KORAILは2019年12月20日、プレスリリースにて12月30日に首都圏電鉄1号線でダイヤ改正を行うと公表した( 1号線電車運転時刻変更及び京釜線急行運転変更のお知らせ )。今回はこれについて見ていく。
1. 京仁線急行の増発へ
今回の2019年12月30日KORAILダイヤ改正では、2019年7月1日ダイヤ改正以来約6か月ぶりに首都圏電鉄1号線でダイヤ改正を行った。
首都圏電鉄1号線は主に京仁線~ソウルメトロ~京元線運転と京釜線~ソウルメトロ運転の2系統を運転している。光云大~清涼里~ソウル駅~九老間は両系統とも運転しており、各駅停車は同じ線路を走るのだが、運転系統はほぼ分かれてしまっているため京仁線系統と京釜線系統に分けて見ていく。
まずは京仁線系統から。今回のダイヤ改正では京仁線緩行電車毎時1本を急行に格上げし、所要時間短縮を図った。これにより京仁線では昼間各駅停車が概ね毎時5本、急行が毎時3本、特急が毎時1本に再編され、ソウルメトロ乗り入れ列車である各駅停車は毎時1本削減することとなった。なおこれに伴う急行停車の拡大はない。
京仁線内では急行と各駅停車が方向別複々線で走っているため対面乗り換えが可能であるが、線路別複々線となっている龍山~九老間では京仁線急行から京釜線から来る各駅停車に乗り換えるには階段昇降が必要となる。このことから、京仁線沿線から新道林や龍山に向かう際には速達性は向上したが、ソウルメトロ1号線方面への利便性は低下したようだ。
2. 京釜線急行の増発で運転区間拡大と停車駅増加へ
今回の2019年12月30日KORAIL・ソウルメトロダイヤ改正では、京釜線系統で大きくダイヤ改正を実施した。
今回のダイヤ改正では京釜線緩行電車毎時1本を急行に格上げし、所要時間短縮を図った。これにより昼間は概ね各駅停車毎時5本と急行毎時2本の計毎時7本の運転となった。
これにより京釜線急行は平日は1日34本から1日60本に増発したほか、土休日も1日34本から46本の運転に増発した。
なお昼間の京釜線急行は九老以北は急行電車線経由で龍山発着、朝夕の3往復に限り列車線経由でソウル駅地上ホームに乗り入れて運転していたが、今回のダイヤ改正より全ての京釜線急行は九老以北で緩行電車線を走行することとなった。これによりソウル駅地上ホーム発着の急行は全廃し全列車がソウル駅地下ホームに乗り入れることとなったほか、清涼里発着で運転することとなり、ソウルメトロ直通列車は毎時6本から毎時7本に拡大し利便性が向上した。
また急行通過駅では乗車チャンスが減ることから、比較的利用の多い駅では急行停車駅の増加も図っている。
朝夕のみ運転のソウル駅地上駅舎発着だった列車は九老以北で列車線から緩行電車線に切り替えたため、列車線にホームのなかった南堂~九老間の全駅に停車するようになった。これにより平日朝は特に混雑する新道林での地下鉄2号線乗り換えチャンスが増えることとなった。
また衿井、成均館大の2駅はこれまで平日朝夕のソウル駅地上発着の3往復の急行のみが停車し、残りの急行は通過していたが、今回のダイヤ改正で各駅停車の減便を図ることとなったことから救済措置としてこの2駅には全ての急行を停車させることとなった。衿井は首都圏電鉄4号線と乗り換えることができるので、仁川市南部方面からの利用もはかどりそうだ。
なおソウル駅地上ホーム発着の平日3往復のみ停車していた衿川区庁、義王の両駅は平日朝のソウル駅方面清涼里行き5本と平日夕方の天安行き3本、及びラッシュと逆方向の平日朝の2本のみが停車することとなり、全停車はしないこととなった。
また、九老~水原~餅店間は緩行電車を急行にそのまま格上げしたため運転本数が変わっていないが、西東灘発着の列車を一部削減した分天安発着の急行に割り振ったため、実は餅店~天安間では増発している。そもそも西東灘発着は餅店検車区への引き込み線を旅客営業したものであり、天安方面と昼間は1:1で運転していたものの当然天安方面と比べたら利用者はまばらなわけで、減便してしまうのも致し方ないだろう。
なお今回のダイヤ改正より京釜線急行がソウルメトロ区間に乗り入れることとなったが、急行列車は全列車KORAILの車両で運転する。ソウルメトロ車両は引き続き各駅停車のみでの運転となりそうだ。
このほか、水西発着の高速列車SRTの停車する芝制は停車する緩行電車が減便したにもかかわらず引き続き急行通過となった。開業当初は東海道新幹線三河安城並みの悲劇だと思っていたのだが、流石に緩行電車の減便を行っても急行の増停車を行わず利用チャンスを広げないほど芝制の利用がないとは…
3. 結び
今回の2019年12月30日KORAIL・ソウルメトロダイヤ改正では、首都圏電鉄1号線で急行列車を増発することにより速達性が向上した。
とはいえ、各駅停車の格上げを中心に行ったことから京釜線では急行の増停車を図っているものの、急行通過駅では乗車チャンスが減ってしまっている。
KORAILでは首都圏電鉄3号線及び首都圏電鉄4号線で待避設備の増強を行い、2022年頃を目途に終日急行運転を行う計画を立てている。
今後KORAILやソウルメトロでどのようなダイヤ改正を実施するのか、見守ってゆきたい。
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