年越し新幹線再設定と史上初の名阪ひかり設定へ! 東海道新幹線臨時列車運転(1965年12月29日~1966年1月16日冬期間)【週刊新幹線9号】

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日本国有鉄道は1965年、「国鉄監修 交通公社の時刻表」(現 JTB時刻表)1965年12月号にて、東海道新幹線で臨時列車運転を行うと公表した。今回はこれについて見ていく。

前回記事となる1965年11月1日東海道新幹線ダイヤ改正についてはこちら!

1. 臨時列車設定の背景

日本国有鉄道は1965年10月1日と11月1日にダイヤ改正を行い、開業時30編成しかなかった0系新幹線を15編成増備し運転時間を短縮することで2度にわたる増発を行った。しかし年末年始輸送には定期ダイヤでは輸送力が足りず、前年1964年12月~1965年1月に実施されたような臨時列車を運転することとなった。

ただ、前年の臨時列車運転同様昼間は余裕がなく、増発の余地はあまりない。そこで日本国有鉄道では下り(新大阪方面)は1965年12月28日~1966年1月1日まで、上り(東京方面)は1966年1月3日~1月10日の期間中、東海道新幹線特急「こだま」号のうち東京~新大阪間運転の全線運転列車の指定席を1等車(現在のグリーン車に相当)8号車と2等車(現在の普通車に相当)の9~12号車から縮小し、1等車(現在のグリーン車に相当)8号車と2等車(現在の普通車に相当)の11、12号車の3両のみとし残り9両は自由席解放したほか、東京~静岡・名古屋間運転の区間運転列車は1等車含め全席自由席とした。また東海道新幹線超特急「ひかり」号は同じ期間において2等車特急券を立席承知券(現在の立席特急券に相当)として発券することとなり、1列車当たり300人程度の立席承知券を発売した。特急「こだま」号の自由席特急券も超特急「ひかり」号の立席承知券も特急料金(2等車指定席)と比べて100円引きとなっており、割引水準は同一となっている。ではなぜ超特急「ひかり」号は自由席解放ではなく立席承知券としたのかといえば、当時の超特急「ひかり」号は全席指定席であり、多客期に限り自由席を設けると混雑が集中しすぎるためと考えられたのだろう。そのため自由席特急券としてではなく立席承知券として各列車ごとの人数を把握することで混雑が超特急「ひかり」号に集中しすぎないようにしたものと思われる。

なお、このような自由席特急券や立席承知券の発券では年末年始輸送は捌ききれず、2年連続日跨ぎ・年越し列車を設定することになった。

2. 日跨ぎ・年越し「ひかり」再び設定へ

今回の1965年12月〜1966年1月東海道新幹線臨時列車運転では、前年の臨時列車運転に引き続き日跨ぎ・年越し新幹線が運転される。設定されるのは始発駅基準1965年12月29日及び30日運転の東京21時15分発新大阪0時25分着超特急「ひかり415号」と、始発駅基準1965年12月29日~31日運転の新大阪20時55分発東京0時5分着超特急「ひかり418号」で、1965年12月31日運転の超特急「ひかり418号」は田町付近で日を跨ぎ1966年1月1日に東京駅に到着するため、2年連続での年越し新幹線の運転となる。

また1966年1月5日~7日には新大阪5時00分発東京8時10分着超特急「ひかり412号」や、新大阪5時30分発東京8時40分着超特急「ひかり414号」も運転され、2018年現在では規制されている0時〜6時の間の運転も行なっている。前年との違いは早朝・深夜時間帯でも容赦なく超特急「ひかり」号として運転し、所要時間を昼間と変わらない3時間10分運転を行っているという点だ。これにより前年の臨時列車運転のような名古屋・京都のみ停車であっても所要時間が長いことにより特急「こだま」として運転せざるを得ず、特急料金も「こだま」料金しかとれなかったものが、今回の臨時列車運転ではちゃかり割高な「ひかり」料金を取ることとなった。

なお、前年の臨時列車運転で実施された新大阪で接続した深夜の客車急行「筑前」「ぶんご」は設定されないこととなった。

3. 年末年始も「こだま」増発

また今回の1965年12月~1月東海道新幹線臨時列車運転では、特急「こだま」号の増発も実施される。

これまでも休日を中心に運転され、1965年10月1日ダイヤ改正より休日に東京~熱海間で3往復運転されてきた臨時特急「こだま」号であるが、今回の臨時列車運転では再び東京~静岡・名古屋間に延長される。運転されるのは全て年明けの1966年で、1月1日~3日、15日、16日は東京~静岡間で2往復、1月4日~6日は東京~名古屋間で1往復、1月14日は東京~静岡間で1往復の運転となっている。運転日が土休日に縛られず年末年始期間にも運転されるのが特筆的だ。

このうち1月14日に運転される東京~静岡間運転の特急「こだま423号」及び特急「こだま424号」は期間中この日にしか運転されない。また1月4日~1月6日に運転される東京~名古屋間特急「こだま」号は1月1日~3日、15日、16日に運転される東京~静岡間運転の特急「こだま」号のうち特急「こだま421号」と特急「こだま426号」を静岡発着から名古屋発着に延長したものであり、号数も同じ番号が割り振られている。2018年現在でいう、広島発着「のぞみ」が博多まで延長運転しても号数が変わらないのと同じ感覚なのであろう。

なお、今回運転される特急「こだま」421号~426号は号数設定としては1965年10月1日ダイヤ改正及び1965年11月1日ダイヤ改正より使用されているが、運転時刻は全く別物となった。

4. 史上初の名古屋~新大阪間「ひかり」設定へ

また今回の1965年12月~1月東海道新幹線臨時列車運転では、史上初となる区間運転「ひかり」号が設定される。

運転されるのは全て1966年1月1日元日のみで、下り(新大阪方面)は名古屋8時37分発新大阪9時45分着「ひかり411号」の1本、上り(名古屋方面)は新大阪13時30分発名古屋14時36分着「ひかり302号」及び新大阪19時30分発名古屋20時36分着「ひかり416号」の2本が設定された。後に山陽新幹線が順次開業し名古屋発博多行きや名古屋発広島行き、名古屋発東京行きの「のぞみ」「ひかり」は設定されるが、名古屋発新大阪行きの「ひかり」が定期列車として設定されたことはなく、名古屋~新大阪間完結の「ひかり」は今回の設定が初となり、1972年3月15日の山陽新幹線岡山開業によりみられなくなる珍しい列車設定となった。

ではなぜ1月1日元日のみの設定なのかというと、名古屋~大阪間で競合関係にある近鉄が伊勢方面に特急列車を設定することとなり、伊勢神宮の新年初詣のために1月1日に大混雑することが予想され、その救済として東海道新幹線を増発し誘導しようとしたものと思われる。近鉄特急は岐阜や滋賀には乗り入れないから特急「こだま」号としてではなくより料金を徴収できる超特急「ひかり」号として設定することとしたのであろう。

なお、このうち「ひかり302号」は1965年11月1日ダイヤ改正で運休中と時刻表に記載されていた1本を活用した列車となっている。


5. 結び

今回の1965年12月~1月東海道新幹線臨時列車運転では、2年連続で日跨ぎ・年越し新幹線が設定されたほか、史上初となる名古屋~新大阪間の区間運転「ひかり」も運転された。今後増発されたダイヤを活かしてどのようなダイヤ改正を組んだのか、次回の【週刊新幹線】をお楽しみに!

出典

国鉄監修 交通公社の時刻表(現:JTB時刻表) 1965年12月号, 日本交通公社出版事務局時刻表編集部, 1965年.(JTB時刻表最新号はこちらから!)

コメント

  1. ロッキー より:

    >1966年1月1日元日のみ運転の名古屋8時37分発新大阪9時45分着「ひかり411号」について< この列車に関しては東京-名古屋間JTBなどが募集した「伊勢神宮年始参拝」団体専用列車として運転されたものです。 東京発5:30でした。名古屋-新大阪回送はもったいないので客扱い化したと思われます。 実際にこの団臨に乗ったので鮮明に覚えています。

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