JR西日本では2023年4月1日に山陽新幹線「のぞみ」「みずほ」で値上げした一方で、「さくら」の値段を据え置いたため慢性的に「さくら」が混雑している。今回はこれから2025年3月山陽新幹線ダイヤ改正について見ていく。
1. 山陽新幹線で最も予約の取りにくい列車「さくら」
山陽新幹線では東海道新幹線に直通する「のぞみ」や九州新幹線に直通する「みずほ」「さくら」を運転し、そのほとんどの列車が山陽新幹線内新大阪~博多間先着で運転している。
が、「のぞみ」は16両編成中10両が普通車指定席で2人掛け&3人掛けで1列車あたり783席の普通車指定席の設定があるなど座席数が多く、朝夕は毎時3本、多客期は最大毎時7本で運転するほど列車本数が多く座席が取りやすいが、「みずほ」「さくら」は8両編成と短いかつ普通車指定席が4両半の2人掛け&2人掛けで座席数が282席と「のぞみ」の3分の1程度しかなく、毎時2本程度しか運転がない。しかも「みずほ」「さくら」は2人掛け&2人掛けゆえ窓側と通路側座席幅が46cmと「のぞみ」より2cm幅が広く快適なのだ。
もっとも「のぞみ」と「みずほ」は同一料金だが、同じく新大阪~博多間を先着することが多い「さくら」はやや安いのだ。
しかも2023年4月1日山陽新幹線「のぞみ」「みずほ」新幹線特急料金改定で「さくら」との差は320円しかなかった料金差は740円差にまで広がっている。
そもそも同一車両なのに「みずほ」より「さくら」で料金差が生じているのは「さくら」の方が停車駅が多く新大阪~博多間で4分~10分程度所要時間が長くなっているためである。これは「みずほ」「さくら」は2011年3月12日の九州新幹線全通まで新大阪~博多間で運転していた「ひかりレールスター」の延長列車としての位置づけであったため、「のぞみ」の停車しない各駅間を結ぶ列車としての位置づけがあるため「さくら」の新幹線特急料金を「ひかりレールスター」と同額にした。また「ひかりレールスター」と同等とするため訪日外国人用JR全線乗車券ジャパン・レール・パスでも追加料金不要で乗車することができる。
が新大阪~博多間先着で停車駅が多いということは純粋に利用者が増え1列車あたりの利用者が増えるということであり、さらに安くて訪日外国人も利用するため「のぞみ」の利用でも構わない旅客が「さくら」の指定席を予約してしまい多客期のみならず普通の土日でさえも満席になってしまう事態に発展している。
しかも「さくら」は「のぞみ」「みずほ」と比べ安いため山陽新幹線を運営するJR西日本としては「さくら」の予約が埋まってもあまりうれしくない。なんなら先述した通り2023年4月1日に「のぞみ」「みずほ」の新幹線特急料金を値上げしたくらいだ。
このためJR西日本は山陽新幹線「さくら」も値上げを図ろうとしているのではないか。
2. 「さくら」値上げに立ちはだかる壁
ただ山陽新幹線「さくら」を「のぞみ」「みずほ」並みの新幹線特急料金に値上げするには壁がある。
新幹線特急料金の上限変更には国土交通省への認可が必要である。そしてこの新幹線特急料金の申請は「のぞみ」号等とそれ以外、および「のぞみ」号等とそれ以外の列車との差額の3種類で行っている。このため在来線特急のような紙一枚の届出では済まない。
もっとも「のぞみ」停車駅相互間ではすでに「のぞみ」号等の新幹線特急料金上限認可済みである。「のぞみ」停車駅相互間であればすでに国土交通省の料金認可を受けているので実際の「のぞみ」停車駅パターンにはない徳山~新山口間の利用でも「のぞみ」号等とみなされれば割高なのぞみ新幹線特急料金を徴収しても良いのだ。
ただし、「のぞみ」号等新幹線特急料金は「のぞみ」通過駅には設定していない。このため「のぞみ」1本も停車しない駅に停車する新幹線にはのぞみ新幹線特急料金を徴収させることはできない。
「さくら」が停車するにもかかわらず「のぞみ」が全通過する駅を調べると2つある。1つは三原、もう1つが新下関である。このうち三原は三原20時34分発臨時「さくら582号」新大阪行きしか停車しないしこの臨時「さくら」は主に多客期しか運転していないほか、三原停車は後続の「みずほ610号」新大阪行きの通過待ち目的で行っているため運転停車に変えてしまえば何の問題もない。
一方新下関は毎日9本の「さくら」が停車するため無視ができない。このため「さくら」を「のぞみ」「みずほ」と同額にするには新下関発着の「のぞみ」等新幹線特急料金の認可申請を国土交通省におっこなわなければならない。
ただしすでに運転している区間内での途中駅発着の認可申請のため比較的早く通りやすい。現に「のぞみ」が西明石に新規停車する際に西明石発着の「のぞみ」等新幹線特急料金を認可申請した際にはほどなくして認可が下りている。
このため運賃値上げほどには難易度は高くはないと言えるだろう。
3. ラクなのは「さくら」の「みずほ」格上げ!
そこでラクなのが新下関を通過する「さくら」の「みずほ」への順次格上げである。
列車愛称の変更だけであれば国土交通省の認可も必要なく行うことができる。
5. 結び
今回の2025年3月山陽新幹線ダイヤ改正予測では、JR西日本の増収目的で山陽新幹線「さくら」の一部が「みずほ」に格上げする可能性がある。
今後山陽新幹線でどのようなダイヤ改正を行うのか、見守ってゆきたい。
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