新幹線接続改善と夕方増発は特急踊り子乗り入れ縮小の準備か! JR東海・伊豆箱根鉄道・岳南電車・大井川鐵道・天竜浜名湖鉄道ダイヤ改正(2018年3月17日)

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JR東海は12月15日、プレスリリースにて2018年3月17日にダイヤ改正を行うと公表した( 平成30年3月ダイヤ改正について )。また伊豆箱根鉄道は2月8日、プレスリリースにて2018年3月17日に駿豆線でダイヤ改正を行うと公表した( 2018年3月17日(土)駿豆線ダイヤ改正のお知らせ )。さらに大井川鐵道は2月12日、プレスリリースにて2018年3月17日に時刻改正を行うと公表した( 3/17大井川本線時刻の一部を改正いたします。 )。そして天竜浜名湖鉄道はは3月2日、プレスリリースにて2018年3月17日にダイヤ改正を行うと公表した( 天竜浜名湖鉄道 「ダイヤ改正」について )。また岳南電車は3月、時刻表にて2018年3月17日にダイヤ改正を行うと公表した( 岳南電車時刻表 )。今回はこれらから、静岡県内の在来線のダイヤ改正について見ていく。

2018年3月17日全国一斉ダイヤ改正まとめについてはこちら!

1. 早朝に時刻変更で新幹線接続改善へ

今回の2018年3月17日JR東海ダイヤ改正では、静岡地区の在来線でもダイヤ改正を実施した。

まずは下り(名古屋・大阪方面)から。静岡5時01分発普通岐阜行きは浜松行きに短縮されることとなった。一方、静岡5時15分発浜松行きが運転区間を変更し、平日は掛川5時57分発豊橋行き、土休日は掛川5時55分発豊橋行きとなった。

これにより、平日は豊橋への到着時刻は変わらないものの、静岡5時01分発時代に行っていた浜松での7分停車が解消されたことから、掛川~天竜川の各駅では浜松より先に行く列車の初列車が7~8分繰り下がることとなった。

また静岡→掛川間では救済措置として、掛川6時11分発普通岐阜行きを静岡5時27分発普通岐阜行きに延長した。これにより、焼津・藤枝・島田などの各駅から東海道新幹線の初列車となる静岡6時07分発東海道新幹線「こだま693号」新大阪行きへの掛川連絡での接続時間が22分から7分に短縮され、各駅を12~15分遅い列車で接続できるようになり、利便性が向上した。




ただプレスリリースで「島田方面方面から名古屋・新大阪方面」と記載し焼津や藤枝を除いているのか。それは、静岡を6時41分に出発する新横浜6時00分始発「ひかり493号」広島行きを利用しても、名古屋到着は静岡始発の初電となる「こだま693号」と比べても14分遅く着くだけだし、新大阪着に至っては2分しか遅くならない。

また焼津・藤枝の場合、ダイヤ改正後であっても掛川連絡で「こだま693号」に接続するより静岡連絡で「ひかり493号」を利用した方が、運賃は高くつくものの出発時刻が遅い。対名古屋に対しては14分早く到着できる静岡始発の「こだま693号」を使うメリットはまだあるが、対京都・新大阪・山陽新幹線方面へはほとんどメリットがない。そのためプレスリリースの記載では焼津・藤枝については記載しなかったのだろう。

また上り(熱海・東京方面)について見ていくと、浜松5時32分発三島行きが菊川6時00分発に短縮された。救済措置として平日は浜松5時37分発興津行き、土休日は浜松5時37分発静岡行きが設定されたが、初電が5~6分遅くなっただけでなく静岡到着も9分遅くなることとなった。これにより、浜松~掛川間の各駅から静岡連絡での東海道新幹線「こだま702号」への連絡ができなくなった。

一方、浜松5時40分発掛川行きと菊川6時25分発興津行き(土休日は静岡行き)をつなぎ合わせて時刻変更し、浜松5時58分発静岡行きを設定した。この列車を使うと磐田・袋井から掛川連絡での東海道新幹線「こだま702号」の乗り換え時間が26分から9分に短縮され、18分遅い時刻に出発しても間に合うようになった。




ではなぜこのようなダイヤ改正を行ったのか。まず、掛川での乗り換え時間短縮は利便性増強であるが、ダイヤ改正前は前を走る初電、しかも静岡で同じ東海道新幹線「こだま702号」に接続できる列車があった。静岡から新横浜・品川・東京への新幹線自由席特急券は2,480円、掛川から新横浜・品川・東京への新幹線自由席特急券は3,340円であることを考えると、8分早いだけで860円浮かすことができる。ともなれば、掛川で26分も待つ列車より8分早く出発するが安く着く初電のニーズが上がるのはわかる。

また、このことは新幹線定期券FREXでも同様のことが言え、帰りは静岡停車の「ひかり」を利用し7分連絡で発車する「ホームライナー浜松」を利用すると東京駅を7分前に出発する「こだま」と掛川到着時間が大差ないことから、今日では多くの場合自費持ち出しとなる新幹線定期券代を静岡連絡にして安く抑えようとするサラリーマンも一定数いる。

しかし今回のダイヤ改正で掛川以西での初電による静岡連絡の不可能化と掛川での東海道新幹線「こだま702号」への接続改善を図ることにより、東京・新横浜方面への利用で特急料金をより多くとろうとしたのではないか。そうすることで、新幹線利用区間が長くなり特急料金を多く徴収できるようになることから、増収策として行ったのではないだろうか。

これを見ると、2018年3月17日JR九州ダイヤ改正の新幹線接続の縮小化・一択化と同じことをしているように感じるが、影響は少なく済むようにしているように思える。

一方、平日運転の沼津19時32分発東海道線「ホームライナー浜松5号」浜松行きは、沼津19時25分発に繰り上げられたことから、静岡で東京19時03分発東海道新幹線「ひかり529号」新大阪行きから連絡できなくなった。静岡以西を走る静岡県内の「ホームライナー」は全て静岡で東京発着の東海道新幹線「ひかり」号と接続をとっていたが、ついに断ち切る列車が設定されてしまった。

また、平日運転の島田6時47分発静岡行きは廃止されることとなった。そのほか、御殿場線特急「あさぎり」は「ふじさん」に改称され時刻変更された。




2. 夕ラッシュ時に増発でパターンダイヤ化へ

また今回の2018年3月17日伊豆箱根鉄道ダイヤ改正では、駿豆線でダイヤ改正を実施した。

今回のダイヤ改正で駿豆線では夕ラッシュ時の下り(三島発修善寺行き)普通列車1本と上り(修善寺発三島行き)普通列車2本が増発された。これにより、17時台~22時台まで15~17分間隔となっていたものが15分間隔に統一され、毎時4本のパターンダイヤとなった。

また、三島9時55分発修善寺行きを三島10時04分発に9分繰り下げることで、新大阪7時26分発「ひかり510号」東京行きから連絡できるようになり、名古屋・静岡方面からの接続が改善されることとなった。

現在、伊豆箱根鉄道では、特急「踊り子」号のうち毎日2往復、最大4往復が修善寺発着で乗り入れているが、JR東日本185系(「サイコ新快速」型車両)による片乗り入れとなっている。東京直通優等列車の修善寺乗り入れは1949年の準急「いでゆ」にまで遡るが、1981年10月1日ダイヤ改正で185系による特急「踊り子」に切り替えられ、1987年4月の国鉄分割民営化で全ての185系がJR東日本に継承され現在に至る。




しかし特急「踊り子」がB特急料金と割安なこと、伊豆急下田発着と比べ修善寺発着は熱海~三島間でJR東海管内を走行するためB特急料金のJR東日本取り分が少なくなること、JR東海も東京~三島の移動なら東海道新幹線「ひかり」「こだま」利用のほうが収入になること、特急「踊り子」が伊豆急行線内料金不要で利用できることなど、運転コストがかかる割にメリットが少ない。そしてJR東日本では2019年3月より東海道本線特急にE257系を導入するとしているが、熱海~三島~修善寺間で試運転が実施されていない。修善寺は夏目漱石が余生を過ごした土地として知られているが、このままでは特急「踊り子」の修善寺発着は車両置き換えと合わせ中止される可能性がある。

ただ、特急「踊り子」の駿豆線乗り入れを廃止すると、伊豆箱根鉄道が自社列車のみでダイヤが作れるようになるから、昼間も20分間隔などのパターンダイヤ化することができる。そして三島で東海道新幹線「ひかり」「こだま」と接続をとれるようにすれば、利便性が大きく損なわれることはない。1981年の特急「踊り子」運転当時は修善寺行きを設定することで東京駅で行先表示で修善寺の広告を行え、メリットが大きかったが、経路検索はスマホで行う時代となった今では、並行して新幹線が走っているにも関わらず遅い在来線特急の利用は敬遠される。そう考えると、特急「踊り子」の修善寺乗り入れは役割を終えたといっても過言ではないように感じる。

そのほか、岳南電車、大井川鐵道、天竜浜名湖鉄道でも時刻変更を実施した。


3. 結び

今回の2018年3月17日JR東海ダイヤ改正では、静岡地区の在来線でも新幹線接続が改善した一方、近隣でない新幹線駅への接続を解除して収益化を高めようとしている。

また2018年3月17日伊豆箱根鉄道ダイヤ改正では、伊豆箱根鉄道では、特急「踊り子」にE257系が導入されることに伴い修善寺乗り入れが廃止される可能性があるなど、大きな変化が見込まれそうだ。

今後伊豆箱根鉄道駿豆線で大雄山線同様終日パターンダイヤが設定されるのか、静岡県内の在来線でどのようなダイヤ改正を実施するのか、見守ってゆきたい。

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