JR東海は2019年1月25日、プレスリリースにて2020年7月よりN700S量産車の営業運転を開始すると公表した( 次期新幹線車両「N700S」量産車の仕様および投入計画について )。今回はこれから2021年3月実施予定の東海道新幹線ダイヤ改正について見ていく。
1. N700S営業運転開始で最高速度引き上げへ!
今回の2021年3月実施予定の東海道新幹線ダイヤ改正では、N700Sの増備に伴いダイヤ改正を行う。
JR東海では2020年度に12本のN700Sを投入するとしている。近年3年間は毎年6~7本のN700系を投入してきたが、2007年の導入当初から5年連続N700系を16本ずつ導入したのと比べると、やや落ち気味だ。
またJR西日本でも2021年3月ダイヤ改正の直前にN700Sを2本投入するとしている。2020年に入っても製造計画がなかったためJR西日本は当分の間N700Sを投入しない可能性も考えられたが、10月にやっと年度末に2本投入することを決めたようだ。ただ2021年度に1本たりとも導入しないということは、2021年3月ダイヤ改正で山陽新幹線の「のぞみ」を定期・臨時合わせてパターンダイヤ時間帯の全てで毎時5本から毎時6本に枠を増やすために使うのだろう。
結果2021年3月ダイヤ改正までにN700Sは14本投入することとなる。
JR東海ではN700Sを2020年7月1日より運転開始したことに伴いN700系のうち2007年投入分の一部を廃車した。もしN700SがN700系より少し電気代が安く乗り心地が良くなったぐらいだけなら300系新幹線同様法定耐用年数13年を過ぎて15年間使用したっていいわけで、わざわざ製造後13年しか経過していないN700系を廃車する必要はないはずだ。にもかかわらず少なくともJR西日本基準なら余裕で走れるN700系を順次廃車しているということは、N700Sは最高速度引き上げを行い所要時間を短縮することでより東海道新幹線の合理化を図れるということにほかならない。もっともJR東日本からすれば所要時間短縮を図るならさらに料金を加算しないなんてバカとも思われているのかもしれないが(ちなみに「のぞみ」は新幹線特急料金の上限認可では「のぞみ」運転開始時の割高な料金のまま申請を行っているため、東京~新大阪間は「ひかり」と比べ1,020円加算、東京~博多間は「ひかり」と比べ1,940円加算で上限認可されているので、届出さえすれば東京~新大阪間の「のぞみ」加算を320円から500円にすることはいとも簡単にできる)。
ただ、最高最高速度引き上げがどこまで行われるのかは不透明だ。少なくともN700Sはブレーキ性能向上と軽量化により東海道新幹線内でも300km/hでの運転が可能になるのは間違いないし、それに伴い東京~新大阪間の「のぞみ」で少なくとも3分所要時間短縮を実施し最速2時間18分以内の運転になることまでは間違いない。また米原~京都間のうちトンネルのない区間で330km/h運転を行う構想もあることから、やや姑息ながらも日本最高速度で走る列車になる可能性がありそうだ。
なお2010年代後半にヨーロッパと中国で250km/hしか出せない高速列車の走る路線を大量に作ってしまったために、主要高速鉄道路線は300km/h以上でており、250~260km/h程度しか出せない高速新線はコスパを重視したために最高速度を引き下げた2軍路線としてみなしているようだ。上越新幹線や北陸新幹線のような東京都市圏以外の百万都市圏を走行しない短距離路線は2軍でもいいだろうが、東京・名古屋・大阪の三都市圏を結ぶ東海道新幹線285km/hしか出せないことで世界的に2軍扱いされるのは日本にとっても不利益である。N700Sは性能上東海道新幹線でも300km/h運転ができるように設計されているので、この際に最高速度の引き上げは図るべきだろう。
ちなみに東海道新幹線で300km/hにまで最高速度が引き上がるとN700系も理論上285km/h運転から290km/h運転に引き上げることが可能なる。これは2016年以降に投入したN700AはそれまでのN700Aと比べてブレーキ性能が向上していること、2020年までに2016年以前に投入したN700系を全て2016年以降新造車対応工事を行ったことによる。また既にデジタルATCであることを踏まえても大規模な改修がなくとも可能だ。これにより一部のN700系「のぞみ」で1分程度所要時間短縮を図ることができることから、N700S専用ダイヤにならない列車でも所要時間短縮の可能性がありそうだ。
2. N700S専用ダイヤ設定開始で所要時間短縮へ!
では投入したN700Sをどこに使うのだろうか。
東京~博多間で「のぞみ」を毎時1本運転するだけで少なくとも11運用が必要で、予備編成3本があれば何とか回すことができる。またN700Sの投入本数はJR東海のほうが圧倒的に多くなっているが、東京~博多間の「のぞみ」は臨時列車を含めれば最大毎時6本、定期列車だけでも毎時2~3本あるので、うち毎時1本をN700Sに固定したところで残った毎時1本をJR西日本N700系固定にしてしまえば運用距離調整は十分にできる。すなわち、1999年~2005年のように東京~博多間の定期「のぞみ」が毎時1本しかなく2時間ごとに交互に500系新幹線と700系新幹線を運転して所要時間が異なったり山陽新幹線内で時刻を均等化するために500系のぞみだけ停車駅を1駅増やすなどの小細工をしなくても良い。もっともJR西日本にとってはJR東海が勝手に置き換えてくれる新車の直通開始で定期列車毎時1本の消費電力が6%下がるんだ、こんなおいしい話はない。
ではパターンダイヤ時間帯に運転するとなるとどのように入るのだろうか。
今回のダイヤ改正で東京毎時09分発/毎時36分着の山陽直通定期「のぞみ」にN700Sを投入することにより、東京~新大阪間は昼間でも2時間27分運転から2時間24分運転に3分短縮する見込みだ。ただ東京発着時刻を変えずに博多行きでは山陽新幹線内で時刻の繰り上げ、東京行きでは山陽新幹線内で時刻の繰り下げを行うため、名古屋や新大阪から在来線乗継各線の多くで所要時間が2分ないし3分延びるのは毎度のことである。
またJR東海車の外泊を減らすため、名古屋6時20分発「のぞみ75号」博多行き及び博多20時30分発「のぞみ78号」名古屋行きの1往復をN700Sで運転するほか、山陽新幹線内しか走らない新大阪6時06分発「ひかり591号」博多行き及び博多20時51分発「ひかり594号」新大阪行きの1往復もN700Sによる運転となる見込みだ。
これでもN700Sの山陽新幹線内滞泊は、12本中博多に3本、広島に1本、岡山に1本の合計5本となる。まあうち2本はJR西日本車で埋め合わせることができるのだろうが、点検などを含めると山陽新幹線「ひかり」1往復にJR東海車によるN700Sを投入しないとやりくりがつかない。
2.1. N700S毎時1本運転で周辺のN700系「ひかり」「こだま」でも所要時間短縮へ!
ではこの定期「のぞみ」がN700Sに固定化し所要時間を短縮することで、周辺の列車ではどのような影響があるのだろうか。
岐阜羽島で東京毎時09分発山陽直通定期「のぞみ」と東京毎時12分発山陽直通僅少「のぞみ」の間隔が5分空くようになり、岐阜羽島→米原間でこの間に「こだま」を運転させることができる。
これにより東京毎時57分発/毎時48分着の新大阪発着定期「こだま」の岐阜羽島と米原での「のぞみ」の待避本数をそれぞれ2本から1本に減らすことで、下り(新大阪行き)では新大阪到着を毎時51分着から毎時42分着に繰り上げることができる。
これにより新大阪毎時51分着が空くようになり、東京毎時03分発/毎時42分着静岡・浜松停車の定期「のぞみ」が京都で抜かれなくてもそのまま新大阪に到着できるようになる。これにより下り列車(新大阪・岡山方面)では新大阪毎時57分着から定期「こだま」のいた毎時51分着に6分繰り上げることができる。
このほかこの定期「ひかり」の所要時間6分短縮により下り列車(新大阪・博多方面)では新大阪毎時57分着が枠上空けることはできる。新大阪毎時00分着の東京毎時30分発/毎時15分着山陽直通定期「のぞみ」をN700系運用のまま2時間30分運転から2時間27分運転に3分短縮させるようにするためには名古屋~新大阪間で3分所要時間を短縮しないといけないため、おそらくN700系運用のままでは所要時間短縮は難しそうだ。そうなると次回2022年3月以降のダイヤ改正に持ち越しとなるのだろう。
ただ1つ不安なのは、静岡・浜松停車の定期「ひかり」が東京~新大阪間で所要時間を6分短縮したところで、岡山~博多間運転の定期「こだま」に岡山折返し発着枠を奪われているため、定期「ひかり」の岡山発着時刻が変わらず相生での時間調整が延びるだけの見込みがあるということである。
もう静岡・浜松停車の定期「ひかり」がN700系専用運用になった2017年3月4日ダイヤ改正から2021年3月ダイヤ改正までの間に東京~新大阪間で通算12分も所要時間短縮を図ることになり得るのだが、岡山発着枠を確保できないがゆえ現状6分所要時間を短縮した分そのまま山陽新幹線内の所要時間を延ばしている。
時刻繰り上げにより待避列車が減ることを考えると、下り列車は岡山毎時19分着から毎時04分着に15分繰り上げられるほか、うまくいけば毎時56分着にまで繰り上げられる。毎時04分着だと岡山毎時16分発始発「こだま」の入線が間に合わない可能性があるが、「ひかり」が毎時56分着にまで繰り上がれば十分可能だ。そうなると岡山での「ひかり」と「こだま」の接続が改善する可能性がありそうだ。
またこの時刻修正で岡山発着「ひかり」の運用数を1運用削減できる可能性が極めて高い。もっとも当初の予定ではその分臨時列車を増やすのに充てたかったのだろうが、利用が低迷し続けるリスクを考えると定期列車の運用を1運用でも減らして運営合理化したいところだろう。
なんだかたった毎時1本にN700Sを入れるだけでここまで変わるとなると、真の東海道新幹線のダイヤの完成と言えるのは2020年3月ダイヤ改正ではなく2021年3月ダイヤ改正ということなのだろうか。
3. N700S専用ダイヤ設定で初終列車に変化はあるのか
今回の2021年3月実施予定の東海道新幹線ダイヤ改正では、初終列車はどうなるのか。
そもそも今回の2021年3月ダイヤ改正まで投入するN700Sは14本しかなく、東京~博多間の「のぞみ」毎時1本を運転するだけで精一杯だ。つまり早朝・深夜の空いている時間帯であってもN700Sを運転できるのは毎時1本のみということだ。
ではどのように早朝・深夜にN700Sを投入するのか見ていこう。
3.1. 早朝「のぞみ」に投入で2時間18分運転開始へ!
まずは早朝。2020年7月ダイヤ改正で東京6時00分発「のぞみ1号」博多行きはN700Sを投入することで2時間22分運転から2時間18分運転に所要時間を短縮する見込みだ。
なお直前を走る品川6時00分発「のぞみ79号」博多行きにN700Sを入れようとしても新横浜6時00分発「ひかり533号」広島行きの新大阪到着時刻を3分繰り上げなければ所要時間短縮ができないし、さらにその新横浜6時00分発「ひかり533号」広島行きの新大阪到着時刻を3分繰り上げるためにN700Sを投入しなくてはならない。なお静岡6時07分発「こだま763号」新大阪行きの新大阪到着時刻を3分繰り上げは300系運転ダイヤと同じ時刻で運転している浜松→名古屋間で所要時間を3分短縮できる余地があるのでN700系のままでも行けそうだ。
そう考えると、早朝の下り列車のN700Sの投入は東京6時00分発「のぞみ1号」博多行きのみとなりそうだ。
というかそもそも品川6時00分発「のぞみ79号」は未だに必要なのだろうか。もしN700Sの投入により広島9時38分着から9時35分着に繰り上がれば羽田6時55分発日本航空253便広島行きから連絡バス利用の広島駅到着9時35分と同着になる。2027年のリニア中央新幹線ができれば品川6時20分発であったとしても名古屋連絡で広島に9時20分ごろに到着できるようになるので品川6時00分発の「のぞみ」は必要なくなるだろうが、それまでは航空機との競合のために合ってもよいのはないだろうか。
次に早朝上り列車。新大阪6時00分発「のぞみ200号」東京行きへのN700Sの投入。もし投入すれば2時間23分運転から2時間18分運転に5分短縮し、東京着時刻が8時23分から8時18分に5分繰り上がることとなる。
これにより名古屋6時46分発「こだま700号」東京行きが三河安城で抜かされる列車が2本から1本に減り名古屋6時48分発に2分繰り下がるほか(三河安城から先の時刻は不変)、名古屋で新大阪6時00分発「のぞみ200号」東京行きから連絡できるようになる。これにより新大阪発一番列車での静岡への先着列車が新大阪6時09分発「ひかり634号」東京行き利用の静岡8時09分着から新大阪6時00分発「のぞみ200号」から名古屋連絡「こだま700号」東京行き利用で静岡7時57分着に繰り上がることとなり、新大阪発の一番列車の利用で8時前に静岡に到着できるようになる。
このほか静岡7時02分発「こだま812号」東京行きは小田原で新大阪6時00分発「のぞみ200号」東京行きに抜かれるようになるため東京8時20分着から8時21分着に1分繰り下がる見込みだ。
また新大阪6時03分発定期「のぞみ202号」東京行きは2018年3月17日ダイヤ改正まで休日運休列車だった。このご時世で利用客が減っていることを考えると臨時列車に戻る可能性がありそうだ。
さらに新大阪6時00分発「のぞみ200号」が東京に8時18分に到着できるようになると、1本前の名古屋6時46分発「のぞみ72号」東京行き(東京8時15分着)の存在がますます薄くなる。利用客数が減っていることを考えると今回のダイヤ改正で「のぞみ200号」への統合を行っても利便性が損なわれないと判断され廃止または臨時化する可能性はありそうだ。
このほか名古屋6時20分発「ひかり630号」東京行き一番列車をN700Sに置き換えて300km/h運転を実施すれば、発車時刻を同一にしても停車時間の拡大を狙える。2020年現在は浜松で名古屋6時28分発臨時「のぞみ70号」東京行きを待避してるが、もしこの待避を静岡に変えれば、700系ダイヤと大差なかった臨時「のぞみ70号」東京行きはN700系運転かつ東京8時06分着のまま名古屋6時28分発から6時32分発に繰り下げることができ、N700系の東京~名古屋間最速の1時間33分に近い1時間34分で運転することができるようになる。ただ運用数からして今回のダイヤ改正での実施は難しいだろう。
3.2. 深夜「のぞみ」は21時30分発の設定を視野か
次に深夜時間帯。博多18時36分発「のぞみ62号」東京行きを前回の2020年3月ダイヤ改正でわざとパターンダイヤから外し、僅少「のぞみ」運転枠に定期「のぞみ」を設定した。つまり運用数が足りなくなりこの「のぞみ62号」は所要時間短縮を図れなくなることから、わざとダイヤパターンをずらしに来たのではないだろうか。そう考えるとN700Sの投入はおのずと最終の「のぞみ64号」東京行きへの投入となる。
300系や700系からN700系専用ダイヤに置き換えると起動加速度の向上により1回停車するごとに1分所要時間を短縮できる。しかし東京21時30分発「ひかり667号」名古屋行きは300系で運転していた2008年3月15日ダイヤ改正より全区間で時刻を変えていないほか、新大阪21時09分発「こだま764号」最終静岡行きは700系で運転していた2011年3月12日ダイヤ改正より名古屋→静岡間で時刻を一切変えていない。特に新大阪発静岡行き最終「こだま764号」に至っては、2016年3月26日ダイヤ改正でN700系化に伴う「こだま」の到着時刻一斉繰り上げがったにもかかわらずそこから漏れていたのである。もし名古屋発時刻を繰り下げずにN700系専用ダイヤ化したいのであれば真っ先に終列車の時刻を繰り上げ駅の営業時間を短縮しにいったはずだ。なのにそれをしなかったということは、他の列車の都合で終列車が繰り上げられなかった理由があるに他ならない。
もし今回のダイヤ改正で東京~新大阪間を最速2時間21分運転から2時間18分運転に3分短縮し、東京発新大阪行き最終「のぞみ」を東京21時30分発で設定しようとすると、現在東京21時30分発「ひかり667号」名古屋行きは東京21時33分発に3分繰り下げて運転することになるが、静岡到着は現状通りまたは1分遅くなる程度で設定できる。
また博多発東京行き最終「のぞみ64号」を新大阪21時24分発から21時30分発に6分繰り下げると、新大阪→名古屋間で所要時間を1分短縮できることから名古屋22時12分発から22時17分発に5分繰り下がる見込みだ。これに合わせ名古屋で接続する新大阪発最終静岡行き「こだま764号」も名古屋22時14分発から22時19分発に5分繰り下げることになるだろうが、その際に700系でも運転可能なダイヤからN700系専用ダイヤに変更すると、終点静岡まで後続列車に抜かされることなく5回停車するので5分所要時間短縮が可能となる。つまり名古屋発時刻を5分繰り下げても名古屋→静岡間で所要時間が5分短縮するので結果静岡到着は23時23分着のまま変えることなく列車を設定できるのである。
そう考えると、今回の2021年3月ダイヤ改正では実現しないのかもしれないが最終的に東海道新幹線の東京~新大阪間の「のぞみ」の最終は東京21時30分発及び新大阪21時30分発を狙っている可能性が高い。
しかしもし東京~新大阪間の所要時間が2時間18分に短縮したとしても、「のぞみ」の最終列車は東京23時48分着及び新大阪23時48分着となりそれぞれ3分繰り下がる(と言っても1992年3月14日ダイヤ改正の「のぞみ」運転開始からN700系投入直前の2007年6月30日までの約15年間は23時48分着が最終「のぞみ」の到着時刻だったので突拍子もないというほどではないのだが)。
もし「のぞみ」の最終を繰り下げた場合、接続列車はどうなるのだろうか。東京では中央線快速が東京23時56分発の豊田行き最終、総武線快速が東京24時01分発千葉行き最終、京浜東北線が東京24時00分発大宮行き最終、京葉線が東京24時05分発各駅停車蘇我行き最終などがある。このうち京浜東北線の大宮行き最終は最終「のぞみ」の東京到着が23時48分になっても十分乗り継げるし、総武線快速への乗り継ぎは東京で乗り継ぐ場合15分必要としており厳しくなりそうに見えるが、そもそも乗り換え距離の短い品川で乗り換えてしまえば12分の乗り換え時間で最終の快速千葉行きに乗り継げるので問題ない。さらに中央線快速は8分乗り換えとなると厳しいが、そもそも武蔵小金井~高尾間の各駅は新横浜連絡横浜線経由で八王子から中央線利用でも最終の「のぞみ」から連絡できるので東京で乗り継げなくてもアクセスはできるし、中野~武蔵小金井への各駅であれば後続の東京24時05分発快速武蔵小金井行き終電も使えるので問題ない。そうなると唯一接続を解除する可能性もあるものとしては標準乗り換え時間20分の京葉線の各駅停車蘇我行き最終が新幹線到着の17分後に出発してしまうようになることくらいだろう。ただ京葉線もその後に東京24時24分発各駅停車新習志野行き最終があるので、行けなくなるとしても海浜幕張~蘇我の各駅のみだし、17分あれば乗り換えできると思うが。
京都では東海道新幹線の最終の到着が23時31分着から23時34分着に繰り下がる可能性があるが、嵯峨野線・奈良線・湖西線の最終は繰り上がっても京都23時46分発なので問題なく接続できる。ただ既に接続を解除している京都23時37分発琵琶湖線普通米原行き最終へは走っても乗り継げなくなりそうだ。
新大阪では次回の2021年3月ダイヤ改正より阪和線鳳方面及び大和路線東部市場前及び平野への最終接続列車が新大阪を23時55分に出発する新快速西明石行きとなる。10分乗り換えであれば乗り換えは十分できるが、7分乗り換えだとホームの端から歩く自由席利用ではやや厳しい。なおおおさか東線は新大阪23時56分発普通久宝寺行きが最終列車となっているが、東海道新幹線の最終到着が遅くなれば1~2分程度時刻を繰り下げr可能性はあるほか、学研都市線四条畷や大和路線王寺へ向かう際に放出や久宝寺で乗り換えが必要となるが2021年3月ダイヤ改正より接続時間にゆとりが生まれるので連絡はできるだろう。またJR神戸線方面も新大阪23時55分発新快速西明石行きを逃しても新大阪23時59分発快速大阪行きから大阪で対面乗り換えすることで大阪24時04分発普通西明石行き終電に乗ることができるので、新快速を逃しても三ノ宮・神戸に18分遅くなりながらも到達することはできる(ただし新長田連絡神戸市営地下鉄西神線西神中央行きへの連絡はできなくなるが)。
ただ、2020年現在の285km/h運転で余裕時分をなくして全速力で走ってやっと東京~新大阪間を2時間18分で運転できるというのに、300km/hに最高速度を引き上げたところで余裕時分を限りなくゼロにしないと2時間15分運転なんてできないし、米原~京都間で330km/h運転に引き上げたとしても1分しか所要時間が短くならない。そう考えると列車遅延により回復ダイヤで運転すれば2021年3月ダイヤ改正以降は東京~新大阪間で2時間15分運転をすることはあるだろうが、通常ダイヤでは難しいだろう。そう考えると、最終列車は終点23時45分着から23時48分着に3分繰り下げるほうがあり得そうだ。
あとは300km/h運転開始時は2時間21分運転から2時間18分運転に所要時間を短縮し、米原~京都間で330km/h運転を行う際に2時間18分運転から2時間15分運転に短縮しに来る可能性はある(ただし330km/h運転を行っても1分しか所要時間を短縮できないので、残り2分は余裕時間を削ることとなる)。
なお東京発新大阪行き最終「のぞみ」を東京21時30分発に繰り下げた暁には、東京21時21分発「のぞみ473号」新大阪行きを定期化するつもりでいたのだろう。もっともこのご時世で定期化をあきらめた可能性はあるが、新大阪で連絡する列車の終電繰り上げにより新大阪23時48分着では連絡できなくなる駅もあることから、定期列車として残すのではないだろうか。
4. 「のぞみ」の減便はあるのか
このご時世で新幹線の旅客人員は前年の4分の1程度しかない。「こだま」は短距離利用がしにくくなるなどの理由があるが、JALやANAが軒並み毎日運航便を3割程度減便している中長距離利用が前提の「のぞみ」のうち定期列車を減らしてもそもそも運転本数が多いので利便性は大きくは損なわれないし足りない日は臨時に増発すればいいのである。
ソーシャルディスタンスを考えても東京~新大阪間は定期「のぞみ」毎時3本で足りるようになってしまっているし、新大阪~広島間も定期「のぞみ」毎時2本で十分運べてしまう。ネット予約やみどりの窓口での到着時刻を指定して買っているような人たちは時刻表を見ていないので、はっきり言って定期「のぞみ」を減便したところでそれを実感する人はこのサイトの読者レベルの方々だけであってその他はほとんどいないだろう。このことから定期「のぞみ」の臨時列車への置き換えは考えられるのではないだろうか。
ただ旅行全面解禁などが2021年内に行われる可能性は考えられるため、突発的に利用が伸びた際に対応できるよう臨時「のぞみ」の運転ダイヤは確保するだろう。もっとも「のぞみ」が減れば「ひかり」や「こだま」の通過待ち時間が減るので東京~新大阪間で10分程度の所要時間短縮が見込めるし、「のぞみ」も昼間っから最高速度285km/hのままで東京~新大阪間2時間24分運転をできるようになるのだが、さすがにそれはしないだろう。
なお東海道新幹線「ひかり」の減便は考えにくいだろう。
5. 「こだま」の全車自由席運転廃止か
また今回の2021年3月東海道新幹線ダイヤ改正では、「こだま」の普通車全車自由席での運転がなくなる可能性がある。
そもそも東海道新幹線「こだま」は平日朝夕は原則普通車13両全車自由席で運転していた。しかし前回の2020年3月14日東海道新幹線ダイヤ改正で東京行きの平日朝の4本を除き全て7号車を指定席化したことにより、昼間の「こだま」と比べれば少ないものの普通車指定席を設定することとなった。
2020年より大幅な利用者減少により前年比半減にまで落ち込んでいることを考えると、通勤時間帯の「こだま」もある程度空いてきていることは間違いない。そう考えると自由席に鮨詰めに入れる必要がなくなることから、2021年3月ダイヤ改正より全ての東海道新幹線「こだま」に1両以上普通車指定席を設ける可能性が高い。
なお、山陽新幹線でも全日で朝に全車自由席で運転している「こだま」を運転しているが、こちらは指定席を設置するかと言われると微妙なところだ。
6. 結び
今回の2021年3月実施予定の東海道新幹線ダイヤ改正では、N700S増備に伴うN700S専用ダイヤ設定開始により、「のぞみ」毎時1本がN700Sでの運転に固定化する見込みのほか、N700系運用のままの「ひかり」「こだま」でも所要時間短縮を見込める。
今後N700Sの増備により東海道新幹線でどのようなダイヤ改正を実施していくのか、楽しみにしたい。
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