東武鉄道は2021年1月26日、プレスリリースにて3月13日にダイヤ改正を行うと公表した( 2021年度の鉄道事業設備投資計画 )。今回はこれから2022年6月までに実施予定の東武鉄道ダイヤ改正について見ていく。
1. 500型リバティ大幅投入へ!
今回の2021年度東武鉄道設備投資計画では20400型の投入と500型特急型車両リバティの大幅投入を図る。
2015年頃までは東武鉄道は3月にダイヤ改正を実施することが多かったのだが、近年車両更新を伴うダイヤ改正は3月からずらして大なうことが多い。これは3月にはJR各社でダイヤ改正を実施しダイヤ改正向けに新車製造を多く依頼することから車両製造費が上がりやすい。ただ数か月ずらす、または数か月遅延承知見込みで製造すれば比較的車両製造が空いている時期に投入することができるので比較的安上がりに車両を製造することができる。おそらくダイヤ改正日をずらし車両更新時期をずらすことで車両投入費用を抑えようとしているのだろう。このことから今回の設備投資計画で投入する車両を活かしたダイヤ改正は2022年6月までに実施するのであろうが、どの列車に投入するかによって実施日も変わってくる。
とはいえ、まだまだ増備するなら秩父鉄道の貨物線をなぜ廃止させてしまったのだろう。もっともJR線から栗橋経由で入線できるから1両ずつトラックで春日部に運び入れることはなさそうではあるが。
まあ今回の設備投資計画のうち20400型を3本投入は日光線の6050系4両運用の置き換え目的なのはもう内定している。
ただ2021年度内に投入する500型特急型車両リバティは6本である。もっとも350型「きりふり」の土休日1運用をとっとと置き換えるのが先決だが、「リバティ会津」運転開始の2017年4月21日ダイヤ改正までに投入した500系が8本だったというのにこんなに入れたら、もはや日光線特急毎時1本をリバティで運転できる並みである。
では500型特急型車両リバティは2022年6月ダイヤ改正までにどこに投入するのか、それぞれ見ていこう。
2. 500型リバティの「りょうもう」への再投入はあるのか
まずは伊勢崎線特急「りょうもう」への追加投入。2020年11月9日東武鉄道運用変更より伊勢崎線特急「りょうもう」のうち1運用を500型「リバティ」に置き換えたため、そのまま続けて入れれば特急「りょうもう」への500型リバティの導入はある。
もっとも浮いた200型1運用分は部品取り車で残りの車齢50年を超える編成を延命させるものと思っていたが、200型を500型で全置換えする可能性はある。
ただ、500型の最大のウリである3両+3両による増解結の実施は伊勢崎線特急「りょうもう」では活かせない。そもそも主な利用範囲は館林や太田までで多くの列車が乗り入れる桐生線内はもっぱら空気輸送だし、伊勢崎や佐野・葛生にもっと乗り入れたいなら1日1往復だけではなく朝夕の特急「りょうもう」30分間隔運転時間帯にもっと乗り入れているはずだ。そう考えると特急「りょうもう」への500型投入の最大の効果は昼間の6両から3両への減車くらいしかなく、効果に乏しい。
まあ前回の2020年11月9日からの運用変更による200型「りょうもう」1運用2往復の「リバティりょうもう」置き換えは「りょうもう」基本運転区間の浅草~赤城間に最低限の500型リバティを投入することで料金枠を設定することも含まれていたのでそれなりの意義はあるが、今後の500型の「りょうもう」への増備は完全置き換え以外はメリットがないし今後を考えれば6両固定編成の方がメリットが多い。
そう考えるとしばらくは500型の伊勢崎線特急「りょうもう」への大規模な投入は考えにくいのではないだろうか。
3. 500型リバティの日光線特急への再投入はあるのか
では500型リバティの日光線特急への追加導入はあるのか。
そもそも500型リバティの導入時(つまり2017年4月21日東武鉄道ダイヤ改正時点)のコンセプトは、分割併合により東武日光と鬼怒川温泉の双方に行ける列車の設定が可能になること、及び短編成化により野岩鉄道・会津鉄道と直通運転できるようになること(つまり急行「南会津」の事実上の復活)などがある。このことから500型を日光線特急に大量に投入する場合、特急「リバティ会津」の増発を図る可能性はなくはない。
ただ、2017年4月21日の設定以降1日4往復運転に変わりないし、野岩鉄道・会津鉄道内はこれ以上増発させるほどは混んでいない。そう考えると特急「リバティ会津」の増発は考えにくそうだ。
であるなら日光線特急「けごん」や鬼怒川線特急「きぬ」を500型リバティに置き換えればいいではないかという話になるが、さらに日光線特急を500系「リバティ」に置き換えたところで、下今市~東武日光間の普通列車を減らすだけで6050型2両1運用しか減らない。まあ6000型から改造した6050型は廃車が進んでいるがその分は20400型の日光線投入で間に合うわけで、わざわざ500型リバティを投入して下今市での増解結を増やしたらかえって経費が上がってしまう。しかも浅草発着特急は100型・500型運転合わせて東武日光発着・鬼怒川線直通列車ともに概ね毎時1本ずつは確保しており、これ以上利便性を上げてもさほど利便性は上がらない。
そう考えると浅草発着の日光線特急への置き換えも多少運用置き換えはあるだろうが、そこまで大幅に増やすわけではないのではないだろうか。
4. 500型リバティのJR直通特急への投入でJR東日本253系を引退か
そう考えると、JR直通特急を増解結可能にするほかなくなってしまう。御殿場線特急「ふじさん」のようにJR直通特急「日光」「きぬがわ」を全列車東武鉄道の車両で持つ説。現在はJR253系が1運用、100型スペーシアが1運用の合計2運用で組んでいるが、ともに6両固定編成のため同じ列車が東武日光と鬼怒川温泉の両方に乗り入れることはない。
そもそも253系が2011年6月より東武直通特急「日光」「きぬがわ」で運用しているのは、2002年に特急「成田エクスプレス」用に増備した253系6両編成2本が法定耐用年数13年に達しておらず2010年の特急「成田エクスプレス」運用廃止で廃車にした場合固定資産償却損として損失に計上しなくてはならないため、初期車のような廃車にできず転用せざるを得ないところ、たまたま老朽化した485系で運転している東武直通特急「日光」「きぬがわ」があったため253系を投入したことによる。つまり、法定耐用年数的には253系は全廃車しても構わなくなったということだ。
しかしJR直通特急「日光」「きぬがわ」を500型リバティで運転するようになれば、4往復とも東武日光と鬼怒川温泉の両方に乗り入れることが可能になり利便性は上がる。
もっとも東武直通用253系が6両固定編成ではなく3両+3両であれば同時に運用できたかもしれないが、JR東日本も元特急「成田エクスプレス」用253系を2本だけ残して保守点検を行うのは合理的ではないのは分かっているしこのご時世でたった数本の特殊な編成にために保守する気を無くした可能性まである。そう考えれば特急「日光」「きぬがわ」が今回の500型増備に伴い全列車東武車での運転に変わる可能性は否定できない。
そう考えれば今回投入する500型のうち2運用4本をJR直通用に就かせ1運用2本は特急「はちおうじ日光」などの臨時用及び予備車とすればJR直通特急の東武車での置き換えは完了する。また500型への置き換えに伴い100型スペーシア1運用のJR直通特急運用を終了するためこの1運用で350型特急「きりふり」1運用を置き換えればいい。
そうなると、今回の500型6本の投入は原則JR直通特急用への投入であり、主な置き換え対象はJR東日本253系となるほか、JR直通用200型スペーシアを浅草発着運用に戻すことで350型特急「きりふり」を200型特急「けごん」に置き換えに行くのではないだろうか。
5. 結び
今回の2022年6月までに実施予定の東武鉄道ダイヤ改正では、500型特急型車両リバティの投入を図ることで、車両置き換えを行う見込みだ。
今後東武鉄道でどのようなダイヤ改正を実施するのか、楽しみにしたい。
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