中国新聞は2022年11月5日、記事にてスカイレールサービスが2023年末で営業運転を取りやめ廃止すると公表した( 10月1日ダイヤ改正について )。今回はこれについて見ていく。
1. 路線廃止で電気バス代替ヘ
スカイレールサービスは、2023年末をもって営業運転を終了する。
スカイレールサービスは広島県広島市安芸区JR西日本山陽本線瀬野駅前のみどり口駅からみどり中街駅を経てみどり中央駅に至る2駅間1.3km、全線所要時間5分の路線である。
ロープウェイのようなゴンドラによる運行なのだが、軌道法上は懸垂式モノレール、分類上は新交通システムの一種のようだ。
そもそも広島は山間いのため住宅団地も山に沿ってつくられることが多い。スカイレールサービスはこの山道解消のための交通機関であることを考えると、コンセプトはブリリアシティ横浜磯子の52円で乗車できるグランドエレベータに近い。
運転間隔は昼間は15分間隔、平日朝夕は最短5分間隔となっているかつては平日朝に瀬野小学校通学向けの小学生専用便を設定していたが、2011年4月1日に団地内にみどり坂小学校が開校したことで廃止している。
もっともスカイレールタウンみどり坂の看板として開業したスカイレールであるが、周辺の芸陽バスの初乗りと同じ170円としたこと、維持費が高くつくため2023年末で営業運転を廃止し電気バスに代替することとなった。
そもそもスカイレールは高架を走行するため、駅を利用する際に階段などで昇降する必要があった。またJR瀬野駅からみどり中街に至っては徒歩11分で到達できてしあうため、170円支払って利用する人も少なかった。
そこで団地内の各停留所で階段などの昇降がなくても利用できる電気バスで代替することとしたのが今回のスカイレールサービスの軌道事業廃止へとつながったのである。
スカイレールのゴンドラは定員25人。対してバスは中型車であっても定員50人程度はあるのでスカイレールの運行本数と同じバスを用意すれば十分に運びきれる。いや朝夕はJR瀬野駅を発着する山陽本線の運転本数に合わせて減便してもおかしくはない。
この電気バスの導入によりスーパーマーケットや各住宅のより近くまで公共交通機関が向かうようになる。なおスカイレールサービスでは終電後にJR瀬野駅よりジャンボタクシー(東京都市圏でいう深夜バス)を運行していることから、ジャンボタクシーの終日運行化と捉えても良いだろう。
これにより鉄道の電気バスへの転換は2019年の関電トロリーバスの電気バス化に続き2例目となりそうだ。
みどり坂団地のさらに奥にはみつぎ団地があるが、みつぎ団地へは芸陽バス榎山線が乗り入れている。ただ平日のみの運行で下り6便、上り8便しか運行がないし、みどり坂を迂回するように運行している。
今回のスカイレール廃止代替としてみどり坂内を走る電気バスを投入するとしているが、今回設定する電気バスもみどり坂内で完結する見込みで、その奥のみつぎ団地へは乗り入れない見込みだ。おいおい、増収策も兼ねて電気バスをみつぎ団地まで乗り入れさせて利便性を向上した方がよくないか?
先述したように広島の住宅団地は山に沿って建てられているが、その特性を生かし団地から広島市中心部の八丁堀や紙屋町まで直通のバスを運行するのが広島のバス会社の定石となっている。1994年の新交通システムアストラムラインの開業や2015年からの芸陽バスの系統分割で徐々に縮小はしているものの、依然住宅団地から広島市中心部までバスで直通ニーズが強い。
ただ、スカイレールタウンみどり坂は沿線の事情を無視してシンボルとしてスカイレールを走らせることにより芸陽バスの団地内乗り入れを阻止した。これによりスカイレールタウンみどり坂の住民が広島市中心部に出るにはJR瀬野駅から山陽本線を利用後広島駅で路面電車に乗り換える必要が生じ、住宅団地の利便性としてはあまり高くなくなってしまった。
そう考えると、本来スカイレールタウンみどり坂が取るべきだったのは、周辺のさまざまな機関との調整であり、スカイレールサービスの導入のみならず代替として導入する電気バスもスカイレールタウンみどり坂のことしか考えていないように感じる。今回のスカイレールサービス廃止に際して周辺のさまざまな機関との調整を図るべきではないだろうか。
2. 結び
今回のスカイレールサービス廃止では、電気バス代替により利便性を向上させることとした。
今後どのような代替を行うのか、そしてみつぎ団地方面への乗り入れはあるのか、見守ってゆきたい。
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