日朝夕オフピークも8分30秒間隔(毎時7本)では十分運べるほか、昼間同様10分間隔(毎時6本)でも何とかなるだろう。
これにより地下鉄東西線は平日150往復から140往復に、土休日は135往復から112往復にそれぞれ減便することとなった。
3. なぜ仙台市地下鉄は南北線と東西線の本数を無理に合わせるのか
今回のダイヤ改正は地下鉄南北線・地下鉄東西線ともに昼間を中心に同様の減便を行っているが、旅客量が地下鉄南北線の4割しかなく運転本数も6割で足りる地下鉄東西線の基準に地下鉄南北線を合わせようとするのか。
地下鉄南北線の本数に地下鉄東西線の本数を合わせるのは電気を浪費するとはいえまだ理解できるが、逆は地下鉄南北線が混みすぎて話にならない。
実際東京メトロでも赤坂見附で対面乗り換えできる地下鉄銀座線と地下鉄丸ノ内線で昼間5分間隔にそろえたことがあったが、地下鉄銀座線が混みすぎて2023年4月29日東京メトロ銀座線ダイヤ改正にて昼間4分間隔に増発している。無理に運転間隔をそろえるより各線にとって適切な輸送量で運転本数を考慮した方が利便性が高いのだ。
なんだか、2015年12月6日に地下鉄東西線が開業してから仙台市地下鉄はバランスを失っている。無理に昼間の運転間隔を南北線と東西線で合わせているが、乗継需要なんて限られているわけで正直待っていれば来るわけだから運転間隔を合わせる必要性は低い。地下鉄南北線は減便しすぎだろう。お役所仕事で済ませて需要動向を見ないのはいかがなものだろうか。
4. 結び
今回の2023年7月1日仙台市交通局ダイヤ改正では、地下鉄南北線・地下鉄東西線では、昼間を中心に減便を図ることとなった。
今後仙台市地下鉄でどのようなダイヤ改正を行うのか、そして運賃改定はあるのか、見守ってゆきたい。
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