相模鉄道は2019年3月28日、プレスリリースにて2019年11月30日に相鉄JR直通線を開業しダイヤ改正を行うと公表した( 相鉄・JR直通線の開業日決定 )。今回はこの相鉄JR直通線のうち相模鉄道の区間について開業時のダイヤを予測していく。
2019年3月16日全国一斉ダイヤ改正まとめについてはこちら!
1. 悲願の相鉄の都区内乗り入れ開始へ
今回の2019年11月30日相模鉄道ダイヤ改正では、2018年12月8日ダイヤ改正以来約1年ぶりにダイヤ改正を実施する。
今回のダイヤ改正では相鉄新横浜線のうち羽沢横浜国大~西谷間が開業することで、JR線と直通運転を行うことで、神奈川県内にしか路線を持たない相鉄が東京都区内の渋谷・新宿・池袋などに乗り入れることになる。
この開業に向けて、JR東日本では既存の埼京線用E233系7000番台10両編成を7本増備し、相模鉄道では新型車両12000系10両編成を6本導入することとなった。
なお相模鉄道では12000系以外の列車は相鉄JR直通線に運用しない方針だ。つまり、相模鉄道の相鉄JR直通線運用分は予備車を考慮すると最大5運用までしか組めないことになる。
これにより海老名では緑のE233系常磐線各駅停車用車両と緑のE233系埼京線用車両が乗り入れることになり、もしかしたら隣同士に慣れるかもしれない。しかも離れた相模線海老名にもJR東日本の車両が乗り入れることから、海老名は3社の所属する駅なのに全てJR東日本の車両が乗り入れることとなる見込みだ。
そもそもダイヤはどうなるのか。
相鉄JR直通線は平日朝ラッシュ時は毎時4本、それ以外の時間帯は毎時2~3本で運転すると公表している。
せっかく渋谷・新宿・池袋に乗り入れるんだから当然最速達の特急しかないだろうと考える方は素人かつほぼ間違いなく非地元民の野次馬なので猛省していただきたい。逆に相鉄とJR東日本がそんなダイヤを組んだら本気で軽蔑する。
なぜそこまで言えるのか。戦略として、どのような相鉄線利用客を相鉄JR直通線に乗せるかがカギとなるので、相鉄JR線に乗ってくれそうな需要を見てみよう。
2019年2月26日に相鉄JR直通線の開業時の運賃が公表されたが、小田急電鉄と運賃を比較したところ、小田急・相鉄乗換駅からは完敗、小田急が乗り入れていない相鉄各駅(つまり特急通過駅)からは渋谷(と記事にしていないが池袋)では辛うじて互角、という内容になっている。
そんな中で相鉄JR直通線が相鉄線内で特急運転をしたらどうなるだろうか?あまり乗ってくれないのは明白だ。
となると、特急通過駅の三ツ境や瀬谷、さがみ野からの東京方面利用を大和で小田急乗り換えから相鉄JR直通線で1本の方が乗ってくれる可能性が高い。
そう考えると、相鉄JR直通線は原則相鉄線内各駅に停まると考えるべきではないだろうか。
ただ、昼間はダイヤ乱れ時に相鉄JR直通線を運休にしても影響が最小限になるよう、地下鉄副都心線直通列車が西武池袋線で料金不要列車の中で最速列車の快速急行として運転するのと同様、相鉄JR直通線列車が相鉄線内を特急として運転する可能性がある。
昼間は特急が新宿乗り入れ、急行が横浜乗り入れでは優劣をつけられてるように感じるかもしれないが、それは杞憂だ。なぜなら相鉄JR直通線の相鉄線内特急運転は、広告効果以外何物でもなく、ダイヤ上除け者扱いされているだけなのだから。
ちなみに西谷に折返し設備を設ける工事を行っているが、東急新横浜線開業に伴い武蔵小杉方面へ向かう列車を増やすために、横浜~西谷間の各駅停車を運転させるために設けるのが主目的のようで、相鉄JR直通線開業時には供用されない可能性が高そうだ。
2. 平日朝ラッシュ時は急行を置き換えか
ではどのようなダイヤになるのか。
平日朝ラッシュ時は2018年12月8日ダイヤ改正の1つ前の2017年3月18日ダイヤ改正に白紙ダイヤ改正が実施されている。
この2017年3月18日ダイヤ改正以前は本線海老名発の急行といずみ野線湘南台発の各駅停車がそれぞれ5分間隔(毎時12本)の運転で、各駅停車は全て星川で急行に抜かれていたが、このダイヤ化改正で特急を運転開始したことにより、本線海老名発の特急が15分間隔(毎時5本)で運転するようになり、瀬谷で急行を抜かすこととなったほか、二俣川でいずみ野線湘南台始発の各駅停車の連絡を受けることとなった(ただこのダイヤ改正で平日朝ピーク時の時間帯が短縮し、ピーク以外の時間帯では急行や各駅停車が約6分間隔となったものの、特急も運転していることから減便はなかった)。
察するに、この2017年3月18日ダイヤ改正での平日朝ラッシュ時の白紙ダイヤ改正は、相鉄JR直通線開業を見据えたものではないだろうか。
では平日朝ラッシュ時の相鉄JR直通線のダイヤはどうなるのだろうか。毎時4本の運転となると特急が当てはまるが、先述したようにメリットがない。そう考えると、二俣川→横浜間で特急の直前を運転する急行を相鉄JR直通線直通に振り替えるのではないだろうか。
そうすると、特急は横浜行きのまま、瀬谷で急行横浜行きを抜かすほかに二俣川で急行から切り替えた海老名始発の相鉄JR直通線に連絡すれば、特急通過駅から横浜方面への利便性が確保されるほか、もし海老名や大和から速達で相鉄JR直通線を利用したい場合でも需要に応えることができるのではないだろうか。
このほかにも、特急を増発して横浜発着列車の減便を抑える可能性もある。ただそもそも2017年3月18日ダイヤ改正でピーク時は特急増加分を純増発していることを考えると、敢えて行う必要はないように思う。行ってもせいぜい毎時2本程度であって、特急運転分すべてが補完されることはないだろう。
また横浜行き特急が二俣川で相鉄JR直通線と接続すると湘南台始発の各駅停車が連絡できなくなるのだが、少なくとも相鉄JR直通線に対しては西谷で待ってもらうのが一番得策なような気がする。
3. 平日夕ラッシュ時は快速を置き換えか
平日夕ラッシュ時は、2019年6月時点では全て横浜発着で急行海老名行きが毎時9本、快速湘南台行きが毎時3本、各駅停車大和行きが毎時3本、各駅停車湘南台行きが毎時6本運転している。
相鉄JR直通線は毎時3本運転されるから、どこかに組み込む必要がありそうだ。快速は急行の直後を走っているものの星川や鶴ヶ峰に停車して利便性を確保しているほか、星川で各駅停車湘南台行き、二俣川で各駅停車大和行きに連絡するなど利用可能範囲がかなり広い。快速を相鉄JR直通線海老名行きに置き換えると横浜基準でも分かりやすくなるのだが、星川の反発は必至だ。
とはいえ、2012年4月28日ダイヤ改正まで平日朝ラッシュ時に湘南台始発の快速横浜行きを運転していたが、減便して今は平日朝ラッシュ時の快速の運転はない。急行と快速では快速の方が削りやすいようだ。
そう考えると、平日夕ラッシュ時は急行海老名行き毎時9本、各駅停車湘南台行き毎時9本、相鉄JR直通線普通海老名行き毎時3本になりそうだ。
4. 昼間こそいずみ野線直通列車設定か
ではこれまで通勤時間帯の相鉄JR直通線列車について見てきたが、昼間はどのようなダイヤが組まれるのだろうか。
ここまで読んでお気づきの方もいるかもしれないが、平日朝夕ラッシュ時は相鉄JR直通線列車は原則海老名発着で組んでいて、いずみ野線に乗り入れることを想定していなかった。これは2015年の大都市交通センサスデータによればいずみ野線が本線(二俣川以西)の29.9%しか需要がなく、さらに大和での小田急乗り換え利用が二俣川に流れ込むようになったらさらに二俣川方面への利用が伸び、さらに相対的に割合が減ること、いずみ野線に直通させても効果が薄いことから本線海老名発着のみで設定するだろうと想定している。
しかし昼間に関してはせめていずみ野線からも直通列車を設けても良いのではないだろうか。
昼間のダイヤは平日夕ラッシュ時から間引きまたは運転間隔を広げることが基本であるのだが、2014年4月27日ダイヤ改正で特急が新設し昼間に運転を開始したことにより崩れてしまった。単純に急行や快速を相鉄JR線に置き換えようとはなりにくい。
ではどのようなことが考えられるのか。
1つは相鉄JR直通線は昼間も相鉄線内各駅に停車説。ただこれを行うには本線では急行を、いずみ野線では快速を置き換えなくてはならない。2014年4月18日ダイヤ改正が特急が設定され本線特急通過駅から横浜に乗り換えなしでの先着本数が毎時6本から毎時4本に減ったというのに、さらに毎時3本ないし毎時2本に減らしてどうする。さすがに三ツ境・瀬谷などの需要の多い駅が黙っているとは思えない。
もう1つは特急が相鉄JR線に直通説。不動産的には最寄駅から新宿まで最短○○分!と書けるからメリットもある。現在昼間の特急は本線海老名発着が毎時2本、いずみ野線湘南台発着が毎時1本の合計毎時3穂ぬン点している。しかし、本線海老名発着が均等30分間隔でその中に毎時1本の湘南台発着を運転しているため、横浜~二俣川間では不均等となってしまう。
昼間の相鉄JR直通線が毎時2本の運転であれば、本線特急をそのまま相鉄JR直通線に振り替えれば良いが、そうするといずみ野線に直通しなくなってしまう。
そう考えると相鉄JR直通線は毎時3本の運転にして、本線海老名発着を20分~40分間隔で設定するほかなかろう。特急は急行より利便性が低いため、西武池袋線でいう地下鉄副都心線直通快速急行のような除け者要因だ。そう考えると海老名発着の特急が運転間隔不均衡になったからと言って、困る人は限定されるのではないだろうか。
そう考えると、昼間に関しては相鉄JR直通線列車は相鉄線内で特急運転をしても良い気がする。
このほかにも、相鉄JR直通線が分岐する西谷に快速を追加停車させることも考えられなくもないが、各駅停車が終日毎時6本以上あることを考えてもわざわざ横浜方面から相鉄JR直通線利用を促すために快速を停車させるまでのことはないだろう。
5. 結び
今回の2019年11月30日相模鉄道ダイヤ改正では、相鉄JR直通線の開業により大きなダイヤ改正を実施する見込みだ。
平日朝夕ラッシュ時は相鉄線内を各駅に停車する可能性が高いほか、昼間には相鉄線内特急として通過運転を行う可能性がある。
今後相鉄JR直通線のみならず東急新横浜線との直通運転の実施予定がある相模鉄道でどのようなダイヤ改正を実施するのか、楽しみにしたい。
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