ひかりの増停車とこだまの増発で緊急輸送実施へ! 山陽新幹線臨時列車運転(2018年7月10日〜)

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JR西日本は7月17日、プレスリリースにて平成30年7月豪雨に伴う運休区間について公表した( 「平成30年7月豪雨」にともなう運転計画について )。今回はこのうち、山陽新幹線の臨時列車運転についって見ていく。
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1. 山陽新幹線で増発実施へ

今回の2018年7月10日からの山陽新幹線臨時列車運転では、山陽本線および呉線災害による運休に伴い、7月8日より復旧した山陽新幹線福山~広島~徳山間で振替輸送を実施することとなった。

JR西日本管内の在来線では72時間以上運転見合わせしたのは1,017.1kmにも及び、うち1カ月以上運転見合わせするのは695.9kmにも及び、復旧に難を擁している。特に芸備線狩留家~備後落合間、木次線備後落合~出雲横田間、福塩線府中~塩町間は7月19日現在でも復旧に1年以上かかると見込まれている。

特に海田市~三原間の山陽本線・呉線は共に被害が大きく、大雨から10日間程度は復旧の見通しすらたっていなかったほか、7月18日の運転再開見込み公表でも広島市内の瀬野までは8月中に復旧数見込みだが、西条・白市へは10月中、白市~三原の復旧は11月中となり約4カ月もの間不通状態が続くこととなった。また呉線に関しても呉・広への復旧が11月中、広~三原間の復旧が2019年1月中となるなど、復旧が長期化することとなった。そのため、7月11日から山陽新幹線での振替輸送および東広島~西条間での連絡バス運行を行ってきたが、7月17日より東広島~八本松・寺家・西高屋・白市へも連絡バスを運転し、東広島駅利用可能エリアを広げることとなった。また呉市方面では災害時臨時輸送バスを広島電鉄バスなどと協力し広島高速と国道31号線経由で運行しており、輸送船まで出す異例の事態となっている。これらのことから山陽新幹線では需要が逼迫することとなることから、臨時列車や編成増強を行うこととなった。

なお、山陽新幹線の振替輸送区間については、在来線の山陽本線の復旧に応じ短縮され、7月10日の海田市~岩国間復旧で広島~新岩国間で代替輸送が外れたほか、7月18日より福山~三原間で復旧したため、現在の山陽新幹線による振替輸送区間は三原~広島間と新岩国~徳山間となっている。また、7月8日の振替輸送開始から一貫して振替輸送で利用できる列車は「ひかり」「こだま」の普通車自由席に限られ、「のぞみ」「みずほ」「さくら」の利用は在来線定期券を持っていても別途運賃・料金が必要となった。




2. 「ひかり」の増停車実施へ

まず今回の山陽本線振替輸送に伴う山陽新幹線臨時列車運転では、7月10日より新大阪6時03分発「ひかり441号」博多行きの東広島増停車を実施した。

この「ひかり441号」は700系16両編成で運転されており、本来であれば広島に7時50分に到着し新大阪6時25分発「さくら541号」鹿児島中央行き8両編成に抜かれ、広島駅を8時00分に出発するが、今回の東広島増停車により東広島7時42分発として設定され、広島7時52分着に変更となった。

3. 「こだま」の増発と輸送力増強の実施へ

また今回の山陽本線振替輸送に伴う山陽新幹線臨時列車運転では、7月11日より朝の「こだま」で増発と編成増強を実施した。

まず岡山6時10分発「こだま」721号広島行き初列車が、700系8両編成(「ひかりレールスター」型車両)から16両編成に置き換えられ、普通車全車自由席が維されることとなった。同時に東広島発時刻が7時00分発から7時04分発へ4分繰り下がり、広島着時刻も7時11分着から7時14分着へ3分繰り下がった。

また同日7月11日より岡山6時21分発「こだま791号」広島行きが設定された。定期「こだま723号」岡山6時28分発博多行きの直前に設定されたことから混雑緩和目的による設定となった。普通車全車自由席で、車両は700系8両編成(「ひかりレールスター」型車両)が使用されることから、先述の定期「こだま721号」の16両化に伴い、岡山から広島へ700系8両編成(「ひかりレールスター」型車両)を移動させるために設定されたものと思われる。

これらの増発により、東広島7時台発の広島方面行き山陽新幹線は、3本しかなかったものが5本にまで増発されることとなった。




4. 東広島始発の「こだま」再設定へ

 さらに今回の山陽本線振替輸送に伴う山陽新幹線臨時列車運転では、7月17日の東広島駅からの連絡バス拡充に合わせ、さらに「こだま」が増発されることとなった。

増発されたのは東広島6時43分発「こだま773号」広島行きで、16両編成普通車全車自由席で運転される。この列車は定期列車の初列車である「こだま721号」広島行きより早い時間帯に設定され、定期時刻と比べ17分早く東広島を出発し、広島に到着することができることとなった。

東広島始発の山陽新幹線の運転はおそらく2014年8月の広島豪雨による振替輸送による臨時列車運転以来で、当時はN700系16両編成を座席を進行方向逆向きで運転し、すぐに広島発東京行き「のぞみ」に運用できるようにしていた。ただ今回は座席逆向き運転は実施していないようだ。

また、これまでの増発は朝の増発であったが、7月17日より夜にも臨時「こだま」が設定されることとなった。設定されるのは広島17時26分発「こだま770号」岡山行きで、16両編成普通車自由席で運転される。この時間帯は「こだま」が毎時1本しか設定されていないこと、主に8両編成での運転となることから振替輸送までは供給が追いつかないことから、臨時「こだま770号」を設定することとなったものと思われる。

なお、7月17日より先述の臨時「こだま791号」は「こだま775号」に改番されたが、同一時刻で運転されている。


5. 結び

 今回の2018年7月からの山陽新幹線臨時列車運転では、山陽本線及び呉線の運転見合わせにより振替輸送として朝夕を中心に臨時列車や編成増強を実施した。今後山陽本線海田市~瀬野~西条~白市が復旧する10月まではこの臨時増発や編成増強は継続されるものと思われ山陽本線白市~三原間が復旧する11月までは少なくとも山陽新幹線の振替輸送は継続される見込みだ。また被災地支援ボランティア向けとして「こだま限定自由席きっぷ」も発売されているなど、空席率低下目的もある反面多少なりとも被災地支援につながっているものと思われる。

今後山陽新幹線で運転されるこれらの臨時列車がどのように変化していくのか、見守ってゆきたい。

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