JR東海は2018年度中にN700Aを7編成、JR西日本は6編成導入すると公表した。今回はこの情報に基づき、2019年3月に実施予定の山陽新幹線ダイヤ改正のうち、昼間について予測していく。
2019年3月16日全国一斉ダイヤ改正まとめについてはこちら!
1. N700系増備で所要時間短縮へ
今回の2019年3月ダイヤ改正を前に、JR西日本では16両編成の新幹線型車両40編成のうち34編成がN700系となり、700系16両編成は6編成にまで縮小される。
これにより、現状では山陽新幹線を走る定期及び臨時「のぞみ」合計毎時5本のうち300km/h運転のN700系専用スジとなっているのは定期列車の毎時3本のみとなっているが、次回の2019年3月ダイヤ改正よりN700系で臨時を含む「のぞみ」毎時4本を賄うことができるようになる。
東海道新幹線では2018年3月17日ダイヤ改正より山陽直通多頻度「のぞみ」のダイヤパターンとなる東京毎時40分発「のぞみ」のN700系専用化による所要時間短縮を一部の時間帯から進めており、東京8時40分発新大阪から先臨時運転となる「のぞみ159号」博多/広島行きがN700系専用運転となった。
ただ、新大阪以西の山陽新幹線内では東海道新幹線内で短縮した3分のうち2分は繰り上げたものの、それ以上の所要時間短縮は実施されず山陽新幹線内のみであれば285km/h運転も可能なダイヤとして組まれた。
しかし、2020年3月ダイヤ改正までに全ての東海道新幹線直通列車がN700系で統一されることを考えると、将来的には「のぞみ」を285km/h運転スジで残す必要がない。また東海道新幹線内での東京毎時40分発/東京毎時03分着山陽直通多頻度「のぞみ」のスジはN700系を導入すればほかの列車関係なく即座に3分短縮可能であり、700系も依然運用されているのは走行距離精算によるJR西日本のN700系導入増備待ちが一番大きい。
ともなると、2019年3月ダイヤ改正ではこのダイヤパターンがN700系に統一される可能性が高く、山陽新幹線内で300km/h運転による所要時間短縮を図るのではないだろうか。
2. 臨時「のぞみ」の最高速度引き上げなるか
では、もし東京毎時40分発/東京毎時03分着山陽直通多頻度「のぞみ」がN700系で統一された場合、山陽新幹線内でどのような所要時間短縮を図るだろうか。
2018年3月17日ダイヤ改正時点では、昼間の山陽新幹線「のぞみ」新大阪~博多間の所要時間は、300km/h対応の定期「のぞみ」では2時間28分、285km/h対応の多頻度/僅少「のぞみ」では2時間35分~2時間38分の運転となっており、7~10分の開きがある。
では東京毎時40分発/東京毎時03分着山陽直通多頻度「のぞみ」はN700系専用スジとした場合、2時間38分運転から10分短縮して2時間28分運転にすることは可能だろうか。
2.1. 下りでは「さくら」と走順変更か
まずは下り(博多方面)から。東京毎時40分発山頂直通臨時「のぞみ」は新大阪毎時15分発となっており、徳山または新山口に追加停車する。先にN700系専用化に伴い東海道新幹線内で所要時間短縮を図った東京8時40分発「のぞみ159号」は新大阪11時13分発であることから、所要時間が短縮された際には新大阪毎時13分発に2分繰り上がるのだろう。
ただ、この山陽直通多頻度「のぞみ」の前には、新大阪毎時08分発「さくら」鹿児島中央行きが設定されている。この「さくら」は全列車停車駅に加え福山、新山口に追加停車することが多いが、全てN700系8両編成で運転され300km/h対応ではあるものの、1駅停車すると概ね4分所要時間がかかってしまう。もし後続の東京毎時40分発山陽直通多頻度「のぞみ」が東京~博多間全てで所要時間短縮を図ると、博多到着時に「のぞみ」と同時到着となってしまう。
2018年現在走行するN700系16両編成は全て定速運転装置が設置されているが、使用されるのは東海道新幹線内のみで山陽新幹線内では使用されない。ともなると、少なくとも3分の列車間隔を開けなくてはならない。つまり、「さくら」の時刻を動かさない場合、博多到着は毎時44分となり、N700系専用ダイヤ化による300km/h運転が実現しても2時間31分運転となる見込みだ。
現在の九州新幹線直通列車は新大阪毎時08分発(定期)と毎時52分発(多頻度)であるが、臨時列車と合わせると運転間隔が16~44分と偏っている。ともなると、新大阪毎時08分発の定期スジを新大阪毎時16分発など後ろにずらして、運転間隔の均等化を図るのではないだろうか。もし「みずほ」「さくら」の時間をずらせば、多頻度「のぞみ」の新大阪~博多間2時間28分運転が可能になるものと思われる。
また、現在東京毎時40分発/03分着山陽直通多頻度「のぞみ」は姫路で東京~岡山間運転の東京毎時03分発/40分着定期「ひかり」を追い抜いている。しかし2019年3月のダイヤ改正でこの「のぞみ」の運転時刻が下りで繰り上がり、上りで繰り下がると、姫路での停車時間を削減することができる。前後の「さくら」の走順にもよるが、もし時刻変更により待避時間が短縮されれば、相生で東京毎時50分発/53分着山陽直通(主に広島発着)定期「のぞみ」の追い抜きを受ける必要が無くなり、岡山到着が最大10分ほど繰り上がる可能性がある。
ただ、東海道新幹線内では2019年3月ダイヤ改正で東京毎時47分発/56分着僅少「のぞみ」をN700系専用ダイヤとすることで東京毎時50分発/53分着山陽直通(主に広島発着)定期「のぞみ」の所要時間を3分短縮させる可能性も十分にあり、相生での待避は残る可能性がある。しかしそれでも2017年3月4日ダイヤ改正で浜松~新大阪間所要時間3分短縮により3分延びてしまった新大阪~岡山間の所要時間を、3分短縮することができるようになる。ともなると、岡山発着定期「ひかり」の所要時間短縮はおそらく必発ではないだろうか。
なお、東京毎時50分発山陽直通(主に広島発着)定期「のぞみ」が東海道新幹線内で3分短縮したとしても、山陽新幹線内では既に300km/h運転のN700系専用ダイヤとなっているため、下り(博多方面)では3分繰り上がるだけだと思われる。
2.2. 上りの短縮で速達型「ひかりレールスター」危うし
次に上り(新大阪・東京方面)について。現在東京毎時03分着多頻度「のぞみ」は山陽新幹線博多→新大阪間2時間35分運転を行なっているが、他の列車を考えなければ定期「のぞみ」同様2時間28分運転ができるようになるはずである。
では周辺の列車について見ていく。この東京毎時03分着多頻度「のぞみ」は、博多毎時53分発で設定されており、直前の概ね毎時47分発には九州新幹線からの多頻度「みずほ」「さくら」が設定されている。今回の2019年3月ダイヤ改正で東京毎時03分着多頻度「のぞみ」にN700系専用ダイヤとなる場合、新大阪基準で2~3分繰り下がり、かつ山陽新幹線内で所要時間短縮が実施されれば博多発時刻がさらに繰り下がることは間違いない。ともなると、直前を走る多頻度「みずほ」「さくら」は影響を及ぼさなそうだ。
次に後続列車について見ていく。この多頻度「のぞみ」は博多毎時53分発であるが、その次は博多概ね毎時00分発「こだま」いる。もしこの多頻度「のぞみ」が東海道新幹線で3分、山陽新幹線で7分短縮すると博多発時刻が10分繰り下がることとなり、博多毎時03分発となる可能性がある。そうなると「こだま」とバッティングしてしまう。
ただ、山陽新幹線のダイヤの作り方は、1に博多発着「のぞみ」、2に「みずほ」「さくら」、3に広島発着「のぞみ」、4に東海道新幹線直通「ひかり」、5に「こだま」と山陽新幹線内「ひかり」となっているので、「のぞみ」の速達化のためならいくら停車時間を延ばして「こだま」待避させてくれる。現在でも厚狭で「のぞみ」2本と「さくら」1本の合計3本待ちをして16分停車しているのは「こだま」が一番優先順位が低い証拠なのである。
ともなると、博多概ね毎時00分発「こだま」が発車時刻を繰り上げ、新下関で多頻度「のぞみ」に抜かれるようになるのではないだろうか。
ただ、この多頻度「のぞみ」スジは2018年10月より運転時刻を変更した博多11時53分発臨時「ひかりレールスター576号」姫路行きも使用している。ともなると、東京毎時03分着多頻度「のぞみ」をN700系専用運転とした場合、この「のぞみ」潰しスジでは700系「ひかりレールスター」が運転できなくなってしまうようだ。
なお、東京毎時53分着山陽直通(主に広島発着)定期「のぞみ」が東海道新幹線内で3分短縮した場合、新大阪到着時に後続に多頻度「さくら」がいることから、大きく時刻変更される可能性がある。
現在この東京毎時53分着山陽直通(主に広島発着)定期「のぞみ」は、新大阪毎時18分着となっているが、後続のN700系8両編成多頻度「さくら」は毎時24分着となっている。この「のぞみ」は、「さくら」を抜かす場合と「さくら」を抜かさない場合2つがある。
まずはこの東京毎時53分着「のぞみ」が博多始発で定期列車として運転されている時間帯。大抵新大阪で後着となる「さくら」を姫路(1本だけ福山)で追い抜くようなダイヤを組んでいる。この「さくら」は定期列車でも臨時列車でも同じとなっている。
次にこの東京毎時53分着「のぞみ」が広島始発で定期列車として運転されている時間帯。すでにこの「のぞみ」はN700系専用運転となっているのだが、この場合多頻度「さくら」を抜かすことはせず、延々と多頻度「さくら」の前を走り続ける。これは、博多始発で臨時延長できる場合にもひたすら「さくら」の前を走り続けることから、博多→新大阪間の所要時間が2時間35分と700系臨時列車並みになることがある。
ともなると、もしこの東京毎時53分着広島から定期「のぞみ」が東海道新幹線内で所要時間短縮され新大阪着時刻が3分繰り下がり新大阪毎時21分着となると、多頻度「さくら」とスジがバッティングしてしまう。ともなると、多頻度「さくら」が新大阪毎時24分着から毎時15分着に繰り上がり、多頻度「さくら」が定期「のぞみ」に抜かれることがなくなる。
また、この「のぞみ」が広島始発として設定される場合の所要時間も後続に「さくら」がいなくなることで山陽新幹線内でも3分程度短縮し、東海道新幹線内で3分短縮されると合計6分短縮され広島→東京間3時間57分運転となるのではないだろうか。
3. 結び
今回の2019年3月山陽新幹線ダイヤ改正予測では、多頻度「のぞみ」がN700系専用ダイヤになる見通しで、山陽新幹線内でも所要時間短縮が可能となりそうだ。
また周辺の「みずほ」「さくら」「こだま」も運転時間変更が予想され、比較的大掛かりなダイヤ改正となりそうだ。
今後2020年3月ダイヤ改正で臨時列車を含む全ての「のぞみ」がN700系運用となり300km/h運転を実施することとなったとき、どのようなダイヤ改正を実施するのか、楽しみにしたい。
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