N700S大量増備で毎時1本固定ダイヤ化か! 東海道新幹線ダイヤ改正予測(2022年3月予定)

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N700S大量増備で毎時1本固定ダイヤ化か! 東海道新幹線ダイヤ改正予測(2022年3月予定)

JR東海は2021年3月25日、プレスリリースにて2021年のN700Sの投入本数について公表した( 2021 年度重点施策と関連設備投資について )。今回はこれから2022年3月実施予定の東海道新幹線ダイヤ改正について見ていく。

山陽・九州新幹線の2022年3月ダイヤ改正予測はこちら!

1. 大幅増備でN700Sが毎時1本以上運転開始か?

JR東海では2021年度に13本の東海道新幹線用新型車両N700Sを投入する。

当初の予定では2021年度は14本のN700Sを投入するはずだったが、1本減らすこととしたようだ。なお2021年度はJR西日本はN700Sを投入しない見込みだ。またJR東海のN700S投入計画では当初2022年度までに40本を投入するはずだったが、2023年度までにずれ込んだことを考えると先行きが以前より怪しくなっている気はしなくもない。

また日刊工業新聞2021年4月号にて、既存のN700系のうち86本をブレーキ性能をN700S並みに向上する改造を2024年度までに行うとしている。もしこの改造を行えば2024年度までにJR東海の東海道新幹線車両は全列車N700S並みの走行性能を持つことになることから、N700Sの新造が必要なくなる可能性すら出始めるのだ

なぜ2024年度までに完了させたいかというとおそらく2024年10月1日の東海道新幹線開業60周年が関係しているものと思われるが、それまでに全列車N700S相当とすることで大幅なダイヤ改正を行う可能性はありそうだ。

これにより今回の2022年3月東海道新幹線ダイヤ改正までに、N700SはJR東海車25本とJR西日本車2本の合わせて27本となる。

N700系の場合はJR東海分は最初5年間に毎年16本ずつ(しかも計画を前倒ししてまで)、JR西日本分は初年度に8本投入したほか最初4年間は順次投入してきた。これによりまず投入開始1年のN700系がJR東海・JR西日本合わせて24本揃った状態で東京毎時10分発/33分着山陽直通定期「のぞみ」をN700系運転に統一している。

つまりN700Sが27本になる2022年3月ダイヤ改正では、毎時1本の山陽直通定期「のぞみ」をN700Sで置き換えられるはずだ

このほか先述したようにN700AにN700S並みのブレーキ力を付加する工事も2021年より行われている。これによりN700Sと同じ走行性能の列車はN700Sの27本よりさらに多くなることが見込まれる。このことから東京~新大阪間の「のぞみ」毎時1本程度もN700S専用ダイヤ化(N700Aからの改造分含む)してもおかしくないのではないだろうか。




1.1. 具体的にどの「のぞみ」をN700S専用運転にするのか

ではN700Sはどのパターンダイヤで専用ダイヤ化するのだろうか。

N700SはほとんどJR東海車のため、JR西日本車運用でN700Sを固定化するとは考えにくい。そこで現在のJR西日本のN700系及びN700Sの運用について見ていこう。

2021年3月ダイヤ改正時点でJR西日本車の16両編成はN700系40本とN700S2本の42本があるが、定期運用は25運用となっている。もっともJR西日本車の増備は山陽直通「のぞみ」を臨時列車含めほぼ終日毎時5本から毎時6本に拡大するために投入したようなものなので、定期運用が余っているのは致し方ない。

このうち山陽直通定期「のぞみ」は概ね毎日14時間程度設定があり、概ね各パターンダイヤ別におよそ毎日14往復ずつ設定がある。

パターンダイヤ別に見ていくと、東京毎時30分発/毎時15分着山陽直通定期「のぞみ」は14往復中8往復が、東京毎時51分発/54分着山陽直通定期「のぞみ」は14往復中4往復がJR西日本車での運転となっている。しかし東京毎時09分発/毎時36分着山陽直通定期「のぞみ」は全てJR東海車での運転となっているのだ

N700SはJR西日本が2本投入しているとはいえ今後大幅増備の見込みはないことから、ほとんどのN700SがJR東海車になるる。つまりJR東海車しか運用のない山陽直通定期「のぞみ」毎時1本はN700Sを増備し次第にすぐにでもN700Sに置き換えられる状況にあるようだ

このほかN700AからN700Sへの改造車もN700Sと同等の車両性能で運転できるとすると、東京~新大阪間の「のぞみ」毎時1本程度であれば置き換えられる可能性が高い。もっとも東京~新大阪間運転の「のぞみ」は定期・多頻度・僅少合わせ毎時6本もあるわけだが、このうち一番可能性が高そうなのは東京毎時18分発/毎時27分着の僅少「のぞみ」になるのではないだろうか。




2. N700S増備と大量投入で最高速度引き上げはあるのか

では今回の2022年3月東海道新幹線ダイヤ改正では、最高速度の引き上げはあるのだろうか。

まず東海道新幹線では白紙ダイヤ改正でない限りパターンダイヤ時間帯にて東京駅発着時刻を原則固定した状態で所要時間短縮を図る。ただ所要時間短縮に必要な列車が毎時1本分確保できない場合はパターンダイヤを変えず、早朝・深夜などの初終列車のみの時刻変更を行うことが多い。

ただ直近10年間では2年連続で東海道新幹線がパターンダイヤを変えなかったことはなく、少なくとも2年に一度はパターンダイヤを見直している。前回2021年3月13日ダイヤ改正でパターンダイヤが変わらなかったことを考えると今回の2022年3月ダイヤ改正はパターンダイヤを変えてくる可能性が高い

ただ全列車が285km/h対応のN700系の性能によって運転しているので、ここからパターンダイヤ時間帯の列車の運転時刻を変えるには一部の所要時間を短縮するほかない。その所要時間短縮には表定速度の引き上げが必要不可欠であることから、車両性能の向上は欠かせない。ただ定速走行装置を付け285km/h運転でも最高速度が引きあがらないとなると、残るは最高速度引き上げしかないのではないだろうか。




JR東海ではN700Sを2020年7月1日より運転開始したことに伴いN700系のうち2007年投入分の一部を廃車した。もしN700SがN700系より少し電気代が安く乗り心地が良くなったぐらいだけなら300系新幹線同様法定耐用年数13年を過ぎて15年間使用したっていいわけで、わざわざ製造後13年しか経過していないN700系を廃車する必要はないはずだ。にもかかわらず少なくともJR西日本基準なら余裕で走れるN700系を順次廃車しているということは、N700Sは最高速度引き上げを行い所要時間を短縮することでより東海道新幹線の合理化を図れるということにほかならない。もっともJR東日本からすれば所要時間短縮を図るならさらに料金を加算しないなんてバカとも思われているのかもしれないが(ちなみに「のぞみ」は新幹線特急料金の上限認可では「のぞみ」運転開始時の割高な料金のまま申請を行っているため、東京~新大阪間は「ひかり」と比べ1,020円加算、東京~博多間は「ひかり」と比べ1,940円加算で上限認可されているので、届出さえすれば東京~新大阪間の「のぞみ」加算を320円から500円にすることはいとも簡単にできる)。

ただ、最高最高速度引き上げがどこまで行われるのかは不透明だ。少なくともN700S(N700Aからの改造車含む)はブレーキ性能向上と軽量化により東海道新幹線内でも300km/hでの運転が可能になるのは間違いないし、それに伴い東京~新大阪間の「のぞみ」で少なくとも3分所要時間短縮を実施し最速2時間18分以内の運転になることまでは間違いない。また米原~京都間のうちトンネルのない区間で330km/h運転を行う構想もあることから、やや姑息ながらも日本最高速度で走る列車になる可能性がありそうだ

なお2010年代後半以降にヨーロッパと中国で250km/hしか出せない高速列車の走る路線を大量に開業したものの、主要高速鉄道路線は300km/h以上でていることから、250~260km/h程度しか出せない高速新線は2軍路線としてみなすことが多い。上越新幹線や北陸新幹線のような東京都市圏以外の百万都市圏を走行しない短距離路線は2軍でもいいだろうが、東京・名古屋・大阪の三都市圏を結ぶ東海道新幹線285km/hしか出せないことで世界的に2軍扱いされるのは日本にとっても不利益である。N700Sは性能上東海道新幹線でも300km/h運転ができるように設計されているので、この際に最高速度の引き上げは図るべきだろう。

ちなみに東海道新幹線で300km/hにまで最高速度が引き上がるとN700系も理論上285km/h運転から290km/h運転に引き上げることが可能なる。これは2016年以降に投入したN700AはそれまでのN700Aと比べてブレーキ性能が向上していること、2020年までに2016年以前に投入したN700系を全て2016年以降新造車対応工事を行ったことによる。また既にデジタルATCであることを踏まえても大規模な改修がなくとも可能だ。これにより一部のN700系「のぞみ」で1分程度所要時間短縮を図ることができることから、N700S専用ダイヤにならない列車でも所要時間短縮の可能性がありそうだ。




3. N700S専用ダイヤ設定開始で所要時間短縮へ!

ではN700Sを東京毎時09分発/東京毎時36分着山陽直通定期「のぞみ」に投入し最高速度を引き上げ所要時間を短縮した場合、どのようになるのだろうか。

今回のダイヤ改正で東京毎時09分発/毎時36分着の山陽直通定期「のぞみ」にN700Sを投入することにより列車を抜かす関係から浜松~新大阪間で所要時間を3分短縮し、東京~新大阪間は昼間でも2時間27分運転から2時間24分運転に3分短縮する見込みだ。ただ東京発着時刻を変えずに博多行きでは山陽新幹線内で時刻の繰り上げ、東京行きでは山陽新幹線内で時刻の繰り下げを行うため、名古屋や新大阪から在来線乗継各線の多くで所要時間が2分ないし3分延びるのは毎度のことである。

またJR東海車の外泊を減らすため、名古屋6時20分発「のぞみ75号」博多行き及び博多20時30分発「のぞみ78号」名古屋行きの1往復をN700Sで運転するほか、山陽新幹線内しか走らない新大阪6時06分発「ひかり591号」博多行き及び博多20時51分発「ひかり594号」新大阪行きの1往復もN700Sによる運転となる見込みだ。

これでもN700Sの山陽新幹線内滞泊は、12本中博多に3本、広島に1本、岡山に1本の合計5本となる。まあうち2本はJR西日本車で埋め合わせることができるのだろうが、点検などを含めると山陽新幹線「ひかり」1往復にJR東海車によるN700Sを投入しないとやりくりがつかなりそうだ。




3.1. N700S毎時1本運転で周辺のN700系「ひかり」「こだま」でも所要時間短縮へ!

ではこの定期「のぞみ」がN700Sに固定化し所要時間を短縮することで、周辺の列車ではどのような影響があるのだろうか。

岐阜羽島で東京毎時09分発山陽直通定期「のぞみ」と東京毎時12分発山陽直通僅少「のぞみ」の間隔が5分空くようになり、岐阜羽島→米原間でこの間に「こだま」を運転させることができる。

これにより東京毎時57分発/毎時48分着の新大阪発着定期「こだま」の岐阜羽島と米原での「のぞみ」の待避本数をそれぞれ2本から1本に減らすことで、下り(新大阪行き)では新大阪到着を毎時51分着から毎時42分着に繰り上げることができ、「こだま」の東京~新大阪間の所要時間は3時間54分から3時間45分に短縮する見込みだ。

これにより新大阪毎時51分着が空くようになり、東京毎時03分発/毎時42分着静岡・浜松停車の定期「ひかり」が京都で僅少「のぞみ」に抜かれなくてもそのまま新大阪に到着できるようになる。これにより下り列車(新大阪・岡山方面)では新大阪毎時57分着から定期「こだま」のいた毎時51分着に6分繰り上げることができ、この「ひかり」は東京~新大阪間の所要時間は2時間54分から2時間48分に短縮する見込みだ。




ただ1つ不安なのは、静岡・浜松停車の定期「ひかり」が東京~新大阪間で所要時間を6分短縮したところで、岡山~博多間運転の定期「こだま」に岡山折返し発着枠を奪われているため、定期「ひかり」の岡山発着時刻が変わらず相生での時間調整が延びるだけの見込みがあるということである。

もう静岡・浜松停車の定期「ひかり」がN700系専用運用になった2017年3月4日ダイヤ改正から2021年3月ダイヤ改正までの間に東京~新大阪間で通算12分も所要時間短縮を図ることになり得るのだが、岡山発着枠を確保できないがゆえ現状6分所要時間を短縮した分そのまま山陽新幹線内の所要時間を延ばしている。

時刻繰り上げにより待避列車が減ることを考えると、下り列車は岡山毎時19分着から毎時04分着に15分繰り上げられるほか、うまくいけば毎時56分着にまで繰り上げられる。毎時04分着だと岡山毎時16分発始発「こだま」の入線が間に合わない可能性があるが、「ひかり」が毎時56分着にまで繰り上がれば十分可能だ。そうなると岡山での「ひかり」と「こだま」の接続が改善する可能性がありそうだ。

またこの時刻修正で岡山発着「ひかり」の運用数を1運用削減できる可能性が極めて高い。もっとも当初の予定ではその分臨時列車を増やすのに充てたかったのだろうが、利用が低迷し続けるリスクを考えると定期列車の運用を1運用でも減らして運営合理化したいところだろう。

なお先述したように東京毎時18分発/毎時27分着僅少「のぞみ」もN700S専用ダイヤとした場合、こちらも2時間27分運転から2時間24分運転に短縮することができる。この場合新大阪始発終着定期「こだま」が米原で「のぞみ」2本の待避を受けることになるが、ダイヤ改正前と比べても全線で6分短縮できるため利便性が向上することに変わりはない。またこの僅少「のぞみ」毎時1本が所要時間を短縮しても岡山始発終着定期「ひかり」には影響はない。




4. N700S専用ダイヤ設定で初終列車に変化はあるのか

今回の2021年3月実施予定の東海道新幹線ダイヤ改正では、初終列車はどうなるのか。

今回の2022年3月ダイヤ改正までに、N700Sは27本揃う見込みだ。東京~博多間の「のぞみ」で14運用~16運用使うと考えて予備車を踏まえても早朝・深夜の「のぞみ」をN700Sのみの運転にすることは可能である。

2021年現在東京~新大阪間では昼間は最速2位間27分で結んでいるが、列車密度が低い早朝・深夜は2時間21分~2時間22分で結んでいる。もしN700Sを投入して最高速度を300km/hに引き上げれば2時間18分運転は可能である(なお285km/h運転でも遅延時の回復運転で2時間18分運転を行っている)。ただもし米原~京都間で330km/h運転をしても所要時間を1分短縮するのが関の山で、2時間15分運転を行うには余裕時分を削らなければ難しいだろう。

ではどのように早朝・深夜にN700Sを投入するのか見ていこう。




4.1. 早朝「のぞみ」に投入で2時間18分運転開始へ!

まずは早朝。2020年7月ダイヤ改正で東京6時00分発「のぞみ1号」博多行きはN700Sを投入することで2時間22分運転から2時間18分運転に所要時間を短縮する見込みだ。

なお直前を走る品川6時00分発「のぞみ79号」博多行きにN700Sを入れようとする場合には新横浜6時00分発「ひかり533号」広島行きの新大阪到着時刻を3分繰り上げなければ所要時間短縮ができない。この「ひかり533号」は既に285km/h専用ダイヤとなっているため、N700Sに置き換えて最高速度を引き上げない限り所要時間の短縮はできなさそうだ。

なお静岡6時07分発「こだま763号」新大阪行きの新大阪到着時刻を3分繰り上げは300系運転ダイヤと同じ時刻で運転している浜松→名古屋間で所要時間を3分短縮できる余地があるのでN700系のままでも行けそうだ。

そうなると、早朝の下り列車は新横浜6時00分発「ひかり533号」広島行き、品川6時00分発「のぞみ79号」博多行き、東京6時00分発「のぞみ1号」博多行きの3本がN700S専用ダイヤでの運転になる見込みだ

ただそもそも品川6時00分発「のぞみ79号」は未だに必要なのだろうか。もしN700Sの投入により広島9時38分着から9時35分着に繰り上がれば羽田6時55分発日本航空253便広島行きから連絡バス利用の広島駅到着9時35分と同着になる。2027年のリニア中央新幹線ができれば品川6時20分発であったとしても名古屋連絡で広島に9時20分ごろに到着できるようになるので品川6時00分発の「のぞみ」は必要なくなるだろうが、それまでは航空機との競合のために残す可能性は考えられそうだ。

次に早朝上り列車、新大阪6時00分発「のぞみ200号」東京行きへのN700Sの投入。もし投入すれば2時間23分運転から2時間18分運転に5分短縮し、東京着時刻が8時23分から8時18分に5分繰り上がることとなる。

これにより名古屋6時46分発「こだま700号」東京行きが三河安城で抜かされる列車が2本から1本に減り名古屋6時48分発に2分繰り下がるほか(三河安城から先の時刻は不変)、名古屋で新大阪6時00分発「のぞみ200号」東京行きから連絡できるようになる。これにより新大阪発一番列車での静岡への先着列車が新大阪6時09分発「ひかり634号」東京行き利用の静岡8時09分着から新大阪6時00分発「のぞみ200号」から名古屋連絡「こだま700号」東京行き利用で静岡7時57分着に繰り上がることとなり、新大阪発の一番列車の利用で8時前に静岡に到着できるようになる

この「のぞみ200号」の速達化により静岡7時02分発「こだま812号」東京行きは小田原で新大阪6時00分発「のぞみ200号」東京行きに抜かれるようになるため東京8時20分着から8時21分着に1分繰り下がる見込みだ。

さらに新大阪6時00分発「のぞみ200号」が東京に8時18分に到着できるようになると、1本前の名古屋6時46分発「のぞみ72号」東京行き(東京8時15分着)の存在がますます薄くなる。このご時世で需要が減っていることを考えると、統合も考えられるだろう。

なおこの「のぞみ200号」の後続には新大阪6時03分発「のぞみ202号」東京行きもいる。この列車は先述の「のぞみ200号」の速達化により東京着8時27分着から8時24分に3分繰り上げ可能だが、それでは2時間21分運転のためN700系でもできてしまう。そうなると8時21分着に6分繰り上げることも考えることになるが、そうなると静岡7時02分発「こだま812号」東京行きが東京8時24分着にまで4分繰り下がってしまう。この朝の貴重な時間に4分も東京着が遅れるとなると、静岡県民から苦情が大きく出る可能性が高いし、この時間帯は「こだま」が10~12分間隔で到着するため後続の「こだま」との運転間隔が狭くなりすぎてしまう。そう考えると新大阪6時03分発「のぞみ202号」東京行きはN700S専用運用にはなる可能性は高いが、東京~新大阪間2時間21分運転より速くなることはなさそうだ。

このほか名古屋6時20分発「ひかり630号」東京行き一番列車をN700Sに置き換えて300km/h運転を実施すれば、発車時刻を同一にしても停車時間の拡大を狙える。2020年現在は浜松で名古屋6時28分発臨時「のぞみ70号」東京行きを待避してるが、もしこの待避を静岡に変えれば、700系ダイヤと大差なかった臨時「のぞみ70号」東京行きはN700系運転かつ東京8時06分着のまま名古屋6時28分発から6時32分発に繰り下げることができ、N700系の東京~名古屋間最速の1時間33分に近い1時間34分で運転することができるようになりそうだ。




4.2. 深夜「のぞみ」は21時30分発の設定を視野か

次に深夜時間帯。東京21時24分発「のぞみ265号」新大阪行きをN700S専用運用として所要時間を短縮すれば、少なくとも東京21時27分発に3分繰り下げは可能である。

ただ後続の東京21時30分発「ひかり667号」名古屋行きは最高速度270km/hかつ起動加速度も低く車体傾斜もない300系で運転していた2008年3月15日ダイヤ改正より全区間で一切時刻を変えていない。

300系や700系からN700系専用ダイヤに置き換えると起動加速度の向上により1回停車するごとに1分所要時間を短縮できる。しかしそれでも東京21時30分発「ひかり667号」名古屋行きの運転時分を300系時代から変えていないということは、今後車両性能の良い新車を入れた際に東京発時刻を繰り下げることで、静岡以西での時刻繰り上げを行わないためではないだろうか。

もし今回のダイヤ改正で東京~新大阪間を最速2時間21分運転から2時間18分運転に3分短縮し、東京発新大阪行き最終「のぞみ」を東京21時30分発で設定しようとすると、現在東京21時30分発「ひかり667号」名古屋行きは東京21時33分発に3分繰り下げて運転することになるが、余裕時分が5分以上ある300系ダイヤからの所要時間短縮は容易に行えることから静岡到着は現状通りまたは1分遅くなる程度で設定できる。




また博多18時36分発「のぞみ62号」東京行きを2020年3月14日ダイヤ改正でわざとパターンダイヤから外し、僅少「のぞみ」運転枠に定期「のぞみ」を設定した。つまり運用数が足りなくなりこの「のぞみ62号」は所要時間短縮を図れなくなることから、わざとダイヤパターンをずらしに来たのではないだろうか。そう考えるとN700Sの投入はおのずと最終の「のぞみ64号」東京行きへの投入となる。

また博多発東京行き最終「のぞみ64号」を新大阪21時24分発から21時30分発に6分繰り下げると、新大阪→名古屋間で所要時間を1分短縮できることから名古屋22時12分発から22時17分発に5分繰り下がる見込みだ。

これに合わせ名古屋で接続する新大阪発最終静岡行き「こだま764号」も名古屋22時14分発から22時19分発に5分繰り下げることになるだろうが、名古屋→静岡間は700系で運転していた2011年3月12日ダイヤ改正より時刻を一切変えていないため、その際に700系でも運転可能なダイヤからN700系専用ダイヤに変更すると、終点静岡まで後続列車に抜かされることなく5回停車するので起動加速度向上の観点から5分の所要時間短縮が可能となる。つまり名古屋発時刻を5分繰り下げても名古屋→静岡間で所要時間が5分短縮するので結果静岡到着は23時23分着のまま変えることなく列車を設定できるのである。

そう考えると、今回の2021年3月ダイヤ改正では実現しないのかもしれないが最終的に東海道新幹線の東京~新大阪間の「のぞみ」の最終は東京21時30分発及び新大阪21時30分発を狙っている可能性が高い

しかしもし東京~新大阪間の所要時間が2時間18分に短縮したとしても、「のぞみ」の最終列車は東京23時48分着及び新大阪23時48分着となりそれぞれ3分繰り下がる可能性が高そうだ(と言っても1992年3月14日ダイヤ改正の「のぞみ」運転開始からN700系投入直前の2007年6月30日までの約15年間は23時48分着が最終「のぞみ」の到着時刻だったので突拍子もないというほどではないのだが)。

というのも2020年現在の285km/h運転で余裕時分をなくして全速力で走ってやっと東京~新大阪間を2時間18分で運転できるというのに、300km/hに最高速度を引き上げたところで余裕時分を限りなくゼロにしないと2時間15分運転なんてできないし、米原~京都間で330km/h運転に引き上げたとしても1分しか所要時間が短くならない。そう考えると列車遅延により回復ダイヤで運転すれば2021年3月ダイヤ改正以降は東京~新大阪間で2時間15分運転をすることはあるだろうが、通常ダイヤでは難しいだろう。そう考えると、最終列車は終点23時45分着から23時48分着に3分繰り下げるほうがあり得そうだ。

あとは先述したように米原~京都間で330km/h運転を行う際に2時間18分運転から2時間15分運転に短縮しに来る可能性はある。ただ330km/h運転を行っても1分しか所要時間を短縮できないので、残り2分は余裕時間を削ることとなる。

なお東京発新大阪行き最終「のぞみ」を東京21時30分発に繰り下げた暁には、東京21時21分発「のぞみ473号」新大阪行きを定期化するつもりでいたのだろう。もっともこのご時世で定期化をあきらめた可能性はあるが、新大阪で連絡する列車の終電繰り上げにより新大阪23時48分着では連絡できなくなる駅もあることから、定期列車として残すのではないだろうか。


5. 結び

今回の2022年3月実施予定の東海道新幹線ダイヤ改正では、N700Sが25本にまで増備するほか、既存のN700系の一部においてN700Sとほぼ同等のブレーキ向上改造を図ることとなった。

今後東海道新幹線内でも性能上300km/h対応可能な編成が増える中、東海道新幹線でどのようなダイヤ改正を実施するのか、見守ってゆきたい。

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