牛耳新設軽電鉄はプレスリリースにて9月2日に牛耳新設線を開業したと公表した。今回はこれについて見ていく。
1. ソウル特別市に新しい地下鉄開業
2017年9月2日、韓国ソウル特別市内に新しい地下鉄牛耳新設線が開業した。この牛耳新設線は本来ソウル地下鉄10号線として計画された路線であるが、国家財政危機により一時凍結された。しかしバスの利用も逼迫していることから、今回かつての地下鉄10号線計画を見直し、トンネル断面積を小さくしたライトメトロとして牛耳新設線を開業させた。
今回開業した牛耳新設線はこれまで地下鉄を運営してきたソウルメトロやソウル市地下鉄、仁川交通公社などの公営企業ではなく、牛耳新設軽電鉄株式会社による建設・運営で、運営権は30年間となる。別会社による運営とはいえ運賃は首都圏電鉄統合運賃のため、加算運賃や会社ごとの運賃打ち切りなどはなく、通しの運賃となる。また今回建設された牛耳新設線はトンネル断面積を減らし建設費を圧縮しているが、平成以降開業した日本の地下鉄で多く採用されているリニア地下鉄ではなく、仁川地下鉄2号線と同じ寸法の小型車両による運転である。日本でいえば京都市営地下鉄東西線の2両編成バージョンというと一番近い。牛耳新設線は2016年7月30日に開業した仁川地下鉄2号線同様2両編成での運転となっている。中国の地下鉄が原則6両、日本の地下鉄も東京の多くの路線や大阪の御堂筋線は10両編成であるが、それ以外の都市では6両が主流、平成に開業したリニア地下鉄もほとんどが4両編成だ。ソウルでも地下鉄1号線~4号線は10両編成で、5号線~7号線は8両と長編成が目立つ。にもかかわらずなぜ韓国ソウルで開業した牛耳新設線は2両編成でも地下鉄として採算が取れるのかというと、韓国では地下鉄の無人運転が認められているため、人件費を上げることなく短編成での大幅な便数設定が可能であるからと思われる。
今回開業した牛耳新設線は北漢山牛耳~新設洞間の11.0km、全13駅となる。新設洞では地下鉄1号線と2号線聖水支線、次の普門では地下鉄6号線、次の誠信女大入口では地下鉄4号線と乗り換えられるが、その後終点までの北漢山牛耳までの9.1kmはひたすら一人旅となる。特にソウル市中心部を結ぶ地下鉄1号線や4号線と乗り換えられるのは大きい。
なお、ソウル市内のライトメトロは今回開業した牛耳新設線の他に9路線が計画されており、このうち1号線及び9号線の鷺梁津から南に延びる新林線は建設中の路線となっている。
2. ダイヤはどうなる
今回2017年9月2日に開業した牛耳新設線のダイヤはどうなっているのか。
全列車各駅停車の2両編成で、全線運転時間は23分となっている。2両編成と言っても先述したようにライトメトロなので、東京で標準的な地下鉄車両である20m級車で約1.3両分しかない。全列車全線運転となっており、初電は北漢山牛耳、新設洞ともに5時30分発であるが、終電は平日は北漢山牛耳、新設洞ともに24時37分発、土休日は23時37分発となり1時間の開きがある。なぜ終電の発車時刻が中途半端なのかというと、終点到着時刻を平日は25時ちょうど、土休日は24時ちょうどに設定しているからだと思われる。この平日運転の新設洞24時37分発最終北漢山牛耳行きは地下鉄1号線の終電清涼里行きから接続することができ、その他地下鉄6号線烽火山行きおよび地下鉄4号線タンゴゲ行きそれぞれ終前列車から接続でき、ソウル市中心部を24時に出ても乗り継げる時刻設定となっている。
運転間隔は平日昼間は5分間隔(毎時12本)、平日朝夕ラッシュ時は3分間隔(毎時20本)となっている。昼夕輸送力比(日本の基準で適正値60〜78%/推奨値66%~75%)は60%で妥当なところであるが、適正値ギリギリのラインであることから土休日日中は4分間隔(毎時15本)の運転となっている。この運転本数はソウル地下鉄の中でもかなり多い方で、6号線以降は昼間7~8分間隔、平日夕ラッシュ時でもせいぜい5分間隔程度であるが、今回2017年9月2日に開業した牛耳新設線はメイン路線となる地下鉄1号線、2号線、4号線並みの運転本数となっている。無人運転の短編成だからこそ成し遂げられるのであろう。
3. 結び
今回の2017年9月2日の牛耳新設線開業では、無人運転実施による2両編成運転の実施により極めて高頻度の運転を行うことに成功している。今後輸送量に応じては4両化も可能なことから、今後牛耳新設線がどのようにダイヤ改正を行うのか、ソウル首都圏電鉄で2018年6月16日に開業予定の一般路線の素砂元時線はどのようなダイヤとなるのか、なかなか着工が進まないものの新規開業するライトメトロもどのようなダイヤになるのか楽しみにしたい。
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