時刻調整のみで増発ならず 中国鉄路金山鉄路(上海22号線)ダイヤ改正(2017年7月1日)

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中国鉄路は6月29日、プレスリリースにて7月1日に金山鉄路でダイヤ改正を行ったと公表した( 7月1日起 上海金山铁路时刻表将进行调整 )。今回はこれについて見ていく。

1. 地下鉄のような大規模増発ならず

中国では地下鉄が近中距離輸送をほぼ独占しており、中国国鉄については在来線でも隣駅まで30kmあり(一部区間では在来線より高速新線の方が駅が多かったりすることも)、近距離輸送どころか、中距離輸送もほとんど興味がなかった。それゆえ都市の人口流入に応じるには地下鉄を改めて建設せざるを得ず、日本でいう地下鉄と私鉄の両方の性格を持ち合わせている。首都北京で1000kmもの地下鉄網を建設しようとしているのはそのためである。
中国も公共事業として地下鉄を20もの都市で開業・延伸させ続けているが、開削工法で建設費を圧縮する一方でさらなる建設費圧縮に用いだしたのが中国国鉄路線の通勤化である。北京・上海・四川省成都などでは中国国鉄路線の一部を通勤化することで中距離需要の一部を担うこととした。そして登場したのが2008年の北京S2号線(京包線)と上海22号線(金山鉄路)である。ただ、地下鉄は間隔が開いても昼間12分間隔(毎時5本)であるのに対し、中国国鉄の通勤化路線は毎時2本程度かそれ以下と、やはり重厚長大の遠距離重視に変わりはない様だ。上海22号線(金山鉄路)に関しても、概ね毎時1本のノンストップと毎時1本の全駅停車(といっても1駅5~10km程度)であり、地域輸送性が高いとは言えない状況である。全長60km程しかない金山鉄路であるが、普通運賃のみで乗れるとはいえ車両がCRH(中国高速鉄道用車両)であり城際列車(つまり近距離特急列車として設定)として運行されていることからも、どちらかというとJR北海道の特急「カムイ」、JR東日本の特急「かいじ」「ときわ」、JR九州の特急「かもめ」「ソニック」に近い形となっている。乗り得列車ではあるのだろうが、まだまだニーズを掴むのは遠いようだ。
今回のダイヤ改正も、朝晩の一部列車の時刻を1分から7分時刻変更する程度で、増発はなされない。


2. 結び

今回の2017年7月1日上海金山鉄路ダイヤ改正では、金山区への人口流入も生かせず増発は見送られた。中国国鉄としても今は珍しい取り組みであるが、今後全国の大都市に広がる可能性が高いことから、今後どうなるのか楽しみにしたい。

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