JR西日本は2020年10月16日、プレスリリースにて2020年度にN700Sを2本投入すると公表した( 東海道・山陽新幹線車両 N700Sおよび、北陸新幹線車両 W7系の新製投入 )。今回はこれから2022年3月実施予定の山陽新幹線ダイヤ改正について見ていく。
1. N700S専用ダイヤにより終列車繰り下げへ
また今回の2022年3月の山陽新幹線ダイヤ改正では、東海道新幹線でN700S専用ダイヤを導入した際に山陽新幹線内で時刻変更及び終列車の繰り下げを行う見込みだ。
そもそもN700SはJR東海が開発した車両で、JR東海では2021年度に13本投入するとしている。が、JR西日本は2020年度こそ16両編成を2本投入したものの2021年度には投入予定はない。もっとも山陽新幹線内での性能向上を考えるのであるならJR西日本もN700系同様初年度から8本投入すべきだが、実質臨時「のぞみ」増発分の2本しか投入していない(しかも同時期にJR東海ではN700系16両編成の廃車を始めたことから、廃車ではなく車両譲渡させるべきだったのではないかと思う始末)。そう考えるとN700Sによる車両性能向上を山陽新幹線内での所要時間短縮につなげる可能性は低そうだ。
もし東海道新幹線内でN700Sが300km/h運転を行い東京~新大阪間を昼間は東京09分発/36分着の「のぞみ」毎時1本が2時間27分運転から2時間24分運転に、早朝深夜を2時間21分~2時間22分運転から2時間18分運転に短縮した場合、山陽新幹線内でも該当列車が下り(博多方面)で概ね3分繰り上げ、上り(新大阪・東京方面)で3分繰り下げて運転する見込みだ。
これによりN700S専用ダイヤとなる見込みの品川6時00分発「のぞみ79号」博多行きが新大阪→博多間で3分繰り上げて運転するようになり、岡山に8時59分に到着できるようになる。
また博多18時59分発「のぞみ64号」東京行き最終が博多19時02分発に繰り下がり、博多→東京間最速4時間46分から4時間43分に短縮するほか、広島→東京間も最速3時間44分から3時間41分に、岡山→東京間も最速3時間09分から3時間06分に短縮する見込みだ。
この最終「のぞみ」の時刻繰り下げを行う場合、姫路で抜かされる鹿児島中央17時18分発「さくら568号」新大阪行きが博多→姫路間で時刻を3分繰り下げるのはほぼ確実で、「のぞみ64号」通過駅の新山口や福山からもこの「さくら568号」を使えば東京への最終を3分繰り下げることができる見込みだ。ただ、九州新幹線内での時刻繰り下げは不透明で、博多での停車時間を2分から5分に拡大して九州新幹線内の運転時分を変えない可能性はある。
これにより今回のダイヤ改正で品川~岡山間が最速2時間59分での運転となる見込みだ。新幹線では所要時間が4時間以内になると旅客が増え始め、3時間以内になると旅客機から客を奪いだす。その中間の3時間30分程度で需要が拮抗するのだが、品川~岡山間で3時間を切るとなると羽田~岡山の航空機利用者をより奪うことになり、新幹線がより優勢となりそうだ。
なお2021年11月から利用が戻りつつあり臨時列車を多数運転するようになったことを考えると、山陽新幹線内でも定期「のぞみ」の臨時化は考えにくそうだ。
2. 「ひかり」所要時間短縮で岡山で接続改善へ!
今回の2022年3月の山陽新幹線ダイヤ改正では、東海道新幹線内での岡山発着「ひかり」の所要時間短縮により山陽新幹線内でも時刻変更を行う見込みだ。
東海道新幹線内では6分の所要時間短縮に留まるが、山陽新幹線内では運転間隔の関係で待避回数を減らすことができることから、さらに所要時間を短縮できる見込みだ。
これにより現状接続に40分以上かけていつ昼間の岡山発着「ひかり」と岡山発着「こだま」の接続が数分程度で接続できる見込みが高いほか、岡山発着「ひかり」は運転本数そのままに16両編成を1運用削減できる見込みだ。
なお「こだま」に使用する500系新幹線の行先表示機にフルカラーLEDに置き換え始めたことからあと数年は500系新幹線が残ることになる見込みだ。
また「みずほ」「さくら」などの山陽九州新幹線直通列車の定期列車は運転本数を据え置く可能性が高いが、九州新幹線内での減便に伴い救済として停車駅を増やす可能性はありそうだ。
3. 結び
今回の2022年3月の山陽新幹線ダイヤ改正では、東海道新幹線内での所要時間短縮により定期「のぞみ」毎時1本や岡山発着「ひかり」で所要時間の短縮を行うほか、早朝深夜にも所要時間短縮を行うことで東京行きの終列車繰り下げを行い品川~岡山間を3時間以内に移動できるようになる可能性が高い。
ただそのほかの初列車繰り上げ・終列車繰り下げは考えにくく、山陽新幹線内だけで見ればこのほかの大きな変更はあまり見込めない。
500系新幹線の長期使用が内定した中、今後山陽新幹線でどのようなダイヤ改正を実施するのか、見守ってゆきたい。
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