JR西日本は2024年7月24日、プレスリリースにてN700S増投入によるN700系8両短縮改造と「こだま」転用で500系新幹線を2027年に引退すると公表した。今回はこれについて見ていく。
1. 500系新幹線ついに引退へ!
今回の2027年山陽新幹線ダイヤ改正では、500系新幹線が引退する見込みだ。
500系新幹線はJR西日本が史上初の300km/h対応の新幹線車両として「のぞみ」用に製作した車両だが、2011年以降8両編成として山陽新幹線「こだま」用に運転してきた車両で、2022年3月12日山陽新幹線ダイヤ改正での「こだま」減便により8本中2本が廃車となるも残る500系新幹線6本は行先表示機を3色LEDからフルカラーLEDに更新してまで延命していた。
そもそも鉄道車両の装飾品は20年程度しか持たないが、通勤電車は日本では40年~50年程度使用するため20年程度使用すると一度内装や外装をリニューアルすることが多い。ただ高速運転を行うことから台車寿命が短い新幹線車両の寿命は13年~20年程度のため、
500系新幹線は1997年3月22日ダイヤ改正にて運転を開始しており、2027年引退となれば約30年にわたり走り続けた車両となる。過去最長の200系新幹線も製造から28年で引退してることを考えるとかなりの長寿と言えよう。
2. N700系8両編成の性能はどうなる
また今回の2027年山陽新幹線ダイヤ改正までに、500系新幹線「こだま」置き換え用にN700系を投入する。
N700系16両編成は2007年に登場した東海道山陽新幹線用車両で、山陽新幹線内では主に「のぞみ」「ひかり」として使用している。JR東海とJR西日本がそれぞれ投入しておりJR東海は製造から13年程度をめどに新型車両N700Sに置き換えているが、JR西日本投入分は未だに全40本バリバリ現役で、2007年投入分に至ってはかれこれ17年も使用している。JR西日本のものを大切に使う姿勢は昔から変わっていないようだ。
ただJR東海はN700Sより環境性能の悪く改造も多いN700系はできるだけ廃車させたい。そこでJR東海では2025年以降に投入する新型車両N700Sについて個室を導入し16両中11両に座席自動転回装置をつけることとした。これにより客単価の向上が見込めるほか、清掃の手間を削減することで経費節減を図れる車両としたことで、新型車両N700SをJR西日本に大量投入させることとしたのだ。
これによりN700S16両編成の投入により2007年~2010年にJR西日本が投入したN700系16両編成を順次引退、N700系16両編成を8両編成に減車することで山陽新幹線「こだま」用に転属、老朽化した500系新幹線をすべて置き換えて引退させることとしたのだ。
ただ16両から8両に減車していることや、省エネの観点から16両中14両にある電動車を大きく減らす可能性もある。このためN700系16両編成時の起動加速度2.6km/h/s、最高速度300km/hから性能を落とし、起動加速度2.0km/h/s程度の最高速度285km/hにまで性能を落とすだろう。
ただ正直全駅停車の「こだま」で300km/hから285km/hに落としたところで所要時間はほとんど変わらない。そう考えると500系新幹線からN700系への置き換えで山陽新幹線「こだま」の所要時間短縮が行われるとは考えにくいだろう。
3. 結び
今回の2027年山陽新幹線ダイヤ改正では、500系新幹線が引退しN700系8両編成に置き換えることとした。
今後山陽新幹線でどのようなダイヤ改正を実施するのか、見守ってゆきたい。
関連情報:山陽新幹線の更なる安全性・快適性の向上~N700Sの追加投入および500系営業運転終了~~ – JR西日本
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