日本国有鉄道は1965年始め、「国鉄監修 交通公社の時刻表」(現 JTB時刻表)1965年3月号にて春期間(1965年3月7日~5月30日)に東海道新幹線にて臨時列車の設定を行うと公表した。【週刊新幹線5号】となる今回はこれについて見ていく。
前回記事となる1964年12月~翌年1月に運行された、「ひかり」並みの停車駅の「こだま」や年越し新幹線などの東海道新幹線臨時列車についてはこちら!
1. 繁忙期に超特急「ひかり」号1往復増発
今回1965年春の東海道新幹線臨時列車運転では、1965年3月20日~4月15日と4月29日~5月5日の繁忙期に超特急「ひかり」号の増発が行われた。増発されたのは東京発・新大阪発ともに19時45分発であり、最終の20時ちょうど発の15分前に発車となっている。当時から最終列車は混雑する傾向があり、最終列車の前に列車を増発したかったのだろう。
今回臨時で設定された「ひかり」は351号と352号が付され、前回1964年冬の臨時列車運転と同様となり同じダイヤ内での番号使いまわしは避けられている。ただ、1964年冬の臨時列車運転の際はひかり352号が新大阪19時40分発、東京23時45分着でったが、今回新大阪発時刻を5分遅らせて東京着時刻を据え置いており、改善が見られた。
2. 東京~静岡間休日運転特急「こだま」号2往復運転
今回1965年春の臨時列車運転で新しく設定されたのが、東京~静岡間を運転する3月~5月の全期間休日運転の特急「こだま」号。静岡→東京間の臨時「こだま」は、史上初の東海道新幹線臨時列車として1964年の東京オリンピック期間を中心に設定されたが、休日運転という括りで東海道新幹線の臨時列車が設定されたのはこれが初である。
設定されたのは東京9時15分発と14時15分発、静岡11時25分発と16時25分発で、東京~静岡間を定期列車より5分遅い1時間40分、東京~熱海間を59分で運行した。運用は全ての臨時「こだま」を1運用で済ますことができ、当時の0系新幹線30編成中定期列車で24運用使用している中での最小限の増加とした。号数については、381・382・385・386が当てられたおり、これまで370号台を使用していたことからも同じダイヤでの再使用は避けられているが、意味深に383と384が抜けている。これについては1965年夏の東海道新幹線臨時列車運転で東京~名古屋間臨時「こだま」に使用されているので、次回扱うこととする。
ところで今回の臨時静岡「こだま」は、なぜ休日運転として設定されたのか。休日運転の臨時列車は東海道新幹線としては初だが在来線の東海道本線にはかつてより熱海・三島方面列車である準急「臨時はつしま」(東京~熱海)や準急「臨時あまぎ」(東京~伊豆急下田・修善寺)などが現代でいうJR東日本の特急「踊り子」同様休日運転の臨時列車を運転していた。しかし在来線経由の場合、横浜駅からの利便性は高いものの東京からすると所要時間がかかり、電車であれば1時間30分強であるが客車の場合2時間弱かかることもあった。そこで前回1964年冬の臨時列車運転にて混雑緩和目的で新幹線特急「こだま」号に設けた自由席を再び1965年3月7日より1等車(現在のグリーン車)にも設定し利用しやすくすることで、新幹線でも休日に小田原・熱海へ利用しやすくする目的だったのではないだろうか。
3. 結び
今回1965年春の国鉄東海道新幹線臨時列車運転では、年末年始にあった日跨ぎ列車は設定されなかったが、当時全席指定の「ひかり」では最終列車の混雑回避のために最終列車1本前に増発し、短距離利用もできた「こだま」では近距離ニーズの在来線準急からの移行を目論み、東京~静岡間の臨時「こだま」を2往復設定した。次回の【週刊新幹線】では、0系新幹線増備に伴う1965年夏の臨時列車運転と、実はこっそり行われたダイヤパターンの変更について見ていくこととする。
出典
国鉄監修 交通公社の時刻表(現:JTB時刻表) 1965年3月号, 日本交通公社出版事務局時刻表編集部, 1965年.(JTB時刻表最新号はこちらから!)
東海道新幹線 写真・時刻表で見る新幹線の昨日・今日・明日, 須田寛 著, JTB出版事務局交通図書編集部, 2000年.
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