JR西日本は3月10日、プレスリリースにて2023年3月~6月に山陽新幹線で運転する春の臨時列車をさらに設定すると公表した( 【山陽新幹線】臨時列車の追加運転のお知らせ(3/16~5/7) )。今回は東北・北海道・上越・北陸の各新幹線の2023年春の臨時列車運転について見ていく。
1. 大型連休ゴールデンウィークに合わせ増発へ!
今回の2023年3月~6月東海道・山陽・九州の各新幹線の2023年春の臨時列車運転では、様々な臨時列車を運転する。
東海道新幹線では2020年3月14日ダイヤ改正より実施している「のぞみ」最大毎時12本運転を生かして2018年と比べても列車設定数を増加したほか、山陽新幹線でも2023年3月18日ダイヤ改正より実施可能となった「のぞみ」最大毎時7本運転を初めて発揮することとなった。
おかげさまで「のぞみ」は日本全国の新幹線で唯一2018年比で2023年の大型連休期間中の利用者が増加した。もっとも東海道新幹線区間では3%増、山陽新幹線区間は1%減となっているが、運転本数増加によりこれまで満席で自由席にのらざるを得なかった客が指定席をとれるようになったことで快適性が向上したほか、「のぞみ」の指定席は自由席と比べ1,000円~2,000円程度高いため客単価が高くなる。このため東海道新幹線・山陽新幹線では「のぞみ」の大規模な増発により増収を図ることに成功したようだ。
2. 山陽新幹線完結「のぞみ」、N700系8両編成で運転へ!
今回の2023年3月~6月東海道・山陽の各新幹線の2023年春の臨時列車運転では、「のぞみ」を中心に設定している。
が、一度臨時列車として設定してしまうと、その後は都合上行先の延長ができない。「のぞみ」の列車番号は山陽新幹線直通か東海道新幹線内東京~新大阪間完結かで列車番号が変わるため予約システムの関係上安易な運転区間延長ができないのである。
これにより本来列車設定枠上山陽直通「のぞみ」として設定しているところに一度東京~新大阪間完結「のぞみ」を設定してしまうと、もうその日には臨時列車の延長はできないので山陽直通「のぞみ」が設定できなくなってしまう。ただその際でも山陽新幹線内の混雑緩和を図るために設定するために設定するのが「のぞみ」臨時列車時刻で設定する新大阪~博多間の「ひかり」や「のぞみ」である。
このため新大阪~博多間の山陽新幹線完結「のぞみ」を設定することは、年に数回程度ある。今回の2023年5月6日・7日運転の博多8時06分発「のぞみ616号」新大阪行きもそのうちの1つに過ぎない。
また臨時列車自体が旅客の多い時期に運行する列車のため、8両編成ではなく16両編成で運転することが多い。ただ5月6日・5月7日ともに16両編成のN700SやN700系はほかの臨時「のぞみ」として出払ってしまっていることから8両編成を使わざるを得なくなってしまった。
これまでJR西日本では臨時「のぞみ」を8両編成で運転せざるを得ないときには700系8両編成(「ひかりレールスター」型車両)を使用することが多いが、700系8両編成と500系8両編成を使用している山陽新幹線「こだま」の朝の減便による運用合理化により1日当たりの平均走行距離が増えていること、500系新幹線は老朽化により運用削減分を人事廃車にしていることなどから700系8両編成にも余裕がなくなってしまったのである。
そこで白羽の矢が立ったのがN700系8両編成(「さくら」型車両)である。N700系8両両編成は「のぞみ」同様300km/h運転に対応しているし、N700系16両編成は車体傾斜装置を搭載しているが直線の多い山陽新幹線内では使用しないため車体傾斜装置のないN700系8両編成でも山陽新幹線内は「のぞみ」と同時刻で運転できる。
またかつて8両「のぞみ」に使用していた700系8両編成は285km/hしか出ないほか、「ひかり」または「こだま」としてしか運転しないためこれらの列車より高い料金を徴収する「のぞみ」として運用するのは代走時などに限られていた。しかもJR西日本では2023年4月1日より山陽新幹線「のぞみ」「みずほ」の指定席特急料金を引き上げたため差額がさらに広がっている。
一方N700系8両編成は主に「さくら」として運転するが、一部の列車は「のぞみ」と料金同額の「みずほ」としても運転している。「のぞみ」と同額の列車としても運転していることから差額問題も生じにくい。
このため従来「のぞみ」で使用する16両編成より短く、かつ4号車から8号車にある普通車指定席が2人掛け&2人掛けであるために座席数が少ないN700系8両編成を博多発新大阪行き「のぞみ616号」に使用することとなった。
3. 今後の山陽新幹線完結「のぞみ」の車両はどうなるのか
もっとも「のぞみ」の醍醐味は東京や新横浜から名古屋より西を早く移動することにあるので、山陽新幹線完結「のぞみ」より東京発着「のぞみ」の方がいいに決まっている。
このため長い目で見れば山陽新幹線完結「のぞみ」を設定しないことが一番良いのだが、需要とは読めないもので突発的に必要となった時に山陽新幹線完結「のぞみ」を今後も設定せざるを得ないだろう。その際にどのような車両を使うのだろうか。
もっとも乗客が多いので臨時列車を出すため、長い16両編成のN700系やN700Sの方がいい。が、どうしても運用繰りの都合上16両編成が用意できない場合は今回のようなN700系8両編成(「さくら」型車両)の運用となるだろう。
逆を言えば、「こだま」運用でひっきりなしの700系8両編成を使ったのぞみレールスターの運転は今後は難しいだろう。
4. 結び
今回の2023年3月~6月東海道・山陽・九州の各新幹線の2023年春の臨時列車運転では、各新幹線で列車の運転本数が戻りつつあるほか、山陽新幹線でN700系8両編成による「のぞみ」を設定することとなった。
「のぞみ」列車設定枠を大幅に増加した東海道・山陽新幹線で今後どのような臨時列車を運転するのか、見守ってゆきたい。
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